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ヴェニア戦記  作者: T-34-84K
3/3

初戦

 ここは国境……

 15年前には1軍団規模の共和国将兵が警備の為に駐屯していたが、今は1連隊規模程の将兵しかおらず、宣戦布告が果たして本当に通告されたのかと疑わしい程相手に動きはなかった。


 そしてそこには大きな川が流れており、帝國が何とか共和国のヴェニア内への侵攻を食い止めた場所であった。

 

 今は数時間前に工兵たちが作った橋が架けられていた。

そして多くの車両がその橋を渡ろうとしていた。


 俺の中隊は最後尾の方に配置されていた。


「敵、目視出来ず。索敵を続けます」


「分かった。他の隊にも敵が見えないか確認をしてみる。引き続き索敵を怠るなよ」


「了解」


 俺が命令すると索敵をする兵達が答えた。

 とりあえず他の分隊にも連絡を取るとするか。


「此方第5中隊隊長機、敵目視出来ず。繰り返す。此方第5中隊隊長機、敵目視出来ず」


 するとすぐに返答がやって来た。


「此方第5中隊 第2小隊 第3分隊機。此方も敵目視出来ず。繰り返す。此方第5中隊 第2小隊 第3分隊機。此方も敵目視出来ず 以上」


 こんな感じの無線が何度か飛び交って来たが、とりあえずは敵はまだいないということだ。


「兵長、そろそろ橋を渡る。幅に注意して運転しろよ」


「分かってます。中尉」


 俺達の車両は遂に橋を渡った。

急造した橋だから仕方もないが進むとガタガタと車両が震えた。


 遂に橋を渡リ終えた。

此処からは共和国の領内である。

しかし何かおかしい。敵がまだ確認できないのである。


「全く何処探しても敵なんていねーじゃねーかよ。しかも双眼鏡だけじゃあぜってー分かんねーよ。

空軍はニートかよ全く」


 一人の兵士が愚痴をもらした。


「スターム上等兵。空軍が創設されたのはいつだかわかるか?」


 俺は問うた。


「えっとですねー……10年前ですか?」


「1年早いが大体そうだ。空軍は条約で当初は禁止だったが11年前に緩和されて空軍の創設されたんだ。そしてパイロット一人を育成するのに最低でも10年はかかる。俺の言いたい事が分かったか?」


「すいませんでした中尉。以後発言には注意します」


 その時だった。

突然背後から銃声が聞こえた。


「敵確認! 規模小隊から中隊! 野砲2門確認!」


「分かった。オットー、この車両の指揮を頼む。俺は中隊の指揮をする」


「了解だ、ジム。 よし! 歩兵戦闘展開! レオナルドは機関銃で援護しろ いいな?」


「ヒャッハー!  断罪だー!」


 新兵たちは何かから解放されたかのような勢いで飛び降り、車を壁にした。

あぁ、列車の時もそうだったがやっぱり狂ってる……

そんなこと思っていたが戦闘を優先しなくては。


「此方第5中隊隊長機、距離300メートル の6時の方向に小隊から中隊規模の敵を確認した。各隊は戦闘展開せよ。繰り返す、距離300メートル の6時方向に敵を確認した。各隊は戦闘展開せよ」


 そうすると各車両から同様の雄たけびが聞こえ、飛び出すように新兵たちが飛び降りた。

 

 近くにいた戦車中隊にも連絡しようとしたが砲塔を敵方向に向けていたので敵がいたというのは把握出来ていたという事が分かったので、俺は中隊の指揮に専念した。


「機関銃で斉射しろ! 一撃でも砲撃を喰らったらこっちはおじゃんだ!砲兵を先につぶせ!」


 一斉に鳴る機関銃の発砲音。それにつられたのか戦車も砲撃を開始した。


 敵兵もそれに抵抗したが砲兵が焦っていたのだろうか明後日の方向へ砲弾が行ってしまい、機関銃を使い、敵も射撃を繰り返したが虚しくも戦車と輸送車の装甲は貫通を許さなかった。

敵兵たちは砲撃と一斉射でバタバタと倒れていった。


「ここまででいいだろう。後は後続の機械化師団か歩兵師団がやってくれるだろう俺達は早く先に……


 突然一両の戦車が燃え出した。


「三時の方向敵!」


 敵の機関銃が火を噴いた。

幸い俺の輸送車からの被害は無かったが、別の輸送車の兵士が撃たれていた。

だが戦車が砲撃を始めると敵兵たちの攻撃が止んだ。


 その後戦車は砲撃を止めた。

敵も攻撃を素振りを見せなくなった。


 戦車って恐ろしいな。これが敵だと思うとぞっとするわ。


 敵の攻撃が止んで好機かと思ったのか数十人の新兵が敵の塹壕へ吸い込まれるかのように向かっていった。


「待て! 突撃の命令はだしてないぞ!」


 そんなこともなりふり構わずに奴らは塹壕へと飛び込んだ。

そして此方には悲鳴と笑い声が聞こえた。


 ……俺は何とも言うことが出来なかった。


 暫くすると塹壕から奴らが出て来た。

奴らは軍服に返り血を浴び、銃剣には血がべっとりとついていた。要するに血まみれだ。

そんな中彼らは嬉しそうに笑っていた。







 










 

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