現実への侵略者 2
ドアを開けると心地よいドアベルの音が店内に響く。
静かで雰囲気のいい店だ。少し古…レトロな感じで落ち着く。
「私はあの人と話してくるからで少し待っててね~」と言って店の奥で静かに座っている店員と思しき女性のほうへ小走りで向かう。
待ってる間、目に留まるのは少し光った棚。見るとぼんやり光る石がずらり。大きさは消しゴムぐらいか。
「なんだこれ。」と手に取ってみる。
「それ脆いからすぐ割れるからね。割ったら弁償だよー。希少なものだから高いよ~?」と先輩の声。
俺の姿は先輩のいるところからは棚で見えないはず。なんで手に取っているものまで分かった…
それはともかくこれ希少なのか…こんなとこに置いといて大丈夫か?
「わ、わかりました。置いときます。」もう触らない。あぶねえ。
次の棚は本棚か。古い西洋のような装飾が施された本が詰まっている。
本の内容は見たことない地図や生き物の生態、変な文字の羅列が書かれているものまで多岐にわたるが、物語などの書き物は一切置いていなかった。珍しい本棚だ。
…ついつい本に見入ってしまった。そろそろ話が終わる頃かな。
俺は本棚を後にし、もと居た入り口横の椅子へ座る。
…先輩はいつまで話してるんだ。店に入ってから1時間弱経つのになかなか話し終える気配がない。
先輩が時計を見る。ハッと驚いたような表情をしている。時間がたったことに気付いていな買ったらしい。店員さんが苦笑いしているのが見える。先輩は常連のようだし毎回来るとこうなのか。いい迷惑だな、店員さん…
先輩が店員さんからさっきの本と何か袋のようなものを受け取り、なぜか笑顔でこっちへ歩いてくる。やっと終わったか。
「先輩、遅いです。きっと店員さんに迷惑かかってますよ。」
「大丈夫!毎回こうだから!」
「…」やっぱりか。
先輩はさっきと変わらない笑顔である。罪悪感はないようだ。
「じゃあ帰ろうか!買うものも買ったし、それに…」
「それに?なんですか?」
「いやっ、なんでもない…よ?」
一瞬先輩の表情が曇った気がした。
また心地よい音のドアベルを鳴らして外へ出る。
今日もいつもと変わらない平凡で退屈な日常。
そう思っていたのは今日、家に帰るまでのまでの話。
なかなか話が進展しない…頭の中では大体出来上がってるのにうまく文にできないつらさ…作家さんのすごさを痛感します。