白き花
昔、青の国に少女がいた。
少女は、父のその強く優しい背中を見て育った。
ある日、父は珍しく笑顔を見せた。笑顔で、まだ年端もいかぬ少女は、白い雪の剣と共に白の国へと売られた。
少女の住んでいたところは、貧しい人々が多く暖かい食事と寝床など与えられる方が不思議だった。
父が少女を売った理由は簡単だった。酒代が足りなくなったためだった。元々、父は少女を売るために育ててきた。愛情など持って見たことはなかった。
白の国で少女は淫売宿で自らの身体を売って、暮らしていた。白い雪の剣を売るという手もあったが少女は売らなかった。
ある日、珍しく市場に出るとリンゴが転がってきた。リンゴを落としたのは裕福な身なりをした少年だった。
少年は少女の服を見ると、黙ってリンゴを渡した。
「これを食べるといいよ。」と、少し恥ずかしそうに言った。
それからというもの、少女が外に出ると必ず少年と出会った。
少年は少女の事を「キン」と呼んだ。何故そんな風に呼ぶのかと聞くと、その瞳の色が金色だからだと少年は言った。そこで初めて少女は、自分の瞳の色を知った。少年は、少し驚いたような顔をした。少女は自分の顔には興味はなかった。
少女と少年が出会ってから数年が経った。
白の国は、王が代わってから急に武力に力を入れ始めた。
「英雄計画」というものが発表された。それについて書かれた看板を見ていると三人の兵士が少女を城へと連れ去った。
王様の前にはたくましく成長した青年がいた。王様は、少女のその素晴らしい魔力と召喚術と少年の素晴らしい剣技と勇気を組み合わせれば、英雄ができると言っていたが、少女には何を言ってるか分からなかった。
少女が分かったことは、少年と淫売宿で毎日やっていた事をシロということだった。
少女は少年の事をスキだったので、別にやる事に関しては構わなかった。
時が経ち、十年後。白の国は世界屈指の帝国として成長していた。そして、その名が広まった直後に白の国は滅んだ。少女と少年の子供は、勇気と知性。素晴らしい剣技と素晴らしい魔力を兼ね備えた天才だった。
少女が持っていた白い雪の剣は、その子供に引き継がれた。
今もその子供は契約した二匹の魔物と共に、目の前にあるモノ全てを切り裂いている。
子供はたとえ、その身体が今まで殺してきた者たちの怨念に縛られても殺し続けるだろう。
いつか、その身体が憎悪と呪怨の青と白の炎で焼き殺されるとしても、子供は自分のために殺し続けるだろう。




