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最果てのホライズン  作者: 椎名乃奈
第終章 えぴろーぐ
44/60

【044】


「あの……私、背中に翼が生えているんですけれど大丈夫でしょうか?」


 少女は心配そうにスゥにそう聞いた。


「私も初めてこの街に来たときは、とても不安でした。けれど、支えてくれる皆さんのおかげで今もこうして元気でいます。辺りを見回してみてください」


 スゥのその言葉に少女は辺りを見回した。


 すると。


 そこには、摩訶不思議な光景があった。


 スゥのように獣耳を生やす人。


 ワニのような鱗の肌を持つ人。


 鳥のような翼を生やす人。


 犬のような尻尾を生やす人。


 そこには。


 人であって人で無く、動物であって動物で無い――人であって動物でもある者達がそこにはいた。人間としても暮らせず、動物としても暮らせない少女が求めていた世界そのものに違いなかった。


 少女の顔からは、先程の不安の色は消えていた。


 ここでなら、きっとやっていける。


 少女は、そう思っていた。


「もう大丈夫そうですね。それなら、街へ着く前に名前を決めましょう」


「スゥさんの名前は……あっ、すみません」


 少女は、謝り下に俯く。


「まだ街に着いてないので、大丈夫です。私の名前は、誰がどうやって付けたのか聞きたいんですよね? 私の名前は、さっき言った私の大切な人がテキトーに付けてくれた名前なんです」


「テキトー……ですか?」


「はい、テキトーです」


 少女には、自分の人生を彩るその名前をいい加減に決めると言う気持ちが良く分からなかった。生きて行くからには、その名前はずっと付き纏うモノである。


 つまり。


 ここで決める名前とはこれから行く街でずっと使う言わば場所限定ではあるが一生モノの名前なのだ。それをテキトーに決めると言うスゥの名付け親の気持ちが良く分からなかった。


「どうして、名前をテキトーに決められるんですか?」


 少女は、不安気味でスゥに聞く。


「私の大切な人に、どうして私にスゥと言う名前を付けてくれたんですかって聞いたんです。そしたら、少し間を開けて、テキトーかなって答えられました」


 スゥは、そう言いながら笑っていた。


 そして。


 話を続ける。


「でも、私は嬉しかったんです。私の大切な人も親代わりの人から、付けられた名前の理由がテキトーだったそうです。私も一緒なんだって思ったらそれは、なんだかとても嬉しくなりました。そして、その人はこう言ったんです。どんな名前であるかってこと自体には特に意味は無くて、どういう自分であるかってことに意味があるんだって」


「そうなんですか?」


「どうなんでしょう。私も、まだ難しくて分かりません。でも、どんなに名前を変えたからと言って自分と言う本質が変わる訳じゃなくて、変わろうと思うその気持ちが何より大切なんだ、とも言っていました」


 一応。


 少女なりにスゥの話を理解しようと努めていたが、そのほとんどを理解することは出来ていないようだった。ただ、それは当然のことだ。話しているスゥ自身も、難しくてまだ完全に理解出来ていないことなのだから。


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