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プロローグ



「新人、これもやっておけ」


ドサッ、と。

到底紙から出る音とは思えぬ重量感のある音とともに、デスクに置かれた書類の束に気づかれないようため息を吐く。

新卒、神代結衣は「はい」と掠れる声で返事をして書類をちらりと一瞥したあと時計を見やる。

時計の針はとっくに日付を回っており、終電なんてとっくに逃している時間だった。


「はぁ……今日で何徹目だろう……」


家に帰ることもなく、会社の給湯室で髪を洗う日々。

毎月無駄になる家賃が引き落とされるたびに思う尾。


勿体ない。


そして同時に疑問に思う。

────……私、何のために仕事をしているのだろう。

無駄に消費される、代え難い時間を代償に、私は何を得ているのだろうか。


結衣はデスクの引き出しを開けて食べかけのカロリーメイトを取り出すと、雑に口に放り込む。

咀嚼もそこそこに、今度は温くなったエナジードリンクの缶に唇をあて、天井を仰ぐようにして一気に口の中に流し込むと、粉々になったカロリーメイトと一緒に胃の中に落とし込んだ。


────……刹那。


「……あ……?」


ぐにゃり、歪む視界。

指先は痺れて冷たくなっていく。


(何、これ……。声……出ない……)


結衣はそのまま意識を手放した。




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