大切な人
「貴明さん、一体、どうする気なんだ!?」
能力者施設に一旦引き返した俺たちは、貴明さんも合流して作戦を練る
「貴明……今なら遅くない、お前は生きろ」
司令官は改めて貴明さんに考えを改めるように促した
「じゃあ、この街はどうなってもいいのか!! 俺が力を使えば、カルテー二を倒せる!!」
「まず……先に次元を再び封印しなければ」
「カルテー二に邪魔されて、俺は封印出来なかった……」
司令官と貴明さんは再び次元のある場所へ上空へテレポートで向かい、封印を試みた
「なんだ? 成功したぞ?」
「やった…!!これで、敵は現れない!!」
しかし、モニターを見るとまだカルテー二の意識はある
敵の居場所は赤く表示される
「これは… 息子のいる学校じゃないか?」
航介さんが確認した位置は、貴明さんの息子さんがいる高校だった
「まさか、一般人を狙うのか!?」
「許さない…カルテー二!!」
貴明さんと司令官は急いでカルテー二の居場所へ向かった
「能力者として、気づかずに一般人として暮らしていられたら良かったのに」
司令官は息子さんを心配する
「我が息子もどうせ、そのうち戦うんだ 悲しいことにな」
「貴明!その戦いを、終わらせなきゃいけないだろう!?」
カルテー二は既に学校に侵入していた
「まずい!! 滝が!!」
「急いでカルテー二を追い出そう!!」
カルテー二はオーラを放ちながら息子さんを探していた
平然と他所の学校の中を歩いている
周りからは不自然な視線がたびたび起こっている
「……困りますね」
「誰だ」
息子さんの学校の担任の先生だった
「あなたがあの貴明と戦っている人ですか 困りますよ 侵入者」
「なぜ貴様が知っている」
「それは大分昔ですが、貴明の担任の教師だったのです 私も、かつては能力者だったから」
カルテー二はその教師に向かって技を放とうとした
すると、貴明さんはカルテー二の思惑を阻止しようと学校にテレポートで3階から乗り込んだ
「やめるんだ!!」
「あ、あんたは!!」
「久しぶりだね、貴明」
「先生…」
貴明さんは棍棒を構える
「その人から離れろ!!さもなくば 容赦はしない!!」
「お前の大事なヤツか?」
「死なせたくないんだ!!」
カルテー二は再び学校からテレポートで飛び出した
「なにをする!!」
「貴明!!」
先生は貴明さんを慌てて呼んだ
「……はい」
「あなたが、最強の能力者なのは知っています ですが、無理だけはしないで」
「息子を、圭介を、頼みます」
「貴明!!」
カルテー二は学校のグラウンドにいた
「カルテー二、ここで戦うのか?」
「……っふ、戦う前に、こいつをごらん」
カルテー二は既に息子を探して捉えていた
そして、その親友も
「親父!!」
「貴様…!! 息子をどうする気だ!!」
「人が死ねば、能力が解放されるんだろう? もしくは、それ以外のなにか重要なことで」
司令官はカルテー二の言葉にハッとする
「まさか、息子を殺すのか」
「俺が一体なにをしたっていうんだ!? 」
「息子を殺すのが嫌なら、世界を滅ぼす力を解放しろ 生き延びても、私は変わらない」
カルテー二は息子さんの身体に縄をキツく縛り付ける
「そんな…なにが、どうなって」
「息子よ… 私は、君に生き延びて欲しい この世界を、守って欲しい 今は分からなくても」
「親父…!?」
「貴明……!!」
貴明さんは司令官の肩を触る
「シルヴァ、どうせ、俺は生き延びても、こいつらに命を狙われんだ だったら、力を解放しなきゃ終わらないんだよ」
「そんな…貴明……っ!!」
貴明さんは棍棒を強く握りしめた
「滝、父さんはこの敵と戦っているんだ お前に迷惑を、かけて本当にすまない けれどそれももう終わる」
「親父…!?」
カルテー二は力で貴明さんを上空へ飛ばした
「なにっ!?」
「そう死に急ぐな 貴明 最後に息子の顔を見てから戦え」
「なにがしたいんだ、カルテー二!!」
「お前に、絶望を味わせたいんだよ」