一人で抱えて
「私は、根口航介 」
その人が名乗ると、なぜか司令官は構えた
「まあまあ、今日は争うわけではないよ 」
「根口さん…?」
「ああ、こいつにも、1人息子がいるんだ なんと貴明の息子とその子は親友なんだよ 」
「へえ」
貴明さんと根口さんが2人に親交があれば、自然と子ども同士も仲良くなるのだろうか
「貴明、いつ爆発してもおかしくない状態だ また頭を抱えて悩んでいるぞ」
「君なら話してくれるんだな… 私が話かけても、一向になにも話してくれない」
「一応、親友だからな」
司令官は躊躇いながら話す
「貴明が、今誰と戦っているのか、検討着くか?」
「私たちにも黙って戦っていたからな 彼も、ついに限界が来て、ポツリポツリ話しはじめている」
「誰なんだ」
根口さんは後ろに向いて、顔を下に向けた
「これを言っても、私たちが戦える相手では…」
「言いなさい!!」
「いいのか この世界に、次元を突き破り、敵が行き来出来るようにした相手と戦っているんだぞ」
「まさか ゲイドか…!?」
おぼつかない足取りで、根口さんは去っていった
「君も、能力者なんだろう? 勝てない敵相手と戦うなんて、君もついてないな」
「……どういうこと…」
俺に捨て台詞を吐いて、帰っていった
「はあ、 そうか、そりゃ悩むな 」
「ゲイドって?」
「ああ、貴明の影武者だよ」
「影武者!?」
「私は本来、この世界の住人ではない 異世界の街に住んでいた 私の住んでいる町は平和ではなかったんだ 数百年前、能力者同士の争いもあった」
俺は黙って司令官の話を聞いていた
「能力者同士の争いが終結出来ない、今もこの街でずっと戦ってる」
「その… 争いで誰かが次元を突き破り、敵が行き来出来るようになっちまった って話ですか?」
「私たちの責任だ貴明の強大な力で地球を、破壊してしまうかもしれないから 今焦っているんだ」
俺は驚愕した
「なんてことを… そんな一大事にならないうちに、敵を倒さなきゃ!!」
「だが相手は次元を突き破った強敵だ 貴明はそいつに追われている 貴明は向こうの世界で逃げきれずここへ戻ってきたんだ」
司令官は思わず頭を抱える
「そんな強敵、俺一人で戦えませんよ!?」
「せめて貴明の息子、航介の息子が能力者だったらなあ」
「簡単になれないんですか」
俺が聞くと、司令官はパソコンで貴明さんのファイルを開いた
「うむ…なにかきっかけがないと、能力者にはなれんな 君も、きっかけがあるから、能力者になったんだろう?」
「はい、ヤンキーのリーダーが喧嘩で目の前で殺されてそれがきっかけで 」
司令官は変わらずパソコンを見ている
「この街が段々と物騒なのも、敵が行き来できるのが原因か…」
「封じることはできませんか?」
「それにも、力がいるんだ」
「……貴明さんなら…」
司令官は開いていたパソコンを閉じた
「私が直接貴明を訪ねよう 今は実家にいるらしい 戦いに一人で出向いては、行方が分からなくなる!!」
俺の腕を引っ張り、テレポートで貴明さんの自宅へ向かった
「司令官!!」
貴明さんの実家
急に司令官が現れたら驚かないかと心配したが、なぜか貴明さんはびくともしなかった
書斎で貴明さんはふさぎ込んでいた
「……何者だ…」
「私だ シルヴァ・トラーズだ」
「…新人の、荒井純です!!」
「ふっ、なにしに来た」
「あの有り得ない次元を、封印してもらいたい!!」
司令官がそういうと、貴明さんは顔を上げて目を丸くした
「……なんだと…!?」
「お願いだ!! 私も協力する!!この街にもう、異変を起こしたくないだろう!?」
「私は、シルヴァたちが知らない間に、日夜封印しようと、何度も試みた」
「!!!」
貴明さんは司令官の胸ぐらを掴む
「だが私の強大なパワーを持ってしても、あの次元は封印出来なかった!!」
「……私の力も、試してみよう」
「貴明さん!!俺も行きます!!」
貴明さんは司令官の掴んでいた手を離し、俺を睨んだ
「まだヒヨっ子だろう」
「ヤンキーで争っていた時、何人も相手をぶっ潰してやりました!!」
俺が得意げに言うと、2人は若干引いていた
「……君はヤンキーだったのかね ふっ、ははは 荒井誠…誠も、昔はヤンキーだったからなあ」
「父を知ってるんですか?」
「まあ、仲間だからな じゃ、今夜決行だ 次元を封印することで、敵が現れるかもしれない」
俺は体が少し強ばった