蒼山貴明
「最強だって…!?」
「ああ、それも、貴明は世界を破滅する程の力を持っている それなのに、未だ1人で戦おうとしている」
「そんな… それを止められないんですか」
司令官はブラインドを下げていたが、上げて窓から見える景色を見ていた
「……今も街中でどこかに戦いに行っているんだ 貴明は」
「っていうか、どうして俺が必要なんですか」
俺は首を傾げた
「君が戦える力を十分に持っているからだよ 君は知らないと思うが、ヤンキーたちと戦っている際、君は何度か能力で倒している 本来は能力で一般人を殺すのは罰に当たる」
「……俺をどうする気ですか」
「能力者にならないなら、このまま機関に頼んで幽閉、もしくは追放にするけど?」
そう、俺は司令官に半分脅されて司令官になったんだ
俺が不良だからってのもあるかもしれない
「幽閉?追放? い、嫌だ!!」
思わず慌てふためく
「なら能力者になれば、多少は助かるよ 仲間を救うために戦うって理由がつくからね まあ、一般人を殺してしまったら本来は言い訳は聞かないが…」
「俺は人の道を外れたんなら、もう…縋るしかないです この道に」
司令官は俺に近づいてきた
「来なさい、君に、本当の力を授けるよ」
この力は、親から受け継いだ力らしい
けれど、本来の俺が生まれ持つ力ではないらしい
「ここは地下室なんだが、重要な部屋もある 気をつけて欲しい」
「は、はい」
「私の力を与えるにふさわしい部屋…能力増強室」
司令官が入ると、真っ暗だった部屋が、足を踏み入れると司令官の魔法陣が現れた
「司令官…あなたが最強の能力者じゃないんですか?」
「はは、私は能力者…というよりは、魔道士、かもしれないな さあ、純 目を閉じて」
俺が魔法陣の中心に立つと、周りは黄金のオーラに包まれた
「"主の名は荒井純、我が力を与える 仲間のために、戦え…――"能力、召喚"!!」
司令官が唱えると、部屋が一気に能力で溢れ出した そして、俺の身体の中にオーラがゴウゴウと燃え上がっている
(すごい…今までと違う感覚だ…これが司令官の力…)
「はあ、終わったぞ 純 」
目を恐る恐る開くと、感覚は分からないがいつもより力が漲る感覚があった
「司令官…これが俺の力なんですか…」
「これで、なにも難しく考えなくとも技が浮かぶはずだ」
「強く、なってみせます」
とはいっても、俺しかチームで戦える能力者はいない
「とにかく仲間が欲しいよ 戦える仲間が」
「貴明は私たちとは離れて戦いたいらしいからな そういえば… 貴明に1人息子がいると聞いたな お前と同じぐらいの」
俺は目を光らせた
「ならそいつと戦えたらいいですね!」
「まだ一般人だからなあ 本人に戦える力があるかどうかも分からない ……最悪な結果にならないといいが」
「最悪な結果?」
司令官は顔を俯く
「このまま貴明が最強の敵と戦って、最悪自滅して死んでしまったら 息子が悲しむ」
「…… なら、守るしかないでしょ」
「貴明を?」
俺は長い白いハチマキを締め直した
「貴明さんも、その家族も 俺の力で適うわけでもないかもしれませんが」
「純……」
「幽閉や追放されるより余程マシです」
司令官は意を決したように、強い眼差しに変わった
「なら、君の道は変わらないんだな よし、私の仲間を紹介する」
「司令官の仲間?」
「今日はちょうど、1度仲間が集合する日だ 貴明の現状も聞けるだろう」
言われるがままに、俺は司令官室についていった
すると、驚くべき人物がそこにいた
「……司令官…」
「お前は!! 蒼山、貴明…!!」
「あなたが!?」
貴明さんがいるだけで、ものすごく威圧な、強大なパワーをひしひしと感じた
俺は初めて会ったけど、圧倒されていた
「ふ、新入りが来たのか まあいい 私も、もうすぐ最期だ 奴はこの世界を、本当に自分の物にしようとする それまで、秒読み段階に入った」
「貴明、お前って奴は、いつもいつも私に話さないでそんなことを!!」
「私の力はどうせ世界を滅ぼすんだろう? 今更、仲間に助けを乞うても、もう…」
俺は恐る恐る口を開く
「助けて、欲しいんですか? 」
「君は…」
「はじめまして、新人の、荒井純です」
「ああ、荒井誠の 話は聞いていた 」
貴明さんの顔はとてもやつれていた
「1人で、なにも話さないでずっと孤独に敵と戦っていたんですか…」
「私の力は仲間にも悪影響が出る 」
「そんな…」
「私1人で、この力を奴を倒す、この街を救いにいく」
貴明さんはテレポートを使いいなくなってしまった
「貴明!!」
「貴明さん…」
「あれ、君は誠の新入り?」
貴明さんがいなくなると、知らない人物が1人後ろから現れた
「あなたは……?」