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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第五章【南国】〜紫水姉弟強化の旅〜
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96話 氷の迷宮④

城の入り口近くにある部屋内の水晶に触れて、再び迷宮内に戻って来た3人、すぐには進まず、どういうふうに鍛錬するのか、軽く打ち合わせをしていた…あくまでも鍛錬であり、攻略の打ち合わせではない。



「2人は追加の貸与は必要か?」

「いや、あたしはまだ少し違和感がある、もう少し様子をみたい」

「了解、セイトは?」

「う〜ん、僕もこのままでいいかなぁ、あんまり能力上げちゃうと、戦闘が簡単になりすぎて潜在能力上がりにくくなりそうじゃない?」

「まぁそうだろうな、今回は迷宮内っていう限られた訓練場所だからな、敵を選べない、危険区域だったら、貸与した能力に合わせて強い敵を探せるんだがな」

「じゃあこのままで〜」

「はいよ、じゃあ引き続き戦闘は2人に任せるから、厳しい時や能力を貸して欲しい時は、その都度言ってくれ」

「レンは本当にストイックだな」

「何言ってんだ、鍛錬してるのはお前達だろ」

「まぁそうなんだが…」

「俺の指示に素直に従ってるんだ、2人だって十分ストイックだよ」

「ははっ、そうか、では鍛錬の続きといこう!」

「早く行こうよ〜」



レンの技能、努力が2人にも伝染し、もはや迷宮攻略というより、鍛錬に大きく意識が向いている3人であった。



―――――



ガンッ、ガンッ、バキッ!



ガシャン!ガラガラガラ…



「ふぅ、かなりの強さだったな」



リザードマンの姿をした疑似魔物を、1対1で倒したカリン、氷の色は薄く透き通った黒色で、身長は2mほど、刀のような武器を扱い、攻撃力はそこまで強くないが、とにかく硬く、動きが速かった、魔法耐性もあり、セイトがギブアップしたのだ。



「くそぉ、倒せなかった〜、魔法は当たらないし、当たっても効かないし、刀で斬られた時は腕が無くなったかと思ったよ…回復ありがとねレンちゃん」

「ははは、セイトはもう少し物理を上げて、近接戦に力を入れたほうがいいかもな」

「あたしは、訓練相手に丁度いい、もう少し戦っておきたいな」

「じゃあ別個体を探すか」



さっきのは完全に刀だったな、氷王レイス…渡り人確定だろ、それにしても街といい、この迷宮といい、魔物のクオリティも…凄い技術だ、是非とも味方にしておきたい。



その後何体ものリザードマンを倒した、セイトも物理寄りの能力に貸与し直し、リベンジを果たした。



「筋力と俊敏1万はさすがにチートが過ぎるね、次の敵も余裕があれば、少し下げてもいいかな」

「お?セイトもだんだん修行モードになってきたな」

「これだけお膳立てしてもらってるんだもん、効率良く鍛えなきゃね」

「弟が賢くなってあたしは嬉しいぞ」

「僕はもともと賢いよ〜」

「知能が数値で見れるんだから、見苦しい言い訳はやめて諦めろ」

「ちくしょ〜、世知辛い〜」



しばらく歩いていると…



「雰囲気が変わったか?」

「そうなの?次はどんな敵だろうね〜」



ん?



「あの部屋…広いぞ」

「ボスかな?」

「滾るな」



ボス部屋と思われる場所に到着した3人、これでボスなら4体目だ、1体目は水色の巨大亀、2体目は紫のグリフォン、3体目は紫色の牛顔の巨人、いわゆるミノタウロスと言われる化け物の疑似魔物だった。



「少し楽しみだね〜」

「4体目は何が来るんだろうか、レンは予想つくか?」

「なんとなく予想はつくな、敵がリザードマンだったし、それ系だろ」

「ええ~、さすがにそれは無いんじゃない?ミノタウロスは関連性無かったじゃん」

「いや、そうでもなさそうだぞ…レン、当たりだ…」



部屋の入り口でそっと中を確かめるカリン、天井に爪を立て、コウモリのようにじっとしている巨大な翼付きの蜥蜴がいた…



「本当にドラゴンかよ…」

「すごい!ブラック・アイスドラゴンだねっ!かっこいい!天井は予想外だけど!」

「ドラゴンそのままだな…ゲームとかやらないあたしでもさすがに分かる、あれはやり過ぎだ」

「お前らにはこれを、収納ポーチに入れておけ」



レンはそう言うと、魔力を多めに込めて、かなりの硬さになるよう念じながら、大きな盾を作り出す、平らではなく丸みをつけて、攻撃を受け流せるような形状にしてある。



「盾か?」

「なるほど〜、ブレス対策だね」

「ブレス?」

「さすがにそこはセイトのほうが詳しいな、カリン、物語に出てくるドラゴンっていうのはな、口から属性のついたブレスを吐いてくるものなんだよ、そしてその威力は大抵、高威力で広範囲だ、こいつが氷王の設定したドラゴンなら間違いなく放ってくる」

「避けるのが難しいほど広範囲なのか?」

「あいつは知らんけどな、カリンの気持ちも分かる、だが、だいたい避けられないものなんだよ、物語やゲームの強制力ってやつだな、しかしここは現実だ、避けられそうなら試してみるといい、なに、失敗しても回復してやる」

「分かった、色々試してみよう、所で…盾は2つだけなのか?レンの分は…」

「いや、俺も少し試しておきたい事があってなぁ」

「そ、そうか、まぁ無理はしないでくれ」



不敵な笑みを浮かべるレンに、カリンも苦笑いだ。



「ではまずあたしから…参る!」



ザッ!



初速で最高速に到達するほどの速さで、部屋に飛び込むカリン。



「グオォォォ!」



ドラゴンは侵入者に対し、威圧を込めた咆哮を浴びせる。



「うっ、まだまだぁ!そんなもので怯む精神ではないぞっ!」



ダンッ!



ガチーン!



「硬いなっ!」



地面を思い切り踏み込み跳躍、ドラゴンの翼を斬り付けるが、弾き返された。



「ははっ…一撃で刃こぼれか、この剣はもうだめだな」



着地して剣を確認、もう持たないと即座に判断し、ポーチに放り込む。



「ならこいつだ!」



手から肘までの、物を掴むのに特化した手甲をしていて、これまではそれをメインで戦っていだが、瞬時に厳ついものと入れ替わる、殴り用のガントレットだ、色は黒と紫色でトゲトゲしている。



おお!収納の使い方が上手いな、実は密かに練習したな?カリンの奴め、なかなか魅せてくれるじゃないか、悪役度が増したな。



「あれで殴られると痛いんだよね〜」

「お前はいったい何をしたんだよ」

「えへへ、ちょっと最近、人の武器を奪ったりとか?」

「もっと殴られろ」

「反省してますっ!」



バサッバサッ、ズシン!


 

ドラゴンが床に降りてきた。



「行くぞ!」



ザッ!


ガンッ、ガンッ、バキッ!



ドラゴンの足を執拗に殴るカリン。



「表面が割れた!」



ズーン!


ガンッ!


ズーン!


バキッ!



踏み潰そうとしてくるドラゴンだが、カリンはそれを華麗に躱し、尚も執拗に同じ場所を殴り続ける。



「グギャァァァ!」



ブォン!



キレたドラゴンが体を回し、尻尾で薙ぎ払いをしてきた。



「おっと!ははっ、遅い遅い!はははは!」



カリンは軽く飛んでギリギリで回避する。



ヤバい、カリンがサリーみたくなってきた。



バサーッ!ブォォ!



「むぅ!」



翼から突風を出し、カリンを牽制する。



ザンッ!



ドラゴンは後ろへ飛び、距離を空け、首を持ち上げた。



「グウゥゥ…」



むっ?首元が膨らんでる…あれは!



「カリン!ブレスが来るぞ!盾だ!」

「おう!」



「グァァァァァァ!!!」



ブォォォ!!



「うぉぉっ!?これは確かに避けられん!」



盾が白く凍りつき始めるが、ブレスが終わる気配はない。



「くぅぅぅ!これはまずいなっ!早く終われぇ!…あ…」



直撃はしなかったが、願い虚しく、カリンは周囲の空気と共に冷やされ、真っ白に凍りつき倒れそうになる。



「おっと、回復、炎」



瞬光で近づき、カリンが倒れて割れる前に受け止め、その場を離れ、心臓まで凍りつく前に回復をかけ、炎で解凍する。



カリンは火属性の魔法が使えるんだから、使っておけば良かったのに、冷静を装ってたけど、内心は焦ってたんだろうな、あと、俺がいるからって油断してたな…


しょうがないか、俺が回復してやるって言ったんだからな。



ちなみにまだブレスは続いていて、標的をレン達に変えていた、セイトが盾を構えて必死な顔をしている。



「ひゃー!冷たいー!なんでレンちゃんは平気なの!?」

「ちょっと自分の防御力を試したくてな、全然平気だ、冷たさなんて微塵も感じんよ」

「チートだよ!ずるい!助けて〜!」

「お前は…お得意のニンニン魔法でも使ったらいいじゃないか、なんで姉弟揃って魔法無しの縛りプレイしてるんだよ…」

「ニンニン魔法って!言い方!でもそっか、ずっと近接戦で戦ってたからそういうものだと思い込んでたよ〜、よ〜し!土そu…土遁…奈落!」



「グァッ!?」



突然ドラゴンの体勢が崩れ、ブレスが止んだ。



おお!魔力の操作が上手いな、これだけ離れてるのに、足1本を狙って地面に穴を空けたのか、しかもあのブレスの最中に、でもさっき…土操って言いかけたよな、そんな無理にニンニン魔法にしなくても良かったのに、まぁあんな格好だし、似合ってるけど…



「闇縛!からの〜、風遁!鎌鼬!」



「ゴァァ!」



バサッバサッ!



「あ!ずるいぞ〜!飛ぶなんて卑怯だ!むぅ〜…風遁!飛翔!」



シュッ!



えっ…飛んだ!?セイトの…くせに?なんか負けた気分だな…でも、そうだな、素直に実力は認めよう、さすがは厨二病だ、妄想力では勝てないか、セイトから教わる事も多そうだ。



「うぉぉぉりゃぁ!」

「グァァァ!」



ドラゴンが翼から風を出し、セイトはそれを躱して鎌鼬や黒霧で応戦している。



「凄いな我が弟は…」

「お目覚めかな?お姫様」

「やめてくれ、柄じゃない」

「では女王様だな」

「ふふ、これからはカリン女王と呼べ」

「おお、乗ってくるねぇ」

「たまにはな、弟の成長が嬉しいんだ」

「まぁ筋力と俊敏に能力振り替えたけど、魔体は貸与しっぱなしだからな、余裕があるんだろ」

「そうだな、何時もだったらとっくに魔力切れになっている頃だろう」

「でも魔法に関しては才能あるよあいつは」

「あたしも負けてられないな」

「ああ、うかうかしてると追い越されるぞ?常識を捨てろ、魔法はそれくらいで丁度いい」

「分かった」



ズシーン…


スタッ…



「グァ…グァ…」

「はぁ…はぁ…」



魔法戦は互角に終わったか、作り物でも疲れるのか、それとも演出かな?



「カリン、体調はどうだ?リベンジいけるか?」

「うむ、魔力は全然使ってないしな、体力も回復した、いける…セイト!あたしも参戦する!2人で倒すぞ!」

「姉ちゃん!?オッケ〜、黒霧版闇縛!」



黒霧版て…普通の闇縛は何でできてたんだよ、後で話を聞かなきゃ。



「グッ…グォォ…」



無数の黒い触手がドラゴンの巨体に絡みつき、拘束している。



「姉ちゃん!」

「おう!はっ!」



ザッ!


ドカッ、バキン!



「相変わらず硬いな!セイト!残りの魔力はっ?」

「かなりの魔力込めてるけど、もう少し大丈夫!」

「分かった!もう少し辛抱してくれ!」

「うん!」

「グァ…ググ…グゥ」



ドラゴンが口を開こうとしているが、黒霧の触手が口に巻き付き開けない、またブレスを吐こうとしているのだ。



「ふぅ…集中だ…集中しろ…」



カリンがドラゴンから距離を取り、両手をぶらんと下げ、仁王立ちになり目を瞑る、何かをするつもりらしい。



ブォォ…



カリンの足元で風が渦巻きはじめた。



「ふぅ〜、ふぅ…よし!ではレン…お前の瞬光をヒントにした技、使わせて貰うぞ、風速1000m…瞬風殴打…」



え、瞬風って…カリン、お前…



「打擲の舞!」



ヒュ!



ダダダダダダダダンッ!…バァーン!



ズシーン…



「やった〜♪さすが姉ちゃん!」

「上手くいったな」

「…」



カリンの姿が掻き消えたと思ったら、突然ドラゴンの顔周りからマシンガンのような打撃音が聞こえ……頭が爆発した、吐こうとしていたブレスが溢れ、自身の体を凍りつかせて床に倒れるドラゴン…



えぇ…怖いんですけど、風魔法の使い方エグくね?戦闘に関してならティルの天才レベルを超えてるな…俺が瞬光で同じ事をやったらどっか飛んでいくぞ、カリン、お前も厨二病だったのか…



「カリン、セイト、お前達は凄いよ、やっと渡り人っぽくなってきたな、逆に俺も教わる事もあるだろう、能力差はあれども、これからは同等だ、改めてよろしくな」

「レン…」

「レンちゃん…」



ゴゴゴゴ…



「お?」



過去2回と同じように部屋の奥の壁に、新たな扉が出現した。

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