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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第五章【南国】〜紫水姉弟強化の旅〜
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95話 氷の迷宮③

レクステッド城の門番に、列王からの紹介状を渡したレン。



「これは…確かに列王様の印で封緘されてますね、間違いなく本物でしょう」

「へぇ、分かるのか」

「城の門番ですからね、その辺りの教育は受けて…います…はい」



先程の自分の態度の悪さ、なのにそれなりの教育は受けているという矛盾に、自分が恥ずかしくなった門番であった。



「とりあえず案内を呼びますね、こちらはその者にお渡し下さい」



リ〜ン、リ〜ン…



これは、以前レイとマリーも使っていた魔道具だな、汎用品なのかな?売ってるのは見たことないけど。



ゴゴゴゴ…



グリフォンを倒した時と同じように、城入り口の横に扉が現れ、中から男が出てくる、姿勢よくこちらまで歩いてくると…



「ヴァルフ、こちらの方々は?客か?」



執事みたいな格好だ、なんか目線が失礼だな…



「は、はい、ザルド様…この方々は先程迷宮のバイオレットグリフォンを倒されまして…」

「何?誰が迷宮に入っていいと許可したんだ?」

「い、いやそれは…」



この門番、ヴァルフという名前なのか、で、この冷血執事がザルドか、少しヴァルフが可哀想だな、フォローしてやるか。



「いやぁすまないね、俺達がこいつの言う事を聞かないで、勝手に入っちゃったんだよ」

「ほう…それは困りますなぁお客人」



お客人とは失礼な言い方だな、様をつけろや。



「そうだったのか、入ってくれと言わんばかりに入口が開いていたのでな、迷惑掛けたな冷血執事のザルドさんよ」

「ははは、これは面白い事を言う、入口が空いていれば何処でも入ってもいいと?」

「育ちが悪いもんでな、世の中いい奴ばかりじゃないぞ?入られて都合が悪いなら、入口を閉じておくんだな」

「いえいえ、都合が悪い事などございませんよ、ただ、こちらにも準備というものがありますれば、正規の手順を踏んで頂きたかっただけですよ」

「なるほどねぇ、入った客を殺す準備かな?」

「いやいや、逆ですよ、ランクの低い開拓者ごときでは、すぐに死んでしまいますからな、それはレイス王も望まれない事、今回は運が良かったですな、死ななくて良かったですよ」



まさに実力主義の思想だな、まぁ、逆というのは嘘だろうけどな、運が良くてグリフォンなんか倒せるかよ。



「そうかぁ、それは心配を掛けたなぁ、すまんな開拓者になりたてなもんでな、血の気が多いんだよ」

「本当に運が良かったようですな、開拓者になってどれほどで?」

「う〜ん、2ヶ月経ってないかな?」

「ははははっ、これは驚いた、ひよっこも良いところですな…おっとこれは失礼、でも気を付けて下さい、強者には頭を下げておくべきですよ?」

「強者?何の話かな?」

「貴方のような、運が良いだけの弱者が、勘違いして命を落とされるのです、私のような強者に頭を下げるべきだと言っているのです」

「勘違いねぇ…」



勘違いしているのはどちらかな?さてどうするか、このまま口でやり合っててもつまらんし、空気の読めない変なやつになるか…すでになってるという意見は受け付けません!



「はいこれ」

「!?」



瞬光で近寄り、強引に執事の手に紹介状を握らせた。



「今のは…?ん?列王様の印?」

「ああ、サリーがな、レイスの様子を見てきてくれってな、ああ、サリーってのはサーレックの事なんだけど、体が鈍ってるっていうから、少し鍛錬してやったんだよ」

「は、ははははっ♪これは本当に面白い冗談を言う方だ、しかし小童、王の印を偽造するのは良い事ではないぞ?」



小童とは、化けの皮が剥がれて来たねぇ。



「そんな法律はこの世界に無いだろ?まぁそれは本物だけどな」

「ふん、口の減らないガキだな」

「はぁ、ここまで来るとつまらなくなるよなぁ、途中までは面白かったのに」

「何を言っている?」

「いいか良く聞けよ?それが偽物という証拠はあるか?まさかただの決めつけじゃないよな?まぁそれが偽物だったとしても構わんよ、実際俺も直接、列王に手渡された訳じゃないからな、でも、それが本物だったと言う事まで想定してるんだよな?列王の怒りにもし触れたなら…そこまで考えての発言なんだよな?お前は列王に勝てるからそんな事を言ってるんだろ?そうじゃなかったらただの馬鹿だからな?さらに俺はその列王を鍛える程の実力がある事も言ったよな?この世界において、かなりの実力者じゃないと言えないことだからな?さぁ考えろ、次の言葉を良く選んで発言しろ」

「う…うるさい!何をごちゃごちゃと言っているんだ!お前ごときが列王の使いな訳あるか!」



はい雑魚、なんだよこいつ、結局はただの決めつけじゃないか、少し威圧を放ってみるか、ふんっ!



「あっ…う、うぅ…」



指向性の圧縮威圧だぞぉ、効くだろぉ?肩こりも治りそうだぜ、こんなもんかもな…



「はぁ、はぁ、貴様ぁ何をした!変な魔道具でも使ったんだろう!」



あれ?鼻くその匂いがしないぞこいつ、素か?素でクズなのか?凄い…鼻くそ以外だと初かも。



「おお!お前みたいなの初めて会ったぞ、凄いなお前!」

「ふん、今さら媚を売っても…」

「凄いクズ野郎だっ♪」

「な!?なんだと貴様ぁ!」



顔を真っ赤、どころか紫色にして地団駄を踏んで怒るザルド。



「カオスザルドだな…」

「ぶふっ!やめろレン、笑わせるな」

「凄いねぇ、進化したよ〜」

「ははははっ、セイス、退化の間違いだろ」

「「「ははははは♪」」」

「お、お客様、そのくらいで…」

「そうだな、分かった、少し趣向を変えよう」



レンはとりあえずレイスに会うまでの辛抱と、頭の悪そうなザルドを騙すことにした。



「レンちゃんどうするの?」

「良く見ておけ、あいつは知的を気取ってたが、所詮はあんなもんだ、簡単に騙せるよ」

「お手並み拝見と行こう」

「良くやったザルド!」



レンは突然、声に魔力と威圧を乗せて叫んだ。



「はっ?」



急に上から目線で褒められ、呆気にとられるザルド。



「俺は列王の使い、レン、開拓者だというのは嘘だ、氷王が元気にしているか、また城の者たちは氷王に良くしているかを探りにきたのだ!」



体を光魔法でうっすら光らせ、そんなデタラメを堂々と発言する。



「お前は俺の煽りにも、怒りはしたが手を出さなかった、だから、良く我慢したな、ザルツよ」



ザルツの肩に優しく手を置き、優しく見つめるレン。



「レ、レン様…」



『落ちるのはやぁ…』

『すごいな…これはもはや洗脳なのでは?』

『お客様…そんな偉い方々だったのですか?あ、あの私の醜態は…』

『あ、大丈夫だよ〜ヴァルフさんの事は良くやってたって報告しておくよ』

『あ、ありがとうございます』



「どうだ?少しは落ち着いたか?優秀なザルドよ」



普通だったら馬鹿にしているような言い方だが…



「は、はい!落ち着きました!ありがとうございます!」

「うむ、烈王様には良くできた優秀な執事がいるから、氷王も安心だとお伝えしておこう」

「ほ、本当ですかっ!?宜しくお願いします!」



ちょろいなぁ〜。



「それでザルドよ氷王様に会うことは可能か?」

「はい、レイス様に会うには2通りの方法がございます」

「うむ」

「1つはレイス様自ら会うと言われた方は、迷宮を攻略せずに会うことが可能でございます」

「なるほど、あと一つの会う方法は、迷宮を攻略する事、だな?」

「はい、ですのでまずは、私がこの紹介状をレイス様に…」

「いや、不要だ」

「え…」

「いや、その紹介状は持っていって見せるといい、だが、先程ザルドが言った通り、正規の手順とやらを踏み、迷宮に挑み、攻略してみせよう」

「で、ですが…烈王様の使い様に何かあっては」

「大丈夫、何があってもザルドに責任は負わせない、もちろん氷王様にもだ」

「そんな、どうして…」

「お前には先程迷惑を掛けたからな、罪ほろぼしだ、あと氷王様も、誰だか分からん奴と会うのなら、つまらない奴より、迷宮くらい攻略していたほうが興味も湧くだろう」

「なるほど、素晴らしいお考えです!」



よしっ!



「では早速私は、これをレイス様へお見せしに行って参りますので、あとはそのヴァルフに聞いてください」

「分かった、ありがとう」

「いえ、では!」



来た時のように姿勢良く、いや、来た時よりも少し胸を張りながら城内に戻っていくザルド…



「ちょろすぎねぇ?」

「うん…」

「洗脳完了だな」

「さてヴァルフと言ったか?」

「正規の手順とやらを宜しく頼む」

「いや、正規とかはありませんけど?」

「はぁ、やっぱりその場でついた嘘だったか」

「はい、手順があるとすれば、私が許可すればそれで完了ですね」

「了解だ、その水晶のある部屋とやらに案内してくれ」

「分かりました、こちらです」



ヴァルフが城の壁に向かって、自分がはめている指輪を近づけると、また同じように扉が現れた…ザルドが出てきたのは、城入り口の左側、今度は右側だ。



「こちらの部屋です、入って頂ければ分かると思います」

「分かった、世話になったな」



ガチャ…



中の様子を伺うと…部屋の中心に迷宮の中で見たのと同じ水晶が設置されている。



あれに触れば、迷宮の続きから再開出来るんだな。



「じゃあ続きといこうか」

「よし、やるぞ〜!」

「今度こそ完全攻略だな」



3人は微塵も緊張する事無く水晶に触れて、セーブポイントへ転移していった。

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