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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第五章【南国】〜紫水姉弟強化の旅〜
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82話 極寒の南国

サリーと挨拶を交わした後、部屋で剣の素振りをしていたカリンを引き連れ、爆睡していたセイトを叩き起こし、引きずって中央へやって来た、現在は3人でオーク串を食べながら、南の聖堂へと向かっている。



「そういえば、最北の村の名前なんだが、ダストにしろって言い始めたのは誰なんだ?」

「それは覚えている、エリカだ…鼻くそが、強い人間を育てるのには逆境が必要だって言っていて、その村の話をしていたんだ」

「話を聞いていたエリカが、じゃあ村の名前を無くしちゃえば?ってね〜、なんならゴミでいいよ、ダストよダスト!いい名前じゃない?って1人で騒いでたんだよ〜」

「あいつ…村の名前が村長にとってどれだけ大切か分かってねぇな、会ったらげんこつだ」

「ははっ、頭がめり込みそうだな」

「大丈夫、俺は回復が得意なんだ」

「レンちゃん、なんか怖くなったねぇ」

「お前らのせいだろうが、俺は一回この世界を滅ぼそうと考えたんだぞ」

「や、優しいままで良かったよ〜、はははー」

「余計な事をいうな!この駄目忍者が!」

「姉ちゃんごめんよ〜」

「ふん」

「カリンは少し雰囲気変わったな」

「そ、そうか?」

「ああ、少し知的になったと思う」

「最初、知能にステータスを振ったからかもしれないな」

「そうか、正解だったな、お前は少しおバカさんキャラだったから」

「おバカ…あたしが?」

「とにかく声はデカかったし、よく分からん事も堂々と発言していたからな」

「は、恥ずかしい…」

「下ネタなんか全然通じなかったもんねぇ」

「そうだったな」

「べ、別に下ネタなんか通じなくったっていいじゃないか!」

「確かにそうだ、とにかく今のカリンのほうが、好感が持てるし、信頼もできる」

「あ、ありがとう…」

「あっ、姉ちゃん照れてる〜」

「そういうお前は何に振ったんだよ」

「僕だって知能に振りたかったよ、でも振れなかったんだよ〜」

「はぁ、潜在能力が低かったんだな、そんなんだからセイトなんだよ」

「どういう事?」



マジで分かってなさそうだな…本当にこいつは顔と運動神経だけの男だ、知能はサンドといい勝負だぞ。



「お前…そこまで重症だったのかよ」

「弟がすまない、今後は勉強も教えていくよ」

「そうした方がいいな」

「ええ〜、勉強嫌だよ〜」

「まぁ、セイトが強くなりたくないならそれでもいいよ、俺とカリンは一足先に行くから」

「勉強頑張ります!」



その後は、魔法に関しての知識などを教えながら、南の聖堂へと到着した。



「さぁ、いよいよ南国だな、いつも思うけど遠すぎる、2時間は掛かったぞ、本当に大きな街だな」

「ははは、でもそれで良く道に迷わず真っ直ぐここに来られるな、あたしだったら迷ってもっと時間掛かるぞ」

「そういうのに便利な技能を持ってるんだよ」

「そうなのか、羨ましいぞ」

「僕は南国に行くのは初めてだよ、姉ちゃんも南は行ってないよね?」

「ああ、行ってないな、何故か鼻くそが行かせてくれなかったからな」

「なぁ、やけに厚着の奴が多くないか?」

「うむ、そう見えるな…」

「とりあえず1回行ってみない?」

「そうだな、行ってみようか」



―――――



「いらっしゃいませ〜、何をお探しですか?」

「この2人に防寒着を適当に見繕ってくれ、金に糸目はつけない」

「ほぉ、それはそれは…」



南国はめちゃくちゃ寒かった…



「なんであんなに寒いんだよ、四季は無かったんじゃないのかよ」

「南国の名前からは想像もつかないほどの寒さだったな」

「僕、鼻水凍ったよ〜」



カリンは、黒いぴちっとしたキャミソール、下は紫色のハイソックスに黒のミニスカート、脛が隠れる程度の白いロングブーツ、そして、その上に軽鎧をつけていた、お腹は薄いキャミソール1枚だし、腕には肘までの手甲をつけているが、肩から肘までは素肌だ。



セイトは忍者衣装、以上!



「なんか僕の紹介雑じゃない?」

「男なんてそんなもんだろ、あと俺のナレーションにつっこむんじゃない」

「はははっ、ついね、レンちゃんは買わないの?」

「俺はコートを持ってるからな」

「へぇ、準備がいい、流石だね〜」

「あたしは、鎧を外したほうがいいのだろうか」

「その辺は店主が考えてくれるんじゃないか?」



しばらく待っていると。



「お待たせしました、まずは女性のお客様から」

「うむ」



カリンが一歩前に出る。



「こちらなどはいかがでしょうか?」

「うん?マント?」

「はい、全身を包み込むことが出来る袈裟マントになります、全てサラマンダーの皮で作られており、高級品ですが、保温効果派は抜群ですよ」



表は黒、内側が紫色に染められており、今のカリンの格好に非常にマッチしている、そういう色を選んできてくれたんだろう、長い襟付きで顔の下半分まで隠せるようになっている、金色の刺繍がしてあり見た目もカッコいい、なんか…悪役の幹部みたいだな。



「いいなそれ、カッコいいぞ」

「うむ!これにしよう!」

「ありがとうございま〜す♪では次に男性のお客様ですが…こちらです!はいどん!」

「こ、これは!」



忍者衣装に合う、和風の着物調コートって感じだ、フード付きでもちろん色は黒、ところどころ赤い刺繍で、ファイアーパターンのような模様が、目立ち過ぎない程度に施されている、男心をくすぐる一品だ。



「カッコいいでしょう?サラマンダーの皮と耐水性のある生地で仕上げられており、先程のマント程ではありませんが、こちらもかなりの保温性となっております」

「ほぉ〜!かっこいい!凄いよこれ!」



この店に来て正解だったな。



「いくらだ?」

「マントの方が金貨150枚、コートの方は金貨135枚となっております」

「「え…」」



なんだ?自分で買おうと思ってたのか?


ちなみに店員は金貨と言っているが、実際は小金貨である、金貨は10万サリーなので、あまり普段使いはしない為、小金貨は金貨、金貨を大金貨と言うのが常識だ。



「2人とも、そんな悲しい顔をするな、俺が払うに決まってんだろ」

「レンちゃ〜ん、ありがと〜」

「また迷惑を…すまない」

「285万サリーだな?」

「左様でございます」

「分かったよ、それじゃあ、はいよっと」



ジャリ



ステータス



貸与中[−B10,000,000]利息[+2,000,000]



よし!利息の端数無し、スッキリ〜♪



「この袋には3百9万9千サリー入っている、確かめてくれ」

「かしこまりました、では計算してお釣りを…」

「いや、釣りはいらない、そうだな…なんか適当なバッグみたいなものは無いか?」

「お二方用ですか?」

「そうだ、よく分かったな」

「お客様はバッグなんて必要ないのではと愚考いたしました」



流石プロだ、収納を見ても動じない、助かる。



「それでしたら、こちらなどはどうでしょう、あまり在庫はございませんが、様々な色を取り揃えており、選びやすいかと」



腰に巻くタイプの、まんま見た目はウエストポーチだ、いい皮を使っているらしく質感が高級そうだ。



「こちらは有名な工房で製作されておりまして、容量大の効果が付与されており、見た目以上の量が入る、収納ポーチとなっております」

「なんと!?そういうのがあるのかぁ、もう少し調べれば良かったぁ」

「容量は小さな小屋程でございます、しかもコチラの指輪も購入して頂きますと、ポーチ内への収納が念じるだけで一瞬となります」

「おぬし、商売上手よのぉ」

「いえいえ〜、そんな事は〜、ほほほほっ」



なるほどなぁ、指輪があればポーチの開口部よりも大きな物も出し入れ可能になると、そういう訳だな…



「よし買った!俺も1つ貰おう、全部で3つだ、いくらになる?」

「ポーチが金貨30枚、指輪が金貨10枚になります」

「おいおい、1つだけでもさっきのお釣りで買えないじゃないか、本当に商売上手だ、参った」



ジャリッ!



「追加で100万サリー、これで4万9千サリー多くなるが、報酬だと思って受け取ってくれ」

「宜しいので?」

「ああ、気に入ったから、あんたへの投資だ、また来た時はよろしくな」

「はい!お買い上げありがとうございま〜す!」



これで利息がぴったり100万サリーだな、よしよし♪



「いい買い物だった、ありがとうな、サリーにも報告しておくよ」

「へ?サリー…サーレック様!?」

「ははは、そんな驚かないでくれ、別に文句を言うわけじゃないんだから」

「よ、宜しくお願いします、またのお越しを〜♪」



実は下着や諸々の服を買いに何回かサリーと来ているのだが、偽装を解いたから気付いてないんだな、まぁいいだろう、これはこれで楽しいから、ふふふふ…



「レンちゃんはお金持ちなんだねぇ」

「レン、何から何まで本当に助かる、礼は必ずするからな」

「いいよ礼なんて、俺は金銭感覚が狂ってるんだ、お金なんて所詮は物を交換する為の道具に過ぎない、まだまだ数億分、下手すれば数十億分の魔物が収納に入ってるんだ、そんな感覚にもなる」

「ははは…なんか、住んでる世界が違うよね」

「うむ、あたし達も早く追いつかなくてはな」

「2人もすぐに金銭感覚が狂うことになるよ、覚悟しとけよ?」

「楽しみだねぇ、ねっ、姉ちゃん♪」

「あぁ、楽しみにしておこう」



セイトが珍しい店を見つけると、あれは何だこれは何だと走っていく、それをカリンが引き戻して説教したり、カリンがムキムキのおっさんに話しかけられ、セイトが威嚇していたり、それを見て笑って、楽しく歩いていく。


一緒に行動する事で過去のわだかまりが徐々に薄れ、学生時代に戻ったかのように会話を楽しみながら中央へ戻り、再び2時間掛けて南の門へ向かっていった…



「そうだった、俺はこんなふうに異世界を楽しみたかったんだよな…」



ボソッとつぶやき、少し瞳を潤ませながら先を歩くレン、その後ろを楽しそうに歩くカリンとセイトの2人はそれに気付く事はなかった…

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