79話 お届けっ、ティアの最新速報!
武器問題が解決したその夜…
「これは…ティア、お前か?」
『ようレン!』
前と同じような白い空間、あの時と同じだと分かったレンは、すぐにティアを探す。
声を掛ければ、ティアがどこからともなくふわっと現れ、陽気に返事をしてきた。
「なんだよ、よう、って、そんなキャラじゃないだろ」
『ふふっ、元気よくいかないとねっ♪』
「そうだな、元気が取り柄のお前だ、それが無くなったら、本当に何も残らないからな」
『あ、ひっど〜い!そんな事言うんだ〜、久々相棒に会ったのに〜』
「ごめんて、可愛い可愛い俺の相棒、ティア様、許してちょ」
『はははっ、レンこそキャラじゃないよ』
「たまにはな、それで?どうしたんだ?あ、その前に、久しぶりだなティア、元気にしていた…よな」
『うん、元気だよ♪レンもいろいろ大変だったね、ご苦労様』
「そうだな、でも満喫させてもらってるよ、全てティアのおかげだ」
『そうでしょうそうでしょう♪もっと敬いなさ〜い』
「そこで謙遜しないのは流石に神様だな」
腰に手を当てて、そんなに胸をそらすと…あぁ!溢れる!
『相変わらずむっつりさんなんだから、もっとガン見してもいいんだからねっ』
「やめて、むっつりじゃないから、もうすでにガン見してるから」
『さて、そんなエロいレンに新情報ですっ!』
「エロいもやめて、生き物は大体エロいから、それが自然の摂理だから」
『レンは深いこと言うねぇ』
「早く新情報をお届けしてくれ、時間が限られてるんだろ?」
『ん?別に限られてないよ?』
「そうなん!?大抵こういうのって、残り時間が少なくて、重要な情報を聞き逃したりしない?」
『そうなの?じゃあ話さないほうが面白いかなぁ…』
「いや、ちょ、ちょっと!帰ろうとしないで!ねぇ!なんかうっすら透けてるから!教えて下さいティア様、生き死にが掛かってる可能性があるから!お願いします!」
「よかろう、教えてしんぜよう」
「ありがとうございます!」
ふぅ、危ねぇ…本当に帰りそうだったよ、神様の行動って人には分からないから怖いよ。
『ファーニックも箱庭と関係していることが発覚しました!』
「は?中央のか?」
『そうっ、どうやら私と同じ立場の神様だったみたいなんだけど、人間を殺しすぎて、罰として箱庭を破壊されて追放になったみたいだね、何百年か前の話だよ、さっき上位神と少しお話したんだ〜』
「破壊って…頭いてぇ、じゃあ鼻くそは?」
『ファーニックを箱庭に戻そうと躍起になってるみたいだよ、そうしないと自分も神になれないからね、クソワロタw』
「おいおい、俺は本当に神様を相手にしなきゃならんのかよ」
『大丈夫、今はほぼ人間だよ、しかもレンは…その人と会ってま〜す』
「…誰も信じられなくなりそうだよ!それは教えてはもらえないんだよな」
『うん、駄目って言われた』
「なんでだよ、ありがちな状況だけど隠す意味が分からねぇ」
『そのほうが面白いからだって♪』
「クソが!俺の平穏な人生が…」
『どうやって箱庭に戻ろうとしているかは教えてもいいって♪』
「教えて下さいティア様」
『うむ!箱庭ってね、魔力の源だって言ったよね?』
「おおっ!ついにその謎を?」
『レンも頑張ってるからね、人格に問題ないと判断してくれた上位神が少しは教えてもいいって、良かったね♪』
「ありがたき幸せでございます」
『死んだ人間や魔物とか、全ての生き物の魔力は一旦箱庭に集まるんだよ、人間の言う所の魂ってやつだね、まぁこの世に魂なんてものは無いけど(笑)』
「全然笑えねぇ…」
『はっきり言うと、心なんてものもないよ、生き物の脳みそ、そこに少しの記憶領域と人格があるだけなんだ』
なるほどねぇ、身も蓋もない話だが、納得もできる…
『私はねぇ、レンの人格に惚れたんだよ』
「そうなんだな、ありがとう、選んでくれて」
『いえいえ〜♪』
「それで?集まった魔力はどうなる?なんで魔力を集めてるんだ?」
『浄化…みたいなものかな、ぐちゃぐちゃに混ぜて、綺麗にして、新品魔力にして全世界に送るんだよ、人格形成には魔力が必要なんだ』
ふむ、箱庭で一旦浄化されるからこそ、同じ性格の生き物が生まれてこないようになっているのかもしれないな。
『そう、同じ人格、性格、そんな生き物は絶対に生まれてくるはずがないのに、時たまそういうのが生まれてくるんだよね』
「そうなのか?」
『うん、そういう生き物が神になるんだよ』
「へぇ〜、面白いな、じゃあ例えば地球で死んで、その記憶を持ってツェファレンに来た、レイやマリーとあと…勇者レイカだったかな?奴らは神なんじゃないのか?」
『その3人は地球で死んでないよ?そんな履歴ないもん』
「へ?履歴?うそ、だろ…」
『おかしいと思わなかったの?地球で死んだ仲良し3人組が、たまたま同じ世界に記憶を残したまま来るって、確率ヤバくない?』
「仕組まれてない限りは無い…と?」
『そうだね、しかも死んでいたなら転移じゃなくて、転生じゃない?記憶を操作して、死んだと思わせてこの世界に連れてくる、私はやっぱり鼻くそが怪しいと思うけどね〜』
うわぁ…確かにそうだよ、バスが事故って死んで、そのまま転移なんてあり得ない、この世界に死体か瀕死の人間が送られて来るだけだもの、運命に基づいて死んだなら転生だよな普通…
仲良い3人で固まってこの世界に来た、って聞いた時点で、なんでおかしいと思わなかったんだ俺は、絶対に第3者が関わってるに決まってんだろ…はぁ、落ち込むわぁ。
『まぁ、他の人達はどうでもいいよ、問題は箱庭なんだけど』
でた、たまに出る神っぽさ。
『私はレン以外に興味は無いからね♪』
「それは光栄な事ですね」
『ふふふ♪それでね?鼻くそ神ファーニックの箱庭は数百年前に破壊されたじゃない?』
「そう言っていたな」
『鼻くそどもは、新たな箱庭を作ろうとしています!馬鹿だよね〜、創るじゃなくて作る…ただの模倣品だよ、傑作だねっ♪』
「はぁ?でもそんなの作れるのかよ」
『模倣品ですら作れるわけないじゃない、ファーニックも神としては新米だからねぇ、箱庭の存在理由は知ってるから、選ばれし自分なら箱庭を再現出来ると思ってるんじゃない?』
「えぇ〜、それは大丈夫なのかよ、なんか大変な事になりそうな予感がするんだが…」
『うん、このままなら大変な事になるね、最悪ツェファレン崩壊かな?』
馬鹿野郎どもが余計な事を、崩壊に導いてるのは自分達じゃないか、ふざけやがって…罰を受けたんだから、大人しくしていればいいものを…
『とにかく魔力を集めようとしてるんだ、中央の城の中に、その箱庭(笑)になるとファーニックが信じ込んでる水晶みたいな物があるよ』
「ティアの目はどこにでも届くんだな、さすが神様だ」
『ふふん♪』
「どうやって魔力を集めてるんだ?空気中には微量しか無いんだろ?魔脈に乗って流れていっちゃうから」
『地球も特殊だったけど、ツェファレンも結構特殊な世界でね、魔力が箱庭に流れにくい世界なんだ、その魔脈があるおかげで、魔力が箱庭に流れにくいんだよ、全部世界の端に溜まっていっちゃうの』
「話は違うけど、やっぱり魔脈に乗って流れていった魔力が魔物を生み出してるのか?」
『その通り!魔物の魔核、あれは魔力の塊、あと世界の外周部は目で見えるほどの濃い魔力で満ちてるよ、それがツェファレンの地上を維持してるんだよ、これで分かるかな?』
「中央はこの世界に、特に政治的なルールを設けていない、唯一のルール、それは魔物素材を納める事…」
『うんうん♪』
「才能のある人達を地球から攫ってきている…」
ギブアップ…
『さすがに厳しいかぁ、魔核で魔力回収、最深層の攻略、魔物の強化個体の育成だよ』
「強化個体…?」
デビルか!?
『ピンポーン♪デビル系の魔物は鼻くそ強化個体でした〜』
「強い魔物の魔核は魔力を多く含んでるから、それを回収する為か?」
『ぶっぶぅ〜』
くそっ、可愛い顔しやがって。
『人間を間接的に殺そうとしてま〜す』
「はぁ、また一つ目的が出来ちまったよ…めんどくせぇ」
『効率よくツェファレンの最深層を攻略する方法、それは人間を殺すことです!』
「もう、頭がパンクしそうだ…」
『簡潔に一気に説明しちゃおうか?』
「宜しく頼むよ、物語中盤で聞く話じゃないような気がしないでも無いけど」
『いいんだよ、レンは神になるんだから、なんでも有り!』
ティアの説明を出来るだけ冷静に聞き、頭の中を整理していく。




