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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第四章【東国】〜専用武器と列王サーレック〜
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76話 忍邪のセイント

レンの武器を作り終えたラルファ、だが突然、セイントと名乗る開拓者に理不尽な理由を突き付けられ、組合に連れ去られてしまった。


そんな彼女を助けるため、レンは一直線にラルファが攫われた組合へ向かっている。



最悪ラルファさえ無事なら武器は手に入らなくてもいい、とにかくぶっ飛ばす、ぶっ飛ばす、ぶっころ…ぶっ飛ばす…



『な、何あの人、怖いんだけど』

『ヤバいオーラが出てるな、近寄らないようにしよう』



ガラガラガラ…ヒヒ〜ン!



『うわっ、な、なんだ!?』

『い、いや、馬が急に…おい!お前邪魔だろ!』

『なんだあいつは…!?おい!あれは避けろ!絶対に絡むな!』

『へ、へい、わかりやした!』





不穏な空気を漂わせ、軽く威圧を放ち、危険な言葉をブツブツと呟きながら、道のど真ん中をゆっくり歩いて進む、目のすわったレン、周りの人達はドン引き、馬車ですらも避けていく始末である。



ここか…さてどういう対応をしてくるのかなぁ?



ラルファが連れ去られたと思われる組合の前まで来たレン、リスクリワードでラルファの位置を確認、間違いなく()()()()()()()()()()()()して、悪魔のような笑みを浮かべる、そしていざ入ろうとしたら…



「おいお前、止まれ」



呼び止められだが、無視して入ろうとする、しかし腕を掴まれてしまった。



「止まれと言ったのが聞こえないのか!」

「ああ?」

「うっ…」

「なんだよ、他の奴らは止めてないだろうが、なんで俺だけ止めんだよ」

「い、いや…なんか調子悪そうだなぁって思ってな、心配しただけなんだよ、ははは…」

「ふん、大丈夫だよ、心配してくれてあんがとな、にいさん」

「いや、いいって事よ、き、今日も開拓頑張ろうな!」

「ああ、そうだな…入っていいか?」

「ど、どうぞ!行ってらっしゃいませ!」

「おう」



完全にチンピラだった。



バンッ!



『!?』



強めに扉を殴り開いて中に入っていく、先程のにいさんもドン引きだ、皆が一斉にレンの方を振り向くが、そんな事はお構いなし、一直線にカウンターへ。



「よよ、ようこそぉ〜、開拓者組合、中央総本部へ〜、受付の〜、テスラ〜と、も、申しますぅ…」



威圧で気圧され、受付嬢はすでに泣きそうになっていた。



「おい!お前は…」



バキ!ガシャーン!



レンの肩を誰かが掴んてきたので、顔の確認もせず、裏拳で吹き飛ばした。



「おい女」

「ひぃぃっ!」

「大丈夫だ、お前には手を出さない、聞きたいことがある」

「は、はいぃ!何でしょうか!」

「ここの組合は、一般人に難癖つけて、拘束するのが普通なのか?」

「え…と、申しますと?」

「俺が依頼した武器を、他の開拓者に無理矢理盗まれた、しかも武器を打った人まで捕まったんだ、話を聞いたらここに連れ去られたらしい、捕まった奴の娘が言っていたから何かの間違いとかじゃない、どうなっている?しっかり答えろよ?分からなければ、事情を知ってそうな奴を連れてこい」

「え、え〜っと、組合長に確認してまいります…」

「分かった、急がなくていいぞ、俺は暇なんだ、何日でも時間はある、まぁその前にこの組合が無くならなければいいがな…」



しばらくして―――



「おう、てめぇか訳わかんねぇ事をほざいてるやつぁ」



ガタイのいいスキンヘッドのおっさんが出てきた。



「お前が組合長なのか?」

「てめぇ、口の聞き方が…」

「お前が組合長なのかと聞いている、言葉が分からんのか?」



話が進まなそうなので、威圧を強めて再度問い詰める。



「うっ…ふぅ〜、そうだ、俺が組合総本部の長、全開拓者組合を仕切っているジラードだ」



お?耐えたな、そこそこやるじゃないか、さすがは組合長か、もっと煽ってやろう。



「別にそんな情報はいらねぇんだよ、その女から話は聞いたな?どうなんだ?」

「だから、訳わかんねぇ事言ってんじゃねえよ!」

「うるせぇ!」



魔力で声を増幅して、鼓膜を攻撃。



「う、うぅ…」

「分かったか?そんな大きな声出すなよ、うるせぇだろ、それで?ラルファはここにいるのか?いないのか?」

「だから…」

「先に言っておく、俺は特殊な技能を持っている、探してるものがどの方向にあるのかが分かる、それを踏まえて聞いてるからな?正直に話せよ?」



リスクリワードの使い道、やはり探し物の距離が分からないのに不便さを感じたレン、どのくらいの距離なのかを探る能力にした。


まずは方向を確認、次に距離を指定する、自分が指定した距離内にあれば数字は1〜100だ、指定内に無いと数字はどんどん小さくなっていく。


レンは建物内に入る前に、距離を指定し、ラルファを検索していた、間違いなくラルファはこの建物内にいると把握出来たのはその為だった。



「はっ、方向が分かるだけじゃねぇか、ずっと先かもしんねぇだろ」

「はぁ、本当にこの世界の人間はバカタレが多いな、俺がこの建物へ入る前に、ぐるっと一周確認してきたらどうするんだよ、少しは体ばかりじゃなくて脳みそ使え、何が全開拓者組合を仕切っているだよ、好きに放置してるの間違いだろ」

「てめぇ!」

「もういい加減にしてくれ、とりあえずセイントを出せ、犯人はそいつだって分かってるんだよ」

「ふん、大きい声を出すだけのやつが渡り人である勇者セイント様に敵うと…」

「ごちゃごちゃ言わなくていいから早く連れてこいよ、イライラすんなぁ」

「くっ、後悔するなよ!」



ちっ、本当にうるせぇな、ああやって他の奴らを黙らせてたんだろうな、さて、セイトの野郎はどうやって懲らしめてやろうか―――



「ん〜?喧嘩売ってるって、あの人?」

「は、はい、そうです」



はい、セイト確定、見た目は変わってないなぁ、相変わらず黒い忍者服だ、でも素材はいいような気がする、さすがは勇者様か?



「こんにちは、僕はセイントだよ♪なになに〜?僕に何の用?恨みでもあるの?」



性格も変わってないな…



「攫った人、ラルファを返せ、あと盗んだ武器もだ」

「は?そんな事…」

「言い訳すんな、全部分かってんだよ、いいからさっさとしろ」

「何で僕がそんな事を…」

「だから言い訳すんな!組合とグルになって人を攫ったろ!勇者だったら何してもいいのか!」



わざと周りに聞こえるように大きな声を出して言ってやった、俺は大きな声を出すだけのやつって、大きな声を出すだけのハゲに言われたからな。



「どうせ、そんな格好だ、黒い物が大好きな痛い奴なんだろお前は、剣が黒くて品質がいいからって、自分の為に作ってくれたなんて気持ち悪い勘違いして、違うと分かれば無理矢理奪う、どうせカネだって払ってねぇんだろ、そういうのを強盗って言うんだよ、俺はその剣に手付金で4千万ファニー払ってんだ、どっちが正しいかなんて一目瞭然だろ、それとも何か?勇者だったらなんでも正しくなるのか?人を攫っても、物を奪っても」

「う、うるさい!うるさいうるさいうるさい!」

「はっ、駄々っ子かよ、とんだ勇者様だな」

「闇縛!」



床から黒い手が伸びてきて、レンに掴みかかろうとしてきた。



「黒霧」



レンの体から黒い霧が大量に発生、何本もの触手になり、黒い手をなんなく撃退した。



レンは右腕の袖をまくる、そこには黒いヘビの入れ墨のようなものがあった、そう、リルの真似だ、そのかっこよさにレンは我慢できなかった。



「行け、巻きつけ」



シュルルル!



「うわぁ!なんだよこれぇ!」



次は左腕の裾をまくる、そこには蜘蛛の絵が…完全にリルのトレースであった。



「出てこい」





音もなく、真っ黒の巨大蜘蛛が、レンの腕から飛び出してきて、レンを後ろから前2本の足で抱き込むようにして、じっとしている、体高は3mほど、建物の天井ギリギリだ、体長は足の長さを入れれば5mは超えるだろう、相当な威圧感だ。



「どうした闇使い、ほら、かかってこい」

「無理無理〜、勝てないよ〜、こんな奴がいるなんて聞いてないよ現人神様〜」



久々に聞いたなその呼び名、まだ呼ばせてるのかよ、ただの開拓者のくせに、あんなのは鼻くそで十分なんだよ。



「別にそっちが何もしなけりゃ、こっちだって手を出さないんだよ、俺はラルファと武器を返して欲しいだけだ、それ以外なにか危害を加えようとしてる訳じゃないんだよ」

「分かったよ〜、返す、返すから許してぇ!」

「なら早くしろ」

「うん、分かったよ…」



ん?…む!?



ガシッ!



「む!?これを防ぐか!なかなかやるなっ!」



…カリン



「怪しい奴め、私の弟をいじめるな!」

「姉ちゃんやっちゃえ!」



…つくづく自分が甘ちゃんだと気付かされるな、そうだった、コイツらはこういうやつだったよなぁ!



「「!?」」



レンは体全体から全方位に強烈な威圧を出し、戦闘態勢に入る。



ヒュンッ、バキィ。



「ぎゃあぁぁ!」

「セイト!大丈夫か!」



瞬光でカリンを通り越し、後方に隠れていたセイトの左足の膝関節を破壊した。



スタッ…スタッ…



ゆっくりカリンに近づくレン。



さすがのカリンも実力差に怖気づく。



「い、いや、あたし達が悪かった!すまん、この通りだ!」



シュ、バキッ!



「がぁぁ!」



土下座しようとしていたカリンの左肩を蹴りつけ、肩関節を破壊する。



これが初めてじゃない、お前達は2度目なんだよ、そんな演技に騙されると思うなよ。



バキッ、ゴスッ、バキッ、バコッ…



襟を掴んで、カリンの顔をもくもくと殴り続ける、今回に限っては回復も無しだ。



「ゆ、ゆる、許して…く、くだ、下さい…」

「姉ちゃん!ねぇ許して!お願いします!もう悪いことしないから!姉ちゃんが死んじゃうよ!」



誰が許すかよ、今ここでこいつだけは殺す。



「レイン…」



その時、静かにレンを呼びかける声が聞こえ、肩に優しく手が置かれた。

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