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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第四章【東国】〜専用武器と列王サーレック〜
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71話 烈王サーレック

烈王サーレックは、話の分かる御仁だと推測したレン、味方にしようと鼻くその事も含め、素性をざっと語る。



「俺の本当の名前はレン、中央のルードに攫われて、この世界に連れてこられ、深層に捨てられ、神様に拾われ、北の国を…」

「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ…」



このまま続けたら面白そうだな…



「北の国を実質支配している渡り人だ、自分の専用武器を作るため、カオスゴブリンを売りにここへむぐっ…」

「い、いや、1つ1つの情報量!ちょっと待ってくれ!情報過多がすぎる!」



サリーがレンの口を塞ぎ、話を遮ってきた。



「いいな?喋るなよ?私の頭がパンクするからな?」



コクコク…



「ぷはぁ、どうした?」

「フゥー、フゥー…」



少し落ち着くのを待つか―――



「よし、少し整理しよう、まずはルードに攫われたと?」

「そうだ、あの鼻くそ野郎、許可もなく俺をこの世界に攫いやがった」

「ふむ、私も前々からルードはきな臭いと思っていた、だから聖堂を部下に見張らせて、すぐに報告させて対応していたんだ」

「転移を使えるんだから、聖堂を見張っても意味はなくないか?」

「いや、まぁそうなんだが、実際うまくいってないんだ、何故かルードは直接の転移ばかりで、聖堂を使わないらしいんだよな」



なんでだ?魔力の節約とかは考えないのか?よく分からんやつだな、どうせ後ろめたい事が多すぎて、移動してきた直後の待ち伏せを恐れてるんだろ、本当に鼻くそみたいなやつだな!



意味の分からない誹謗中傷を受ける鼻くそであった。



「とりあえずあいつは、意識を誘導したり、精神を支配してくるから気をつけろよ」

「それも知っている、たまにおかしくなるやつが出てくるんだよ、ルードがこの街に来た直後だけな」



こいつは驚いた、ちゃんと王様じゃないか…レイ…頑張れよ。



「あまりに北王が酷かったもんでな、少しこの世界の王達を過小評価していたみたいだな」

「酷王だからな、そんなに酷かったのか?」

「いや、噂の酷さはルードの仕業だよ、精神支配されていたんだ、それは解除したし、今は優しい王、優王レイっていう名前に変えて頑張ってるよ、俺が言った酷さは単に頭の悪さだな」

「そ、そうか、辛辣だな…」

「ああ、同郷として恥ずかしいよ」

「え…北王も渡り人なのか!?」

「やはり知らないのか、この世界は街ごとに、どこか閉鎖的、というか協調性が無いようなイメージがあるよな、一つ一つが小さな国みたいだ、ツェファレン連合国ってところかな」

「連合国…確かに言いえて妙だな、皆自身の事で精一杯だし、もしかしたらそうなるように仕向けられているのかもな」



ルード…だんだん奴の悪辣さが明るみになっていくな、とにかく早急に世界を一周する必要がありそうだ。



「俺は今、ルードに復讐するために生きているようなものなんだ、でも、とある事情から直接トドメは刺せない、だから味方を増やして、強化して、じわじわと嫌がらせをしているんだよ」

「その事情とやら、神様に拾われたっていうのが絡んでいそうだな」

「はぁ…サリー、お前鋭すぎるだろ…そうだよ、俺は神の候補者なんだ、そして鼻くそルードも実はそう、だからこれは神の代理戦争みたいなもんなんだよ」

「くっ、話がでか過ぎる…レン様とお呼びすればいいのか?」

「やめろ、神候補でも中身は普通の凡人なんだよ」

「凡人が試練の門を開けられる訳無いだろ」

「とにかく普通に接してくれ、サリーだって王様だし、門も開けられるじゃないか、凡人じゃない者どうし仲良くしようぜ、友達でいいだろ」

「ふふふっ、王様になって初めて友人と呼べる人が出来た、存外嬉しいものだな」

「宜しくなサリー」

「こちらこそだ、レン」

「さてあとは…」

「カオスゴブリンか?」

「サリーは記憶力がいいな」

「逆になんで売りに来たレンが忘れるんだよ」

「はははっ、面目ない、それで何体なら買ってくれるんだ?」

「そんなにあるのか?別に何体でも構わんぞ?」



本当だな?数を聞かないと後悔することになるかも知れんぞ?



悪い顔になるレン。



「いや、やはり先に何体あるのか聞かせてもらおうか」

「ちっ…」



レンの顔を見て嫌な予感を感じたサリー、前もって数を聞いてきた。



「488だ」

「はぁ、先に聞いておいて正解だったな、それだけ倒すのは骨が折れただろう」

「おっ?新鮮な反応だ、大半が絶句したり白目剥いたりするのに、サリーからは強者の余裕が感じられるよな」

「私だってカオスゴブリンくらい倒せるさ、そうじゃなきゃ王とは名乗れない」

「レイ…」



たぶんレイはカオスゴブリンを倒せないぞ、レイ…もっと頑張れよ。



「何体いける?」

「北では買い取ってもらわなかったのか?」

「20体売ったな、4千万で」

「4千万?中央と同じ紙幣なのか?」

「そうだ、ここは違うのか?」

「ここは紙幣はない、硬貨だ」

「レートは?」

「レート?」



う〜ん、サリーは渡り人じゃないからな…



「金貨とかあるか?」

「ある、価値は小金貨1枚、1万…ファニーだな」

「なんだよその間は、今持ってるか?少し見たいな」



チャラ…



「これだ」

「う〜ん、ん?これサリーの橫顏か?」

「う、うむ、そうだ」

「まさか…1万サリー?」

「…」

「沈黙は是だな…恥ずかしいなら変えればいいのに」

「いや、違うんだ!勝手にこの世界がそう認識してしまうんだよ」

「そうだったのか、レイに謝らなきゃな、心の中で呆れたことを」



小金貨の大きさは1/25オンス金貨ほど、地球の重力なら1.2gくらいだが、こっちも重力が同じなら、金の価値は同じくらいだな。



金貨  S100,000

小金貨 S10,000

銀貨  S5,000

小銀貨 S1000

銅貨  S500

小銅貨 S100

鉄貨  S10

石貨  S1

単位はサリー



レンは、石貨や鉄貨などは偽造できないのかと聞いてみたが、全ての硬貨が、値段と価値が同等のため、逆に偽造してもらったほうが好都合らしい、あと魔法で作り出した鉱石はバレるとのこと。



この世界での銅や鉄は、地球より価値が高めだな、石貨なんか偽造しても、全部それで支払っていたら疑われるしな、なるほどよく出来てる。



東国での貨幣職人は、基本国のお抱えである、作る貨幣の素材と貨幣価値が同等の為、それを個人的な仕事にしても儲けが出ない、例えば金貨1枚分の金を1万円で仕入れて、それを金貨にして1万円で売っていたのでは、ただのボランティアだ、労力を要する分逆にマイナスまである、自分で採掘するなら話は別だが、採掘者が貨幣作りまではやらない、どちらにも国が報酬を渡して、採掘、貨幣作り、をやってもらっているのだ。


「まぁ通貨の名称は今はいいよ、それで、買い取れるのか?」

「カオスゴブリンは値段が設定されてないからな、北ではいくらだったんだ?」

「え〜っと…レートが違うから…」



セルマータでは確か259万バレルだったはずだ…ファニーに変換して、ファニーとサリーは同価値だから…



「215万8333サリーだな」

「細かっ」

「いや、まずファニーとバレルで価値が違うんだよ、1ファニーで1.2バレルだ」

「よくそんな計算がすらすらとできるものだな」

「渡り人だからな」

「便利な言葉だな、じゃあ…少し事務の者と話してくるよ」

「ああ、急いでないからゆっくり話してくるといい」

「助かる」



ガチャ、バタン、タッタッタ…



『お〜い、キルミ〜、お客様にお茶出しといてくれ』

『はぁ?自分で出せよ』



バコッ!



『いったぁ!わぁ〜ったよ、出しときゃいいんだろ、出しときゃ』



大丈夫か?なんかチンピラみたいなのが来そうなんだが―――



ガチャ…バタン、タタタタ、ドンッ!



「茶だ、飲め」

「あ、ああ、いただこう」



ノックも無しに入っていて、レンの顔を見るやいなや早足で近づき、隣に座って体を密着させてきて、お盆も無しに片手に持っていたグラスを、ドンっと勢いよく置いて飲めと言ってきた。



近い!怖い!目つき悪い!なんだよこいつ!



目つきの悪い、肩上ボブの金髪娘がギロッと睨めつけてくる。



「オレの名前はキルミ、あんたは?」

「俺は…レンだ」



色々考えた結果、この東国では偽名を使わない事に決めた、軽く自己紹介をしたあと、この部屋にきた経緯なんかを話していった。



「で?結局レンは何者なんだ?あの王様が他人をお客様だなんて、尋常じゃないぞ?」

「詳しくはサリーから聞いてくれよ」

「もしかして烈王様の家族か?みんな死んだはずだが…」

「死んだ…?」

「そうだ…オレの口からは言えねぇがな」

「…!?……そ、そうか…それはサリーも大変だな、まだ若いだろに」



レンはチラチラとキルミの奥を気にしながら受け答えをする。



「ふっ、お前、この国の人間じゃないな?あれはああ見えても…」



ゴンッ



「ひあっ」

「キルミ、お前は1回くらい死んでおくか?」



気配も無く部屋に入ってきて、キルミの後ろに立っていたのだ、レンですら直前まで気づかなかった。



空気と同調はしていないにしても、ここまで気配に気付けないとは…マリーに匹敵するか?



「すまんなサリー、結構重要なことを聞いてしまった、不本意なんだ、詮索はしないから許してほしい」

「別に隠してない、私の家族は昔、魔物討伐で全滅したんだよ」

「魔物討伐…まさか、デビル・ディアーじゃないだろうな?」

「おお、渡り人の割には博識だな、それだ、家族は皆開拓者でな、私は武者修行であちこちにいたから、組合から事後報告で聞いたんだよ」

「あの時の烈王様はヤバかった、この街が滅ぶかと思ったぞ」

「…」

「レン、どうした?」



レンは真実を語るかどうか悩んでいた、この様子だと、鼻くそが絡んでいることは知らなそうだと思ったからだ。



「サリー…落ち着いて聞いてくれ、まずはそのデビル・ディアーだが、同じ個体かは分からんが、先日俺が倒した」

「なんだと?あいつは20年前、その時に討伐されたと聞いたが?」

「死体は?見たのか?討伐者の名前は?魔物を倒したはずの勇者が死んで、英雄だけが生き残った、おかしくないか?」

「たまたまそういう事だってあるだろう」

「確かにそうだな、でも、死体の一部も持ち帰れないほどバラバラとか、考えられるか?勇者が倒したなどと言って、魔法だか技能だかは知らないが、そんな力を味方が英雄一人になるまで隠しておくのか?しかもそのあと死ぬってなんだよ」

「それって…」

「サリー、その討伐を指揮していたのは…ルードだ」

「!?」

「うぅっ…」



パリンッ!



サリーの威圧でグラスが割れ、キルミは胸を押さえてうずくまる。



「サリー、落ち着け…」



レンはサリーの肩にそっと手を置いて、できるだけ精神に作用するよう念じながら回復を掛けた、効果があるかは分からないが。



これだけの威圧を放てるんだ、洗脳が効かないのも頷ける。



「はぁぁ…ありがとうレン、落ち着いたよ」

「はぁ、はぁ、レン、お前は本当に何者なんだ、烈王様の威圧に動じないとか、信じられん」

「はっ、あのくらいの威圧で怖気づくはずないだろ、子供のお遊び程度にしか思わんよ、俺の精神は10万だぞ?」

「「10万!?」」

「何者なのかは後でサリーから聞け、今はカオスゴブリンだ、事務のやつと話はしてきたんだろ?」

「は、はははは♪レンはブレないな、正直だし、だからこそ信用もできる、10億だ、そこまでなら出しても組合の運営は問題ないみたいだな」

「10億…え〜と、463体だな」

「相変わらずの計算の速さだな」

「いや、この世界に来て知能とかが増えてるから、やたらと速くなったんだ、本来の俺では無理なんだよ」

「状態が悪いものもあるから、3割引きで413体ではどうだ?」

「…いくらになる?」

「ん〜…6億2397万4070サリーだな、端数はカット!6億ぴったりでどうだ?」

「ちょ、ちょっともう一回話してくる、別にレンの事を信用してないわけじゃないからなっ」

「大丈夫だよ、しっかり確認してこい、こういうのはきっちりしたほうがいいよ」

「すまん」



小走りで事務のもとへ急ぐサリー。



「なあレンさん」

「お?なんだ?呼び方が変わったじゃないか、そんな殊勝な態度じゃなくていいぞ?」

「バカ言わないでくれ、これでも崩しているほうだよ、烈王様と対等な者を呼ぶには失礼だと思うぞ?」

「そうかなぁ、俺、普通の人なんだけどなぁ」

「それこそバカ言うなって話だな、実は神でした、でも信じるぞ」

「はははっ、でも喋り方は頑張ってそのままを維持してくれ」

「分かったよ、それでさっきの討伐の話なんだが…本当なのか?」

「ああ間違いないぞ、北王も参加はしなかったがルードに誘われたと言っていたし、友人の勇者が参加して亡くなってるからな」

「そうか…分かったよ、邪魔したな」

「おい、何があったかは聞かないが、馬鹿な真似はするなよ?もう知らない仲じゃないんだ、なんかあったら話せ、遠慮はするな、なんでも聞いてやる」

「ありがとな」



キルミは手際よく割れたグラスを片付けて部屋を出ていった。



なんかヤバそうだな、サリーは感情を制御できそうだがキルミは…サリーに注意だけしておくか。



「持たせた、了承が出たぞ、買い取り窓口まで移動を頼む」

「はいよ」



窓口に行くまでの間に、キルミの事をなんとなく気に掛けるよう話しておいた。

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