表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
間章【レンの小さな旅】〜北国のその後〜
65/173

64話 ギリー更生編 〜一話完結(笑)〜

組合でゴブリンを横取りしようと絡んできたギリーバーン、こいつは更生の余地ありと判断したレン。



さて、ちゃっちゃと更生させますかぁ。



「組合長、個室を貸してもらえないか?」

「ええいいですよ、お好きに使ってください」

「助かる、おっさんはそいつの査定でもしておいてくれ」

「おう、任せろ、腕が鳴るぜぇ」

「因みにあと500体はあるからな、組合として何体までなら買い取れるのか考えておいてくれ、組合長もよろしく」

「え、ええ…計算しておくわね」

「…500?」


ダンが顔をぽかーんとさせていたが、レンはそれを無視して、ギリーバーンとその仲間たちを個室に押し込み、最後に自分も入っていった――



「さて、まずはそいつを正気に戻すか」

「そうね、ヒール!」

「はっ、はっ…」

「駄目ね…」

「たったあれだけの事で、どれだけダメージ受けてるんだよこいつは、自分から絡んでおいて、はぁ…回復」

「はっ…はぁぁ…あ、あれ?みんな?」



ベチン!



仲間の女がギリーにビンタをかました。



「いてぇ!な、なにすんだよキャスリィ!」

「うるさい!どれだけ心配したと思ってるの!ああいう事はやめなさいと言ったでしょ!最近のあなたは少しおかしいわ!リーダーなんだからしっかりなさい!」



ギリー…お前リーダーなのかよ、駄目だろそんなんじゃ。



「確かに俺たちは弱いけど、もっと弱い者から奪うような事をしては駄目だ」

「リーダーは性格わりぃけど、あんな事するほどまでとは思わなかったぜ」

「ディール、ローラ…」



金髪で真面目そうな、ガタイのいい男がディール、赤髪ショートボブ、男口調で少し色黒肌のスラッとした体型の女がローラ、いかにも神官か僧侶といった格好の、金髪ストレート女がキャスリィだ。



「よし、意識は戻ったな、ギリー、お前はなんであんな事をした?こんないい仲間達がいるのに」

「あ、あんたは…分からない、すまなかった…俺、育ち悪くて、すぐ周りと喧嘩するような子供だったんだが、でも…友人を裏切るような真似はした事なかった、なんで…なんでなんだ?」



これは…鼻くその匂いが漂ってきましたねぇ。



「お前、ここ最近中央に行ったりしたか?」

「…行ったな、手紙を届ける依頼を受けて、4人で行った」

「確かに行ったわ、1週間ほど前よ」

「行ったなぁ、ジロジロ見られて気分悪かったよ、田舎者だと思ってバカにしやがって、うちはもう行きたくないね!」

「おいローラ、少しでも稼がないと駄目なんだから、我慢してくれよ」

「ディール、お前悔しくないのかよ!うちは悔しい!」

「お前らの事情は分かった、中央の開拓者組合に行ったんだろ?何か変わったことは無かったか?特にギリー」

「特には無かったかな、勇者様達は見かけたけど」

「シン達か?」

「そうだ、4人ともすごい高そうな装備をつけてたし、周りに人が集まっていて、勇者様って言われてたからすぐに分かったよ」



4人?たまたま1人いなかっただけか。



「それだけか?」

「あとは…ああ、賢者様と少し喋ったかな」



ヒット!ガルディンが言っていた賢者、転移を使うとか、これ絶対ルードだろ。



「賢者って、ヒゲもじゃのじじいだろ?」

「ああそうだが、じじいって…」

「良いんだよ、あんな鼻くそルードなんかヒゲもじゃで十分だ」

「そうその名前、ルード様だ、急に話し掛けてきてな、お前の目は才能がある目だって言われたんだ」

「はいアウト、それ罠だから」

「やっぱり…話の流れからそうだとは思ったが…」

「私たちはギリーに依頼を任せて、外で待機してたから分からなかったけど、出てきたあなたははしゃいでたわ」

「確かにあの日からギリーは少しおかしかったぞ」

「そ、そんなにか?」

「うちは何回も言っただろ、そんなのは無理だって、絶対倒せないような討伐依頼を受けようとしていたんだ、死にに行くようなもんだ」

「今なら分かる、さっきまではなんだか頭の中がモヤモヤしてたんだ」



そうやってルードは種を蒔いてるのか?でもなんで開拓者を死なせるような真似を?これも開拓者を強くする為なのか?いまいち目的が分からんな…



「討伐依頼か、一般人とかが、倒してほしい魔物個体の依頼を出したりするやつだよな?」

「そう、魔物の買い取りだけじゃなくて、討伐自体に報酬があるからおいしいんだが、大体はめんどくさい魔物なんだ」

「それで先日、ゴブリンの討伐依頼があったから受けてみたのよ、ノースリレーに行き来してる商人からの依頼でね、でもそのゴブリンが見つからなくて失敗しちゃってねぇ」

「今日は反省して大人しくしてるって話だったのに、突然組合の人が来て、呼び出されたと思ったら…」



ギリーは食堂で酒でも飲んでたのか?うまくいかない所へ来て、新人の登録、しかも手出し無用の通告を受けて、新人のくせに生意気だとイラついた、あとをつけてみれば変わったゴブリンを売ろうとしていたから、自分が受けた依頼のゴブリンと勘違いして、失敗したのは俺のせいって訳か…



「まぁ、色々と運が悪かったとしか言いようが無いな」

「そうねぇ、何かの形で謝罪したいけど、私達強くないし、正直お金も無いしねぇ」

「いいよそんなものはいらん、その代わり少しの間、俺の言う通りにしてもらう」

「「え…」」



キャスリィとローラが同時に顔を赤らめた。



「すまねぇキャスリィ、俺のせいで…」

「ローラ、稼ぎが悪くて、ごめん」



なんか勘違いしてないか?男連中も受け入れ早くない?そういうのが当たり前の世界なのか?



「あ、あの…わたしは、その、経験なくて…でも謝罪になるのなら…」

「う、うちも…初めてで…」

「おい、やめろやめろ、俺はそういうのは嫌いなんだ」

「え…じゃあ俺達が…相手を?」



ディールが真面目にそんな事を言ってきた、ギリーも顔が赤くなっている。



「ば、ばかやろう!そうじゃない!なんでそうなるんだよ!おいギリー!お前なんで顔が赤いんだよ!」

「え…俺も初めてで」

「ふざけんなよ!気持ち悪い想像させんな!まったくどうなってんだよこの世界は…」



もういい、さっさと強化の話をするか。



「お前らに強くなる方法を教えてやる、だから言う通りにしろと言ってるんだ」

「ほ、本当か!?」

「ああ、中層くらいならすぐだぞ、才能にもよるがな」

「才能…」

「ステータスの才能じゃない、お前ら本来の才能だ、なんていうか説明が難しいんだけど、理解力とかそういうのだ」

「強くなれるのか?俺達が?」

「間違いなくなれる、お前ら、最北の村カインドへ行け」

「カインド?」

「ああ、最近名前が変わったっていう?」

「そうだ、聖堂の左壁、一番奥の扉だ」

「なんでまたそんな所に…」

「行った瞬間に分かるよ、村長宅に行って、俺に鍛錬を頼まれたと言えば大丈夫だから」

「うちは信じるよ、どんな手を使っても強くなりたい!」

「ローラが行くなら俺も行く」

「私も行くわ、あとは…ギリー?」

「…俺も、行ってやる!それで馬鹿にした中央の奴らと賢者を見返すんだ!」

「よし、決まったみたいだな、カオスゴブリンを売ったらいくらか金を貸してやる、それで、食材や調味料を買い込んでお土産に持っていけ、あの村はお金よりそっちのほうが喜ばれる、他の町に行ってでも、持てるだけ買っていけ、絶対に出し惜しみするんじゃないぞ?」

「わ、分かったよ」



あとは鼻くそルードの注意点で、すぐにキレる人、話の通じない人、必要以上に賢者や勇者を信仰している人、などには近づくなと警告して、話し合いが終わった。



「レイン様、お疲れ様です、買い取りの査定が済んでおりますので、窓口までお願いします」

「分かった」

「あ、あの、組合長!」

「はい?ギリーさん…」

「今まで横柄な態度をとってしまって、すみませんでした!」

「はい、謝罪は受け取りました、これからは組合にいっぱい貢献して下さいね」

「はい!」



ウィンクをしながらそんな事を言うセーラ、ギリーも嬉しそうだ。



セーラ…なかなかのやり手だな。



「おうあんちゃん、査定終わってるぜ」



カウンターの上には、魔核、牙、爪が置いてある、さすがに皮とか内臓なんかは置いていない。



「査定の結果なんだが…」



皮・10万

爪・5万

牙・3万

骨・40万

魔核・200万

内臓と血液・1万



計259万バレルだ、単価は地球と大体同じ1バレル1円だ、内臓や血液はこれから使い道を研究するらしい、それによっては未来に値が跳ね上がる可能性もあるとか。



単位はバレルか…レイ、やっちまったな…



とりあえず…



「1体250万で売るよ」

「おい、なんで安くなるんだよ」

「まぁ組合への投資みたいなもんだな、組合長、職員にボーナスでも出してやれよ?」

「分かったわ、特にリーニャには多く出すわね」

「え?…やったぁ!レイン様!ありがとうございま〜す!」

「いいよ、リーニャには受け付けで怖い思いをさせたからな」



リーニャはすっかり元気になったな、他の職員も皆ガッツポーズだ、ふふっ。



…ってか、なんでこんなに人いるの?通路ぎゅうぎゅうなんですけど。



「それでレイン様、買い取り数なのですが…この組合は貧乏でして…5000万が限界なのです…」

「分かった、20体だな、どこに出す?」

「え…今お持ちで?」

「組合長、それは聞いちゃならねぇ事なんだよ…」



ダンが意味深にそんな事を言った。



「は、はぁ、ではカウンターの内側に」

「あんちゃん、こっちだ」



ダンに促され、中に入り、出来るだけキレイな個体を19体出して戻ってきた。



比較的外傷の少ないゴブリン多めだからいいけど、たまにぐちゃぐちゃなやつを出しちゃうんだよなぁ、出し入れがめんどくさい、どうにかならないかな…リスクリターン…やってみるか?



「それじゃあ、はい、よっと!」



ズン!



布に包まれた何かが出される。



カネか?硬貨の音がしなかった…まさか、レイ、あいつ…良くやった、単位バレルのマイナスを打ち消したぞ。



「もしかしてだが、紙幣なのか?」

「ああ、そうだが?金貨のほうが良かったか?」

「いや、いいんだ、これでいい」



そう言うとレンは袋を開き、中身を確認、そのまま中身だけを収納に仕舞った。





ダンがあんな事を言ったものだから、誰も何も言わない、その代わり静寂が場を支配していた。



「ほら、お前らにこれを」



収納から1000万を取り出し、ギリーの手の上に乗せる、ギリーだけじゃなく、皆、放心状態だった。



パンッパンッ!



魔力で音を増幅し、少し威圧も乗せて手を叩く…



「ほらほら!もう十分見ただろ!他の開拓者が来たら邪魔だ!仕事に戻れお前ら!」



皆、わぁ〜っとテンション高く、蜘蛛の子を散らすように持ち場に戻っていった。



嬉しそうにしやがって、ボーナス楽しみなんだろうな。



「レインさん、これ…」

「ああ、めいいっぱいお土産を買っていけ、金は余るだろうから、お前らの装備も新調しろ」

「ありがとうございます!」

「「「ありがとうございます!」」」

「一応貸すって名目だが、すぐに返そうなんて思うなよ?これも投資だ、何年後でも何十年後でも、なんならずっと貸しておいてもいいぞ」



これで最低でも1日10万は手に入る…くっくっくっ…貸与さん、あなた様の出番ですぜぇ。



実はただの優しさではなかった、話の途中から、レンは貸与の事ばかり考えていた、優しいクズである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ