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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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58話 解体!デビル・ディアー

深層でカオスゴブリンと、宿敵である鹿を討伐したレン、ティルと共にダスト村に帰ってきた。



「おかえり、ティル、レン」



フローラだ、玄関先で花に水をやっていた。



「ただいまお母さん!」

「フローラ、ただいま…」

「何だレン、元気無いじゃないか、ティルの次はレンか?」



おかえりと言ってもらえるのも、あとわずかだと思うと、さらに寂しさが募るな…



「そうだな、女神様に会えなくなるのが残念で仕方なくてな、あと1つ、フローラに後で謝ることになるから、それもな…」

「な、なんだよ謝るってのは、怒られるような事したのか?」

「あ、ああ、やっぱり2つあったわ、いや3つか…」



ティルのレベルと、鹿の解体、あとスイムだ。



「なんだよ、言えよ、気になるだろ」

「まず、ティルなんだが…セイスより強くなってしまいました…」

「お前は…ティルに何をさせた!」

「うっ、え〜っと…」

「お母さん!おこっちゃだめ!ティルがわるいの!」

「ティル…何をしてきたんだ?」

「サンドラから魔道具を作るには魔核が必要と言われてな、上等な魔核を手に入れに行ったんだよ」

「それにティルがわがままいってついていったの!もうじかんがないから…いっしょにいたかったの!おしゃべりしたかったの!うぅぅ〜…」



泣きそうになるティル、しかし、もう泣かないと約束したので我慢している。



「ティ、ティル、わたしは怒ってないから、な?泣かないでくれ」

「すまん、俺が無理やり止めればよかったんだけど、俺もティルのわがまま聞いてやりたくて」

「まぁ、分かった、なんとなくな、それで?なんの魔核を狙ってたんだ?」

「カオスゴブリン…」

「!?」

「ティル、5ひきたおしたの…」

「俺が瀕死にさせて、止めをな」

「レベルは?」

「23…」

「完全にセイスを越えたな」

「ああ、ステータスも爆上がりだ、特に魔力と魔体がな」

「まぁ…レンが一緒なんだ、危険なんてないだろ、さっきの私の怒りは、レンを信用してないようなものだな、反省する、強くなる事はいい事だ、ありがとうレン」

「フローラ…」

「感謝に始まり、感謝に終わるんだろ?」

「はは…覚えてたんだな、それで、あと一つなんだが…」



スイムの事はまだ黙っておこう。



「聞くのが怖くなってきたな」

「解体してほしい魔物があるんだよ」

「…はぁ、なんだよそんなことか、驚かせやがって、なんだ?そんな申し訳なくなるほど凄い魔物なのか?」

「ああ、でかいんだよ」

「猪より?」

「ああ少し…いや、だいぶ…いや、かなりでかいな」

「待て、今ここで出すなよ?いいな?今、近所の奥さん達を連れて来るから、長い包丁を5本くらい用意して待ってろ」



フローラはそう言うと小走りで行ってしまった。



包丁かぁ、どうするかな…昔テレビで見たマグロを解体する時の、あのくらいでいいかな?流石に鹿には使いづらいか…刃渡りは30cmくらいあれば十分長い包丁と言えるだろ。



「あらぁ、どんな魔物なの〜?」

「いやわたしも見てないんだ」

「楽しみねぇ」



奥さんたちを連れてゆっくり歩いて戻ってきた。



「あら!レン様じゃないの!」

「本当よぉ、セイスさんじゃなかったの?」

「あ、あぁすまん、言うの忘れてたな」

「レン様こんにちは、どんな魔物なの?」



一気に騒がしくなったな、落ち込んでた気分が晴れてきた。



「少しは気が晴れただろ?」



くそ、お見通しかよ、女神様め、ああその通りだよ。



「別にそこまで落ち込んでないさ」

「強がるなよ、顔見りゃ分かるんだ」

「ははっ、フローラには勝てないな」

「ふふん、女神様だからな」



本当に助けてもらってばっかりだ…



「なになに〜?レン様落ち込んでるのぉ?慰めてあげましょうか?」

「駄目よ、旦那に怒られちゃうわよ」

「分かりゃしないわよ」



ははははは♪



そろそろ解体の話、してもいいですか?



「かなり大きな魔物でな、鹿なんだが」

「鹿…?」

「2区の鹿?確かに猪よりは大きいけれど、そんなに大きかったかしら?」

「知ってるのか?」

「ええ、たまに解体してるわね」



いや、そんな分けないだろ。



「わたしもたまにセイスが狩ってくるのは解体してるぞ?」

「ティルも、しかさんみたことある〜!」

「横でお肉、お肉っていつもうるさいんだよなティルは」

「ぶぅ〜、うるさくないもん!」

「でも確かに、鹿は猪より癖がなくて美味しいのよねぇ、今日はご馳走ね」

「うちもご馳走だ」

「ごちそう!やった〜♪」



2区って、ああなるほどな、ふふふ…



「そうなのか、慣れてるならこんなに騒ぐ必要なかったな、猪しか解体してないと思ってて、しかし凄いなセイスは、()()の鹿を狩れるなんて」

「いや、確かに鹿はレアだが、強さは猪と変わらんぞ?」

「そうなのか?()()だぞ?」

「ああ、そうだが?とりあえずこの場で解体するか、出してくれるか?」

「ああ分かった、少し大きめな個体だからな、ちょっと下がっててくれ、先に石で台を作るよ」

「猪祭りの時みたいにか?それはいい、解体しやすくなる」



そう言うとレンは村長宅の庭に、巨大鹿が乗せられるほどの大きさの石の台を作る。



「よし、出すぞ」

「いや、ちょ、ちょっと待っ」



ズゥゥン…



台の大きさに嫌な予感がしたフローラ、静止をかけたが一歩遅かった。



「「「「キャーー!」」」」

「すごーい!おおきいー!」

「…」



奥さんたちは驚き、目を塞いでしゃがみ込み、ティルは大喜び、フローラはじとっとした目でレンを見る。



「深層第2区の鹿だ!」

「いや、2区違い!」



ナイス突っ込み!それを待ってた!



「おにく、ちがうの?」

「はははは、そのにくじゃないぞティル」

「おいおいおい…化け物じゃないか…いつもいつも驚かせやがって!この馬鹿レン!」

「お?いいねぇ、そう言う呼び方してくれると、友達って感じがするよなっ」

「はぁ、疲れる、で?こいつは食えるんだな?」

「ああ、間違いない、例の技能で調べてある」

「なら安心だな」

「それで、解体いけそうか?」

「お〜い!皆集まってなにやってんだ?」



ちっ、セイスめ、またメンドくさくなるタイミングで帰って来やがって、最初から説明しなくちゃならないだろうが、猪ごときでこんなに時間かけやがって。



実際は妙齢の美女たちと楽しく会話していたのに、おっさん成分が途中で混ざったので、少しイラついただけであった。



「おかえり、猪ごときで遅かったじゃあないか」

「なんか言い方に棘がないか?ちょっと皆が魔法で熱くなってな、帰ってくるのが遅、くな…った…?」



セイスは鹿に気付いた。



「なにこれ!?」

「サンドラに頼まれてな、魔道具を作るための魔核を、深層第2区で狩ってきたんだよ」

「レン殿が?」

「他に誰がいるんだよ」

「これ、食べるのか?」

「そうだな、食べれるし、味が気になるだろ?」

「ははっ、さすがだな、深層第2区とは恐れ入る、それにしても穴だらけだな、前足が両方無いし、首も無い、戦いの壮絶さがうかがえるな」

「ああ、強敵だったよ、首ならあるぞ?出すか?」

「…その首、私にくれる?」

「うわぁ!びっくりしたぁ!」



いきなりテラーが耳元で囁いてきた。



おいおい、全然気配がなかったぞ、俺の首取られるかと思ったよ。



「テラー…驚かせないでくれよ、思わず俺の首を捧げる所だったぞ」

「ふふ…それも捨てがたいわねぇ」

「やめてくれ、俺はまだ死にたくない」



ホントにこの人は…何者なんだよ。



「こらテラー、レン様を驚かすんじゃないぞい」

「そんなに驚いてないわよあなた、ねぇレンさん?」

「いや、ぶっちゃけ驚いた」

「あらあら、レンさんもまだまだねぇ、うふふふ…」



日に日に怖さが増していくな、それよりも鹿だ。



「首はテラーにあげるとして、村長はこの鹿、知ってるか?」

「見たのは初めてじゃが、噂には聞いたことあるのじゃ」

「へぇ〜、開拓者の中で有名とか?」

「ええ、身の丈は10m以上、体格からは想像もできないほど速く動くとか、大きな角を持ち、音と炎と氷を操る鹿の魔物、名をデビル・ディアー、一部の開拓者と、S級の英雄様や勇者様しか目撃はしておらず、名前もいつしか勇者様がおつけになったとか、第3区の門番とも言われておりますのじゃ」



門番?こいつが?あの強さで?おいおいこの世界、人に攻略できんのかよ…ま、俺はそのうち行くけどね、最深層までな。



「これがデビル・ディアー…まさかその姿を見ることになるとはのぅ、人生何が起こるか分からぬもんじゃな」

「さすがに珍しいか?」

「珍しいどころか、討伐の例は過去に1回だけなのじゃ、その時は勇者様1人と英雄様3人、A級の大ベテランを数十人連れていって、生き残りは英雄様たった1人だけだったはずなのじゃ」

「勇者ではなく、英雄?」

「そうですじゃ、しかも倒したという報告だけで、死体は爆散して持ち帰れなかったらしいのじゃ」

「その英雄様の名前は分からないのか?」

「うむ、分からないのじゃ、確か中央の英雄級開拓者だと噂されていたのじゃ」

「そうか、爆散ねぇ…なんか違和感あるけど…まぁいいか、とにかく解体お願いしてもいいか?」



ようやく話が終わったかとフローラが早速取り掛かり、他の奥さん連中も最初は驚いていたが、落ち着きを取り戻しており、フローラに続いて取り掛かる。



鹿の頭はテラーが不気味に笑いながら、土魔法で岩板を作り、自分も一緒に乗り込み、浮いて家の裏の方へ行ってしまった、フローラに『皮も後でちょうだいねぇ』と、最後に一声掛けてから…



もう俺は、テラーがこの世界のラスボスだった、って言われても驚かないぞ。



その後、奥さん5人で1時間ほどかけて解体は終了、大量の肉はそれぞれが好きなだけ持ち帰り、レンは魔核を受け取った。



これが魔核か、うさぎちゃんの魔核とは大きさが全然違うな、うさぎの魔核はうっすら青く透き通っていて、ピンポン玉ほどの大きさだったが、これは、サッカーボールくらいか?赤黒くて透き通ってないな、ずっしりしてて、なんかボウリングの玉みたいだ。



「レンはサンドラの所に行くんだろ?夕飯はご馳走だからな?帰ってこなかったら全部食べちまうからな」

「それは忘れられないな、必ず帰らなくては」



レンは、あまり魔核をじろじろ調べて、間違って落とす前にと収納に放り込んで、早速サンドラの所に向かった。

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