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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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55話 やり残した事

レンはレイとマリー、そしてデイルの3人を連れて焼けた大地にやってきた。



「「「…」」」

「どうした?」



3人とも焼けて森がなくなっているのを見て、ぼけ〜っとしている。



あ、こいつらは知らなかったのか。



「すまん、言うの忘れてたな、これは俺の仕業だ」

「そうなんだね、最深層の魔物でも来て暴れたのかと思ったよ、何かあったの?」

「カリオールがな、森があったら開拓ではないじゃないか、なんて小賢しいことを言ったもんでな、燃やした」

「だからカリオールは帰って来るのが遅かったんだね」

「いや、森は俺が一撃で燃やしたからな、10分もかかってないぞ?」

「もはや魔物よりたち悪いよ!」



そんなやり取りで一悶着あり、実際に鍛錬に入る、とはいえ改めて教えることは特にない、3人が思い思いに魔法を好きに使い、ときよりレンも一緒になって考えるだけだ、むしろデイルに当てる時間のほうが長かった。


レンも、レイとマリーから片手剣や短剣を、デイルからは両手剣などの、扱いの指導をしてもらった。



「ステータス」



才能

投資 努力 回避 武術 魔法


技能

貸与1 リスクリワード3 潜行3

想像魔法 リスククリターン



さすがに1日じゃ剣技とかは生えてこないか、あと2日で生えるだろうか。



―――――2日後



「お世話になっちゃったね」

「兄様、3日間の指導、有難う御座います」

「ああ、威圧もなんとか出来るようになったし、間に合って良かったよ」

「デイルはダメだったけどね〜」

「やっぱり魔力だけをどうにか使うってのは、この世界の人間には、想像するのが難しいんだろうな」

「兄ちゃんは想像魔法なんて、ずるいの持ってるからいいけど、僕とマリーは常人なんだよ?」

「うむ、威圧を使うだけでも相当量の魔力が必要になるな」

「まだお前らの中で魔力そのものを使う、っていうのが当たり前になってないんだよ、鍛錬し続けろ、そうすればそのうち慣れるだろ、ついでに魔力の潜在能力も上がるだろうしな」

「うん、頑張るよ」

「私もだ」

「わ、私も精進したいと思います!」

「お?デイルが自ら発言とは珍しい、少しは変わったか?」

「まだまだだね〜、カッチカチだよ、でも少し話しやすくなったかな?ここに連れてきて正解だったね」

「今までは一緒に訓練もやってくれなかったからな、今度からは期待してるぞ、なぁデイル?」

「マ、マリー様、善処致します」

「ははは、仲良くな」

「うん、じゃあね兄ちゃん、そろそろ行くよ」

「ああ、またな、城に顔出したときは宜しくな」

「うむ、その時は私が城を案内しよう、レイは忙しくなるだろうからな」

「あっ、ずるいよマリー!僕だって兄ちゃんにお城案内したいよー!」



楽しそうに騒ぎながら聖堂に入っていく3人、マリーの右腕にはキラリと光るレンのフィギュアみたいのが抱えられている…


レンはそれを見送りながら、少し複雑な感情を抱いていた。



これで全て解決だな…あぁ…ティル、泣くだろうなぁ、でも長くいても旅立ちが辛くなるばかりだからな…



そんな事を考えながら、少し薄暗くなり人気の無くなった村の道を、ゆっくりトボトボと村長宅に戻っていった。



―――――



「やだぁーー!うぇ〜ん!!」

「ティル…」



ティルに抱きつかれ号泣されているレン、次の日の朝、意を決して村長家族に伝えたのだ、1週間後に旅立つと…



「レン、いきなりすぎるぞ」

「レン殿、もう少しゆっくり出来ないのか?1年くらいはいてもいいんじゃないか?」



いつ旅立っても一緒だろう、ティルは絶対泣くに決まってる、まだ8歳なんだぞ。



「もっとお兄さんとおしゃべりしたいー!」

「ティル…ごめんな、それでも行かなきゃならないんだ…」

「うぅ…なんで?」



特に急いではいない、転移門なんて便利な物があるんだ、ここを拠点にあちこち旅する事だって出来る、これは俺のわがままだ、この世界を旅したい、色々見て回りたい、打倒ルードという目標もある、たぶん今の俺では敵わない、中央には強者なる者もいる、もっと強くならなければならないんだ。



「倒さなきゃならない奴がいるんだ、俺をこの世界に連れてきた奴だ」

「このせかいはきらい?」

「嫌いじゃないさ、ティルがいるんだ、嫌うわけないじゃないか」

「じゃあなんでぇ?」

「前に言っただろ?俺はいきなり連れてこられた、母親にも別れを言ってない、ティルも誰かにいきなり違う世界に放り出されたらどうだ?もう皆に会えない、フローラにも、セイスにも、村の皆に会えなくなるんだぞ?もちろん俺とも、その誰かにありがとうって言うか?」

「いわない!それはわるいひと!」

「俺はそうだった…もう元の世界の人達には会えないんだ…母さんにも…」



ティルを説得しながらレンも目頭が熱くなってくる。



「お兄さんかわいそう…」



ティルが頭を撫でてくれる。



「ありがとうティル、俺はこの世界で生きるって決めたんだ、だからこれでお別れじゃないよ、転移門があるんだ、ティルが魔法をサボってないか、たまに見に来るからな?」

「わかった!ティルもう泣かない!まほうかんばるからお兄さんみにきてっ!」



地面が爆発している光景を思い出したレン。



「ほ、ほどほどにな?ティルは優秀だから、ゆっくりで大丈夫だ」

「ほんと〜?じゃあゆっくりやる!」

「うん、いい子だ」

「へへへぇ〜」

「じゃあそういう事だから、あと1週間よろしくな」

「うん!」

「皆も宜しく頼む」

「わかりましたのじゃ」

「美味いもんいっぱい食わせてやるよ、調味料もたくさん手に入れたしな!」

「はは、それは楽しみだ」

「じゃあセイス、猪狩ってこい!」

「フローラ、いきなりかよ…しょうがない、行ってくるかぁ、誰か一緒にいかない?」





「おいおい、付き合いの悪い連中だぜ」

「俺はやり残した事をやらなきゃならんからな」

「やり残した事?」

「ああ、ちょっとサンドラと話し合いをしてくるよ、作りたいものがあるんでな」

「ティル、一緒に狩りに行くか〜?」

「ティルお兄さんといっしょにいる!」

「…」

「セイス…気を落とすな、俺には時間が無いんだ、少しでも長くいたいんだろうよ」

「そうだよな、まぁいいか、よしっ!村の男衆を連れて行ってくるよ」

「「「「「行ってらっしゃーい」」」」」



さてサンドラに会いに行ってみよう。



―――――



「あらあらレンさん、お久しぶりね」

「どうだ?村には慣れたか?」

「ええ、本当に感謝しきれないわ、ありがとね、こんな立派な家まで頂いちゃって」



まともに食事が出来るようになったからか、顔色がいいな、肌艶も少し若返ったようだ。



「いいんだよ、サンドラにはやってほしいことがあるからな」

「それ、気になってたのよ〜、魔道具職人って…何をしたらいいのかしら?」

「サンドラの作ったオルゴールなんだがな、あれ、軸が回転するだろ?」

「ええ、そうね、そのように作ったからねぇ」

「その回転なんだ」

「どういう事かしら?」

「自動で回転させられるっていうのは、凄い発明なんだよ、この世界の常識を一変するほどのな」

「えっ?そうなの?」

「良く考えてくれ、この世界に馬車ってあるか?」

「ええ、小さな村や町には無いけれど、大きな街は移動が大変だからそれなりに走っているわね」



やっぱりあるのか、これもテンプレみたいなもんだよな、普通の犬とか猫はいないのに、馬だけはいる、不思議だよな。



「馬車と何が関係するのかしら?」

「タイヤ…え〜っと、車輪が回っているだろ?回転だ」

「ええ、そうね…」



少し考えているな、何となく思い付きかけてるんだろう。



「馬車なだけあって、馬が引いているが…勝手に車輪が回転したらどうだ?」

「……!?」

「分かったか」

「ええ…えぇそうよ!なんでこんな単純な事に気付かなかったのかしら!こうしてはいられないわ!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!申し訳ないがそれは後にしてくれないか?」

「えぇ、でも…」

「もう少し深く考えてくれ」

「深く…?」

「うん、馬車が動くから車輪が回る、ではなく、車輪を回せば馬車が勝手に動く、ここまでは分かるよな?」

「ええ分かるわ」

「なら馬車だけじゃない、色々な物を動かす事が出来ると思わないか?例えば井戸水を汲み上げる時の滑車とか、扉だって要は回転の力で開け閉め出来るんだ」

「なんだか、恐ろしくなってきたわ」

「そうだろう、俺が渡り人ってのは聞いてるか?」

「ええ、この村の人達に聞いてるわ」

「俺の元いた世界はな、動力といえば回転だったんだ、回転が世界を支配していたと言っても過言じゃないんだよ」

「回転…本当に奥が深いわね」

「どうだ?俺がサンドラの人生を買った意味が分かってきたんじゃないか?」

「そうね…恐らくレンさんは自分ひとりなら魔法でなんとでもなるのでしょう?私に魔道具という形で作らせて、他の人達にもその回転を、簡単に制御させられるようにしたいって所かしら?」

「パーフェクト、その通りだ、頼まれてくれるか?」

「ええいいわ、何だか燃えてきたわ!」

「それじゃあ最初に…」



レンは、ティルとサンドラを連れて北門に行き、入り口に、出来れば鉄製の扉をつけたいという事、橋を跳ね上げ式にしたいことを説明、サンドラと一緒になって、サンドも興奮していた。



名前が似てるからなんか嫌だな、サンドラが可哀想だ。



「でも材料はどうするのかしら?」

「素材だったら魔核でもなんでも俺が調達してやる、ある程度の鉱石、鉄や木は魔法でいくらでも出せるぞ?」



ほらっ、と言いながら北門の入り口に鉄の扉を設置、すぐさま消した。



「あらあら〜、それなら捗るわねぇ、出来るだけ強い魔物の核をお願いできるかしら?」

「ああ、任せておけ」

「お兄さん、森いくの?」

「ああ、ちょっとだけ行ってくる」

「ティルはいけないよね…つよいまものって言ってたから…あとちょっとなのに、いっしょにいられない…」



もうこの子ったら、なんて良い子なんでしょっ!



「全然大丈夫だぞティル、一緒に行こうか」

「ほんとっ!?やったぁ♪」



今なら魔法があるし、コブリン相手なら称号もある、久々にスライムちゃんにも会いに行ってみるか、思えばうさぎちゃんにも核があったんだよなぁ、魔石かな?なんて思ってたけど、あの頃の俺は心に余裕もなかったし、必要ないと思って他のうさぎちゃんに食べさせちゃったんだよ、まぁとりあえず…ゴブリンは皆殺しだなっ!



なんの脈絡もなく殲滅を決定付けられたカオスゴブリン達、世の中は非情で理不尽である。

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