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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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54話 北王の決意

鼻くそルードの精神操作から解き放たれた北王、バーレル改めレイは、自らダスト村に足を運び、自分の目で見た現状に打ちひしがれ、自身の治める土地を幸せ溢れる国にしようと決心した。



「みんな聞いてほしい!」



村人達が一斉にレイのほうを見る、レイはそんな村人達の顔がよく見えるよう、噴水の縁に立っていた。



「僕の名はバーレル・ディ・オーソロン!最初に、今まで本当にごめんなさい!」



村長宅でも頭を下げたが、ここでもう一度深々と頭を下げた。





数分間の長い謝罪、なかなか頭を上げない北王に、村人達も次第にざわつきだす。



「北王様、頭をお上げくださいませ、皆、貴方様の謝罪は受け取ったのじゃ」

「ありがとう」



村長が代表して謝罪を受け取り、レイはやっと頭を上げる。



「!?」



村人達の目付きが変わっていた、北王の真剣さに胸打たれ、皆も真剣に話を聞く気になったのだ。



「僕は間違っていた、浮かれてたんだ、中央にそそのかされて20年も…言い訳はしない、全て心が弱かった僕のせいなんだ、許してくれとも言わない、行動で示したいと思う…今日、この時から北王は変わる!僕の名はレイ!バーレルの名は捨てる!新生北王として、これからは皆を不幸な目に合わせないと誓う!」



パチパチパチパチ!


村人全員が一斉に拍手をする。



良かったなレイ、皆お前を許してくれるみたいだぞ。



「でも…僕は王様って柄じゃない、頭が良くないんだ、どうしたらいいか分からない!だから協力してほしい!相談に乗ってほしい!僕を助けて下さい!僕も精一杯みんなに報いたいと思う!どうか宜しくお願いします!」

「北王様ぁ〜!」

「俺たちは協力するぞー!」

「なんでも言ってくれー!」

「北王!北王!北王!北王!…」



足が震えているな、人前で喋るのは慣れてないんだろう、良く頑張ったな、レイ…



村を救えて良かったと、胸が熱くなると同時に、とうとうこの村を旅立つときが近付いて来たと思い、少し寂しさを感じているレンであった。



まぁ、転移門もあるし、ちょくちょく様子見に帰ってくればいいだろ、たまにフローラの飯も食いたいしな。



―――――



「レイ、マリー、2人は威圧を覚えろ、何となくだが洗脳や意識誘導みたいな、精神系の魔法や技能は、威圧で対抗出来る気がするんだ、あとこれは確信には至ってないんだが、強い恐怖や衝撃でも解けるかもな」

「そうなの?」

「ふむ…確かに私は、謁見の間でレン兄様に頭を叩かれたとき、少し地が出たような気がするんだ」

「そういえばマリー『いたぁ』とか言ってたもんね、普段ならそんな痛がり方しないよね」

「ああ…あの時から少しだけ、そう本当に少しだけだが、本来の自分というものが前に出てきた気がするんだ」

「少しねぇ…」



少しなんてもんじゃないだろうが…レイも疑ってるじゃないか、付き合いは長くないが、180度性格変わってると思うぞ?



「でも僕は?殴られてないけど、なんか頭の中はスッキリしてるんだよねぇ」

「俺が瞬光を使って耳元で囁いたときじゃないか?」

「瞬光?あの高速移動の事?そういえばそんな事もあったね」

「お前あのとき、かなり取り乱してたからな、洗脳みたいなものが解けて、少しパニックになってたんじゃないか?」

「ん〜、分かんない!」

「まぁいいか、今が大事だからな」

「ねえ兄さん!威圧教えて!」

「私も頼む…」

「いいぞ、お前らここに何日くらいいるんだ?」

「デイル〜、どうなの?」

「はっ、本日も含め、3日ほどが限界かと…」

「え〜、短い〜」

「そう言われましても…」

「こら、いい王様になるんだろ?しばらくは我慢しろ、たまに遊びに行ってやるから」

「本当!?約束だからね!」

「分かったよ、それで、お前らの使える属性は「ステータス!」…」



名前 バーレル・ディ・オーソロン 18歳 Lv31

職業 魔法剣士 Lv8


体力 10000

筋力 5671[+2000]

俊敏 4856[+2000]

精神 6702

魔力 4733

魔体 1048

知能 656 

技術 4180[+2000]


才能

魔法 片手剣術 指揮 精神耐性


技能

片手剣技6 筋力強化5 魔体強化5 支配強化7

ダークネス ライト ウインド ファイアー

精神強化


称号

支配者

[北の大地]



名前は本名じゃないのか、俺も偽名使ってると、そのうちその名前になっちゃうのか?



「あれ?精神耐性と精神強化が新しく増えてる…精神もこんなに高くなかったはず…」

「これがレイのステータスか、さすがは渡り人だな、能力値が一般人の比じゃないな、魔法なんて、闇と光の両属性とか凄まじいな、すまないな見せてくれて」

「うん♪いいよ〜、この世界の人達は恥ずかしいみたいだけどね、僕は全然平気だから」

「プラス2000っていうのは称号の効果か?」

「うんそうだね、この北の地にいる間は無条件でパワーアップ♪」



2000かぁ、微妙な数値だな…この世界基準だったら相当なんだろうけど。



「新しく精神系の才能や技能が増えたんだから、威圧を覚える必要ないんじゃないか?」

「それでも教えて兄ちゃん、誰かの洗脳を解除するかもしれないじゃないか」

「そうか、分かったよ、マリーはどうする?」

「私も見せよう、ステータス!」



名前 マリル 18歳 Lv43

職業 闇使い Lv10


体力 10000

筋力 4387

俊敏 5771

精神 7412

魔力 3470

魔体 3552

知能 1174

技術 3980


才能

魔法 闇使い 短剣 暗殺 精神耐性


技能

短剣技8 筋力強化6 気配隠蔽10

ダークネス ウォーター ソイル 

精神強化



レベル高っ!バランスがいいなぁ、知能って低い低いって思ってたけど、これくらいが普通なのかもしれんな。



「やはり、私も異様に精神が上がっている、前は2000弱くらいだったはずだ、耐性と強化もレイと同じく増えているな」



レイの称号込みでも、マリーのほうが強くない?実戦が多い仕事だからレベルも高いのか。



「20年間も精神の支配みたいのを受けてたんだ、それに打ち勝てばこうなるのも必然なのかもな、油断は禁物だけど」

「うむ、とにかくその威圧を伝授していだきたい」

「分かった、って言っても…別に大したことしてないんだよ、あとお前らに出来るかどうかも分からん」

「え〜、ここまできてそれはないよ〜」

「これは才能とか技能の話じゃないんだよ”そもそも魔法とは?”っていう話になってくるんだ」

「うう…なんか難しそう…」

「お前は知能低いもんな」

「マリーだってそんなに変わんないでしょ!」

「ふん、倍違うわ!一緒にするな!」

「低レベルの争いはやめろ、俺は5480だ」





「レン兄ちゃんも見せて!」

「うむ、私も兄様のステータスは気になる」

「いいぞ、お前らなら土下座とかはしないだろうしな、ステータス」




名前 神園蓮21歳

職業 ギャンブラー Lv3


貯蓄 0 

体力 10000

筋力 16400 

俊敏 13640 

精神 100000 

魔力 10755 

魔体 16900 貸与[−15000]利息[+1650]

知能 5480 

技術 8940 


才能

投資 努力 回避 武術 魔法


技能

貸与1 リスクリワード3 潜行3

想像魔法 リスクリターン


称号

討伐者

[カオスゴブリン]



うん、見やすくていいな、もっと見やすくする為に、早く貯蓄を貯めて能力をキリのいい数値にしないと。



「…マリー、ヤバくない?」

「…うん、ヤバい」

「あのときすぐに泣いて良かった〜」

「それには私も同意だ、よくやったレイ」

「驚いてはいるがびびってはいないな?よしよし、いい子たちだ」

「いや、びびってるから…」

「とにかくお前ら、魔法を使うとき何を考えて使っている?」

「え?普通にファイアー!とかダークネス!っ思いながら使ってるけど?」

「…マリーは?」

「あ!無視した!ねぇ!なんでっ?」

「私は、任務で闇を使うことが多かったからな、その時は…闇とは何なのか、という事を考えながら使ってたな」

「お前は優秀だな」

「ねぇ!僕は!?」

「なあレイ、お前マリーより弱いだろ」

「うぐっ…」

「確かにお前は王様だからな、強い部下がいればそれで良かったかもしれないけどな、これからはそうもいかんだろ、中央が敵になるんだから、これから頑張ればいいさ」

「うん、頑張るよ」



レイは地球にいる頃、小説とかを読むような人ではなかった、レイにとってのファンタジーといえば基本ゲームだ、自身が勇者になり冒険するストーリーが圧倒的に多い、勇者とかに執着があったのはそれが原因だった。


昨今の小説は、勇者が主人公の王道ストーリーとかには縛られていない、むしろ悪役として登場する事も少なくない、この世界がまさにそれだ。


ゲーム脳だからこそ、映像でのイメージに縛られ、魔法とはこう、という思いが強い、それが実際に発動するものだから、研鑽もせず、自分は強いと浮かれていたのだ。


逆にマリーは、ファンタジー物ではないが軽く小説を嗜んでいた、ゲームなんてやるはずもなく、あまり魔法の概念に縛られていなかった、だからこそ、この世界で生き残るために試行錯誤して、実績を積み上げてこれたのだ、その差が今の状態だ。



「とりあえずお前らの認識を塗り替えるぞ」



レンは魔法の鍛錬を続けていく中で、別に技能に頼らなくても、魔力で色々補える事を知った、実際【威圧】や【収納】などという技能は持ち合わせていないのである、あくまでも魔力を使った魔法の範囲だ。



「この世界に住んでいる人達は、いくら知識を入れても魔法の概念を越えられない、お前達以上に魔法が当たり前の奴らなんだ、魔法とはこう、というイメージが強すぎる、渡り人であるお前らなら一気に強くなるだろう、火は酸素を燃料に燃えること、光で物が見えること、空気中に水があること、そんな事はお前らにとっては常識だろ?」

「当たり前の事だよね、この世界の人達は知らないの?」

「ああ知らない、科学知識を多少知っているだけで、魔法を使う上ではアドバンテージになり得るんだよ」

「そっかぁ、もう今の話だけで、たぶんだけどだいぶ強くなれたかな」

「科学知識だけじゃないんだよ、ここからが重要だ」

「なんかワクワクしてきた、強い部下を探してる場合じゃないね、自分が強くなったほうが手っ取り早いや」

「私もだ、年甲斐もなく興奮している」

「いいか?科学知識ってのはあくまでも補助的に使うものだ、結局のところ魔法なんてもの自体が科学では証明できないんだ、これは凄いことなんだよ、自分は凄いことをやっている、なんでも出来る、そう思い込む事が大事だ、想像出来る範囲なら、魔力量次第で全て叶えられると思え、その過程で科学知識を、ほんの少しだけ加味すればいい、加味しすぎると今度は地球の概念に縛られる」

「うわぁ、色々思いつくね、凄いや、研究したくてウズウズしてきたよ!」

「そうだろう、例えばこれなんか分かるか?」



目の前に黒い玉を出す。



「2人共闇使いだから分かりやすいだろ?」

「うむ、私は出せないが、フキノが似たようなのを出せるな」

「そこなんだよ、なんでフキノが出せるのにマリーは出せない?同じダークネスなのに?それは今だに地球の概念に縛られている証拠だ、フキノは出せて当たり前と思ってる、お前はよく分からないから出せない、目の前で見ているのにも関わらず」

「なんと…」

「どんなものかなんて関係ないんだよ、現実にフキノがダークネスを使って出してるんだ、お前はこれを当たり前にすればいいだけだ、簡単だよ、だって目の前に存在してるんだから、出せるようにシテから研究でもなんでもすればいい、俺はこれを黒霧と呼んでいる、実体のある小さな黒い粒の集合体なんだよこれ、魔力も全然使わなくて便利だぞ?」



たぶんこれだけで2人は格段に強くなるだろうな。



「なんでそんなに詳しいの?」

「この前説明しただろ、強くならなきゃ生き残れなかったんだよ、いきなり深層だぞ?ふざけんなって思ったぞ、あとこの手の転移物の小説は腐るほど読んだんだよ」

「僕もせめて異世界物の漫画やアニメを見ておけばよかったなぁ、その頃は興味なかったんだよね」

「さて、修行パートに突入だな」

「待ってました!」

「どんな試練にも耐えてみせるぞ」

「デイル、お前も一緒にどうだ?」

「はっ!宜しくお願い致します!」



レンはそう決めると村長達に一言告げて、早速3人を連れて北の焼けた大地に向かった。

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