表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
54/173

53話 北王からの贈り物

3人は村長宅に到着、レンが家の玄関をノックした。



コンッコンッ



「はーいっ、ちょっとまってくださーい」



ティルの明るい声が聞こえた。



ガチャ…



「あ!お兄さん!」

「おぉっとぉ」



勢いよく抱きついてきたので、優しく抱きとめる。



「おかえりなさい!お兄さん!」

「あぁただいまティル、待たせて悪かったな」



頭を撫でて謝るレン、ティルは目を瞑って気持ちよさそうだ。



「皆はいるか?」

「うんっ、みんないるよ〜♪」

「おう、レン殿遅かったな」

「セイスか、ただいま、悪いな伝言役なんて頼んじゃって」

「いいよ別に」



城を出たあと、村長に事の顛末を伝えて貰うため、セイスには先に村に戻ってもらっていたのだ。



「だぁれ?」



レイのほうを見て首を傾げるティル。



「僕はレイ、北王だよ〜」

「!?」

「ティル、大丈夫だ」



土下座の体勢に入ろうとしたティルをセイスが止める。



「だいじょうぶ?」

「もうこの北王様は、我々に意地悪はしないんだ」

「そうなの?」

「そうだよ〜、ごめんね今まで、これからはみんな幸せになるように頑張るから許してね」



レイがティルの頭を撫でながら決意を口にする。



「ほんとう?」

「本当さぁ、レン兄ちゃんに説教されちゃったからね」



ウインクをしながらレンを見て、そんな事を言うレイ。



「お兄さんすごい!やっぱりかみさまだぁ♪」

「そうだね〜、神様だね〜♪」



もう神様でいいよ…どうにでもなってしまえ。



レンは自棄になった。



「カリオール達は戻ってるか?」

「ああ、もうこの国は大丈夫だと言ってな、村人達もそれぞれの家に帰ってるよ」

「サンドラは?」

「門の近くに家を建てただろ?」

「ああ、カリオールとその部下たちを住まわせるための家か」

「そうだ、村人達を押し込んでおいたあの家に住んでもらってるよ」

「そうか、なら安心だな、じゃあ村長に挨拶を済ませようか」



そう言うとレン達は、家の中に入って行った。



―――――



「レン様…逆なのじゃ…儂が挨拶をしにいかなくちゃならんのじゃ、なんで北王様が儂に挨拶しに来てるのじゃ?」

「あはははは、本当に黙ってたのかよセイス」

「ああ、ビックリさせようと思ってな」

「老人の扱いには気を付けてほしいのぅ、心臓が止まるかと思ったのじゃ」

「本当よぉ、ビックリし過ぎて倒れるところだったわぁ」

「村長さん、奥さん、驚かせてごめんね〜、でも謝罪でもあるからこれでいいんだよ」

「そんな事は…」

「いいんだよ村長、こいつは悪いことをした、謝るのは当然のことだ、受け入れろ」

「そうそう〜、だから、村長さん、他の皆さん、本当にごめんなさい」



レイは深々と頭を下げて謝罪した。





皆、涙目だな、この20年間の問題が解決したんだ、そうもなるよな。



「よし!もういいだろう、皆中央広場にいくぞ!近所にも声を掛けろ!北王からの贈り物を渡すぞ!早い者勝ちだ!」



「わ〜い♪」



タッタッタッタッ!



言うやいなやティルが一番に、外に向かって走って行った。



「レン」

「ん?」

「ありがとう、この村を救ってくれて」

「フローラ…いいんだ、ここはもう俺の故郷なんだよ、故郷を救うのは当たり前の事だと思わないか?」

「レンらしいな、それでもありがとう」

「分かったよ、その感謝、確かに受け取った」



深くお辞儀をして感謝をしてくるフローラ、レンは感謝を快く受け取る。



「さて、俺たちも広場にいくぞ〜」



了解!



―――――



ぞろぞろと広場に人が集まってくる。



「な、なんだ?なんかいっぱい人が来るぞ…」

「マリル様、我々は処刑されるのでは?」

「そ、そうか…これまで散々痛めつけたんだ、そうでもしないと収まらないのだろう」

「マリル様…」



レン達を先頭にして、広場に村人達が入ってくる、そして噴水の前、そこでは土下座をしているボンテージ衣装のちっこい人間と、くノ一衣装の人間がいた。



「今まで悪かった!罰は受ける!でもこいつだけは…フキノだけは許してもらえないだろうか!都合のいい話だとは分かっている、でも頼む…どうか私の首1つで許して欲しい!どうか!どうかぁ〜!」



あいつは何やってんだ?面白いから少し乗ってみるか?



レイの方を見ると…ニヤニヤしていた、どうやら静観するらしい。



「おいマリー!判決は下った!俺の力が足りなくてすまない、お前を犠牲にすることを許してくれ!」

「レン様そんな!マリル様だけなんて!私も…私も一緒に罰を受けます!」

「おいフキノ!お前は黙ってろ!」

「いえ黙りません!私の使命はマリル様の命を守ること!」

「お前ぇ!私がどんな気持ちで頭を下げたか分かっているのか!」

「分かってますよ!私だって同じ気持ちなんですから!」

「お前らに罰を言い渡す…」

「「はっ」」



2人揃って地面に額をつけ、裁きの言葉を待つ。



「では頼む」



レイのほうを見てそんな事を言った。


指名されたレイは自分を指差し、僕?みたいな感じだったが、苦笑いしながら2人の前に進み出る。





「お前達2人を…お尻ペンペンの刑に処す!」

「はっはははは!なんだよそれ!お尻ペンペンって、もっとマシな罰は思い付かなかったのかよお前」

「だっていきなりだったんだもん、思い付かないよぉ」

「そうか、悪かったな、いきなり振っちゃって、はははは」

「本当だよぅ」

「さて、2人とも」



土下座の姿勢で、顔だけ上げ、ポカ~ンとアホ面の2人。



「お前たちは許された、さあ立て」



2人はゆっくりと立ち上がり、膝についた埃を払う、自分たちが勘違いをしていたことに気付いて、顔が真っ赤だ。



「20年間も村を痛めつけた罰にしては軽いほうだろ?」

「う、うむ、確かに…」

「は、はいぃ」

「そうだよ〜それだけで済んだんだから兄ちゃんに感謝しな〜」



ギロッとレイを見つめるマリー。



「なんでお前がそっち側なんだよ!」

「そうですよぉ〜、ひどいですよ北王さまぁ」

「僕だって皆に頭を下げて来たんだよ?マリーがここでフキノと仲よく喋ってる間にねぇ」

「うっ、くっ…くそ!」

「うぅ…」



反論できないマリーとフキノであった。



「さて!皆集まってくれてありがとう!ここにいるのは北王のバーレルとその側近、マリルとデイル、あとは知ってるかも知れないがマリルの部下のフキノだ!」



何となくそんな雰囲気を感じていた村人達、しかし実際そうだと分かると少し困惑気味だ。



「俺が北王を説得した!もうこの村は苦しめられることはない!北王は中央に精神操作されていたんだ!それも解除した、だからもう大丈夫だ!」



わぁぁあぁぁ!やったぁぁぁ!!



「今日は謝罪の品を北王から預かっている!皆受け取れ!」



レンと村人達との間は10mほど空いていた、その地面が突然黒くなり、洋服や調味料、さらには様々な生活雑貨、食材などが次々に溢れ出てくる。



「自由に選べ!全部無料だ!喧嘩はするなよ!」



わぁぁぁぁ!!



―――――



「こういう時の女は強いな…」



右目に痣を作ったセイスが呟く。



「それを知ってしまったかセイス、こういうのは女に任せておけばいいんだよ」

「ふん♪ふふ〜ん♪あむあむ…おいち〜♪」



ティルはレンの隣に座って果物を食べていた。



「ティルはそれだけで良かったのか?」

「なんで〜?これでおなかいっぱいだよ?」



くぅ〜、ホンマにえぇ子やなぁ。



「レイ、この子を見ろ」

「なになに〜、ティルちゃんがどうしたの?」

「この子は8歳だ」

「えっ…」

「地球で言えば小2だぞ?そんな子が、わがままを言わずに、果物1個で十分だと言っている…この現実が分かるか?」

「ティル、これだけでだいじょうぶだよ?あとはお母さんたちにあげるんだ♪ティルえらい〜?」

「偉いぞ〜ティル〜」

「えへへへぇ」

「うぅぅ…くぅ…」



さすがのレイもくるものがあったらしい、自分がしてきた事の、罪の重さを再認識しているのだ。



「頑張る!僕、頑張っていい王様になるよ!」

「ああ、お前は酷王から優王に名乗りを変えろ」

「分かったよ兄ちゃん!」

「これで北の地は安泰だな」

「レン兄ちゃん、少し前だったら僕は、ティルちゃんのこんな状況を知っても、何も感じなかったと思うんだ」

「私もだレン兄様、恐らくなんの感情も湧かなかったはずだ、それが今はどうだ?自分の、自分達のしてきた罪の重さに、押しつぶされそうだ」

「確定だな、やっぱりなにか仕掛けられてたんだ、鼻くそルードめ…」



北王の謝罪贈品大会は怪我人もなく(?)終了し、村人達が落ち着いた頃、そんな村人達をじっと見つめ、真剣な顔をしているレイがいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ