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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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52話 ダスト村視察

レンは高級宿、ブルームの一室で魔法の考察をしている、暇さえあれば考察をする男、まだ鼻くそのルードと事を構えるのは時期尚早だと、なおさら強さに貪欲になっていた。



コンッ、コンッ、



「はいよ〜」

「レン様、北王様とマリー様が到着なされました」



カリオールがそう伝えて来た、一連の説明をして、わだかまりも解消したので、呼び方も様付けに戻っている。



「直接来たのか?分かった〜、準備したらそっち行くって言っておいてくれ〜」

「かしこまりました」



もうカリオールは執事決定だな。



―――――



「よう、わざわざすまんな、呼び出してもらってもよかったのに」

「兄ちゃん!」

「兄様!」



スゥ~、ハ〜、スゥ~、ハ〜…



抱きついてくる2人を優しく抱きとめる、少しマリーの鼻息が荒い気がするが、と思うレン。



「お〜よしよし、なんだ?この前より甘えん坊になってるじゃないか」

「つまんなかったんだよ」

「レイのおもりはこりごりなんだ」

「あ、マリーひどいよぉ」



話し合いより3日経っていた。



「デイルが堅物だから時間かかっちゃって、ごめんね?」

「い、いや北王様、私は堅物などでは…」



なるほど、こいつがマリルの名付け元になった仲間、デイルか。



「俺はレンだ、よろしくなデイル」

「はっ!宜しくお願い致します、レン様!」

「おいおい、本当に堅物じゃないか、もう少し肩の力を抜いたらどうだ?」

「いえ、北王様、マリル様より実力の話を聞きました故、そのような失礼な態度は取れませぬ」



かったぁ〜、カチコチだよデイル、こいつの中で強者は偉い、の考えが普通になっちゃってるんだな。



レンは苦笑いをして、デイルの肩をポンポンと優しく叩きながら。



「まぁほどほどにな、疲れちゃうから」

「はっ!承知しました!」



疲れちゃうから!



レンは諦めてレイとマリーの方に向き直る。



「ね?硬いでしょ?」

「まぁそう言ってやるな、持ち味なんだろうよ、こういう部下がいると安心できるじゃないか」

「そうなんだけどね〜、マリーの次に信頼してるし」

「!?」

「よかったな、デイル」

「…」



デイルは少し上を向き、眉間をつまんで震えている。



嬉しくて泣きそうなんだな…今はそっとしておこう。



「レン様、私は先に」

「ああ分かった、村人達を頼む」

「かしこまりました」



カリオールとその部下達は、村人達を連れて先に村に帰っていった。



「さて、視察に行く前に、お前たちに頼みがあるんだよ」

「なに〜?」

「何でも言ってくれ、この身でもなんでも捧げよう」



胸の前で手を握り、無表情でグイッと近づいてくるマリー。



「ちょっ、マリー、やめて、そういうのじゃないから、なんでこのタイミングで俺がマリーを堪能しようとするんだよ」

「堪能だなんて、兄様…」

「やめろやめろ、そうじゃない、村人の着る服とか、調味料が足りてないんだよ、あとできればある程度の食材と生活雑貨とかも」



なんかマリーが変な方向に行きそうになってるな、ヤバいぞこれは、どこかで修正しなくては、俺はハーレム物が嫌いなんだ。



「それなら僕達にお任せだねっ」

「頼めるか?」

「うん!マリー、いける?」

「あ、ああ大丈夫だ」



トリップしていたマリーが帰ってきた。



リンリーン♪



綺麗な鈴の音が鳴り響く。



ザッ!



「マリル様、お呼びで」

「うむ、レン兄様に貢ぎ物をする、様々な服、調味料、食材、生活雑貨を狩ってこい!」

「はっ!」



シュッ…



「お、おい…今買ってこいのニュアンスがおかしくなかったか?」

「そうか?いつも通りだが?」



そのいつもを俺は知らないんだよ!ヤバい…こいつダークホースだった!真面目キャラだと思ってたのに、レイのキャラが濃いから隠れてたけど、前に出しちゃ駄目なやつだったよ!



約1時間後…



これ、どうするんだよ…



レンの目の前には大量の服と調味料、食材、雑貨などが大量にある、黒装束の者達が現れては消え、現れては消え、様々な物をポンポン置いて行った。



別に運ぶのは問題ない、問題はどうやって集めているかだ、なんか、見たことある顔も2人くらいいたけど、受付嬢のヨミと、あのときのメイドだったな、ヨミの方は俺の顔見てすごい顔してたけど…



「おいマリー、これはまさか店から盗んでるんじゃないだろうな?そういう事はしないと約束したはずだが?」

「大丈夫だレン兄様、お店だけじゃない、一般人からも集めている」

「余計に駄目だろ!」

「そうじゃない、こういう物資を集めるイベントはたまに起こる、私の部下たちは持ち回りが決まっていて、どこからどれだけ物を調達したかを覚えている、それであとから色を付けて金品を支払うんだ、むしろ祭り事が始まったと大喜びだ」

「そうだったのか、効率が半端じゃなくいいな、早とちりした、すまない」

「ほ、褒めてくれてもいいのだぞ?」

「ああ、ありがとうマリー、助かったよ、レイもありがとな」



2人の頭を撫でてあげる。


仲良くなった人には強く当たれないレン、こんなだからハーレムになるのである、果たしてハーレム回避できるのだろうか…



「よし!物資も持ったし、向かうか」

「「…」」



レンの収納を見て絶句している2人であった。



―――――



「へぇ〜、ここがあの最北の村なんだぁ、オーソロンより立派かもね、さすが兄ちゃん♪」

「美しい…」

「俺もビックリしてるんだよ、魔法の知識をちょちょっと教えてあげただけなのに、村人達がヒートアップして、勝手にこうなったんだ」

「あれも?」



石像を指差してレイが言う。



「ああ…あれはやめて欲しかった…」

「美しい…」

「マリー?」

「おい、まさかお前、村じゃなくて石像を見て…」

「美しい!私も欲しい!」

「レイ、どうにかしてくれ…」

「えぇ、僕じゃどうにもなんないよぉ、いつもと逆だもん」

「レン様!私もあれ欲しい!」

「わ〜かった分かった、村人に頼んでみるから、落ち着いてくれ」

「本当はですか!?絶対ですよ!きゃ〜♪やった〜♪」

「こいつキャラ変わってねぇ?」

「僕もそう思うよ、やっぱり抑えてたのかな…」

「落ち込むなよ、楽しそうでいいじゃないか」

「そうだねぇ」



なんかレイの方が真面目に見えてきたな、レイは今まで好き勝手やってきた、マリーはそれを支えるために、感情を抑えていたのかもしれないな…少しは優しくしてやるか。



「マ、マリル…様?」

「!?」

「あ、フキノじゃ〜ん、死んでなくてよかった、ね〜マリー…マリー?」

「…」



ピョンピョン飛び跳ね、喜んでいる姿を見られたマリー、顔を真っ赤にして、レンの影に隠れると…その場で消えた。



「お前が、この村を襲撃するために送り込まれた、フキノか?」

「は、はい…」



右手には食材の入った袋、左手には水の入った水桶を抱え、お手伝いをしている途中といった姿だ。



「その感じだと手痛くやられたようだな、反省してるなら別にいいよ、村人は無事か?」

「はい!怪我1つしておりません、今はリル殿の家で厄介になっております!」

「そうか、どうだ?村人達は強かっただろう?」

「それはもう、手も足も出ませんでした…もしかしてレン様ですか?」

「そうだ、俺はレンだ、よろしくな、こいつら2人を絆してきたぞ」



レイの肩に手を置き、マリーの襟を掴んでフキノの前に突き出すレン、猫のようにぐでっとなっている。



「マリル様…あなたもレン様の手にかかると、そのようになってしまわれるのですね」

「まぁ喧嘩を売った相手が悪かったな、いや、むしろ良かったか?俺じゃなかったら皆殺しだったしな、これからは仲良くしようぜ?」

「はい!宜しくお願いします!」

「おう、マリーも戻ってこい、本来のお前を見せてやれよ、もう自分を偽るな」

「う、うん、分かったよ兄様、フキノ…」

「マリル様…」

「今まで辛く当たってしまってごめん、いっぱい任務をこなしてくれたのに、ありがとうの一つも言ってあげてない、こんな私だが、またついてきてくれるだろうか…」

「マリルさまぁ〜!」



抱き合って泣く2人。



「積もる話もあるだろうし、しばらく2人だけにしてあげよう、俺たちは村長宅に行こうぜ、この村は案内するような所が、この広場くらいしかないんだよ」

「そうだね、じゃあ行こうかレン兄ちゃん」



レン、レイ、デイルの3人は、泣き崩れている2人を置いて、村の景色を楽しみながら、ゆっくり歩いて村長宅まで向かうのだった。

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