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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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39話 戦闘訓練 by浅層の猪

皆で中央広場に向かって歩いていく。



「なあ村長」

「何じゃ?」

「南門にいるリルのことなんだが」

「おお、あやつがどうしたのじゃ?」

「稽古をつけて欲しいらしいんだよ、俺としては要望を通してやりたいんだ、あいつはかなり優秀だからな」

「さすがレン様、あやつの才能が分かるのじゃな、どうせ客なんか来んのじゃ、好きに稽古してくれて構わぬのじゃ」

「お兄さん!ティルのほうがさきっ!」

「そうだなティル、そういう約束だったよな、わかった、セイスが猪を狩ってる間に少し鍛錬してみようか、フローラもどうだ?」

「はーい!やったー♪」

「わたし?強くなれるのか?わたしはこう見えて弱いぞ?魔物なんて見たこともないからな」

「弱いから強化するんだろ?狩りをしない人間なら大体がそんなもんだろ、知らんけど、皆は魔法使えるのか?」

「レン様、この世界の人間はたいてい魔法の才能を持っておって、何かしらの魔法は使えるのじゃ」

「そうなの!?すごいじゃん!ならこの村全員の強化なんて簡単だよ!」

「そうなのか?」

「本当だよフローラ、俺はレンの話を聞いて、その事実を受け入れるだけで、倍以上強くなれると思ってる…だが…俺の優位性が…」

「セイス、お前はまたそんな事を言うのか?いい加減にしろよ、考えろって言っただろ、お前が優越感に浸りたいがために、村を危険に晒してもいいと思っているのか?それなら鍛えるのは終わりだ」

「す、すまない、男としての矜持がつい口に出てしまったんだ」

「そんな矜持は捨てろ、他人に嫉妬するな、魔法の才能に男も女も年齢も無い、努力すると言っただろ、それで他人と差をつけろ、俺はお前の魔法の才能に期待してるんだ」

「そうなのか?」

「ああ、お前と決闘したとき、離れた所に火球を出したり、掴んで投げたり、面白い使い方するなと感心したんだぞ?」

「そ、そうか…俺が…」

「だから頑張れ、お前が皆に魔法を教えてやるくらいの気持ちでいけ」

「わかった!やる気出てきた!皆もすまない」

「お父さん、いいよ〜、がんばって!ティルもがんばる!ティルがお父さんよりつよくなったら、わたしがおしえてあげる!」

「はははは、それは心強いな、皆で強くなろう!」

「と、言う事ですじゃ、よろしく頼みます、レン様」

「ああ、任せておけ、少し光明が差してきたな、この狩りが終わったら、村長、できる限りの村人を集めることはできるか?」

「うむ、やってみるのじゃ、皆も協力してくれるかの?」

「大丈夫よあなた、協力しないわけないじゃない、私も近所の奥さんたちに話を広めるよう言っておくわね」

「わたしもー!」

「いや、ティルは俺と一緒にリルの所に行くぞ、なんなら、その場で稽古だ」

「わかった!」



そうこうしてるうちにレン達一行は聖堂に到着する。



「やはり立派だな」



全体が真っ白な石造りで、明らかにダスト村の中にあるには不自然な建物である。



これも元からここにあったんだろうな、なんとなくそんな感じがする。



「転移先にも同じ建物があるのか?」

「そうだ、浅層第2区までしか行ったこと無いが、1区も2区も全く同じ建物だ」



セイスが答えてくれた。



「じゃあ元々ここも森の中だったのかもしれないな」

「それは間違いないのじゃ、人間が開拓して建物を囲むように村や町を造るのじゃ、この村も20年前、北王軍が無理やり森を切り拓いて作った村なのじゃ」

「なるほどねぇ…ん?てことは今から行く所、他の村や町のやつらも来るんじゃないのか?」

「ああ、たまにだが来るときがある、俺たちを見るとニヤニヤ笑って、見下してくるけどな」

「開拓者のやつらか…たち悪いな、大丈夫なのか?」

「大丈夫、人気のない区画だからな、本当にたまにだ、開拓者は大抵もう少し奥まで行くんだよ」

「それじゃあ浅層の開拓が進まないじゃないか、なんか矛盾してんなぁ」



会ったら会ったでその時だな、絡んできたら地獄に叩き落としてやる。


そう言えばキザ男、ここに入っていったか?南門のほうに歩いていったような気がするが、まさか時間を稼いでくれてるのか?そんなに優秀か?


まぁいい、とりあえず入るか…



中に入っていく一行。



すげぇ、マジで中も聖堂だな。



建物は3階建てほどの大きさだが、天井まで吹き抜けになっている、その天井は少し青みがかった優しい光を放っていて、そんな吹き抜けが真っ直ぐ奥まで続き、開放感に溢れていた、先の突き当りには祭壇のようなものがあり、祭壇の前の床には魔法陣のような物がある、これも青みがかった光を放っていた。



「あれが転移門なのか?」

「正しくは転移陣ですな、ただし、あれは最深層区への転移陣と言われておりますのじゃ」

「言われている?」

「誰も確かめようがないのじゃ」

「そうか、なら俺が後で確かめようかな」

「おお!さすがはレン様じゃな」

「それで?他の転移門は?」

「左右の扉なのじゃ」



祭壇までの間に、左右の壁に9つの扉、計18の扉がある。



「右の壁、その1番手前の扉から順に、浅層第1区〜深層第3区まで、計9つなのじゃ」

「なるほど、左の壁は各村や町に飛べるんだな」

「その通りなのじゃ、1番手間が中央大都市の北側付近、中央には各方角に3堂ずつ、計12堂の聖堂が建ってるのじゃ、そして中央行き扉の1つ奥が王都オーソロンなのじゃ、この村は1番奥じゃ、ここでは扉が開けなくなっておるのじゃ」

「なるほど把握した、聖堂が建っているからこその区画分けだったんだな、じゃあ浅層2区に行っちゃおうぜ」



浅層第2区の扉を開け、くぐった先は…



同じ光景だ…入った扉から出できたような感覚、凄い違和感だな。



「ここが浅層なのか?」

「ああ、外はもう森の中だ、帰るときは向かいの1番奥の扉に入ればいい、もちろん今通ってきた扉は開けなくなっている」

「凄いな、この建物…到底人の力で建てられるようなものじゃないぞ」

「私も初めてだけどスゴいわねぇ」

「ねぇ、またもどってきちゃったよ?」

「違うぞティル、同じだけど同じじゃないんだ」

「???」



そうもなるよな、俺も半信半疑だし、とりあえず外に行ってみるか。



セイスが慣れた感じで外に向かって歩いていく、その後を一行がついていった――――



森だ…



「すごーい!森だぁーー!」

「信じられんな…」

「ははは、レン殿でも驚くんだな」

「当たり前だ、ステータスは常識外れでも、中身は普通の人間なんだよ」

「そのようだな、それで、どうする?」

「猪を見つけるか」



リスクリワード、リスクリワード、リスクリワード…



「あっちだな」

「わかるのか?」

「当たり前だ、俺だぞ?」



フローラに聞かれたが、レンは説明がめんどくさくなった。



「そうだった、レンだったな…」



納得された。



「よし、向かうか」


ザッザッザッ


「いけー!」



レンはティルが疲れないように、肩車をしてあげていた、また、途中他の魔物がいないのをリスクリワードで確認するのも忘れない。


やっぱり距離が分からないのが痛いよなぁ、どうにかならんかなぁ、やっぱりゴブリン狩ってポイント貯めなきゃだよな、それでリスクリターンでの改造に賭けるしかないだろ。



「グゥ~、フグ、フガフガッ」



いたな、また地面を掘ってるよ。



レンは立ち止まり手で皆に止まるよう指示を出す。



「セイス、出番だ、一撃で仕留めてみろ」

「よし来た、やってやる」



小声で指示を出し、様子を見守る。

レンは心配していないが、他の皆は心配顔だ。


ザッ!


途中までゆっくり近づいていたが、10mほどまで近づいたとき、突如セイスが足音を立て、ここにいるぞと猪にアピールした。



「グァ!?ブブブブゥ!」



いや鳴き方、猪よそれでいいのか?



セイスの手に小さな火球が出現した、猪は何の警戒もなく、前足を掻いて、突撃する気満々だ。


次の瞬間、目にも止まらぬ速さで火球が飛び出し、猪の顔面に直撃、刹那の出来事だった。



「プギィーーー!」


ドタンッ、バタバタッ、バタバタッ…バタ…



オレンジの炎が顔全体を包み込み、たまらず倒れる猪、地面をのたうち回り、最後には息絶えた。



「やったな、魔力は?」

「お父さんすごーい♪」

「「「「…」」」」



皆は絶句している。



平気なのはティルだけかよ…



「おい!」

「はっ、レン殿!?これはっ?どうなっている!?」

「おかしい!さすがに許容範囲外だ!セイスが…セイスがレン化している!」

「こら、レン化って、人を悪い概念みたいな扱いするんじゃねぇ」

「これは、さすがに驚いたわねぇ」

「そうじゃのぅ、ここまでとはの」

「セイス、早く消費魔力を確認しろ」

「あ、ああ、そうだったな、ステータス…」

「どうした?」

「30くらいしか減ってない、だと?」

「あの威力で30なら、猪は敵じゃないな、中層のいいところくらいまで行けるんじゃないか?」

「ちょっと待ってほしい、少し考えさせてくれ…今までの狩りは何だったのだ?こんなにも威力が変わるのか?ブツブツ……」



自信満々だった割には驚きすぎだぞ、まあ今はそうやって考えておけ、そして自分で答えを見つけだせ、そうすれば少しは知能の潜在も上がるだろ。



「さて、こいつをどうするか」

「まずは吊って血抜きだな」

「どうすればいい?」

「木かなんかに宙吊りにして、何かで心臓を突き刺すか、首の動脈を断ち切る」

「任せろ」



レンは言われた通り、以前の時のように猪を宙に浮かせ、動脈を切りつけた、その光景を眺めていたフローラは。



「…もう、何も言うまい」



そう言って思考するのを遮断した。



「このあとは?」

「しばらく待って、血が出なくなったら、水で洗って、解体だ」

「以前俺がこいつを食ったときも、あながち間違えた対応じゃなかったんだな」



セイスは動きそうもないし、一旦氷漬けにしておくか。



血抜きが終わった頃、突然空中に大きな水球が出現、猪を洗濯機のように洗い、最後にはパキパキと凍り始めた。



「こうしておけば鮮度も保てるだろ、フローラは解体できるか?」

「ああ、定期的にやってるからな、お手の物だ」

「それは頼もしいな、村に帰ったら任せるよ」

「いつものように皮は私に頂戴ねぇ」



やっぱり革職人持ってんだろこの人



「レン殿がいると猪を運ぶのも楽だな」

「お?セイス、戻ってきたか」

「ああ、自分なりに納得したよ、今までは火の玉を作る事しか考えてなかった、レン殿の言っていた通り、火とはこういうもの、と決めつけてたんだな、今は火は燃えるのは当たり前、燃料を与えれば火力は何処までも上げられるって分かった、火球を維持するっていう、余計な事を考えなくなったから、操作性も上がったよ」

「今までとは比べ物もないほど強くなったな、正直魔体の貸与はいらなかったくらいだ」

「いや、魔体があったから数時間ずっと鍛錬出来たんだ、正直何日分の魔法を使ったか想像もつかん、潜在能力も上がっただろう、次のレベルアップが楽しみだ」

「じゃあ次だ」



その後猪を何体も、探しては狩り続けた。

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