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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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38話 魔法知識の違い

貸与の実験を終えたレン、次に本格的なセイスの強化に入る。



「さて、セイスは魔法をどう考えながら発動しているんだ?」

「ん?ああ、こう、火の玉よ出ろって感じだな」

「それじゃ駄目だな、さっきのあの火球でどのくらい魔力を消費した?」

「50くらいだ」

「最初の俺の火球のほうが威力高かっただろ?」

「そうだな、真っ直ぐ見えなくなるまで飛んでいったし、俺の火球じゃ途中で失速して消えるな」

「俺の火球の消費は5だ、この森を燃やしたときは、確認はしてなかったけど、恐らく1000くらいだな、お前だって頑張ればそれに近いことが出来る、しかも、今は5秒で回復1だったよな?つまりは時間コスト1時間くらいでだ」

「は?嘘だろ!?」

「そのために、知識のすり合わせをするんだよ」

「なんかドキドキしてきたぞ」

「まず俺は、魔法は想像次第だと思っている」

「そうなのか?」

「ああ、魔法とはこういうものだ、と思って発動しているんじゃない、魔力を使って事象の手助けをするイメージだ、お前のは事象の具現化だ、そりゃあ消費も多くなる」

「なんか難しいな」

「お前は木とかを燃やして焚き火をしたことはあるか?」

「ああもちろんあるぞ」

「なんで木は燃える?木が魔力を使って燃えているのか?」

「そういうことか!おれは全て魔力で補っていたんだな、でも火が燃える理屈なんて知らないぞ」

「いいんだよ難しい理屈なんて、温度が上がれば空気と木を燃料にして燃える、これだけ覚えておけ」

「わかった、空気を燃料にしているのか、どうりでたまに息苦しくなるときがあると思ったよ」

「それは建物の中とかで燃やすから、周りの空気がなくなっちゃうんだよ」

「やっぱりそうか、そのときはテントの中で燃やしてたな、寒くてさ」

「それは煙たくってどうしょもないだろ、下手すりゃ死ぬぞ?気をつけろ」

「わ、分かったよ」

「つまり、お前は魔力で火そのものを作ってたんだ、だから魔力の消費が高くなる、と予想される、火を熾すのは最初だけでいい、その後は空気の変わりに魔力を送り込んで、火を大きく、もしくは温度を高くするんだ、燃料を焚べるイメージだ」

「なんだか常識が壊れていくな」

「俺の育った世界は魔法が無い、だからそういった物事、事象の理屈を解明する、といった追求や研究には余念がない、物凄い熱量があったんだよ、科学知識と言うんだが、俺にはそこまでの知識はない、だが、火が燃えるときに空気、酸素というんだが、それを燃料にしている、という事実を、一般人の誰もが知っている、ってくらいには研究が進んでいたんだよ」

「魔法がない…凄い過酷な世界だったのだな」

「そんな事はない、平和なものだった、魔法もない、魔物もいない、人々も穏やか、そんな世界から無理やりこの世界に連れてこられたのが俺なんだよ、しかも深層にな、強くならなきゃ駄目だったんだ、たまたま神様に助けられたからよかったけど…」

「や、やめよう!今はこうして生きてるんだから良かったじゃないか」

「そうだな、村長の家族達、もちろんお前にも、助けられたと思ってる、だからお前を強くするのは恩返しなんだ、強くなってもらわなきゃ困る」

「お、おう!やるぞ!俺はきっと強くなってみせるさ!」

「よし、続きといこう」

「どんとこい!」



その後数時間レンとセイスは魔法の鍛錬に明け暮れた。



―――――



「ふう、相変わらず美味しかったよ、野菜だけなのによくこんなに美味しく料理できるもんだな」



レン達2人は鍛錬を終え、村長宅に戻ってきていた。



「褒め過ぎだ、こんなの、この村の連中なら、誰でもできるんだよ、調味料があるうちはな…」

「北王めぇ、そのうち絶対ボコボコにして、調味料ふんだくってやる」

「はは、レンなら本当にやりそうで怖いな」

「いや、俺はやるよ?二言はないよ?」

「そ、そうか、それは楽しみだ」

「さて、少し休んだら次は魔物狩りに行ってみようか、転移門ってどこにあるんだ?」

「中央広場の聖堂の中にあるのじゃ」

「ああ、あそこか、やけにこの村に似つかわしくない建物があるなぁって思ってたんだよ、だからセイスは森が焼けてるのに気付かなかったのか」

「そういう事だ、聖堂を出た瞬間にあの騒ぎだったからな」

「はははっ、すまんなお騒がせしちゃって、転移門は森のどこまで行けるんだ?」

「各層の区ごとに魔物除けの掛けられた建物が建っていての、最深層区まででも行けますじゃ、何者が設置したのか分かってないがのぅ」

「まじで!?最高じゃないか、まずは猪でも狩ってくるか?」



暇が出来たら深層区のゴブリン集落でも殲滅してくるか、リスクリワードがあれば、鹿と合う危険性も無いし、転移門の場所も分かる、迷わないって素晴らしいな。



「ティルお肉たべたーい!」

「ティル様がお望みでは仕方ないな、行くしかないだろう、セイス行くぞ、実戦だ」

「わかった、2人で行くのか?」

「もちろんだ、しかも戦うのはセイス、お前一人だ」

「任せろ」

「ちょ、ちょっと待って欲しい!いくらなんでもそれは!」



フローラが叫ぶ。



「大丈夫だフローラ、たった数時間だが俺は強くなった、今なら猪なんか目を瞑ってても勝てると確信している」

「え…レン、セイスに何をしたんだ?」

「ん?ちょっと魔法の知識を正しただけだが?」

「ちょっとでこうなるのか?」

「なんなら皆で行って、その目で確認するか?そのほうが安心できるだろ」

「レンが家族を守ってくれるなら、俺は構わないよ」



お?セイスはずいぶん自信がついたな、焦りがなくなって強者感が出てきたぞ、だがセイス忘れるなよ?今の魔体は借り物だと言うことを。



「だそうだ、皆はどうする?」

「ティルいくー!森に行ってみたい!」

「ティルは度胸があるなぁ、他は?」

「では、よろしく頼む、実はセイスの戦っているところを1回見てみたかったんだ」

「俺と戦ってるところを見ただろう」

「あれは戦いとは言わん!」



酷い!一生懸命手加減して戦ってあげたのに!



「儂らも付いていっていいのかのぅ」

「いいんじゃないか?浅層くらいなら、文字通り小指一本でどうにでもなるしな」

「じゃあお願いしようかしらねぇ、私も初めてだから楽しみね、ふふふ」

「じゃあ早速出発するか?準備するものもないしな」

「レンさん、ちょっと待っててくれる?」

「どうしたんだ?」

「ふふふ…」



えぇ…ふふふって、なんだよ、不敵すぎる…。



しばらくして…



「はい、これを」

「おお!これは服じゃないか!」

「レンさん、着物がボロボロなんだもの、材質はとても良いものだとは思うのだけれど、それじゃあねぇ」

「テラー、俺のために裁縫してくれてたのか、ありがとう」

「いえいえ、ふふふ…帰ってきたら髭と髪も整えましょうねぇ」

「は、はい…よろしくお願いします…」



―――――



「ぴったりだ…」

「私には裁縫の才能があって、採寸の技能でその人を見れば寸法がわかるのよ」

「へぇ~、便利な能力だ、本当にすごいな」



厚手の生地で出来た黒色のズボン、シャツはクリーム色で暖かみがあり、丈が長く太ももの真ん中くらいまである、これも少し厚めの生地だ、シャツの上から太めのベルトを締めているが、締めるというより、軽めに掛けておくような感じで、ベルトの左脇には荷物を入れられるよう、バッグが備え付けられていて、右の太ももには別のベルトが縫い付けられている、ナイフホルダー付きだ、更には黒い編上げブーツ、濃い茶色のマントも羽織り、物語でよく見る冒険者のような格好だ。



ブーツまで…本当に裁縫だけなのか?ベルトとか、バッグも革だぞこれ、革職人とか持ってない?



「ふふふ…似合ってるわ、さすが私ね」



この人は謎だ、つつくのはやめよう、やっぱりなんか怖い。



「そ、それじゃあ出発するか」

「おおー、しゅっぱーつ!」



ティルが元気よく返事してレンの手を握る。



行くのは浅層だが、油断はするな俺、小指で戦うのは駄目だ、絶対怪我はさせないぞ。

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