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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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30話 ダスト村散策とレンの決意

レンは久々ぐっすり寝て、ティアと再会し、幸せな気持ちで、ボーッとこの世界の事を考えていた。



北王が治めてるのに、なんで中央から改名を指示してくる?なにか企みでもあるのか?まぁ中央が全てを治めているようなものなのだから、おかしな話ではないが…


それにしたって無数にある街や村、その一つ一つの名前を中央がいちいち管理するか?気まぐれなのか?なんなら北王が村の名前を管理するのだっておかしいだろ、近々なんかあるかも知れんな、気をつけないと…頭悪いだけの可能性もあるけど、だって…



中央が強者、名前は単一

東西南が王で、こちらも名前は単一

北も王だが、名前が貴族的



どう考えても、中央の自分を強者と名乗るファーニック、北のバーレルの貴族的な名前、この2人が目立つし、頭悪そうだもん。


北王は名前にこだわりありそうだし、中二病の匂いがプンプンするんだよなぁ、バーレルって名前に自分でディ・オーソロンって付け足したのだったら、本当に痛いぞ、渡り人だったらバーレルすらも偽名の可能性があるよな…


東西南はなんか、常識的って感じだ、1人だけ魔王なのにまともに感じるよ、いないんじゃなかったのかよ魔王、いや、そういう人類の敵、みたいな意味の魔王じゃないことは分かるんだが…とにかく善政を敷いていればいいが…


ウダウダ考えてもしょうがないか、だって実力至上主義なんだろ?俺より弱かったら、言うこと聞かなくても良いって事じゃぁないかぁ、なぁキミもそうは思わないかね?



いったい誰に語りかけているのか、そう結論付けたレンは、ベッドの横にある小さなテーブル、その上に畳んで置いてある自分の服を着て、部屋から出ていく。



「あ、おはよう」

「レン様、おはよう、ぐっすり眠れましたかな?」

「ああ、本当に村長には感謝してるよ」

「感謝する程の事では無いですぞ、他人に施すのは当たり前の事なのじゃ」

「そうか…」



まだ俺に緊張しているのか、敬語とタメ語が入り混じってるけど、この性格だ、敬語のほうが馴染んでいるのだろう、本当にいい村長だ、侵攻の壁とかこんな状況なのに、だから村の皆も明るさを保っていられるんだろうな。



「今日はどうなされますかな?」

「そうだな…村でも案内してもらおうかな」

「わかったのじゃ」

「おはよー!おじーちゃん!お兄さん!」

「おお、ティルや、おはよう」

「おはようティル、今日も元気いっぱいだな」

「うん!元気ー!」



一段と雰囲気が明るくなった、ティルの才能だな。



「おはようレン、父ちゃん、朝飯にするか?」

「うむ、頼むのじゃ」

「ああ、リビングで寛いでいてくれ」

「ありがとう、今日もご馳走になるよ」

「いいよ、レンも寛いでいろ」

「わかった」

「お兄さん行こ〜」



リビングに行くと、テラーがいて、裁縫らしき事をやっていた。



「テラー、おはよう」

「レンさん、おはようございます、良く眠れた?」

「うん、それはもうぐっすりだよ、葉っぱとは違うよな」

「ふふふ、当たり前じゃないの、でも良かったわ、レンさんが葉っぱで寝ていてくれたおかげで、うちのお布団が高級に感じられたんだから」

「ああ、リスクにはリターンがないとな」



しばらくぺちゃくちゃと喋って、準女神フローラの食事という名の施しをいただき、意気揚々と村へと繰り出した。


村長と並んで村の中を歩いていく。



「おはよ〜村長!なんだ?今日はいい男連れてんなぁ」

「おお、モルス、この方は客人じゃよ」

「へぇ〜、こんな所にねぇ、変わった御人だなぁ」

「そうか?俺はいい村だと思うぞ?」

「かぁー!言う事までいい男たぁ、こりゃ参った」

「俺はレンという、あまり良い教育を受けてないから口は悪いけど、よろしくな、モルス」

「ああ、いいって事よ、お互い様だ!ハッハッハッ!」



やはり明るくていい村だ、必ず守るぞ。



その後も村長と村を練り歩き、数時間で回りきってしまった、もちろん全部の家々を回った訳ではないが。


村の中央に直径100mほどの丸く拓けた広場があった、普通なら村人達の憩いの場なのだろう、中心にある噴水は水が枯れて出ていないし、周りも手入れされていないのか草茫々だった。


住んでいる家も、決して古くはないのに継ぎ接ぎでボロボロ、今にも倒壊しそうな家から楽しそうに笑う人達の声がした時は、心が締め付けられる思いだった。



本当に小さな村だったな、俺が入ってきた北門から、南門まで直線で1kmちょっとくらいか?

そして、お店が全然ない、野菜を売ってるお店と雑貨屋が一軒ずつのみだった、本当に寂れてるんだな。



「すまんの、寂しい村で…2ヶ月前までは、たまにじゃが商人が来て、中央の広場で物を売り買いしとったんじゃ、ティルも毎回楽しみにしとってのぅ…」

「めっきり来なくなったと…」



レンは、先程見た広場の光景を思い出し、そこで商人が地面に商品を並べ、村人達が楽しそうに買い物を楽しむ風景を想像して、またも胸が締め付けられる。



「ここは、この辺りでも特に最北に位置する村じゃからの、儂らが他の村に行くといい顔せんのじゃ、特に2ヶ月前からは余計にの、じゃから食事も全て自給自足にせざるをえんのじゃ」

「最弱が伝染るとでも思ってんのかよ、頭わりぃなぁ、これも北王の策略なのか?」

「策略…なのかのぅ…やはりそう聞くと悲しいのぅ、儂らの人生はなんの為に有るのかのぅ」



くうっ…こう、長年生きてきた年配者が、なんの為に生きてきたのか、なんて事を口にしてると泣きそうになるな、俺なんか力が与えられただけマシだったんだ…もっと辛い人はまだまだいる。



「大丈夫だ村長、俺が来ただろ、それに優しい家族に恵まれて、みんないい子に育ってるじゃないか、意味のない人生なんて無いんだよ、この村で生まれ育って、ただ奪われ死んでいったやつら、全ての人達に意味を作ってやろうぜ、この時の為に生きていたんだと、俺たちに未来を託したんだとな」

「レン様…ありがとう」

「感謝はまだ早いぞ村長、これからだ、これから巻き返すんだから、その時まで感謝の言葉と涙はとっておけ」

「わかったのじゃ、その時を楽しみにしてますかのぅ」



そうだ、それでいい、村長が笑ってないとダメなんだよ、見てろよ北王、そしてシン、エリカ、カリン、セイト、カノン、鼻くそ!目にもの見せてくれる、笑っていられるのも今のうちだからなぁ!

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