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神の庭園〜箱庭管理人〜 テンプレ破壊の復讐神、異世界へ降臨す。  作者: coz
第三章【北国】〜ダスト村の攻防〜
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26話 村長の家へ

村長宅についた、周りの家より少しだけ大きな家だ。



住みよさそうないい家だ、全て無垢材で造られたのだろう、暖かみのある色合いだな、ログハウスみたいだ。



「あ、おじーちゃんおかえりなさい♪」

「おお、ティルや、ただいま、テラーはいるかの?」

「うんっ、待ってて、今呼んでくる!」



タタタタッ、と家の中に戻っていく可愛らしい女の子、見た目は小学生の高学年〜中学生になりたてくらい、いくらか赤みがかった白髪、少しだけピンク色にも見える、ツインテールで活発そうな可愛い系の女の子だ。



見た目よりも言動が子供っぽいな、名前をティルと言っていたか?おじーちゃんって呼んでたから孫かな、確かに少し騒がしそうだ…



少しだけ…胸の奥が痛くなるレン…いくら精神が高くても、嫌な思い出は忘れることはできないらしい。


しばらくしてタタタタッと、足音が聞こえてくる。



「こらこら危ないわよティル、転んだらどうするの?」

「転ばないもーん」

「はぁ、とにかく気を付けなさい」

「はーい」



そんな会話をしながら、少し年配で、軽くシワは入っているが、キレイな顔立ちの女性が、ティルに手を引かれて、玄関から出て来る。


髪は腰まで伸ばした真っ白のストレートで、地味な薄紫のワンピースを着ている。



う〜ん、俺からみて、年の離れたお姉ちゃんってところだ、村長の娘かな。



「こら、ティル、テラー、お客さんの前じゃぞ、失礼のないようにな」

「あら、こんな所にお客様なんて商人以外では、何年ぶりかしら?」

「だぁれ〜?」



俺のほうから挨拶するべきだろう。



「始めまして、俺の名前はレン、魔物の住む森…危険区域の深層で迷子になってしまいまして、たまたま、ここの村にたどり着いた者です」

「…」

「…」



ん?なんだ?



「あ、あなた?今この方はなんと?」

「この方はレン様、とある事情で深層で修行していたのじゃ」

「聞き間違いじゃない…?」

「うそぉ〜そんな強そうに見えないよ〜」

「こらティル!そんなこと言う「いや、いいよ」え…」

「ティルちゃん始めまして、おじちゃんな、浅層で修行してたら迷子になっちゃったんだよ、村長が助けてくれたんだ」



実力を知られるタイミングは今じゃない、ここじゃつまらない。



「そぉなんだぁ、おじーちゃんえらーい♪」

「年取ると耳が遠くなるからいやねぇ、ごめんなさいねぇ、レンさん」

「いえいえ、浅層と深層は言葉が似てますからね、誰でも聞き間違える可能性がありますよ、お姉さんもまだまだ、耳が遠くなるような年じゃないでしょう?」

「まぁ!お姉さんだなんて、お口が上手なのねぇ」

「え?お姉さんでは?村長の娘さんですよね?」

「あらあらあら!嬉しいこと言ってくれるわねぇ!」



え、まさか…



「レン様、儂は娘に自分のことを[あなた]なんて呼ばせる趣味はありませんのじゃ、[あんた]って言われることはありますがのぅ」

「レンさん、私はこの人の妻ですよ」



ですよね〜、途中まで本当に勘違いしてたよ。



「それは失礼しました、余りにも若く見えたもので」

「全然失礼じゃないわよ〜」

「とりあえず、中に入って下され」

「あぁ、わかった」

「レンさん、私達にも砕けた口調でいいわよ♪」

「そう、か、わかった、そのほうがこっちも楽なんで助かる」



いや、俺は敬語に慣れてるし、どっちでもいいんだがな。



「うふふ」



本当に綺麗な人だが、少し怖い。



「適当に座って下され、儂はフローラを呼んでくるでの、テラー、レン様の相手を頼んだぞぃ」

「ええ、分かってるわ」



玄関入ってすぐのリビングに、無垢材で作られた大きなテーブルが一卓置いてある、レンは言われるがまま、適当な場所に座った。



「うんしょ、ねぇ!お兄さんはどこからきたの?」



隣にティルが座って質問してきた。



俺はお兄さんって年じゃないぞ…あ、また偽装してたの忘れてた。



「ニホンっていう所から来たんだよ、凄く遠いんだ、もう帰れないかもしれないんだよ」

「そうなの?悲しくない?」

「うん?う〜ん、少しだけ悲しい、かな、母さんに別れを言ってないからね」



悲しそうな顔をするティル。



優しい子だな…



また、胸の奥がシクシク痛みだすレン、人の優しさが怖くなってしまっているのだ。



ティアの時はこんなことなかったのに、そこは流石に神様ってことか。



「お母さんもきっと悲しいよ?」

「そう、かもな…帰れないと決まったわけじゃないから、いつかは帰れるように頑張るよ」

「うん!頑張って♪」

「ティル、レンさんを困らせてはだめよ」

「困らせてないよ〜」

「いや大丈夫だ、俺も故郷のことを久しぶりに思い出せたし、帰りたいって気持ちが、まだ自分の中にあることを再認識できたしな」

「そう、でも私も、そうできるならちゃんと帰って、母親にちゃんと生きてるって、報告したほうがいいと思うわ」

「ああ、いつか報告するよ」



無理なんだがな、神様になるから。



「おーっす」

「こらフローラ、お客様の前で失礼でしょう」

「お母さん、めっ」

「すまんすまん、でもわたしは元からこんなだし、勘弁してくれ母ちゃん」



でかぁ、シンよりでかくないか?でもスラッとしていて、なんか美しい人だな…ギャップの激しさに引き込まれそうになるぞ。



髪はテラーとおなじく真っ白のストレート、背中の中心までくらいの長さ、茶色の地味なワンピースの上に白のエプロンを付けている。



皆同じような地味な格好だ、村全体が…失礼だが貧しそうだな。



「始めまして、俺はレンだ、よろしく」

「おうっ、よろしく頼む、フローラだ!」



強引にレンの手を取り、握手をしてくる。



この世界にも握手があるんだな。



「これで全員そろったのぅ」

「わたしの旦那は魔物狩りに行ってるんだ、1週間は帰ってこない、すまんなタイミングが悪くて」

「いやいいよ、その時は改めて挨拶させてもらおう、魔物狩りはどの辺に行ってるんだ?」

「浅層第2区だな、この村では凄腕なほうだ」

「そうか、それは会ってみたいな」



浅層で凄腕なのか…



「お父さんいのしし狩りに行ってるの〜♪早く帰ってこないかな〜、お肉楽しみ♪」

「ティル?お父さんも楽しみにしてあげなさい」

「あ、うん!お父さんに早く会いたいな〜」

「この子ったら…」

「「「ははははは♪」」」

「はぁ〜」



皆が楽しそうに笑い合う、テラーだけため息だ。



本当に仲の良い家族だな。



「その猪は強いのか?」



この世界での、強さの立ち位置を確認するため、質問する。



「第2区では強いほうだ、大人5人がかりで、徐々に体力を減らして、数日かかるんだ」



フローラが答えてくれた、俺の実力がなんとなくわかる村長は苦笑いだ。



約束を守ってくれてるな、ありがたい。



「すご〜くおっきいんだよ♪」

「どのくらい大きいんだ?」

「う〜ん、このまえ狩ってきたのは、あたまからおしりまで、おとな2人ぶんくらい!」

「そうかぁ、じゃあこの前サクッと狩ったのがそうだったのかもしれないな、あ」



基本、嘘と隠し事に慣れてないレンだった。



「「「…」」」

「レン様…自分でバラしては元も子もないぞぃ」

「お、俺って正直者だからな、それに!これは自分でバラしたからノーカンだ!」

「ノーカンが何かはわかりませぬが、なんとなく言いたいことは分かりましたのじゃ…」

「おじーちゃん、今サクッて…」

「うむ、わたしにもそう聞こえたぞ」

「あらあら〜、やっぱり聞き間違えじゃなかったのねぇ」

「良く聞けお主ら、そしてこれを見よ」



村長は、俺から預かっていた牙を、テーブルの上に置く。



「この方は、何かのトラブルに巻き込まれ、危険区域、その深層へ飛ばされたのじゃ」

「ねえねえお母さん、やっぱりお兄さん強いの〜?」

「わからん、そんなふうには見えないが、魔法師なのか?」

「強い人がこの村に来てくれるなんて、いいことじゃない」



レンは開き直ることにした。



「魔法も近接も両方いけるよ、カオスゴブリン程度なら、魔法を使った場合に限っては、何匹いようと瞬殺だな、だから、どちらかといえば魔法師なのかもしれない」



思えば、今なら鹿もいけるんじゃないか?…うん、いけるな。



「「「「瞬殺…」」」」

「そんな怖がらないでくれ、絡んでこなければ何もしない」

「絡んだらするんだな」

「そりゃするだろう、絡まれてるんだから、黙ってるほうがおかしくないか?」

「わたしは絶対に絡まないからな!」

「ティルもー!」

「私も、絡むほどの実力はないわ」

「レン様は鍛錬が趣味で、その時間を削られるのを極端に嫌がられる、お主たちも覚えておくように、もちろん実力を吹聴するのもご法度じゃ」



実力がバレたところで、レンはこの世界のことについて質問していく。

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