23話 魔法鍛錬
レンはしばらく対岸からスライムを眺めていた、ホクホク顔だ。
「いやぁ素晴らしい感触だった、ひんやり冷たくて、ぷるぷるつるつるだったなぁ」
ワンチャン俺について来てくれ、って言ったら来てくれそうだったが、こっちの感情読めそうだったし、言葉の意味も少しだけ理解してそうだったしな。
そのうち3匹は、揃って森の中へ入っていった…
…ぐすん。
よし、どうするか…やっぱりいるな。
魚だ、どうせ魔物なんだろうけど、魔法の練習がてら捕まえてみるか?
この世界での魔法はどんな感じなのかな?
詠唱で決まった形が出るのか…
それとも想像次第なのか…
まずは魔力を確認
魔力 6122
いくぞ!
「ファイアーボール!」
…
はい次。
「火球!」
…
はい次。
「黄昏よりも暗き者…」
やめよう…
次は想像でやってみるか。
魔力を炎に変換する、ということを意識して…
炎はフレイムだが、はたしてどうなる?
「炎よ」
バチッ、ボッ!
指先で火花が散り、そこを起点に炎が発生。
肘から指先までを包みこんだ、次第に肘から指先、指先からその先へと流れるように、炎がゴーっと音を出しながら噴出し始める。
「おお〜!すごい、ガスバーナーみたく手から炎が出てるぞ、やはり出してる本人は熱くないんだな、ブレードみたくてカッコいい」
やっぱり炎も火の括りだよな。
やはり想像力なのか?
レンは手の平を上に向け、手から出ている炎が、手の平の上に集まって、火球になるよう念じる。
徐々に炎が、手の平の上に集まって凝縮、ソフトボールくらいの大きさになり、目の前に浮かんでいる。
おお!すごい、不思議な感覚だ、どうなってんだこれ、周りの酸素とか無くならないのか?魔力を燃料にってイメージしてるから無くならないのか、可燃物も点火源も無いのに火がつくのは不思議だな。
いろいろと考えていると、火球は赤色からオレンジ、オレンジから黄色、黄色から白、白から青白く変化していく。
考えてる間にも腕から噴出する炎が集まり、凝縮し続けていたのだ。
眩しっ!ヤバいっ!どうする!?
レンは目を瞑り、咄嗟に手のひらを前方斜め上に向け、集めた炎を対岸の、さらに奥の森の上、さらにはその遠くの空まで、できるだけ高速で打ち出し、そこで爆発するようイメージする。
イメージは、大砲だ!!
瞬間、ドン!!と大きな音を鳴らし、火球はその音を置き去りにして消え、刹那。
バァァァン!!!
大爆発、遠くの空がオレンジに染まった…
地上からも炎とキノコ雲が発生し、数秒後、ここまで衝撃が走ってきた。
……う、うわぁ…ヤバぁ、ただの火球が、なんで何も無い空中で爆発したんだ?大砲のイメージで放ったからか?…あ、爆発するようイメージしちゃってたか、咄嗟だったからな、次はうまくイメージしないと。
あまりの焦りに、青白い炎なら表面温度は10000℃以上、それならあのくらいの爆発はするだろうと、勝手に想像してしまっていたレンであった。
次に、森の中から大量のスライムが飛び出してきたり、地面からスッと現れたりして、川に飛び込む。
カオスゴブリンも数匹いるな…
芋洗い状態だ…さすがにこれだけいると気持ち悪い。
あ、カオスゴブリンがスライムたちに溶かされてる…
層的にはカオスゴブリンのほうが強いはずだが、数の暴力には勝てなかったか、驚かせてごめんよスライムちゃんたち、たんとお食べ。
その後レンは放心しながら、1時間ほどスライム達をぼーっと眺めていた。
「あ、そうだ!ステータス!」
貯蓄 9943 −1000 +2640
魔力 6122
えぇ…魔力全回復しちゃってるよ、あの威力で時間コスト1時間以内とか、ほんとにチート臭くなってきたな、まぁ体感の時間だから正確には分からないけど。
しかし魔体が強すぎる…ダークホースだったよ。
貯蓄も増えてる、1640を80で割ると…あれ?ゴブリン20.5匹?スライムちゃんを巻き込んだか?すまん、スライム達よ。(レンには横の+−の数字は見えていない)
貯蓄 10023 +80
あ、増えた、死にかけだったのかな?80ポイントだから、ゴブリンだな、良かった、それにしても倒した時の距離とか関係なく吸収するのかよ。
そんなことを確認しているうちに、徐々にスライムの波は引いていき、あとに残されたのは…川を漂い流れてくるゴブリンの残骸だけだった。
うん、魚は諦めよう。
もう一回全ステータスを確認しておくか。
「ステータス」
名前 神園蓮30歳
職業 ギャンブラー Lv2
貯蓄 10023
体力 10000
筋力 11540
俊敏 10589
精神 99999
魔力 6122
魔体 26891
知能 4231
技術 7093
才能
投資 努力 回避 武術
技能
貸与1 リスクリワード3 潜行2
ファイア ウォーター ソイル ヒール
称号
討伐者
[カオスゴブリン]
何気にギャンブラーのレベルが上がってる…いつだ?
あと確か、カオスゴブリンからは、技能を得られる、ってなってなかったか?武術が才能のほうにあるぞ、魔物と人間は違うってことかな?
魔法…はクラス表示がないんだよな、イメージ次第で最強になるってか?
いやいや、そしたらこの世界はそんな奴らばっかりになってしまうぞ。
レンは知らなかった、魔力6000超えに魔体27000弱という数値は、この世界では圧倒的ステータスだということに、セイトでさえ魔力900弱、魔体に至っては300ちょっとだったのである。
しかしレンは、シン達に10万ポイントを渡したので、油断できないと思い込んでいた。
潜在能力が高くなければ、そもそも割り振れない、ということも忘れて。




