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170話 覚醒

ドワーフのデンちゃんを招待して、観光がてら地球のあらゆる建築様式を確認してもらった。


流石は建築の妖精、建物を見るだけで目を輝かせ、ふむふむと唸っては次と、忙しく全世界中を練り歩く事一週間…



「世話になったな」

「ああ、また来たかったら連絡してくれ、その水晶を持っていれば自由に来られるけど、転移が無いとあちこちへは行けないだろうからな」

「うむ、その時はよろしくお頼み申す」

「おう、まずは場所が決まったらその時計で連絡するから、それまでは仲間たちと構想を練っていてくれ、まずはほいっ、それを」

「む…なんだ?」



デンへ収納袋を投げ渡すレン。



「100億円分…ツェファレンだと小金貨100万枚と鉄鉱石が100トン…10万kg分入ってる、準備資金や当面の食事なんかとして使ってくれ」

「ふぉぉ…感謝する!こりゃあ気合い入れんとな!」

「まぁほどほどにな、そんなに急いではいないし、ゆっくりでいいから、そのかわり作業は安全丁寧に頼むぞ」

「儂らの身体への気遣いまで…こんなに優しい依頼主は初めてだ、完成までよろしく頼む」

「こちらこそ」



最後に固く握手をして別れ、デンはツェファレンへの扉に入って行った。



「レン〜、話しは終わった?」

「ああ終わったよ」

「ティア様が呼んでたよ?」

「はぁ?神様からの呼び出しかよ〜、初めてなんだが…怖いなぁ」

「頑張ってね♪」

「レイカ、他人事だと思って、ちくしょう」

「ははははっ、応援してるよ♪」

「すぐに行ってくる」

「行ってらっしゃい♪」

「ふぅ〜、転移!」



―――



気合を入れて箱庭へやってきたが…



「あ、来たね〜♪」

「…」



レンは緊張のため言葉を発せずにいた、ティアともう1人、坊主頭のいかつい男がいたのだ。



「む?レン殿だな、初めまして、我はツェファレンの管理人をしている者だ」

「うっ…は、初めまして…」



怖い!なんだよこれ!



「あっははは!レン緊張してるぅ〜♪」

「当たり前だろ!俺はまだ普通の人間寄りなんだぞ!」

「そんなに緊張しなくともよい、お主に礼がしたいのだ」

「礼?」

「うむ、最近…16年前ほどか、邪法により我の力の一部を使い、我の世界の人間を無理矢理改造しようとする者がいた」

「それって…」



呪いの事では?



「そうだ、理由は分からぬが、10人の幼子の技能を暴走させようと企て、結果は9人が半暴走状態になってしまった、危うく世界は混沌へと移行するところだったのだ」

「やはり…それならばお礼を言うべきはデビライドですよ」

「そうなのだがな、我にも立場があるし、とある理由で地上の生物と簡単に会うわけにはいかぬのだ、デビライドにも感謝の言葉は伝えておいてもらいたい」

「分かりました、伝えておきましょう」



まぁ、神が地上へ干渉出来ないというのはよくある話だしな、しょうがないか。



「うむ…あとはお主だ、レン殿、一部とはいえ暴走を止めてくれた、感謝する」

「い、いやいや!頭を下げないでくれ!」

「フフッ、言葉遣いはそれでよいぞ、我もティルと同じくらいの歳だからな」

「はぁ、わ、分かったよ…」

「大丈夫だよレン、この神も優しいからね♪流石に私より力は強いけど、同期みたいなものなんだよ〜」

「そうなんだな、それで?あんたの名前は?」

「む…な、ない」

「ふふふふ…付けて欲しいんだってさ♪」

「正直に言おう…名前をもらったティアが、我は羨ましい!」

「えぇ…」



少しポンコツ臭が漂う、余りにも人間味に溢れた神様に、流石のレンも予想外過ぎて言葉が出てこない。



「私は地球を中心に活動してて、慈愛の女神ヘスティアなんて付けられたからね〜」



いや、それは違うぞティアさんや、確かに地球におけるヘスティアとは、差別をせず、どんな種族にも同じ愛情を注ぐ慈愛の神だ、俺もそう思ってた…しかし実際は、炉とか家政の神様だったはずだ、むしろ愛に関して少し理解が薄いというのが定説、職人気質で頑固者という記述もあった、最近スマホで調べたから間違いない、口には出さんけど。



「ぶっ、くくく…」



ツェファレンの神はレンの考えが読める、思考を読んでしまい、ヘスティアの事を知り、笑いが我慢できず吹き出してしまう。



「え、どうしたの?急に吹き出して」

「ん、いやちょっとな…レン殿、何か格好良い名前はないか?」



切り替え早っ



「う〜ん、戦の神かなぁ」



確かヘスティアを調べてる時、他の神の名前も少し見たな…



「アレス、マルス、アンタレス…スヒューっていう神様もいたっけ…アレスがしっくりくるかも、見た目がガッシリでいかにも戦神って感じだもんな、男っぽいし」

「気に入った!我は現在よりアレス!感謝の意を込めて、レン殿には報酬を授ける!むぅ、むむむむ…」

「あ、ついでに私も!それぇ〜♪」

「いきなり!?展開早くない!?ティアまでなんだよ!えぇ、ちょ、ちょっと!あ、熱っ!痛っ!痛い痛い!!ちょ、なにこれ!?」



絶対新しい技能だろ!嬉しいけども!せめて心の準備をさせてくれよっ!!



―――数時間後



「ふぅ〜、ふぅ〜………っはぁ〜…」

「お疲れ様♪」

「おいティア!アレス!ふざけんなよ!死ぬところだったじゃねぇか!」

「フハハハ!良い!良いぞその傲慢な態度!とにかくだ、ステータスを確認せよ」

「ミミズみたいにのたうち回ってたねっ、あっはははは♪」

「うるせぇ!ちくしょう!」



激痛軽減がなかったら心が死んでたんじゃないか?マジでなんなんだよ…



「取り敢えず感謝する、でも!次から心の準備させてっ、頼むから!」

「それは出来ない相談だぁ〜♪」

「へぇへぇそうですか!ステータス!」



怒りに任せステータスを開く。



名前 レン∶神園蓮(かみぞのれん)

年齢 0歳[亜神]

身長 175cm

職業 インペリアル・トレーダー LvMAX


基礎能力

貯蓄 0()

体力 10000

筋力 100000 貸与[-840000] 

俊敏 100000 貸与[-840000]

精神 100000 貸与[-1000000]

魔力 100000 貸与[-840000]

魔体 100000 貸与[-470000]

知能 100000 貸与[-840000]

技術 100000 貸与[-840000]


回収創造ポインツ 1日10% 475470ポインツ


基礎能力【貯蓄】の改定。

魔物からのポインツ回収能力を削除、今後創造ポインツを獲得する方法は、貸与からの利息のみになります。

その代わり、利息での回収ポインツは貸与数値の10%になります。


又、能力がカンストしていなくとも、ポインツは一旦貯蓄に振られます、任意で各能力に振り分けて下さい。


所持金

¥500,000,000,000[5千億円]


才能

投資 努力 回避 武術 魔法 同化 直感 神格[NEW]


技能

貸与MAX リスクリワード5 潜行MAX ドッジングMAX 全察知MAX

創造魔法・同化魔法[NEW] リスクリターン 収納 転移 激痛軽減 技能封印 クリーン 

剣術体術【極】


特殊技能

異界門 手形発行


至上技能

神化 神威[NEW]


貸与中 五眼(ごげん)肉眼(にくげん)天眼(てんげん)慧眼(えげん)[NEW]・法眼(ほうげん)[NEW]・仏眼(ぶつげん)[NEW]」



装備

レン専用装備

指輪(指輪1・2・3合成) バングル ピアス スマートウォッチ


装備効果

魔法収納【闇】 魔力偽装 認識阻害 魔法発動速度アップ 移動ポイント記憶【瞬光専用】


称号

討伐者

[カオスゴブリン]

到達者

[亜神]


開拓者ランク EX[カンスト]


カンスト報酬

限界解除



「これは…」



キタキタキタァーー!久々の称号ゲットだぜぇ!たが…これは後にしよう、色々突っ込みたいところが多すぎる。


貯蓄も使い切ってるし…どうりで死にそうになるはずだ、2千万は貯まってたはずだからな。



「まずは、ありがとう…流石は神様だ」

「よいよい、レン殿の人柄は理解しておるつもりだ、我の世界を自由に楽しんでくれ」

「ステータスについてはまぁ、自分で検証するよ、ツェファレンについていくつか聞きたいのだが、大丈夫か?」

「話せる範囲でならな、まぁお主はすでに神の領域へほぼ半身を突っ込んでいる、大抵の事は話せるであろう」

「亜神だしな…ははは」



亜神という文字を見て、全てを諦めたレンであった。



「あ、因みにだが、覚醒させてから、我はお主の思考を読めなくなっておる、ただの人間にしてその才覚、ティアは良い拾い物をしたな」

「もうっ、失礼だよアレス!名前貰ったからって調子に乗りすぎ!拾ったんじゃないよ、何百年も掛けて選別したの!私が育てたと言っても過言じゃないんだから!」

「う、うむ、すまぬな、そういう事で、考えは出来るだけ口にすると良い」

「分かったよ」

「それで、何が聞きたい?」

「まず、ツェファレンはなぜ魔力を世界の果てへ溜め込んでいるんだ?」

「あの世界はな、小さいのだ」

「小さい…」



確かに、最初ルードに聞いていたのは、人間の住んでいる区画は地球と同じほどの面積と言っていたが…明らかに狭かった、それに、聖堂での移動が通常となってしまっていたから、町と町の間も発展せず何も無い、中央付近の町は栄えていたが、他の町も決して大きな町ではない。



「確かに酷いな…」

「だろう?未完成のまま完成してしまった可哀想な世界なのだ」

「だから箱庭みたいな真似をしてるのか、ダメだろうそれじゃ」

「やはりダメか?」

「う〜んなんとなく…雑?」

「くっ…」

「ほらぁ、私も言ったじゃん、言うこと聞かないんだから!そういうのを地球では脳筋って言うんだよ」

「魔物が強くなって、人間が強くなってを繰り返して、変なバランスで保たれちゃってるんだよ、だから他所の神様に付け入る隙を与えちゃうんじゃないのか?」

「カノン、ファーニックの小童か…」

「知ってるのか?」

「ああ、その呪いとやらも奴だ」



だから呪いの犯人をリスクリワードで探し出せなかったのか。



「まぁ…確かにそうか、一端とはいえ神の力を使うなんぞ普通の人間にはできやしない」

「そうだろう?う~む、世界はどうしたらよい?」

「なんで俺に聞くかなぁ」

「レン、協力してあげて、ね?お願〜い♡」

「いや、ティアが協力してやれよ、ったく…これもお勉強ってやつか?」

「正解♪」

「俺はまだ神じゃねぇんだぞ」

「ステータス見た後に良くそんな事言えるね♪」

「ぐっ…」



クソッ、なんでそんな責任重大な事を俺が決めなきゃなならんのだ!



「まず、無闇矢鱈に世界を広げるのはやめろ」

「ふむ…」

「俺はファンタジー小説が大好きだ、アレスはダンジョン…迷宮は分かるか?」

「うむ、地球のやつよの」

「そうだ、ツェファレンの危険区域は雑過ぎる、まぁ魔力を守るという役なんだろうけど」

「そうだ、魔力を守るのと、人間の育成の為だ」

「魔力は一旦、世界を広げるために使わないようにして、ダンジョンと魔物を発生させるだけにしろ、それならそこまで魔力はいらんだろ、丸めて固めてダンジョンの核にでもしろ、神様なんだ、どうせやりたい放題出来るんだろ?」

「迷宮核だな?面白そうだ」

「ツェファレンの外周部を広げるくらいなら、ダンジョンという異空間をちょこっと作るくらいのほうが手軽だろ」

「そうだな、小さいとは言ったがそれは以前の話だ、あの世界もそこそこ広くなった、特に去年はお主のお陰で大分広がったしな」

「それは…自覚があるよ、たが、ツェファレンにはカノンがいる…真っ先に狙いそうだよなぁ、まずはぶっ飛ばすか?」

「そこは大丈夫だ、核は絶対に持ち出し不可にしよう」

「それなら安心だな、でもなぁ…なんかムカつくよなぁ、カノン…」



ここいらでエンディングでも迎えとくか?



「レン?またろくでもないこと考えてるでしょ、めっ、だよ」

「分かった、カノンは滅する事にしよう」

「そのめっ、じゃないよ〜」

「冗談だ、無理はしないさ」

「して、その迷宮とやらは効率的なのか?」

「そうだな、危険区域よりは効率的だと思うぞ?討伐された魔物は一定時間で復活するように設定しておけばいいだけだし、迷宮内で開拓者が使用した魔力は核に収納して、迷宮外の魔力は箱庭に送ればいいんじゃないか?」

「よし!それで行こう!やっと我の世界も普通の世界のように機能しそうだな」

「マジで決まっちゃったよ、どうすんだよこれ…」

「大丈夫だ、レン殿には迷惑は掛けないと誓おう」

「じゃあ俺は黙っててもいいか?」

「うむ、その方が楽しいだろう?サプライズ?という奴だな!ハッハッハッ!」



うわぁ…まさに神様だなぁ、俺もこんな目で見られてたのか、少し自重しよう。



「あと一つだけいいか?」

「うむ、よいぞ」

「亜人についてなんだが、どんな基準で選んでるんだ?」

「それは管理者によって様々…としか言いようがないな、我の場合は優秀な魔物を保護、そして確保するため、あとは気まぐれだな」

「保護…」

「稀に同じ魔子の中にも突然変異と思われる個体が現れる、我が世界の有益となると判断した魔子は、進化させ感情を持たせるのだ」



なるほどなぁ、それはなんとなく分かる、まさに神目線の話だ。



「そして保護する時もある、変異した魔子というのは時に、同じ種類の魔子共からも標的にされてしまう場合があるのだ、そして軒並み他の生物への敵対心がない、もちろん人間に対してもな、そういう個体も何かしらの力を秘めている可能性があるのでな、進化させて保護するのだ」

「へぇ、もちろん全部が全部標的にされてしまう訳じゃないんだろ?」

「もちろんだ、レン殿もそういった魔子…スイムとかいったか?知っておろう?」

「そうだな」



カオススライムのスイムは他にも同じ種類が大量にいた、でも別に仲間はずれになっていたような感じはしなかったもんな、むしろ仲良かったはずだ、川辺で楽しそうに遊んでたし…



「あ、そうだ、アレスの世界の西地区なんだが、煉獄の氷風というパーティー名で活動している奴らがいるんだよ」

「ああ、知っているぞ」

「すげえ、どんな記憶力してんだよ」

「管理者というのはそういうものなのだよ」

「そうなのか、それでな、そいつらがスライムと仲良くしたいみたくてな、感情をもったカオススライムを探してるんだよ、どうにかしてやれないか?俺も一緒に探したんだが、なかなか見つからなくてな」

「なるほど、すまんな気付かなくて、分かった、それはどうにかしてやろう」

「助かる」

「よい、まだまだレン殿には恩を返せていないしな」

「ふっ、いい事はするもんだな」

「そんな事言って〜、最初はめっちゃ緊張してたじゃない、実は怒られると思ってたんじゃないの?」

「いや、そんな事は…少しだけ思ったよ」

「やっぱり、んっふふふ♪」



いや、当たり前だろ!上司に呼び出されるのとは文字通り次元が違うんだぞ!



「んんっ!じゃあ気まぐれってのは?」

「魔子は世界が勝手に生み出すものだ、と言うか管理者がそういう設定にしているのだが、たまに我ら自ら魔子を生み出す時もある、人間とは少し体や性格の違う特徴をもった亜人としてな、こういった種族は亜人だがきちんと交配……もできるし…子孫も、残せる…我の世界、に関しては、だが…」



なんだよ、最後だけ妙に歯切れが悪いな。



「なるほどね、魔物を進化させたのではなく、直接亜人を生み出すのか、それらがドワーフだったりブラウニーだったりするわけだな、う〜ん…」



レンは、ツェファレンで唯一出会った事のある亜人、シロとニャルの事を頭に思い浮かべていた。



なんか可哀想だよな…せっかく感情をもらえたのに、魔物から進化した亜人は子孫を残せないって事なんだろ?



「なんで魔物を進化させた方の亜人は子孫を残せないんだ?」

「むっ…」



なにか、深い事情がありそうだ…



「いや、別に聞いちゃまずいのなら無理に話す必要は…」

「違うよレン」

「え?」

「アレスは恥ずかしがってるんだよ」

「は?なんで恥ずかしいんだ?交配とか、下ネタ扱いだと思ってんのか?」

「違うよ〜、ねぇ〜アレスぅ〜?」

「むぅ…」



でたな、ナチュラル煽り、これはうざいぞ…アレスは大丈夫か?怒らないか?



「気付いた、のだ…」

「何に?」

「自分で話していて、過ちに気付いた」

「はぁ?まさか、さっき妙に歯切れ悪かったのは…そういう事なのか?」

「ああ、何故我は自ら生み出した亜人にだけ子孫を残せるようにしたのだと…本当に恥ずかしい」

「は、はっはははっ♪」

「そ、そんな笑わんでも、いいではないか…」

「違うよ、気が抜けたんだよ、少しだけ安心したんだ、俺も神様やっていけそうだなってな、しょうがないさ、神様も色々忙しいんだろ、これまで子孫を残せなかった亜人達は可哀想だけど、それも運命だったんだろうよ、これからはどうにかなるんだろ?」

「うむっ、もちろんだとも!」

「こりゃ朗報だな♪」

「うふふ♪ね?レンと話して良かったでしょ?」

「うむ、もっと早く会っておけば良かったな…」

「今度はこっちが恥ずかしいからやめてくれ、先輩方」



取り敢えずこんなところかなぁ…カノンについても色々聞いたいが、それは自分で解決したいからな、敢えて聞かない事にしよう。



「聞きたい事はこんなところだな、まぁツェファレンの事についてアドバイスくらいはするから、また何かあったら呼んでくれ」

「すまないな」

「ごめんね〜、へっぽこ神様で」

「ティアさんや、同意できない事は言わないでくれ」

「本日は実に有意義であった!では我は色々準備せねばならないのでな、これにて失礼!」



シュッ…



「っはぁ〜、あぁ〜…気ぃ使ったぁ〜」

「お疲れ様♪」

「もうホント勘弁してくれよ〜」

「今日はゆっくりしていく?」

「そうだな、ゆっくりして明日帰るわ」

「ふっふふふふ♪」



いや怖いんだけど?なんだよその笑い方は、なんで目がうっすら光ってんだよ…



―――――そして…特に何事もなく一晩が過ぎて次の日



何もないのかよ!



「じぁあまたな」

「うん♪行ってらっしゃい」

「本当に何もないよな?」

「ないよ〜、疑り深いなぁ」

「なんで昨日変に含みのある笑い方したんだよ」

「ちょっとからかってみました!」

「やめろよ本当…」

「やっ!」

「えぇ…」



首をブンブンと横に振り、被せるように否定されてしまった。



まぁ無理か、これもティアの個性だ、受け入れよう…



「分かったよ、じゃあな」

「うん♪」

「転移」



―――1日ゆっくりしようと思い、実家の前へ帰ってきた。



「はぁ、疲れた…心が」



ガチャ



「あら?お帰りレン、昨日は神様にお呼ばれしたんだって?」

「おはよう母ちゃん、呼ばれたのなんて初めてだ、緊張したよ」

「別に何か悪さをしたわけじゃないんでしょ?」

「ああ、でも分かんないじゃん?結構やりたい放題やってるからさ」

「レンなら大丈夫よ、私の息子なんだから」

「どんな自信なんだよそれ、まぁでもそうだよな、母ちゃんの息子なんだし、実際大丈夫だったしな」

「うんうん♪流石は息子ね、朝ごはん食べる?」

「いいのか?ギエスティに行くところじゃ?」

「フレックスタイム制だから大丈夫よ、それにあなたが社長みたいなもんでしょ?」

「まぁな、じゃあ美味しい美味しい母親の手料理をご馳走願おうかな」

「ふふっ♪任せなさい」



美紀はとても嬉しそうに家の中へ戻っていき、レンはなんとも言えない感情で、美紀の後ろについて入っていった。


作り置きしていた肉じゃがと味噌汁、納豆とごはん、オーソドックスながらも心が温まる朝ごはんをいただき、美紀はいそいそとフェニックスに乗りギエスティへ向かっていった。



出勤する母親を見送り、台所へ向かうレン…



何気に人気なんだよなあの出勤のしかた、あれを見るためにギエスティへ来ている人も少なくない。



カチャカチャ…



魔法を使わず、あえて手作業で食器を洗いながらレンは…



「ふむ、こういう日常がいい、いやホントに…」



そんな事を考えていた…


突然神様に呼び出され、ツェファレンの未来を決める、とても重要な大仕事をこなしてきたレン、心が完全に休日のパパモードになっていた。



さて、次はステータスだよなぁ…どうしてくれようか、まずはやっぱり称号からかな、神化とか神威は絶対ヤバいだろ。



無罪という名の罰を与え、ルードを溶かした時のティアの姿を思い出し、ぶるっと身震いするレンであった。

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