169話 始動!
地球に魔力が行き渡って早1年、季節は晩秋、あと2ヶ月で魔法時代2度目、空想歴突入後初の年明けである。
「この迷宮施設も、俺達がいなくても回るようになってきたな」
「うんうん♪近藤一家やお義母さん、蓮花ちゃん達がいれば大丈夫だね〜♪」
「冒険者ギルドの方は大丈夫なのか?」
「うん♪各地域の優秀な人をギルドマスターに任命したからね、面接ありがと♪」
「家族騒動で落ち込んで、復活したあとのレイカは酷かったよ、まるで物のように人の事を扱いやがって、まさに造一族の血が流れていると感じたな、リスクリワード使いすぎてレベル上がったぞ」
「そんな事を言われても私は動じないよ?ふふふふ♪」
「怖ぁ…」
「元気になってあたしは嬉しいぞ、一時期レアキャラのござる女子に戻っていたがな」
「やめて!黒歴史を掘り返さないで!」
―――
家族の裏切りにより落ち込んで、1週間ほど引きこもったレイカ、カリンが声を掛けに行った時…
「レイカ…気分はどうだ?そろそろ体を動かしても…」
「働きたくないでござる!」
「レ、レイカ!?」
バタン!
大声を聞きつけ、レンが部屋へ飛び込んできた。
「どうした!?」
「レン殿〜、カリンが働けと言うでござるよ〜」
「レイカお前…」
二重人格かよ…
―――
「ああ、あれは酷かった、懐かしさも相まってなんか凄くモヤモヤしたよ」
「そうだな、ござる口調は可愛いものだが、身内の口から聞くとなんとも言えない気持ちが…」
「ごめんなさい!私が悪かったからもうやめてっ!」
「私も聞きたかったぞ、レイカのござる口調」
「マリーはダメっ!恥ずかしすぎる!」
「なんでだよレイカ〜、ほれほれ、我慢しなくていいのでござるよ〜?」
「こらぁ!マリーやめろー!」
「うわっ!はははは♪そんな攻撃当たらんよ〜」
「待て〜!」
「はははは〜…」
マリーはレイカとなら本当に普通の女子だよな、流石は同級生だ。
「はははっ、相変わらずだなぁ、いつも教室でああやってやり合ってたんだよね♪」
「レイは仲間に入らなかったのか?」
「僕が?ふっ、僕は大人だったからね、そんな幼稚じゃないんだよ」
「なるほど、実は羨ましかったんだな」
「そう、でも女子の間に…いやいや!違うよ兄ちゃん!なんて事いうの!?」
「いや、もう誤魔化すのは無理だろ、普通に同意しそうになってたじゃないか」
「余りにも自然に言うもんだから騙された〜、誘導尋問だよ〜」
「騙したのはお前だ」
最近は暇になってきたなぁ、引き伸ばしになってた町作り、そろそろ始動するか…
「なぁカリン、レイ」
「なんだ?」
「なに?そんな真剣な顔して、また騙さないでよ?」
「騙さねぇよ、そろそろツェファレンに町作りしようかなってな、どうだろう」
「ふむ、いいんじゃないか?地球も落ち着いてきたし、最近は犯罪による殺人事件もかなり減ってきたしな」
「まぁそこはな、リスクリワードで性格を判断して、任せられる奴らを鍛えたからな、全世界で…」
「兄ちゃん大丈夫?目が死んでるけど…」
「ああ、レイカ社長にこき使われてな、ブラックも裸足で逃げ出すほど漆黒な会社だったよ」
「ははは、お疲れ様、取り敢えずは場所だよねぇ、僕に協力出来る事はある?」
「いや、場所は危険区域の深層にしようと思ってるからな、特には…いや、元とは言え王様だったんだ、優秀な建築士がいたら紹介してほしい」
「任せてよ!ドワーフに会わせてあげる♪」
「なん…だと?」
ドワーフいたの!?え、じゃあ…
「エルフとかはいるのか?」
「う〜ん、ブラウニーとかならいるけど…エルフは聞いたことないねぇ」
「…あぁ、俺はいったい何をしていたんだ、これではファンタジー好きとは言えんではないか!」
「お、おい、急に叫んだりして、どうしたのだ?」
「カリン…ブラウニーは分かるか?」
「い、いや、普通だったらお菓子の事だろう?」
「ブラウニーってのは妖精の事なんだよ、茶色い見た目の、お世話好きの妖精の事だ、特に家のお世話、家事なんかが得意な妖精と言われててな、お菓子のブラウニーとの関連があるかは分からんが」
「なるほど…茶色いから、もしかしたらそこからお菓子の名前を付けた可能性もあるのか」
「とにかくブラウニーなんて、エルフよりも珍しいだろ、まぁエルフみたいなもんか…」
「エルフは妖精の総称みたいなものだからね〜」
「ゴブリンがいるんだからブラウニーだっていてもおかしくないよな」
「なんでそこでゴブリンなんだ?」
「カリン、ゴブリンも妖精っていう位置づけなんだよ、あくまでも物語の中でだからな?ツェファレンのゴブリンは絶対違うだろうけど、恐らくドワーフもブラウニーも亜人?みたいな存在なんじゃないかな」
「なんだと?ゴブリンが妖精、そんな馬鹿な…」
まさにこの世の終わり、みたいな顔をして絶望するカリン、そんな彼女を他所に話は普通に続いていく。
「ドワーフなら簡単に会わせられるよ、ブラウニーはどうかなぁ、僕も一回しか会ったことないけど、癖強いからなぁ…」
「えぇ、普通ならドワーフが癖強い方だろ、まぁいい、とにかく会わせてくれ」
「うん分かったよ、じゃあ僕は先に帰ってるね〜、いつまでもこっちにいると妻達に怒られちゃうからね」
「おう、イチャイチャしながら待ってろ」
「言い方!兄ちゃんはもう〜、じゃあまた後でね」
「おう」
実は5人の妻を娶っているレイ、王様をやめたあと、お見合いの話が次から次へと舞い込んだのである、観念したレイはそこから5人を選別し、地球の家族にも訳を話し納得してもらい、婚約したのだ。
「幸せそうで何よりだ」
「マリーお帰り、鬼ごっこは終わりか?」
「ああ、私の圧勝だ!」
「くぅ~、悔しい〜!昔は私の方が強かったのに〜!」
「レイカもお疲れ、楽しそうだな」
「うんまぁね♪レンのおかげだよ〜、ありがとね♪」
ちゅっ♡
頬にキスをしてくるレイカ。
「おい、場所をわきまえろ」
「えぇ〜、いいじゃん♪」
「レン、2人にも話さなくていいのか?」
「兄様、何の話だ?」
マリーは色々考えた結果、レンのことを兄様と呼び続けることに決めていた、忍の前ではレンと呼んでいるが。
「例の町作りの事だよ、そろそろかなってな、ツェファレンもいつカノンが暴走するか分かったもんじゃないからな」
「あぁ〜、そんな話してたよねぇ、どんな町にするの?」
「町の名前はもう決めている、トレイニーだ」
「うわぁ…」
「想像がつく、強者の集まる町になるだろうな…」
「私は何をすればいいのだ?」
「まぁ、カリンとマリーは確実に師範だろうな」
「ふむ、それが妥当だろうな」
「私が師範…いいな!」
「とにかくツェファレンの人々を強くするのが目的の町だ、この宿屋ギエスティから入り口を繋いで、俺が許可した者なら通行出来るようにする、まぁそんなに大人数にはしないがな」
「こっちも落ち着いたからね、よーし!私も頑張るぞ〜!」
「はしゃぎすぎるなレイカ、お前が頑張り過ぎると一瞬で町ができちまう、自重しろ」
「えぇ〜、なんで私の楽しみを奪うの?」
「落ち着いたとはいえ、こっちでやり残したこともまだまだいっぱいあるだろ、来年には魔物も発生するんだ、準備は万全なのか?」
「いやぁ、ははは…それはまだかなぁ」
地球の神様からティアを通して、年明けから魔物とダンジョンを発生させると連絡があったのだ、それだけ地上に魔力が充満したと言う事なのだろう。
「それにしても凄いよなぁ、本来なら地球自体が魔物を発生させるところなんだが、神様がやっちゃうんだから、50億歳超えの神様はやっぱり力が違うわ」
いや、確か管理人がそうさせているようなものだとティアが言っていたような?色々あり過ぎてよく覚えてないな…
「ルードも似たようなことやってたけど、あれはツェファレンから集めてきただけだもんね」
「ああ、だから中層までくらいが限界だったんだろうな、意外にルードも大したことなかったよな」
「3区までは行ってたんだ、深層の魔物を狩るくらいの実力はあったんだろうが、言う事を聞かせるまではいかなかったんだろ」
「強化個体をポツポツ作るのが限界なんだからな」
自分達の強さは棚に上げ、言いたい放題のレン達であった。
「じゃあ母ちゃん達に挨拶をして、ツェファレンに帰ろうか」
「蓮花ちゃん、泣いちゃうんじゃない?」
「そうかもな、別に蓮花だって自由に行き来出来るんだ、離れたくないなら蓮花もツェファレンに遊びくればいいし、なんなら寝泊まりだって出来るだろ」
「確かに、まぁそうだよね」
―――宿屋内に設けられている大広間
レンに呼び出され、仕事を終えた美紀が入ってくる。
「あら?みんなもいるのね、こんなに集めてどうしたのかしら?」
「あ、お母さん、お兄ちゃんから話だって〜」
「母ちゃん、大事な話がある」
「怖いわね、何かしら?」
「お兄ちゃん、みんな集めてどうしたの〜?」
「蓮花、ごめんな、俺達は近々…ツェファレンに帰ることにした」
「「「え…」」」
美紀や蓮花だけではなく、集まった皆が絶句。
「な、なんで!?そりゃあいつかは帰るのかなって、思ってはいたけど!急すぎるよ!」
「な〜んてな、まぁ帰るのは本当なんだけど、別にそんなに悲しむ事じゃない、取り敢えず報告だけしておこうかなって」
「は?どういう事なの?」
「俺にとってはツェファレンも故郷といったよな?」
「うん…それは分かってるけど、でも…」
「ええ、私もあちらの母親と仲良くなったしねぇ」
テラーとサンドラの事だ。
最近ちょこちょこ3人で話してるから、なんか怖いんだよなぁ。
「あっちでさ、町を作る予定なんだよ、みんなにも協力して欲しいって話なんだ」
「なんだぁ〜、もう!お兄ちゃんのバカバカ!言い方考えてよ〜」
「ふふふ、蓮花ちゃん、それは無理なんだよ〜、レンはね、そういう病気なの」
「やめろやめろ、病気じゃねぇ」
「いや、末期だな」
「カリンまで…」
「わ、私が兄様を一生看病するぞっ!」
「ほら、こうやって勘違いする奴もいるんだから、変なこと言うなよ」
「真理?旦那様の呼び方は?」
「!!か、母様…ごめんなさい、まだ慣れてなくて、咄嗟だとつい」
「もう、気をつけなさいな」
「はい…」
母親強し!
「ははは、まぁ義母さん、これも個性だと思いますよ?俺はどんなマリーでも愛します」
「はぁ、本当にレンさんは女性に甘いんだから、でもそうね…あんまり年寄りが若者の文化に口を挟むものじゃないのかも知れないわ、少し押し付けが強かったわね、ごめんね真理、反省するわ、あなたの自由になさい」
「母様…ありがとう」
本当に頭の柔らかい人だな、年寄りって…見た目は完全にマリーのお姉さんだがな…っていうか、どう見てもまだ40歳いってないだろ。
「こんなに愛してもらえて、少し羨ましいわね…ねぇあなた?」
「う、うん?い、いや、俺だって忍の事は世界一愛しているぞ!」
「あらそう?それは嬉しいわね、うふふ♪」
やっぱり男って少し劣勢なんだよなぁ、なんでだろう、俺はそうはならんように気をつけよう。
レイカにすでに尻に敷かれつつあることに気付いていないレンであった。
「レン君、俺に出来ることはあるのかな?」
「いや、大丈夫だよ義父さん、今はマリーと共に鍛えていてくれ」
「分かった、なんでも言ってくれ!協力するからな!」
「分かったよ、ありがとう」
柊武雄、忍の夫、男に家業を継がせようと、柊家は婿養子として武雄を迎え入れた、しかし…せっかく養子縁組したというのに、妻の能力が高過ぎて、結局妻が家業を継いでしまったという状況なのだ、肩身が狭くなるのもしょうがない部分もある。
「と言うわけで、ツェファレンのとても危険な場所を切り拓いて町を作る、ある程度形になったらそこを拠点にツェファレンと地球の両方で活動していく予定だ、今回は人を雇って、一からきちんと作っていくつもりでな、いい加減金も使わなきゃ経済も回らないし、まぁ数年は掛かるだろうな、働き手として手伝ってくれる人はもちろん報酬を出す、だから知り合いに建築や商売など、町作りに関して知識のある人がいたら紹介してくれ、もちろん住みたい人も遠慮なく申し出てくれ、ここに集まったみんなにはその資格がある」
ここで一際目をキラキラさせていた者が反応する。
「えっ、本当ですか!?あのあの、友達も一緒にいいですか?もちろんレン様の審査は通してもらってからでいいので!」
「こら美華里っ、恥ずかしでしょ、もう〜、少しは落ち着きなさい」
小鳥遊美華里、レイのお姉さんだ。
「もちろんだ、身内の知り合いに審査は必要ない、来る者は元犯罪者だろうが拒まない、問題さえ起こさなければそれでいい」
「やったぁ♪」
「ふっ、レンよ、少しは問題でも起こしてくれた方が退屈しなくていいと思ってないか?」
「それは…少しだけ思ってる」
「はぁ、本当にレンは、レンなんだから…」
「兄様…」
「だから、概念扱いはやめろし」
「私も…住みたい、そして働きたい…」
「お?いいぞ刻音、歓迎する」
「やった…」
相変わらず無表情だ、不動の無口キャラだな。
「建築や商売だけでいいのか?統治に関しては大丈夫か?」
カリンが珍しく頭脳派な質問を投げかけてきた。
「いらんよ、統治なんぞする気もないからな、俺がルールとまでは言わないけど、馬鹿な真似をする奴もそうそういないだろ、それにカインド村もまるまる移すし、ゴル村長に統治してもらって、影法師を中心に警備を整えれば自然と心豊かな町になると信じてるしな、何より堅苦しい統治は面倒くさい」
「おい、最後のは言わなくて良かっただろ」
その後細々とした説明も進み、自分も住みたいと立候補してくる者達が続出。
この宿屋から自由に行き来出来るので、別荘感覚でほとんどがあっちに住むんじゃないかと考えていたレン、実はわざとそういう方向に仕向けていた。
「さて、そんな所だ、町が出来次第連絡するから楽しみにしていてくれ、本当に周りは魔物だらけの場所に町を作るからな、それまで頑張って鍛えておいてくれ」
「「「了解!」」」
「解散!」
―――
「さてと、まずはレイの所へ行ってくるか…」
「お兄ちゃん、私も行きたい!」
「そうか?じゃあ一緒にいくか」
「それなら私は残ってるよ〜、迷宮施設普及の会議が入ってるからねぇ」
「やっぱりレイカは忙しいんじゃないか」
「まぁそうなんだよね、でもレンが第一優先だから」
「そうか、ありがとな」
「うん♪」
「なら私も残ろう、レイに会うとなんか余計な頼み事をされそうだしな、兄様を頼むぞ蓮花」
「うん、任せてよマリーお姉ちゃん!」
「あたしは皆の鍛錬に付き合おう、まぁいつもの事だがな」
「私は蓮花に追いつきたいからカリン姉さんと修行します!」
「私も〜、蓮花お姉ちゃんには負けないぞー!おー!」
可憐と聖愛だ、珍しく残ると言ってきた。
「この宿屋のメンバーはほとんどカリンとマリーで鍛えているようなもんだからな、しっかり鍛えてやってくれ」
「ああ、当然だ」
「よし、じゃあ蓮花、行こうか」
「は~い♪」
宿屋にある転移部屋へと向かいツェファレンへと向かっていくレンと蓮花。
―――
「おお〜、豪華なお部屋、ここが王城なんだね」
「そうだ、早速レイに会いに行こう」
「ふふふ♪」
「どうした?」
「なんか、夢を見てるみたいだなぁってね」
「どうした?この世界に来るのは初めてじゃないだろう」
「ううん、そうじゃないの、ねぇお兄ちゃん、私…今とっても幸せなんだよ♪」
「そうか、妹が幸せそうでよかったよ」
「えへへへ〜」
妹の頭を撫でながら、2人横並びでレイの部屋へと向かっていく。
コンッコンッ…
『は~い、兄ちゃん?』
「そうだ、蓮花も一緒だ」
「おはよ~ごさいま〜す♪」
ガチャ…
「いらっしゃい!ようこそ兄ちゃん、蓮花ちゃん♪」
「邪魔するぞ」
「お邪魔しまーす♪」
中へ入ると、ソファにドワーフと思われる、イケオジが腰掛けていた。
「この人はドワーフのデンちゃんだよ♪」
「優王様よ、ちゃん付けはやめてくれや」
「えぇ〜、いいじゃん、デンちゃん」
「初めまして、俺はレンだ」
「蓮花で〜す♪レンお兄ちゃんの妹です!」
「あんたが…儂はデン、レン殿、レンカ嬢、よろしくな」
人当たりのいいドワーフだな。
「この世界のドワーフはどんな設定なんだ?」
「設定?」
「あぁ〜、ごめんねデンちゃん、ちょっと兄ちゃん!ダメでしょ人に対して設定とかは」
「すまんすまん、どうしてもついな…レイから話しは聞いているかも知れないが、何を得意としているんだ?」
「設定とやらは知らぬが、儂らドワーフは建築に関する魔法が得意な種族じゃ」
「亜人、とは違うのか?」
「使徒じゃな」
「使徒?」
「儂もよく分知らん」
えぇ…よく分からん、なんの使徒なんだよ。
「そうか、俺も蓮花もいずれ神となる予定でな、人と神の間といえる、デンちゃんとは同じような存在かもしれんな、改めてよろしく頼むよ」
「人と神の間といえ、儂はそこまでの存在で神にはなれん、存在は似てても立場は違うわい」
「まぁ普通の人間扱いしてくれよ、取り敢えず契約しちゃうか?報酬は何がいい?お金か?鉱石か?」
「おお!儂らは鉱石を食べて成長するからの、半々で良いぞ♪」
「はははっ、お金まで食べてしまいそうだな♪」
「流石にそんな馬鹿は…少ししかおらぬ」
「少しはいるのかよ…」
豊満な髭を生やした男前な小人、とは言え身長は140ほど、ガタイも良く、まさにドワーフといった見た目に、レンの目は子供のようにキラキラ輝いていた。
「そうだなぁ…危険区域の深層に町を作るんだけど、設計図はもう描いてある、これだ」
「どれ…ふむふむ」
ざっくりとした町の構想図、直径10kmほど、この世界基準では中規模程度の町だ、中心に大きな公園があり、そこから8本の大通りが外側へ向かって伸びている。
公園の周りにはレン達の居住区がかなり広くとってあり、地球人とツェファレンの知り合いが寝泊まりする場所。
そこから公園を挟んで反対側に、この世界初となる冒険者ギルドの建物がある。
大通り間の8区画のうちの6区画は、各属性の鍛錬場を中心に潜在能力を上げるための迷宮施設を建設予定、さすがにそこはレイカの手を借りる他無い。
残り2区画分はカインド区画、先程皆に説明した通り、カインド村をまるまる移す予定である、もちろん移住するかしないかはその人の自由だが、以前から村長と話を進めていて、漏れなく全員から同意を得ている、もちろんレイとアシュリーにも説明済み。
カインド村はレイの黒歴史の一つ、是非ともと逆に懇願されてしまった。
「むぅ…素晴らしい設計図だな、建物の位置などは分かるのだが、建築様式はいかように?レン様の世界に合わせた方が良いのだろ?」
「いや、そこはこの世界に合わせて大丈夫だ、ただ…公園周りの居住区だけはそうして欲しいが…どうだ?一度俺の生まれた世界へ行ってみるか?」
「よ、良いのか!?是非頼みたい!」
「もちろんだよ」
次はブラウニーか、あと場所も決めなきゃなぁ、亜人の町にも行きたいし。
とうとう始動する事になった町作り、次の目標を決めて気合十分のレンは、走り出しでドワーフというファンタジーな存在と出会えて大満足であった。