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162話 迷宮化(ガチのやつ)

空想歴に入り4ヶ月、魔法時代も早半年が経過した…



「母ちゃんもとうとう蓮花達に続いて25階層踏破だな、おめでとう」

「あら〜、凄いわねぇ美紀さん♪」

「うふふ、紫水さんには負けられないからねぇ」

「ぐぬぬぅ…」



迷宮の受け付けでレン、美紀、道夫、早苗の4人で会話をしていた。


神園美紀、レンの母がとうとう迷宮の最下層をクリアしたのだ、道夫は22〜24階層、ツェファレンで言えば深層の第1区難易度で苦戦している。



「なあレン君、俺もそろそろ25階層に…」

「ダメですよ義父さん、このまま25階層まで行ったら大怪我じゃすまないぞ、さすがの俺でも死人は回復出来ない」

「紫水さん、レンの言う通りよ、こればかりは真面目に言うわ、男の意地を張るためだけにに死ぬのは馬鹿のすることよ、せめてレベルが50超えてからね」

「そ、そこまで違うのか…分かった、地道に頑張るよ、レン君、引き続き指導よろしくな」

「任せて下さい、はっきり言って母ちゃんや蓮花達は特殊なんだ、それに食らいついてる義父さんの方がよっぽど凄いと、俺は思ってる」

「レン君…くぅ〜、俺はなんていい息子をもらったんだ、ありがとう!俺、頑張るからなっ!」



本当に凄いと思うよ、まぁ義父さんも少し特殊っちゃ特殊だけど、身近に凄すぎるのがいるから自分を凡人と勘違いしてるんだな、なんか、どっかの主人公みたいだけど、これでいい。


母ちゃんや蓮花達はそろそろツェファレンに連れて行ってもいい頃か…



『レン!聞こえる!?』



レイカか?うわぁ…いい予感しねぇ、なんだよこの焦り具合は。



『レン?レ〜ン!聞こえないの〜!?』

「レイカか、何が起こった?」

『出たよ!とうとう魔物が発生した!蓮花達が退学した学校、そこが迷宮化して魔物が溢れ出してる!』

「なんだと!?分かった!とにかくみんなここへ集合だ!」

『分かった!』



―――



原初の迷宮ギエスティのダンジョン入り口前広場に、レン、レイカ、カリン、マリー、美紀、道夫、蓮花、可憐、聖愛、刻音、剛志、杙凪、権造(ごんぞう)(凶作頭)、早苗、博、亨、六花、寧々、音乃、城、葉跡、魔力時代を担うメンバー達21名が勢揃いした。



『なになに?なんかあったの?』

『すげぇ!神様達がみんないるぞ!なんかのイベントか?』

『あ!ヨミちゃんもいるぞ!配信か?』

『イベントじゃないか!?』



広場にいる冒険者たちも野次馬となり、レン達を囲うように集まってきた。



「これで全員かな?」

「ああ、全員いるな、なんか他のやつらも集まってきたけど」

「まぁいいんじゃない?じゃあ最初に、こんな時のために用意しておいた緊急速報を流すね」

「は?レイカお前…」



キュイ!キュイ!キュイ!


キュイ!キュイ!キュイ!



またこれか、だからどんな技術なんだよって…



『全世界の皆様へ速報です、魔力時代初の迷宮化が確認されました、場所はギエスティ付近の廃校です、魔物が溢れていますので、冒険者以外の方は敷地内へ入らないよう注意して下さい、また、他の地域でも建物の迷宮化が起こる可能性があります、確認された方がもし一般の方でしたら、決して入らないよう、政府機関または、宿屋ギエスティへ連絡して下さい、繰り返します…』



凄すぎる…本当に事前に準備していたのか?内容があまりにもタイムリー過ぎない?



「レイカ、敷地内に入らなければ大丈夫なのか?」

「うん♪なんか一定の距離に結界みたいのが出来てて、そこから出られないみたいなんだ、人が自由に出入り出来る事も確認済みだよ♪」

「さすが、2号様は仕事が早いな」

「ふふっ♪今はまだスライムとかゴブリンしか出てきてないから冒険者見習いでも死にはしないでしょ、とうとう地球人レベルアップの時が来たよ!」

「よしっ!まずはみんなで行ってみよう」



あ、冒険者達も連れてって、こいつらに駆除をお願いするか、レベルアップも出来るしちょうどいい。



「あんたらもどうだ!行ってみないか!」

「もちろんだ!俺も行くぞ!」

「もしかして、レベルアップ出来るの!?私も行く!」

「私も!」

「俺もだ!」



集まった冒険者の半分程が同行する事になった。



「私達は宿を離れられないので、また何かあったらお呼び下さい」

「ああ、分かったよ亨さん、じゃあ近藤家のみんなは残るって事で?」

「はい」

「えぇ〜、お父さん!私は行きたい〜!」

「私も〜!」

「寧々、音乃…わがままを言うんじゃない」

「亨さん、接客は足りてるんじゃないですか?」

「レンさん、まぁそうですが…」

「心配、ですか?」

「まぁ…」

「亨、もう寧々と音乃は私達よりも強いし、この世界に順応している、少し心配しすぎだ」

「父さん…」

「大丈夫、娘さん達はもう世界でも有数の強者だ、俺達もついてる、心配は無用だ」

「…そうですか、分かりました、少し過保護が過ぎたみたいですね、迷惑を掛けて申し訳ありません、娘達をよろしくお願いします」

「任せておけ、必ず無事で帰すから」

「ありがとうございます、寧々、音乃、レンさんに迷惑を掛けないようにな」

「わ~いやったぁ♪レン先生!ありがとうございます!」

「ありがとう!」



うんうん、っていうか、俺が面倒見る必要なんか一つもないけどな、蓮花達と義父さん母ちゃん、内藤姉弟に次ぐ実力者だし、世界トップ10くらいに入るんじゃないか?まぁ俺が能力を貸与している数少ない冒険者のうちの2人だからな。



ツェファレンと地球で合わせると…もう何人に能力を貸与しているのかも忘れたレン、貸与のレベルもマックスになり、貯蓄への回収ポインツは、なんと1日10万を超えている、因みに寧々と音乃は能力を貸与してもらった日から、レンへの人見知りを解除、物凄く懐いている。



貯蓄も300万超えたしな、そろそろ作ってみるか…限界突破。



「よし、行くか!」



おぉぉぉぉ!!



大合唱、冒険者達の気合いを確認後、魔力にものを言わせ、レンが広場の全員を転移させる。



―――蓮花達が通っていた廃校



「これが転移…すげぇ!」

「ちょっと酔いそうだよね〜」

「ゴブリン…私倒せるかな」

「大丈夫だよ、ギエスティで何体も倒してるでしょ!」

「う、うん、頑張る!」

「これが結界?さっき2号様が言っておられたな、凄い…」

「何も見えないのに魔物が壁にぶつかってる!」



冒険者達のお手並み拝見といこうか。



「よし、まずは迷宮から溢れ出した、敷地内の魔物を掃討だ、行け!冒険者ども!」



「「「うぉぉぉぉ!!」」」



レンの号令で冒険者達が一斉に結界内へ突入する。



「俺達はサポートだ、どうせこんな魔物を倒してもレベルなんぞ上がらんからな、絶対に1人も死なせるな!」



「「「了解!」」」



「は~い!みんなー!生きてるかぁ〜?黄泉がえりチャンネルの俺だぜっ!今日は緊急生配信だぁ〜!早速だがこれを見てくれ!」



冒険者達が魔物と戦っている姿を映すように、カメラをヨミちゃんから迷宮の方へパンニングさせる葉跡。



「さっきの速報でみんなは知ってるよな!そう、ギエスティ付近にある廃校!迷宮化の現場に来てるぜぇ!イヤッフゥ〜!」



スライム、ゴブリン、冒険者達が入り混じって戦闘をしているその上空を、蓮花達3人が飛び回ってたまに爆撃している。


カリン、レイカ、マリー、美紀、道夫、剛志、杙凪、刻音は、自由に動きまわりながら冒険者達をフォロー。


レンは一定時間ごとにリスクリワードで怪我人が出ていないかを確認をしながら全体を監視していた。



「う〜ん…そんなに強そうな魔物いないね〜」

「うん、いな〜い」

「お前達は行かなくていいのか?」



レンの両隣に寧々と音乃がピッタリくっついて立っていた。



「思ったよりドキドキしな〜い」

「もっと強い敵がいると思ったのに〜」

「そうか、なら迷宮に入るまで待機だな」

「「は~い」」



―――



:おい、1号様の両隣…

:また新しい神様?

:8号9号?

:羨ましい…

:俺!戦闘中!

:現場にいるリスナーw

:油断して死ぬなよw


『取り敢えず迷宮外の魔物退治中だせ!俺はこんな弱い魔物を倒してもレベルは上がらないからなっ、高みの見物だ!』


:嘘つけ

:怖いんだろ?

:嘘じゃないと思います、いつも戦ってるの見てますから

:分かってる

:わざと煽ってるんだよ

:真面目なリスナーだな


徐々に魔物の数も少なくなっていき…


『よっしゃー!レベルアーップ!』

『私も!これ凄いっ、力が沸く!』

『力が、これが解放…くっ!封印されし俺本来の力が…!』


:厨二病がおるw

:でも楽しそう

:くそぉ!俺も行きてぇ!

:近くで迷宮化、ないかなぁ…

:くっくっく、ついに俺、解放の時…

:まさかこいつ…

:おいお前!イヤッフゥって叫べ


『イヤッフゥーー!』


:こいつだー!

:よりにもよってリスナー仲間が厨二病とは…

:羨ましいぞ!

:俺行く!ここに行く!

:俺も親説得してくるわ


『おお?俺のリスナーが紛れ込んでるようだな!他の冒険者に負けんなよ!』

『はい!やったりますよー!』



ドンッ!…ドンッ!…ドンッ!



『ん?なんか音が…』


:おい!校舎にヒビが!

:ここでボスが来るのか…

:順序がめちゃくちゃだな

:ゲームのようにはいかないのか



ガシャーン!



校舎の壁が破壊され、ゴブリンを大きくしたような魔物が出てきた、見た目はオーガといった所、眼光は鋭く、大きな牙の生えた口からダラダラと涎を垂れ流している。



『ウゴォォォォ!』



大きな声で冒険者どもを威嚇するオーガ。



『あれは!?見たことないぞ!レンさんあれは!?』

『う〜ん…デカいなぁ、ホブゴブリン?いや、オーガって感じか?俺は異世界で普通のオーガは見たことないんだよなぁ、カリンは見たことあるか?』

『ああ、北の中層第2区にいる魔物だ、虫の魔物に紛れてたまに出てくる、個体数が少ないからな、運が良くなきゃ見つからん』

『なるほどなぁ、じゃあここにいる冒険者達じゃ敵わないな』

『や、やべぇ!あれは無理だぁ!逃げろ!』


:厨二病がいち早く逃げてらw

:逃げるのも重要だろ?

:1号様が無理って言ったからな

:みんな逃げろー!


『俺はカオスオーガなら見たことあってな、あいつは所詮普通のオーガ…』

『ゴアァァァ!』

『うるせぇ!黙ってろクソオーガ!俺が喋ってんだろ!』

『ゴ、ゴォ…』



突然威圧込みで怒鳴られ、しゅんとなってしまうオーガ。



『レンさんぱねぇ…』

『うるせぇんだよあいつ、意味もなく叫びやがって、威圧も込めないなら叫ぶ意味ないだろ、てめぇは少しそこで固まってろ!あとでぶっ飛ばしてやるから!』

『ゴ、ゴフッ』



その場にしゃがみ、下を向いて動かなくなるオーガ。



:嘘でしょ…

:なんか、可哀想…

:オーガちゃん死亡確定で草

:え、ボスじゃ…?

:殺しちゃうの?


『さすがに可哀想か?』

『う〜んどうなんでしょう、相手は魔物ですからねぇ』

『お兄ちゃ〜ん、どうする〜?』

『ああ蓮花、少し怒りすぎたからな、慰めてやってくれ』

『了解〜♪』



リスナーの反応に少し反省したレンは、蓮花にオーガを慰めるよう指示。


蓮花は座り込んだオーガの方へピューッと飛んでいき、大きな肩に座って頭を撫でてあげる。



『いいこいいこ〜♪ごめんね〜、うちのお兄ちゃんが』

『ゴ、ゴグゥ』

『ああ〜!蓮花お姉ちゃんずるい〜!私も〜!』

『私も行きますか…』



聖愛が反対の肩に座り…



『意外とおとなしいんだね〜♪』



頭をナデナデ。



可憐はオーガの目の前に立ち…



『貴方も貴方ですよ?ダメじゃないですか順序を守らなきゃ、そりゃあ怒られますよ、ボスなら迷宮の奥でドシッと構えてなきゃダメです、TPOをわきまえしょうね?』



:説教w

:絶対そこで怒られたんじゃないw

:6号ちゃんって天然?

:こりゃあダークホースだぜ…

:くぅ、7号推しだったのに!俺はどうすればっ

:好きにしろよw

:私は8号9号ちゃん推しです

:おい!まだ8号9号は誰だか分からないだろ!


『おいお前ら!この俺ヨミちゃんを推せよ!なんで俺の配信で別の推しの話をしてるんだよ!』


:えぇ〜やだよ〜

:ああ、はいはい…

:あ、ちょっと忙しいんで

:1号様!8号9号は誰ですか!?


『8号と9号?う〜ん…俺の母ちゃんと義父さんかな?実際の実力順だとその辺りだろうな』


:お母様!?

:お父さん!?

:さすが身内には甘々な1号様だぜ


『当たり前だろ、身内に甘くないやつなんか俺は人間だとは認めねぇ、身内だからこそ突き放すみたいな教育はクソだな、死ねばいい』


:辛辣ぅ!でもそこがいい…

:分かるわ〜

:そこで質問です!実力順なら次に続くのは誰ですか!

:グッジョブ!

:私も知りたい!


『実力順なら8号が母ちゃん、9号が義父さん、10号が杙凪、11号が剛志、12号が寧々、13号が音乃だな、つまりこの2人が12号13号だ、2人とも挨拶しておくか?』

『い、いえ…やめとく』

『私も、いい…』

『私は…挨拶する』

『え、刻音!?いつのまに…』

『ふふふ…私、潜行覚えた』

『凄い!お前本当に凄いぞ!紹介しよう!14号の刻音だ』

『よろしく…刻音、です…』


:無口っ子が3人も…

:キャパオーバー

:ヨミちゃん入ってなくて草

:ヨミちゃんを入れてあげて


『ああ、ヨミちゃんは16号だな』

『え!?16…15号は?』

『葉跡だ』

『私!?やったぁ~!』


:カメラカメラ!

:酔うぞ!

:葉跡ちゃんおめ♪

:ヨミちゃんも16号おめ♪

:仲間に入れてもらえただけ良かったじゃん


『2人は寧々と音乃よりも弱い訳があるんだよ』



アイチューバーであるこいつらに下手げに能力を貸与しすぎると疑われるからな、もし貸与がバレでもしたら、俺も俺もと希望者が殺到するに決まってるんだ。



『そういえばそうでした、っていうかこんな事やってる場合じゃな〜い!オーガは!?』



カメラを急いでオーガの方へパンすると…



『はははは♪ほ〜ら、逃げろ逃げろ〜♪』

『ふふふ、遅いですよオーガさん』

『それぇ、ウインドボール!』

『ゴアッ!グゥ!』


蓮花達3人がオーガを追いかけて遊んでいた、ときより魔法を撃ち込まれ、体はボロボロ、鋭かった眼光も今は泣きそうな顔になっていた、と言うか少し泣いている。


『ふむ、魔物も涙を流すのか、興味深いな…』

『ね〜♪体内に水分が無いのに涙流すなんて、一回よ~く調べてみたいね』

『私はどうでもいい、いい加減あのオーガは殺さないか?』


カリンとレイカとマリーの会話、冒険者達も呆れて一箇所に集まり、戦闘の反省をしていたり、座って休んだり、とにかくレンからの指示を待っていた。


:神様達の方が血も涙も無くて草

:よっぽど魔物と戦ってきたんだね、達観してる

:日本人としては可哀想に見えちゃうよねぇ

:私、殺すのは反対です!

:出たよ偽善者が

:だって可哀想じゃないですか!


『なら証明してやろう、オーガがただの獣だと言うことを、行くぞヨミちゃん』



そう言うとレンは城の襟首を掴んでオーガの方へ飛んでいく。



『え?えぇぇぇ!?なになに?なんなのこれぇ〜!』

『カリン!葉跡を連れてこい!』

『了解だ、行くぞ葉跡!』

『私も!?ひぇ~!またこれですかぁ〜!お助けぇ〜!』



カリンも葉跡の襟首を掴んでオーガの方へ飛んでいく、聖愛にコツを教わり、飛行出来るようになっていたのだ、聖愛曰くちょっとコツを教えた瞬間飛べたとか、カリンは別に飛ぶ必要がなかったから飛ばなかっただけだった。



:何と言おうと反対です!

:おい、やめておいたほうが…

:なんで?あんなに泣いているじゃないですか!可哀想だと思わないんですか!?

:いや、まぁそうは思うけど…


『ふん、好きに言ってろ』

『おいお前!あんまりレンさんを怒らせるな!本当に天罰が下るぞ!』


:構いませんよ!私は間違ってない!

:↑死亡確定

:御愁傷様です

:もしかして初見さんなんじゃない?

:そうですけど?何か問題でも?天罰を受けるのはレンと言われている方ですよ!

:うわぁ…

:知〜らね



ゆっくりと飛んでいき、オーガの下へ到着。



『蓮花!可憐!聖愛!下がれ…』

『ん?お兄ちゃ…!?う、うん、みんな下がるよ!』

『『…了解!』』



レンの悪魔のような笑みを見て、巻き込まれる前に逃げる蓮花達、城にお祈りを捧げつつ距離をとる。



『さぁてヨミちゃん、スクープだぞ、こんな近くで魔物を撮影出来るのは世界初じゃないか?』

『そそそ、そーですねー、は、ははは…』

『ゴ、ゴア?』



蓮花達からの攻撃が止み、立ち止まりキョロキョロするオーガ、警戒しながらゆっくり振り返ると、そこには先ほどとは違って、弱そうな人間が2人いるだけだった。



『ヨミちゃんハーちゃん!15号16号の実力を見せてやれ!』

『『え…』』



ズンッ、ズンッ、ズンッ



『ゴゥ?』



ゆっくり近づいてきて、2人に顔を近づけるオーガ。



:うわぁちかいちかい!

:ほら可愛いお目々!こんな子を殺すなんて!

:馬鹿かこいつ!

:可愛くないわ!

:全然攻撃してこないじゃないですか!

:お前なぁ、まぁいいや


『は、はは、ち、ちくしょう!やってやるよ!俺だって鍛錬してるんだ!負けねぇぞコンチクショー!』

『私だって!皆様!少しお見苦しい姿を晒します!ハーちゃん行きます!』



カメラを三脚に固定し、広角撮影にしてオーガの前へ。



『ヨミちゃんお待たせ!』

『ハーちゃん!?助かる!行くぞ!』

『ええ!』



2人で同時に攻撃を仕掛ける。



『ゴ、ゴゥ…ゴァァァァァァ!!』



勝てると確信したオーガ、息を吹き返し、2人に襲いかかる。



『負けねぇぞ!ウォォォォ!』

『クッソォォォォ!負けませんよぉ!』



倍は大きなオーガ相手に果敢に攻め込む2人、思ったほどオーガの速度は速くはなく、ヒットアンドアウェイでダメージを蓄積させようとするが、全くダメージが入らない。



『くそっ、まだまだぁ!』

『ファイアーボール!』

『グォォォォォ!』


:1号様もうやめさせて!ヨミちゃんが死んじゃう!

:そうだよ!見殺しにはしないよね!?

:ヨミちゃん死なないで〜!


『そうだなぁ、オーガを殺すなと言ったやつ、出てこい、お前が決めろ』


:おい!早く出てこい!無視すんな!

:お前のせいでこうなってんだぞ!

:私のせいじゃない!レンさんがやった事です!


『ああそうだ、俺がやった事だが、それがなんだ?他のやつは黙れ、一対一で話すぞ』


:貴方が解決するべきだ!


『ならオーガを殺すがいいんだな?』


:ダメです!弱い人間をけしかけた貴方が悪いんだ!


『ならどうしたら良かったんだ?オーガを殺さずに、これからどうやって2人を救う?言ってみろ』


:それは…


『ほらな、解決策なんかないんだろう、弱い人間なんかここにはいっぱいいるんだぞ?オーガは強い俺達にビビってただけなんだよ、俺達がいなかったらどうなってた?ここにいる冒険者は皆殺しになってたんだぞ?それでも殺すなと言えるのか?』


:丁重にお帰り頂けばいいのです!


『そうか、お前なら出来るんだな?』


:そんな事は言ってない!


『じゃあ俺達以外に誰が出来るんだ?お前が俺に命令するのか?丁重にお帰り頂くってお前、そもそもあいつの方から校舎をぶち破って出てきたんだぞ?殺す気満々じゃねぇか、それを殺すななんてよく言えたな、安全な場所から見てるからそんな事が言えるんだよ』

 

:じゃあどうしろって言うんですか!


『だからオーガを殺すのか殺さないのか決めろと言ってるんだよ、簡単だろ、ほら、ヨミちゃんとハーちゃんが死んでしまうぞ?俺もさすがに死人は生き返らせられないからな』


:オーガの仲間をいっぱい殺したからじゃないですか!やっぱり貴方が悪いんだ!


『当たり前だろ、だからどうした、魔物は魔力を集める為に世界が生み出したものだ、魔力…すなわち人間や、その他の地上の生物を殺すためだけにこの世界に沸いてくるんだよ、殺す以外の選択肢なんかあんのかよ』


:そんな…


『早く言え!その事実を知った今お前はどう思う!言ってみろ!』


:ヨミちゃんと、ハーちゃんを、助けてあげて…


『よく言った、魔物が消える瞬間をよく見ておけ、魔物はただの魔力の塊だ、少しは見方も変わるだろう』



満身創痍でオーガと戦っている城と葉跡、そこへ…



『そこまでだ!』

『ゴ、ゴア…』



ピタッと動きを止めるオーガ。



『た、助かったぁ…』

『はぁ〜、死ぬかと思った〜』

『よくやったな、今までで一番ピンチだったんじゃないか?』

『はい、ははは♪潜在能力、上がりましたかねぇ』

『少しは強くなったかな…』

『ああ、城も葉跡も強くなったよ、そろそろ基礎能力を貸与する頃だな、少し待ってろ…さて、オーガよ』

『ゴ…』



ゆっくり近づいて来るレンに恐怖が止まらず後退りするオーガ。



『へぇ、逃げようとするなんて、深層第3区の魔物みたいじゃないか、地球に発生する魔物はツェファレンの魔物より少し賢いのか?』

『グ、グウァァァ!』

『残念だったな、無理だよ、消えろ』



パチンッ!



パシュ…ドサッ



レンが指を鳴らすと、一瞬でオーガの首が消え去り地面にストンッと崩れ落ちた。



:は?

:なんだよそれ…

:すげぇ!

:さすがは神に近い男

:1号様…好き


『つ、強すぎる…やべぇ、鳥肌立ってきた!』

『はっ、さ、撮影に戻らなきゃ!』

『さてお前達、リスナーのみんなもよく見ておけ、魔物が死んだらどうなるのかを』


:ゴクリ…

:いつの間にかゴブリンやスライムの死体、無くなってね?

:確かに!

:よく見てなかったな

:どうなるんだろう

:ワクワク♪

:あ、なんか…

:煙が!?



5分ほど経過した時、オーガの体がうっすら光り、サラサラと分解されながら、白い光の粒へと変わっていった。



『魔物の使命は魔力を食らうこと、そしてその最終目的は集めた魔力を世界に還元することだ、死ぬために生まれてきたと言っても過言ではない、とても可哀想だと思うかもしれないが、魔物に対し死ぬ、という言葉は適切ではないんだ、魔力還り、異世界ではそう呼んでいた、同じ魔物から聞いたから間違いない』


:嘘だ!魔物から聞いたなら魔物にも感情があるはずです!

:確かにそうだ…

:こればかりは矛盾が

:1号様…


『確かにこのままだと俺は嘘つきだな、ふふっ♪出てこい相棒!出番だぞ!』



ずっと温めていたサプライズ、フェンとライトの登場だ、実は地球のメンバー、蓮花達にすらも内緒にしていた事実、周りの反応やいかに。

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