159話 迷宮化③【ダンジョン完成!】
蓮花達が高校を退学し、魔力飽和騒動があってから一週間が経過した、魔力による犯罪もレンの天罰配信が拡散されたのと、政府機関の迅速な対応により、徐々に少なくなっていき、そこそこ落ち着いてきている。
レンはこの一週間迷宮作りの為、近藤一家の鍛錬は他の者達に任せ、レイカのパシリになっていた、冒険者ライセンスカード用の素材集めだ、世界中の数十億人が冒険者になる事を想定し、素材を集め、足りないものやレアなものは魔力で作り出し、完全に生産工場と化していた。
「やっと終わった…しばらく鉱石は見たくない」
「レンお疲れ様、また足りなくなったらお願いねっ♪」
「うっ、レイカにティアの面影が重なって見える…」
「ほらほらっ!落ち込んでないで行くよ〜!」
「はいよー…」
そしていつもの広場で…
「リスクリワード…うん、魔力による犯罪は起こってない、みんないい子にしているみたいだ」
「完全に神様目線だね」
「いや、これからレイカがやる事の方がよっぽど神様寄りだろ」
「えへへ、そうかなぁ」
「そうだよ、それで?準備は整ったのか?」
「うん、レンが頑張ってくれたからねっ♪想定よりもかなり早く準備が終わったよ〜、こっちはねぇあとは〜、そろそろ来ると、あ、来た来た♪」
「レイカちゃんや〜!お待たせしたのじゃ!」
「近藤さん!わざわざありがとうございます!」
「皆さんもお疲れ様です」
「早苗さん、娘さん達の様子はどうですか?」
「ええ、順調ですよ、楽しく鍛錬しています、旦那とあの子達もすぐ来るはずですが…」
「それは良かった、今日はカフェの方で鍛錬してるんですね」
すると入り口のほうが騒がしくなってくる。
「はぁ〜疲れたぁ」
「蓮花先生きびしいよ〜」
「ええ〜?そんな事ないよ〜」
「こらこら〜、先生方に迷惑掛けないの〜」
「そうだぞ、わがままはダメだぞ」
「お父さん!お母さん!寧々、迷惑なんて掛けてないよ〜!」
「そうだよ〜音乃だって〜」
「2人とも頑張ってますよ」
「うんうん、一緒に頑張ろうねぇ〜」
「「は〜い♪」」
入り口からやってきたのは全部で8人、蓮花達3人と近藤一家の面々、早苗の旦那、その息子夫婦と子供2人である。
「あなたがレンさんですか?」
「はい、そうです」
「初めまして、近藤博と申します、早苗の夫です、下のカフェを経営しております」
無口そうな白髪オールバックの渋いおじさんだ。
「早苗と博の息子の近藤亨と申します、父と一緒にカフェを経営しております」
「亨の嫁、近藤六花です〜、よろしくお願い致します〜」
博の血を濃く受け継ぎそっくりな顔をしている黒髪短髪でダンディさん、躾にはとても厳しく真面目そうな見た目だ、とてもアニメや漫画好きだったようには見えない、嫁さんは亨と正反対で、口調も外見もふわっとした可愛らしい女性だ。
亨は年相応だが、六花はとても若々しく、30歳過ぎているようには見えない。
「「…」」
父と母の後ろに隠れてなかなか出てこない娘2人。
「ほらぁ、ダメよ〜隠れてちゃ〜、先生に挨拶しなさい」
「れ、レン先生初めまして!姉の近藤寧々ですっ!」
「妹の音乃です!」
2人とも髪型は一緒でショートボブ、寧々は前髪を左流しにしていて、音乃は右流しだ、双子なだけあってまったく見分けがつかない、皆が散々間違うので、髪型を左右で分け、一人称も名前にしている。
2人とも基本は元気っ子だが、初対面の人にはとても人見知りで、自己紹介をしてサッとお辞儀をすると、恥ずかしそうに今度は蓮花達の後ろに隠れてしまった。
ははは…え?俺ってそんなに怖い?
「レン、顔が怖いぞ」
「えぇ…超真顔なんだけど」
「真顔が怖いって言ってるんだ」
「カリン…本当にそう思ってるのか?」
「いや、からかっただけだ、ふふ」
「おい、分かりづらいからやめろよ」
「まぁ、動画とか散々見ただろうからな、存在自体が少し怖いんだろ」
「まぁな、仮面はしてたけど、どうせ蓮花達がバラしてるだろうし、しょうがないか」
「大丈夫だレン、お前の優しさはここにいる皆が知っている、そのうち分かってくれるさ」
「そうだったらいいけど…」
「あたしも殺さないでいてくれたじゃないか」
「おい!バカっお前!」
「殺さない…?」
「怖い…」
カリンのわざとらしい発言により、さらに怖がられるレンであった。
「もういいや、レイカ、全員そろったぞ」
「うん、それじゃあカメラの準備は大丈夫かな?ハーちゃん」
「オッケーでーす」
「城、待機は何人くらいだ?」
「100万人超えてます…はは、ヤバぁ」
「う〜ん…もっと集まると思ったんだが、全世界で数億人とか、意外と興味を引かないもんなんだな、まぁいいか、見ないやつが悪いんだからな」
「そうですよ、いいんじゃないですか?そこまで集まったらサーバーがパンクしますしね」
「そこは魔力でどうにでもするさ、レイカが」
「私をなんだと思ってるの?すぐには出来ないよ〜」
「それは時間を掛ければ出来るって意味だろ」
「まぁね♪」
「城!そろそろ始めるよ〜」
「おう、葉跡待たせた、本番だな、行くぜ」
「おお、さすが本物のアイチューバーは違うな、カメラの前に立った瞬間、完璧に気配が変わったぞ、流石に生配信ともなると気合が違うなぁ」
「はい!本番5秒前〜、ヨミちゃんモードに入って〜」
「おう!」
「4!3!2!…」
―――黄泉がえりチャンネル待機中…
:今日は重大な発表があると聞いて
:なんか凄いことになるとか?
:最近の黄泉がえりチャンネルの内容ヤバいからな
:魔法は想像力とか、ヤバかった
:異世界の魔物と戦うヨミちゃん、鼻血出ました
:なんで興奮?
:なにそれ見たい
:メンバー限定だぞ
:入ろうかな
:間に合ったぜ!
:お、始まるぞ!
:みんな、し〜!
:黙る必要なくね?
『よう!みんな生きてるー?神様に説教されて生まれ変わった男ぉ!黄泉がえりチャンネルの〜?』
:ヨミちゃん!
:ヨミー!
:俺
:ヨミち〜
:ヨミっち
:おれ〜
『俺だろ俺!間違えんなよなぁ、まだまだ修行が足りないぜお前ら!ちゃんと鍛錬してんのか?1日の終わりはちゃんと魔力を使い切れよ?』
:うるせぇ
:死ぬ死ぬ詐欺師
:使ってるわ
:え、使うの?
:使うと魔力総量でも増えるの?
:増える
:↑はい嘘、増えません
:増えないよ
:使い切るほど魔法の練習をして慣れておけって事ですよ
:な〜る
『そうだぜ、実際回復しちゃうから使い切るのは難しいけどなっ、それくらい気合い入れて魔法の練習に励めって事、鍛錬は裏切らないぜ!』
:本題はよ
:重大な話はよ
:久々の野外だな
:メン限ではいつも野外ですよ
:また人を、◯すのですか?
:山の中じゃね?
:おい、ダメだぞ人攫いは
:夜なのに明るいね
『うるせぇ死人どもだぜ、そういう生意気は黄泉がえってから言うんだな!それじゃあ今日のスーパー!特別ぅ〜…ギィエスティエィ!!』
:は?
:なんて?
:今のは「ゲスト」な
:すげぇ、よく聞き取れるなヨミ語
:ヨミ語www
:おれヨミ語検定6級持ってるんだ
:6級、クソでワロタ
:この世に言語の検定で6級とかあんのかよw
:それだけ高難易度ってことだなw
『こんばんわぁ〜、神様2号のレイカで〜す♪』
:ちょ、え?
:女…だと?
:ちょっと黙れお前ら、少し集中するから
:ありがとう神様
:おれの魔力、捧げます
:仮面…
『以前緊急出演していただいた神様のお仲間で、2号のレイカさんで〜す!お前ら、拍手だあ〜!!!』
『ど~もど~も♪よろしくねぇ♪』
:わぁ〜♪パチパチパチパチ!
:絶対可愛いぞ、おれの想像力が言っている!
:この声、うんうん、可愛いね♪
:↑キモいのがいるな
:↑お前もな
:→俺もな( ゜∀゜)・∵. グハッ!!
:パチパチパチパチ!
:2号=可愛い、これ相場な
:初めて聞いたぞw
:どこの相場だよw
:確かに…燃やされ役2号ちゃんも可愛かった
『さて、今日来て頂いた理由はなんですかねぇ』
『今日はねぇ〜、この場所をダンジョンにしま〜すっ!』
『おお〜!?これはまた凄い事をしようとしてますね!ダンジョンとはどういったものなのですか?』
『それはこの方達から説明していただきま〜す、カモーン!』
:む?
:まだギィエスティエィが?
:ヨミ語やめいww
:完全に魔物の名前だろ
:絶対強い
:中ボス以上の魔物ww
:魔神ギィエスティエィ
:ちょww
:違和感無くて草
『初めまして、3号のカリンだ、よろしく!』
『わ、私は4号!マリーだ!よ、よろしく…お願いします…』
:こいつぁ参った
:祭りだ!
:はぁドッコイ!
:やったぜ!なんか、ありがとう!
:あれ?4号さんは?
:消えた、だと?
『おい、出て来いマリー!』
『うわぁ!姉様恥ずかしいよぉ〜』
消えたマリーの首根っこを掴み、引き寄せるカリン。
:か、かわヨ
:なにもない所から出てきたw
:姉妹?
:同じポニテですな…
:4号ちゃん、頑張れ!
:3号ちゃん逃がすな!
『ほら、リスナーが応援してるぞ、仮面も付けてるんだ、恥ずかしがるんじゃない!』
『えぇ〜、もういいよ〜、かーえーりーたーいー!』
『ちょっとダンジョンの説明をするだけだ、お前が一番説明上手いんだから、いないと困るぞ!』
:そこだっ、やれ!
:もっとこう、ぎゅっと!
:泣ける…
:なんでだよw
:パニックw
『じゃあマリー説明よろしくねっ♪』
:2号ちゃん…空気読もう
:まだ落ち着いてないのにw
:そういうキャラなのね
4号信者:みんな!ちゃんと説明聞こうぜ!
:既に信者がいて草
:コテハンw
:はやぁw
『マリー落ち着け』
『兄様…お、おほんっ、すまん取り乱した』
:む?今の声…
:拙者、聞き覚えがありますぞ
:1号?
:黒龍の神様だ!
:出演は?
:お顔を、是非っ!
『レンさんどうしますか?』
『ん〜、やめとく』
『だ、そうだぜ!みんな諦めろ!』
:ふぉー!辛辣ぅ!
1号信者:1号様はそうやすやすと民衆の前にお顔を晒すようなお方ではない
:だから早いってw
:どうせ仮面付けてんだろ
4号信者:4号様の説明は?
1号信者:うるせぇ、今は1号様の話だろ
:宗教戦争w
『説明しよう、ダンジョン、すなわち迷宮化だ、今いるこの山は我々が所有者より譲り受けた場所、ちゃんと法律に則り、正規に購入している』
:法に縛られる神様w
:実際は神じゃないみたいだし、しょうがなくない?
4号信者:うむ、4号様は最高ということですな
:ロリコン乙
:どういうことなんだよw
『場所は後ほどウェブサイトを作成予定なので、そちらで発表する、その前にダンジョンの説明だったな』
『そうだ、マリー、まずは潜在能力の説明からいこう』
『うむ、潜在能力、お前達はレベルアップはどうやって起こるか分かるか?』
:お前達w
:萌える
:はい!経験値!
:経験値以外思いつかん
4号信者:4号様への祈りの回数ですね
:引っ込めロリコン
:回数ってなんだよw
:魔力の使用量とか?
:それもあるか…
『経験値というのは間違いないんだが…』
:え、なんでクイズ形式にしたん?
:さすがに簡単すぎる
『異世界では簡単な話じゃないんだよ、経験値なんてものは目に見えない、ステータスに表示もないだろう』
:あ、確かに…
:レベルしかない
『経験値という言葉すら適切じゃないんだ、本物の神様が言うには、魔力を変換した…何かだ』
:あいまいみ〜
:曖昧すぎる
:何か、とは?
『魔力をその何かに変換させるには戦闘という経験が必要、すなわち経験値、という事にしている、呼び名はないんだ、だから経験値でいい、そしてこの経験値は魔物など、人以外の生物を討伐した時だけしか吸収できない、知的生命体を優遇している理由があるのだが、それは割愛させて貰う』
:なるほど…
:めっちゃ気になる
:ダンジョンだと簡単にレベルアップできそう
:そのためのダンジョンなのか
4号信者:そうだ、皆、レベルアップして4号様に報いるのだ
『違う逆だ、ダンジョン内ではレベルアップはしない』
:信者爆死で草
:プークスクス
:あれぇ?信者さんは〜?
1号信者:4号信者は地に召されました
:天じゃなくて草
『ダンジョン、ここで鍛えるのは潜在能力、レベルアップとは潜在能力の解放だ』
:???
:??
:あぁ〜、はい、そういう
:分かるの?
:分かんない
:分かんないんかいw
:でも言葉の意味は分かる
:理解出来るかは別な
『少し長くなるぞ、レベルアップするから強くなるんじゃない、まぁ強くなるのは間違いないのだが、本来の強さを一定の経験値により解放して手に入れるという感覚だ、潜在能力を鍛えてから魔物を討伐し、レベルアップによって本来の力を解放させていくんだ、何ならレベルという言葉すら適切じゃないのかもな、解放とかなら分かりやすかったな、次の解放まで何ポイントとか表示されて、魔物を倒して能力解放、能力値によりレベルが決まるとかだったら、その人のレベルを見れば大体強さが分かるのだがな、残念ながら現在はレベルから強さを測るのが難しいのが現状だ』
:あぁ〜、はいはい
:理解しました
:確かにそのほうが自然だな
:ゲームとは違うということか
:それなら身体への負担が少なそうですね
『もちろん潜在能力には個人差がある、最初からステータスが優秀で潜在能力が高い者、こういう人はレベルアップした際、上昇する数値が高い、デメリットはレベルアップしにくいというくらいだ』
:けっ、結局才能かよ
:俺達底辺は泥水をすすって生きますかぁ
:靴、舐めますか?
『話は最後まで聞け、はっきり言おう、それでも努力し続ける者のほうが最終的には強くなる、そういう世界になった、今までよりもよっぽど才能の差を埋める事が出来るようになったと言えよう、才能が高くて楽に強くなるからと大して努力もしない者、こういう典型的なクソ虫が他人を見下し、後に復讐される羽目になる、私もそうだった、お前達も努々気を付けるようにな』
:クソ虫w
:所々口悪くて草
:ほぅ、とうとう来たか、俺の時代が
:さぁて、日課の筋トレでもすっかなぁ
:おっとランニング行かなきゃ
:嘘つき多いなw
『潜在能力に上限はないが、努力しなけば上がらない、潜在能力が上がらなければレベルも上がらない、レベルを急いで上げるよりも、むしろ潜在能力を上げるほうが重要とまで言えるだろう、潜在能力を上げなくてもそこそこまではレベルは上がる、だが、ろくに鍛錬もせずレベルを一気に上げると…最悪死ぬ事になる、パワーレベリングなどを行う場合は十分に気を付けるように』
:え、怖っ
:なるほどそのためのダンジョンですね?分かります
:完全に把握した
:っていうか今更なんだけど、4号ちゃんめっちゃ喋り上手じゃね?
:最初のはなんだったのか
:3号ちゃんの言っていた事は本当だったのか
『う、うるさいぞお前ら!いいだろ、私は恥ずかしがりやさんなんだから』
『はっはっは、マリーは可愛いな!因みにあたしがここに出てきた意味は、ない!!』
:4号捕獲要員で草
:堂々とし過ぎw
:ワロタ
:逆に関心するわ
:4号ちゃんカワヨ
:拙者、3号殿のファンになりました
:勝手にしろよw
『説明を続ける、皆の言う通り、そのためのダンジョン施設を作ろうというプロジェクトだ、世界で唯一無二、ここにだけしかないダンジョン、日本に住んでいる者は喜べ!来たる魔物襲来のためには、実際に魔物と戦闘するのが最も効率がいい、ピンチならばピンチなほど潜在能力も上がりやすいしな、以上だ、ご清聴ありがとう』
:わぁ〜、パチパチパチパチ!
:パチパチパチ!
:パチパチパチパチ!
『補足としてあたしから、さすがに出てきただけでははつまらんからな、全世界のありとあらゆる生物が進化する恐れがある、動物だけじゃない、虫や魚、細菌やもっと小さなウイルスまでもが変異する可能性があるのだ、回復持ちの者や、錬金術師のような技能を持つ者は丁重に扱うようにな』
:3号ちゃん?
:結構やべぇ事を聞いたような?
:補足とは?
:これ、聞いてなかったら俺、ピザ食ってたわ
:いや、それは食え
:ダメじゃん、ピザ食ったら頑張れねぇよ!
:なんとなく分かる
:ピザがピザを食わない世界、だと!?
『はい!ありがとうございました〜、3号ちゃん、4号ちゃんでした〜』
:ありがと〜!
:2号ちゃんも、3号4号呼びで草
:あれ?司会は?ヨミちゃん?
:チャンネル乗っ取られてら
『は〜い、続いては〜?じゃ~ん…』
『ちょ、ちょっとレイカさん待って下さい!俺が進めますんで』
『あ、ごめんね〜、盛り上がっちゃった、てへっ』
:おれ、今日死ぬんかな
:おい今ちょっと扉みたいの見えたぞ
:こんなに可愛いことある?
:女神やん
:女神様…
:そろそろ来るで、信者が…
2号信者:呼んだ?
:キターーー!
3号信者:3号殿を忘れるなでござる
:お前は遅えんだよ
『盛り上がってるねぇ!同接数は〜、へ?1200万?』
:おめ♪
:同接数、史上最高じゃね?
:なんでサーバー落ちないの?
:なんかやってんな?
:誰が?
『みんなありがとー!まだまだ見せ場は続くぜぇ!それではレイカさんどうぞっ!』
:なんか恥ずいんだけど
:扉見えたしね
:ヨミちゃんいらなくない?
:同意
『たはは、ごめんねヨミちゃん、私が盛り上がったばっかりに』
『い、いえいえ〜、お前ら!いい加減にしろ!確かに俺がいる必要ないかもしれないけど!…しれないけどねっ!』
:なんかごめん
:これヨミちゃんのチャンネルだったね
:な、何を出すのか楽しみだなー
:頑張れ!俺は応援するぞ!
『じゃあ進めるね、改めて…じゃ~んっ!』
『これはなんでしょうか?某アニメの扉のようですねぇ』
『…』
『…レイカさん?』
『ど~こ〜で〜も〜…』
『はいストップー!やめて!台本と違うこと言わないで!もう炎上はしたくない!』
『ダメかぁ』
『ダメですよ〜、おお怖ぁ』
:草
:草
:遊ばれてて草
:やっぱり扉だったね
:これがダンジョン?
『これはねぇ、出張ダンジョン!まぁ扉の形である必要はないんだけどね』
『は?じゃあ何で扉の形にしているので?』
『う〜ん、ダンジョンの入り口をイメージして作ったから、かな?自然とこうなっちゃったんだよ』
『なるほどです、それで?こちらはどう使用するのですか?』
『ふふふ、見てからのお楽しみですっ』
:ワクワク
:え?これからダンジョン作るの?
:2号ちゃん凄すぎ
:なんか2号ちゃんが作ったような話の流れだった?
:俺もそう聞こえた
『もっちろん私が作ったよ〜、私は物作り担当なんだよ♪』
『なるほど!凄いですねぇ、それでは早速やって頂きしょう!どうぞー!』
『じゃあいっくよ〜♪…そぉいっ!』
:ぶっ!?
:ぶん投げたw
:急にどうしたw
ドンッ、ズモモモモモ…
:沈んでく…
:うんうん、扉って沈むよねぇ
:沈まねぇよw
:考えを放棄すなw
:ん?画面が動いて…浮いてる!?
『はい!お前達!これからこの山全体を映していくぞ!見逃し厳禁だぜ!』
レンが、全員を乗せられるくらいの大きな石板を足元に作り浮かせる、そのままだと迷宮化に巻き込まれてしまうからだ。
山から少し離れた所の上空まで移動し停止する。
:すげぇ!
:よく見えます
:ここ…うちの地元なんだけど、行ってくる!
:羨ましい
『さぁ!どうなるのでしょうか!』
:山が、赤く点滅してる…
:これパニックにならん?
:絶対野次馬だらけになるだろ
:あ、なんか建物あるぞ
:なんか、オシャレっぽい建物ですね
:あれは元お寺だった場所がカフェになったのです
:地元人、まだいたw
:外出たら交通規制されていて行けそうもなかったよ
:悲しみ
:残念
山が点滅し、最初にまさかのカフェが全壊。
:そんなバカな…
:嘘だろ…
:えぇ…いきなり?
:あ、カフェまでの階段がさらに伸び始めたぞ!
:鳥居…雰囲気あるわぁ
カフェまでの階段が広場まで伸び、等間隔で鳥居が出現、ぼんやりとしたオレンジ色の光が灯されていく。
ゴゴゴゴゴ…
:凄い音がなってるっぽい?
:ガラガラ聞こえる、なになに?
:あ、山が…え、えぇ!?
:すげぇ!!なんじゃこりゃあ!
次に山の木が枯れて全体が禿山に、さらに所々から蒸気が噴出し始める、山肌はパキパキと音を鳴らしながら岩山に変化していき、まるで活火山のような見た目になっていった。
:火山…
:あ、広場が…いやいやいや
:おかしいだろ、どんな技術なんだよ
:2号ちゃんの技術すげぇ!これ、もはや創造神だろ!
最後にレン達がいた広場が変化、岩が大きく削られながら今までよりも広くなっていく、次に、大きくなった広場に加工された木が出現すると、みるみるうちに建物が建築されていき、その速度はまるでタイムラプスを見ているかの如く、そして広場の奥、削られて壁となっている岩肌の中心辺りが煙を上げて崩れ、大きな穴が空き、それを塞ぐように鉄の扉が出現した、ダンジョンの入り口である。
ここに無事、世界初のダンジョンが誕生した瞬間であった。




