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149話 修羅場

箱庭もツェファレンと同じ、時間経過が地球50分の1しかないため、地球に戻ってもまだ夕方である、今日も適当なビジネスホテルで1泊して、次の日…



「さて、今日は何を教えようか…」



ほとんど教えちゃったからなぁ、あとは蓮花のライトくらいか?瞬光でも教えたいが…流石に魔力が足らないだろう、う〜ん…



「お兄ちゃん…」

「ん?どうした?何か思いついたか?」

「ねぇ、なんで私はお兄ちゃんのこと思い出せないの?」

「え…」

「お母さんがね、時々お兄ちゃんのこと思い出しそうな事を言うの…」

「私のお父さんもです、まるで他にも兄弟がいたかのような話をして、自分で混乱しているのです、なのに…私と妹は何も思い出さないのです…」



まずい、どうするか…



「はぁ〜、しょうがない…隠してもしょうがないよな」



頑張れ俺!バレてもこの2人を大切にすれば良いだけだろ!うんうん!よしっ!



「何か隠してるの?」

「重要な事なのですか?」

「今から言うことは2人にとって凄くショックな事だ…だから黙っていた、先に謝らせてくれ、ごめん」

「「…」」



うぅ、気まずい…くそっ、少し管理が雑過ぎるぞ神様よ、やはり人手が足らんのか?



「俺は約2週間前、高校時代の友達と飯を食いにあのカフェへ向かった」



山の麓を指さし説明する。


今いるこの山は、例のカフェがある山のさらに上の方だ、まだカフェがお寺だった頃、シン達5人とよくこの山で冒険ごっこをして遊んでいた場所であった。



「うん」

「はい」

「カフェへ向かう階段を登っている途中、俺は異世界の魔人に強制的に転移させられた、そこで色々あってな、とある神様に助けられたんだよ、その神様が言うには、他人に強制的に転移させられた場合、この世界では死んだ扱いになり、皆の記憶から消えてしまうとの事だ」



今なら分かる、これは恐らく転移させられる人の魔力量が少ないからとかそういう問題じゃない、他人を世界渡りさせるという行為そのものが、神の御業に近い行為に当たるからだろうな、本人だけが自分の力で世界を渡る、まではまだギリギリ許容範囲なんだろう…いや多分



「だから私達もお兄ちゃんを忘れちゃったんだよね?」

「そこまでは分かります」

「いや、お前達2人は少し違う…」

「「え…」」



ふぅ〜、よしっ言うぞ!



「蓮花…俺は一人っ子だったんだよ」

「え…そんな、じゃあ私は?私は誰なの?」

「恐らくだが地球の神が生み出した俺の生まれ変わりだ、そして可憐…一緒に転移した俺の友達、カリンとセイト…フルネームは紫水花梨と紫水聖斗だ…その生まれ変わりが可憐とお前の妹なんだと思う」

「う、うわぁぁぁん!ひどいよっ!なんで?私は人間じゃないの?どうして神様はそんなひどい事ができるの!?」

「う、うぅ…私も聖愛も人じゃ…ない!?なら私達は、なんなんですか!?」

「大丈夫だ」



2人を抱きしめ安心させるレン。



「だから俺は神様に聞いてきた…お前達はなんなのかと」

「うぅ、お兄ちゃん…」

「お兄さん…なんと言っていたのですか?」

「たぶん神様の卵だってさ、俺と同じだよ」

「えぇ!?」

「どういう事ですか?」



最初に箱庭について説明し…



「なるほど世界の始まりは全てその箱庭からなのですね」

「そうだ、そして全ての生物の感情や性格というものの核は魔力で構成されている、だからお前達もなんら人間と変わりない生物なんだよ、神だから少し上位の存在だけどな」

「上位…私、神様、偉い?」

「おい、なんでカタコトなんだよ」

「えへへ、お兄ちゃんと一緒って分かったら安心しちゃった」

「私も少し安心しました、でも私達…何をしたら良いのですか?使命とかあるのでしょうか」

「大丈夫、普通に生きればいいんだよ、俺もそう言われた、早く死んでねってな、神様は人とは考えが違うんだよ」

「まぁもう普通に生きられる自信ないけどね、ファンタジー編に入っちゃったし、にっしっし♪」



良かった、なんとかゴリ押せた、とにかくここまで言ってしまったら可憐の妹を含めて3人を大切にしないとな…くそぉ地球の神めぇ、あんまり世話かけんなよ…



『本当にすまない、そしてありがとう、人間よ…』

「ん?」

「どうしたの?」

「いや、なんか声が…」

『地球は魔力が少なくて管理が大変なのだ…少し利用させてもらった、ヘスティア…今はティアだったな、ティアには話を通しておる』

「えぇ…」



ちっ、ティアめ〜、黙ってたなあいつ、いや、お礼を言っていたと言ってたな、だけどこの事態も言っておけよ〜、くそっ、ニヤついてる顔が想像できるぜ、これは遊ばれたなぁ。



『地球の管理者か?人手が足りないのか?』

『いや、決して人手不足とかではないのだが、100年ほど前からツェファレンより虫が入り込むのでな、どうにかできないかと思っておったのだ、きっとレン殿は地球に戻ると、ティアから聞いていたのでな、少し協力してもらったのだ』

『虫…鼻くその事だな、確かに貴重な人材を狙うクソ虫だからな、そうか…とにかく神になったら3人を頼むぞ』

『うむ、聖愛もだな、任せておけ』

『地球の管理人候補か?』

『その予定だ』

『そうか、寂しくなるな』

『大丈夫だ、管理人になったあとは気軽に交流などは可能だ』

『そうなのか、それなら安心だな』

『あと一つ頼みがあるのだが…』

『なんだ?』

『2人の…できれば聖愛も含めて、3人のレベルを上げてはくれないか』

『レベル…』



ぶっちゃけどうしたらいいのか考えてはいた、考えてはいたが、許されるのか分からなかったからやらなかったが…



『そうか、やってみよう…何でもありか?』

『地球はこの広い宇宙の中でも稀有な星でな、生物はいくら死んでも構わぬが、もちろんわざと虐殺とかは駄目だぞ?しかし…地上を激しく破壊されるのは困る、レベル上げや魔力が世間に知れ渡ったあとの犯罪など、その過程で生物が死ぬのは運命だ、どうでもよい』



怖っ、流石は神様…むしろ少し減らして欲しいまであるのかも知れないな、聞くのが怖いから聞かんけど。



『は、話が分かる神様で良かったよ、協力しよう』

『ありがとう…ティアにも礼を言っておく』

『分かったよ、なぁ俺が管理人になったら会ってくれるか?』

『是非とも』

『死んだあとの楽しみができたな』

『ふふっ、面白い御仁だな、その時を楽しみにしている、酒でも飲もうぞ、またな』

『おう』

「…おーい!お兄ちゃん!急にどうしたのー!」

「どうしました?お兄さんっ、お兄さ〜ん!」



しばらく放心状態のレンを心配して蓮花と可憐はずっと声を掛けていた。



「おっとすまんな、心配掛けた」

「はぁ〜、やっと戻ってきたぁ、一体なんなの?」

「少し目が怖かったですよ?」

「ははは…ちょっとな、地球を管理している神様に話し掛けられてたんだよ」

「「え!?」」

「やっぱり2人は神様確定だ、地球を管理する管理人候補者だってさ、頑張って神の器を育ててくれ」

「善行でも積めばいいの?」

「う〜ん、わからん、とにかく強くなればいいんじゃないか?」

「そんな適当なの?」

「神様っていうのは人が思ってるほど善人じゃないんだよ、人の生き死になんかは関係ないんだ、わざと大量に生物を殺したりするのは流石に怒られるかもだけど、お前達の器を育てる過程で幾らか人間が死んだ所で何とも思わない、的なことも言われたよ」

「そ、そうなんだねー…」

「怖いです、まさに神様視点のお話しですね」

「私達も少しそういう視点で世の中を見なきゃだねぇ」

「まぁ、そこは徐々にな、悪意をもって私利私欲で人間を殺し過ぎて、天罰を食らった下位の神もいるにはいるから」



いくら死んでもって…ヤバくないか?地球の神様はかなり上位の存在っぽいな。


それにしても鼻くそ共はどんだけの悪行をやってきたんだよ、他の神が管理する世界で殺しまくったのか?まぁ、神の候補になれるような貴重な人材を殺しまくったんだろうな、そりゃキレるわ。


あ、妹の聖愛の事も鍛えなきゃだな…



「可憐、お前の妹も神候補なんだよ、明日から連れて来られるか?」

「う〜ん、明日から土日なので2日間は連れて来られますが、平日は難しいです…私達も来週から通常の下校時間になりますし…部活もあります」

「あぁ、そうだったぁ…時間がないよ〜、夜までじゃあ流石に心配されちゃうね〜、どうしよう」

「「「う〜ん」」」



考えてもいい案が思い浮かばず、今日は蓮花に瞬光を教えて解散となった。


懸念通り瞬光は魔力量が足りずに発動できず、しかし片手だけを光らせ殴る、みたいな事をやっている蓮花を見て、頭の中にティルの顔を思い浮かべたレンであった。



―――



「話は聞いたみたいだねっ♪」

「お前なぁ、言ってくれよ〜、マジで焦ったんだぞ、2人にどう説明したらいいのか、ここ最近で1番ピンチだったよ」

「ふふふふ…焦ってるレンも可愛かったよ♡」

「はぁ、女神様には俺も敵わないな」

「さてさて〜、今日は特別ゲストをお呼びしてま〜す♪」

「なんか大層な家が建ってるから何事かと思ったけど…ゲスト?他の神様とかか?」

「ふっふっふ〜、出てきていいよ〜!」



ガチャ



いつもは2人で寝れば良いくらいの家が草原の上にポツンと建っていただけだったが、今日帰ってきたら豪邸になっていた、その玄関の扉が開くと…



「なっ!?なんで…」



タッタッタッ、ガシッ!



「レン!バカ野郎!いつまでも帰ってこないから心配しただろう!」

「本当だよ、もう1年も経つんだよ?本当に心配したんだから」

「兄様…会いたかった」

「カリン、レイカ、マリー…ごめん、こっちでは1週間しか経ってないんだよ、本当にすまない」



4人抱き合って地面に崩れ落ちる、3人は大泣きだ…流石のレンも謝ることしかできなかった。



レイカとマリーは、箱庭へ来るのは初めてのはずだが…



「感動の再会おめでとう♪」

「ティア、どうせレイカとマリーは、女神パワーでどうにかして連れて来たんだろ?ありがとな」

「いいよ〜、レンのためだからね〜」

「3人に説明は?」

「もう済んでるし、了承も貰ってるよ」

「そうか、これで将来3人も神様だな」

「ガンガン働いてもらうからね〜、よろしくねっ♪」

「ティア様、ありがとうございます」

「私も神様かぁ、この箱庭の物作り担当なら任せて下さい!」

「私とカリン姉様は警護って所か?」

「まぁそれは世界が出来てからだね〜、数千年先かも?」

「気の長い話だな」

「そんな事ないよ、すぐだよすぐ〜」

「ティアはいつも寝てるからそう感じるんだろ」

「みんなもそうなるよ」

「そうなのか?」

「うん♪なってからのお楽しみ〜」

「でたよ、神様の隠し癖」

「ふふふふ、レンと一緒で神様はサプライズが好きだからね」

「もしかしてレンが人の事を驚かせるのは、もうそっち寄りの性格になり始めてるのではないのか?」



カリンが的を射たような発言をする。



「…否定は出来ないな」

「なら私達はまだ人間寄りだねぇ」

「レイカなんかすぐに神様寄りの性格になりそうだけどな、今でさえティアと少し似てるし」

「ええ〜?私が?まぁ光栄だけど」

「兄様…私は?」

「う〜ん…闇の女神、戦神マリー」

「いいなそれ!」

「あたしは風の女神、風神カリンだな」



風林火山みたいだな、滑るから発言は控えるけど。



「私は創造神レイカ!」

「騒々しいレイカの間違いだろ」

「あ!ひど〜い!」

「うふふふ、楽しいねっ♪みんなが死ぬのが楽しみだな〜」

「いや言い方、ティア、もう少し考えて発言して」

「やっぱり神様って感じだよねぇ、私もこんな綺麗になれるかなぁ」

「姿は好きに出来るよ」

「そうなのですか!?本当に!?それならこの背丈も…ふふふふ、ふふふふふ…」



少し怖いぞマリーよ、切実なんだなぁ。



「ところでツェファレンは今大丈夫なのか?」

「うん、レンが強化して回ったからね、世界振動の時は少し焦ったけど」

「ああ、逃したかぁ、体験したかったぁ」

「レンが行って2ヶ月後くらいに大きな地震があってね、全方角の危険区域から溢れが発生したんだよ」

「それって本当に大丈夫だったのか?」

「大丈夫♪実は結界を強化しておいたんだぁ、金剛魔鉱石もまだまだあったし、強化は簡単だったよ、被害はゼロ、溢れって凄いよね、区と区の間は関係なく魔物が突破してくるんだよ、強化した結界は突破されなかったけどね、流石は私っ!」

「もう既に神様みたいな事やってんなぁ」

「あたしはラーメンを極めたぞ!」

「お?後で食わせてくれな、カリン」

「もちろんだ!もちろんちゃんと鍛錬も続けていた、最近は皆と一緒に深層3区の魔物を軽く狩ったりしている」

「そうか…みんな強くなったんだな」

「レイも頑張っている、私がケツを引っぱたいたからな、今は中央以外の国を1つの国として、ツェファレン連合国と呼んでいる、それぞれの方角の国だった場所は、国ではなく地区だ」

「ほう、北地区とか東地区って事だな」

「そう、そして聞いて驚け、今東地区を治めているのはヤンキー女キルミだ、北地区は魔眼双子の姉アシュリー、南地区は白虎の獣人シロ、西地区は元暴走幼女のセフィールだ、セフィールの後釜はナナになった」

「…」



い〜やいやいやっ、変わりすぎぃ!



「声もでないほど驚いているな、元々の国王たちは自由を謳歌して鍛錬に明け暮れている」

「マリー、説明ありがとう…本当に驚いた、いやマジで…」



シロが南の代表ってのが個人的に1番ビックリだ…



「よくシロが南の代表を引き受けてくれたな」

「大変だったよ〜、でもお城の部屋に引きこもってればいいだけだよって言ったら代わってくれた」

「おい、ダメだろそれじゃ」

「大丈夫だよ、20年の実績があるからねっ♪」

「いやいや、それはレイカが役に立つ魔道具を作りまくってたから成り立っていた事だろ」

「レン〜、今は変わったんだよ?レン式想像魔法発動型が浸透してからは、みんなどんどん強くなってるし、もともとレクステッドは物作りが盛んな街だったから、今はさらに盛り上がってるんだよ」

「そ、そうか…」



レン式…なんだって?



「それにねぇ、レクステッドで私達に次ぐ強者はシロなんだよ」

「まぁ、それはなんとなく想像出来ていた未来ではあったよ」

「さっすがぁ♪あとで会いに行ってあげてねっ」

「分かったよ、あとマリー、カインドはどうだ?変わりはないのか?」

「村長は引き続きゴル村長がやっている、またまだ現役だとテラーを連れて深層で修行してるみたいだな、村長の家は各地区のお城と繫がってるからな、レクステッドに来てダンジョンで潜在能力上げては深層でレベル上げの毎日だ、そういえばティルが悲しんでたぞ?」

「そうだな、次行ったらいっぱい遊んであげよう」

「そうだよレン、ティルも候補の一人なんだから構ってあげなきゃダメだよ〜」

「そうか、そうだよな…そうなん?え?ティア…今なんと?」

「ティルちゃんもレンと家族になるでしょ?放っておいちゃダメだって言ってるの、あとシロもサリーもラルファもララも…」

「やめろやめろ!見境なさ過ぎだろ!」

「恋に年の差も人数も関係ありません!それにすぐ年齢は追いつかれるでしょ」

「確かに、いや、もうすでに何倍も上のやつも…いやそういう問題じゃ…はぁ、まぁなんでもいいか」

「あ、レン、今の神様っぽい」



なんか考えるだけ馬鹿らしくなってきたし、そろそろあの事を相談するか…



「みんなに相談があるんだが…」

「地球の3人の事だよね?」

「ティア、見てたな?」

「あたし達も鑑賞していた」

「うんうん、感動だったねぇ」

「兄様、あの者達も大切にして欲しいぞ」

「おいカリン、鑑賞とは?まるでドラマでも観ていたような言い方じゃないか」

「実際そんな感じだった、ラーメンを食べながら観ていた」

「寛ぎすぎ!さっきの感動的な再会が茶番に感じてきたよ!」



くそぉ、ティアだけだったらいいけど、他の人はせめて俺の同意は必要だろ…ってかどうなってんだ?時間の経過速度が50倍も違うのに、どうやって映像にしてんだよ、こっちで観たら超スロー再生みたくなるだろうが。



「まぁ見ていたなら話は早い、なんかいい案はないかな」

「あるぞ」

「聞かせてくれ」

「うむ、私達も地球へ行く、部活は休んでもらおう、3年生だし辞めてもいいかもな、受験勉強に励むという体で私達に勉強を教わることになったと言うのはどうだ?」

「聖愛は?」

「お姉ちゃん達だけずるいって言って、たまに来てもらうしかないだろう、あとは2人が聖愛に教えるしかないかな」

「うん、いい考えだと思う、じゃあお前達は大学生だな」

「私が大学生…いいのかな」

「マリー、お前は大人だ、大学生でもおかしくはないよ」

「兄様…うん♪私大学生やる!」

「よっしゃ、じゃあ行くか!」

「早いよ〜、さっき帰ってきたばっかりじゃない、ただでさえ地球の時間は50倍くらい時間が進むの遅いのに」

「あ、そうだった、こっちの2日間があっちの1時間だからなぁ、2人が転移を覚えれば修行しやすいんだけど、地球の神様、どうにかしてくれないかなぁ」

「一応言ってみるよ、地球がある世界は他の世界よりも極端に大きい世界なんだけど、その分魔力濃度が薄いからねぇ、あの宇宙っていうのは厄介だよね、魔力が薄いから技能を付与するのも大変かもね」

「そうだよな、宇宙も含めて1つの世界なんだから、そりゃあ魔力も持っていかれるわな、だからクソ虫である鼻くそにも苦戦するわけだ、それをどうにかするため今回は俺がだしに使われたということだな」

「他の星を捕まえて魔力供給源にしちゃえばいいのに、地球の神様はあまりいじろうとしないよねぇ、謙虚なんだよ」

「地球の神様というより、宇宙のあるあの世界の神様なんだろ?そりゃあ人手も足らなくなるわ」

「私なんか足元に及ばないほどの上位神様だよ、名前も数百持ってるし」

「それは地球人が悪いな、神の存在は一柱じゃないと思ってるし、特に日本なんて八百万の神なんて考えがある、物一つ一つに神が宿ってるとかな」

「一柱じゃないのは確かだよ、歴史が長いからねぇ、私なんか誕生して1億年くらいしか経ってないけど、あの世界はもう150億年は経ってるし、実際八百万くらいは管理人がいるんじゃない?星は地球だけじゃないからね」

「げぇ、考えるだけで頭痛ぇ」

「私に相談してきたのは、その中でも地球を担当している神様だよ、それでも50億年は神様やってるってさ、せっかく知的生命体がいるのに魔力の恩恵がないのは勿体ないって、恩恵さえ受けられれば次の神候補もいっぱい見つかるのにって、さらに優秀な人間を攫っていく鼻くそ、どうにかならないかって、愚痴こぼしていったから協力してあげたの」

「神様も大変なんだな…」

「私も地球から管理人候補者もらっちゃったから、少し罪悪感もあったしね、てへっ♪」

「確かに…でも地球の管理人じゃなくてよかったかな、なんか面倒くさそうだもんな」

「ふふふ、どうだろうね〜」

「さて、地球へ行ってホテルで寝るかぁ」

「あたし達はここにいていいか?」

「おう、なんだ?また悪だくみか?」

「そんなんじゃない、神の器を育てる修行だよ、少しでもレンに追いつかなくてはならん」

「分かった、時間になったら迎えに来るよ、まだあと21時間くらいあるから、40日以上あとだな…この時間差はどうにかならんのか?」

「地球に魔力が充満すればどうにかなるかもね〜、昔はこんなに差はなかったから、せいぜい10倍くらいだったよね」

「なら頑張るしかないな…じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい」

「うむ、待ってるぞ」

「兄様、またな」



地球へ戻りいつも通りビジネスホテルへ1泊、次の日になった時、土日で学校が休みだから朝から会う約束をしていた事を忘れていて、急いで箱庭へ皆を迎えに行くレンであった。

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