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140話 魔系の魔物

「うわぁ〜、魔界やん…」

『うむ、我々のいた場所と引けを取らない環境だな』

『うん♪なんか居心地いいね〜♪』



魔系の魔物、というのが気になったので、西の深層第1区にふらっと遊びに来たレン達。



居心地いいのかよ…



周りは枯れ木ばかり、地面には脛の中心くらいまでの高さ、およそ30cmほどの紫色の草がぎっしり生えてる、霧が深くて先が見えず、いかにもここは不気味な場所ですよ〜と、一生懸命演出してくる。


時より『あぁぁぁ…』という低いうめき声が聞こえてくるが…



この声の主が魔系の魔物ってやつなんだろうなぁ。


残念だったなツェファレンよ、俺はホラー耐性をデフォで持ってるんだよ。



「この霧も…普通じゃないんだろ?」

『分からん、所詮は霧じゃろ』

『僕も分かんな〜い』

「そうか、後でセイトにでも犠牲になってもらうか…」



―――



オーソロン城、転移部屋の前にて。



「はっくしょい!うぅ…」

「大丈夫ですか?セイト様」

「うん、大丈夫だよフキノちゃん、なんか…今日はレクステッドに行かないほうがいいような気がしてきた…」

「南は寒いですからね…では、カインドにでも行ってみますか?」

「そうだね〜、そうしようか〜」

「はい♪」



レンとの鉢合わせを間一髪回避したセイト、悪運だけは強い男であった。



―――



「魔系かぁ、どんな魔物なんだろうな」

『我は、主様の記憶にある、スケルトンやレイス、そんな感じなのじゃろうと思う、ゾンビという感じではないのぅ』

『う〜ん僕は〜、コウモリ!』

「ライトはどこからそういう知識を得てるんだよ、まぁどっちもあり得そうだよな、でもうめき声ってのが人型っぽいんだよなあ、唸り声とは違うし、コウモリは鳴かないと思うぞ?地球じゃないから分からんが」

「うぉあぁぁぁ…」



来やがったな…



魔系、と思われる魔物が、霧の奥からぬっと姿を現した。



「…」



体長は3mほどで体高は2m弱、手足の形状は完全に人間のそれ、だが四足歩行で、顔が…おっさんだった。



キモい…キモすぎる。


手足は人と同じなのに、四つん這いじゃなくて四足歩行…だな。


子供がお絵かきした化け物がそのまま現実に出てきたみたいだ、人間が四つん這いになってるような見た目なのに、かかとがぴたっと地面についてるのが気持ち悪い、体も少し毛深い人間くらいだし、肌は黒いけど。


なんでおっさん顔なんだよ、うっすらニヤけてるし。



「あぁぁぁ…」



イラッ


ヒュッ


ドゴッ



「ぶへぇっ!」



ズシンッ



ついイラついて軽くぶん殴る、おっさんは涎を飛ばしながら横に倒れた。



「どこが魔系なんだよ!奇形だろこんなもん!」

『そうなのか?なかなかの魔力ぞ?』

『うんうん、美味しそう』

「うあぁぁあうぁぁ!」



ドタドタッドタドタッ



「ふんっ」



ドゴッ



「ぶへぇっ!」



ズシンッ



怒って突進してきたがまたもレンにぶん殴られて倒れるおっさん。



「…」



レンは、殴った自分の拳をじっと見つめ…



「クリーン」



新しい技能を創った。


拳が青く光り、手についていたおっさんの体液が綺麗に消えていく。



「こんなやつを楽しみに来たと思うと…つらい」

『まぁまぁ主様よ、魔物は此奴だけではなかろう』

「そう、だな…」

「ぶるぁぁぁ!」



顔を真っ赤にして怒るおっさん、禿げ頭から湯気が出ている。



「ぶぁっ!ぶぁっ!ぶぁっ!」

「うるせぇなぁ、唾を飛ばすなよきたねぇ」



ボッ、ボォォォ



頭から炎が噴出して、体全体を包み込む、そして…



「おぁぁぁぁ!!」



ドタドタッドタドタッ!



「ふんっ」



ドゴッ!



「ぶへぇっ!」



ズシンッ



結果は同じだった。



ただ炎を出すだけじゃ駄目だろ…はぁ、次だ次!



「消え失せろ」

「あぁぁぁ…」



ドタドタドタドタッ!



少し威圧を出して追い払う、おっさん魔物は泣きそうな顔をしながら急いで逃げていった。



足音も腹立つな、なんだよあの音は…



『倒さんのか?』

「別に殺す必要はないだろ、金にもならんし、貯蓄も大して増えないだろうし」



あんまり倒しても鼻くその思うつぼだしな。



『美味しそうなのに〜』

「魔力が?」

『そう〜♪』

「好きに追いかけて食べてくればいいさ」

『やめておく〜』

「なんで?」

『無理に食べる必要ないから、ふふふ〜』



俺の真似か…可愛いやつめ。



「次はあの魔物以外を探すか、2区に行った方がいいか?」

『そうじゃの、ここだと主様の鍛錬にもならんじゃろ』

「よしそうしよう、飛んでいこう…同化」



聖堂は使わず飛んでいくことにしたレンは、小さくなったライトを肩に乗せ、ゆっくり空に向かって上昇していく、その周りをまるで螺旋階段でも駆け上がるようにフェンが空気を踏みしめながらついてくる。



「フェンのそれは、空気を固めて踏んでるのか?」

『我も知らん、ただできるだけじゃ』

「天才の感覚だな、やっぱりフェンは他人にものを教えるのは向いてないな」

『覚えられないやつが悪いのじゃ』



そんなんだから転移を覚えるのも苦労したんだよ…移動するのは面倒じゃろ?なんて言われても分かるかよ。



ある程度景色が見渡せる場所まで上昇したが、見える景色は同じ、濃い霧と枯れた木が見えるのみであった。



「ずっとこの景色か、気が滅入るな」

『強い魔物がいれば気も変わるじゃろ』

『行ってみよ〜♪』

「そうだな、とにかく進んでみるか」



途中で、強そうな魔物でも見かけないかと思い、少しゆっくり飛んでいくと、遠くに枯れた木よりも少しだけ高めの小丘が見えてくる。



「なんか黒い丘みたいなのがあるな…ん?うわぁ、キモいな」

『あれは、我でも少し気持ち悪さを感じるのう』

『いっぱいいるねぇ』



近づくいていくとその丘は黒くなかった、よく見ると地面と同じ紫色の草が生えているので、普通は紫色に見えるはずなのだが、先ほど戦ったおっさん顔の魔物が、隙間もないほど集まっていたのだ。



「あれじゃ身動きとれんだろ、頭悪いなぁ」

『そういう習性なんじゃろ、可哀想な魔物よな』

「そういえばグレーピグミーもこんな感じだったな、ゴブリンやオークみたく集落を作るでもなく、ただ集まっているだけ、楽しみとか感じるようにはなってないのだろうけど…見ていて哀れだな」

『地面に魔力を送ってるよ〜』

「そうなのか?」

『うん、たぶんこの辺りでは1番弱い魔物なんじゃないかなぁ?他の魔物は狩れないし、人間も来ないしね〜、世界の意志に従って、自分を魔力還りさせてるんじゃないかなぁ』

「…」



少し扱いが可哀想だなと思うレン、ますます哀れみの眼差しで魔物を見つめる。



「この世界もろくでもないな、好き勝手生み出しておいて、失敗作は回収かよ」

『日常茶飯事じゃよ』

「そうか…まだまだ知らないことが多いんだな」



こいつらはスルーでいいだろ、こんなキモい魔物を可哀想だと思う日が来るとはな…



しばらく飛んでいると…



『2区に入ったのう』

「そうなのか?」

『うむ、周りの魔力濃度が1段階上がっておる』

「凄いな、全察知でも分からんぞ」

『ふっ、もっと褒めてくれてもよいぞ?』

「偉い偉い」



横を走っているフェンの横に移動して、お腹をワシャワシャしながら褒める。



『主様〜、僕も分かるよ〜♪』

「そうか…俺もまだまだだな、伸び代があるって事で納得しよう、後でコツでも教えてくれ」

『承知した』

『分かった〜♪』



さてさて、どんな魔物がいるのかな?



『景色が変わったのじゃ』

『なんか不気味だね〜』

「これは…墓地?」



周りを覆っていた霧は晴れたが、その代わり地面スレスレに濃い紫の霧が溜まっている。



「CO2みたいだな…」



見渡す限り、ドライアイスの煙を紫色にしたような霧が充満していた。



「まぁ俺なら大丈夫だろう、降りてみよう」

『うむ』

『ゴーゴー♪』



ゆっくり下降し地面に降り立つレン達。



「ふむ、予想通りなんともないな、さて魔物は?」



ガシャ…ガシャ…



来たな…



『今度こそスケルトンじゃな…』

『骨だね〜♪』



錆びた鎧を着た、黒光りした骨の魔物が地面から這い出てきた。



「スケルトン…まぁ普通のスケルトンじゃないんだろうな」

『他にもスケルトンがいるのかの?』

「いや、この世界では見たことはないけど、俺の基準ではスケルトンは雑魚というイメージなんだよ、ただここは深層だ、それなりの強さなんだろう」

『まぁ、主様なら鼻息でも勝てるじゃろうな、無論我らも余裕じゃな』

『うん、よゆーだね〜♪でも美味しく無さそう』



魔力量が少ないのかな?近接特化か?



「カッカッカッカッカッ…」

「おお、いっちょまえに声を出したぞ、どれ、一つ勝負といこうじゃないか」



カタカタカタカタ!



ザザザザザッ!



首をカタカタ鳴らしながら小刻みに揺らし、腰に付けていた錆びた剣を構え、突然ダッシュしてきた。



なかなかの速さだ、確実にカオスゴブリンよりは上だな。



キーン!



黒王は使わず、自前の魔力で魔鉱石の棒を作り、スケルトンの剣を受け、鍔迫り合いに持ち込む。



「カッカッ!」

「どうした?全力か?」



レンは片手で棒を持ち、余裕そうにしているが、スケルトンは両手で剣を押し込もうと全身を震わせていた。



「カァーッ!」



キンッキンキンッ!



「カッ?」



無理だと理解したスケルトンは鍔迫り合いをやめ、素早く左右から切り込んでみたが、全てレンの棒に弾かれ、何が起こったか分からず首を傾げている。



思った通りに体が動く、ただの棒でも剣術が適用されるんだな、なかなか応用が利くじゃないか。



「終わりか、骨野郎」

「カ…カァーッ!」



言葉は分からずとも馬鹿にされたことは分かったのか、スケルトンは奇声を上げて切りかかってきた。



「やっぱり2区でも駄目だったか…ふんっ!」



パキン、バキッ!



「カァ…」



ガシャン…



敵の剣を叩き折り、そのまま体に一撃、スケルトンの体はバラバラに崩れ落ちた。



「いちおう収納しておこう」



魔力還りする前に骨を収納。



『主様、お疲れ様じゃ、手応え無さそうだったのう』

『弱かったね〜』

「ああ、まぁ大体予想通りだったけどな、はぁ…3区に行かなきゃ駄目かなぁ、でもなぁ…あんまり暴れると鼻くその思う壺だし、まだ世界振動もきてないし…どうするかなぁ…あ、そうだ」

『どうしたのじゃ?』

「ちょっと探し魔物をな…」

『強いのいるの〜?』

「分からんけど…リスクリワード」



デビル個体…いた!



「あっちだ、行くぞフェン!ライト!付いてこい!」

『うむ』

『は〜い♪』



地面を思い切り踏み込み、デビル個体の方へ向かって一直線に進むレン。



いた!



『あれか…たしかに先ほどのスケルトンとは比べ物にならぬ程の魔力量じゃ』

『あれは美味しそうだね〜♪』

「俺の獲物だから食べちゃ駄目だよ、倒したら食べていいから」

『やった〜♪主様がんばって〜』

「おう」



ザッザッザッ…



レンは魔物に向かって真っ直ぐ向かっていく。



もう気づかれてるっぽいな、殺気をビンビン感じるし、やはり普通じゃないな、魔物の使命である魔力の回収ではなく、完全にこちらの命を狙ってるなぁ…さすがはデビル個体。



「ふむ、人間か、珍しい、わざわざ殺されに来るとは殊勝な事だな…」

「ほう、喋るのか、人間か?」

「人間ではない、魔物だ…まぁリッチといった所だな」

「リッチね…」



これこれ、これぞ魔系って感じだ、テンション上がるぜぇ!



ボロボロのローブを纏い、宙に浮いている、深くフードをかぶっていて、見えている部分にはしっかり肉が付いていて、唇とシャープな顎が見える。



骸骨ってわけじゃないのか…あの感じは女か?



「俺はレンという、お前は…名前はあるのか?」

「私か…名前はないが、タイム…と名乗っておこうか」

「タイムね、いい名前だ、どうする?戦いの意志は?」



まぁ殺気ビンビンだけどな。



「聞くまでも無かろう?」

「そうだな、では尋常に勝負だ」

「フハハハ!血が滾るな!まずは小手調べだ…」

「む?」



ズバッ!



「なっ!」



なんだ?手を切られただと!?



「お主硬いな…今の攻撃で千切れんとは」

「ふっ、ふふふふ…」



強敵の予感だ、これは…ヤバいかも…



「俺からも行かせてもらうぞ」

「うむ、良いぞ」



出し惜しみは無しだ、練習した技行くぞ…



「瞬光…」



レイカに作って貰ったピアスが鈍く光りだす。



ピカッ、ヒュン!



レンの姿が光と共にかき消え、リッチの周りに光の点が無数に出現。



名付けてそのまま…瞬光殴打!



ネーミングセンスはゼロだった。



死ね!オラオラオラオラッ!



光の点が無数のレンの姿となりリッチの前後、上下、左右、全方向から光の拳が集中する。



バババババンッ!



「え、手応えが…」

「ふぅ、恐ろしい技を使うな、お主は」



なっ!後ろ!?



ドンッ!



「うっ…」



いっ…たくはないけど、殴られた?あれを避けたのか?まさか…



「お前…時間でも止めてんのか?」

「ほう!ほうほう!それに気づくのかっ、凄いなお主!興味が出てきたぞ!」



殺気が薄れたな、こいつは…



「まぁな、あれを避けるなら時間を止めなきゃ無理だろ、光の速さだぞ?」

「凄いなぁ、殺すのが惜しい!」

「へぇ、殺せると思ってるんだ」

「まぁ、私は無敵だからな!」



テンション高ぇリッチだな…ほぼ人間だろこれ。



「無敵ねぇ、悪あがきさせてもらうよ」



全魔力を使用してみよう、俺の体、持ってくれよ!



威圧…解放!



「ふぅんっ!」



拳を握り、魔力を威圧に少し多めに注ぐ。



ブワッ



レンを中心に紫色の霧が一瞬で晴れ。



バキッバキッバキバキッ!ヒュンヒュン!



枯れた大きな木が、霧と一緒に吹き飛んで行く。



『これはヤバイの…』

『うわぁぁ〜、フェン〜指輪の中に行こ〜』

『うむ、そうしよう』



フェンとライトはヤバイ雰囲気を感じて、指輪の中に戻っていった。



ドドドドド…



地面が小刻みに揺れ始める。



「む!う、うおぉぉ!ちょ、ちょっと待った!なんという魔力だ!」



まだいけそうだな、どうするか…



ドンッ、ドンドンッ!ドスッ!



「こいつ!硬すぎる!」

「ふ、ふふふ、どうした?殺すんだろ?」



リッチは焦ったように、火球や石の弾を撃ってきたり、直接杖で殴ってみるも、レンには効かず。



ズバッ、ズバッ!



最初に腕を切ってきた風魔法も使うが…



「回復…ふふふ、効かんなぁ」

「ぐ、ぐぬぬぬ…なんだこいつっ!なんでこんな化け物がいるんだ!」

「さて、そろそろ本気を出してもいいかな?全魔力解放…」

「ちょ!ストーップ!ごめんなさい!参りましたぁ!」

「えぇ〜、これからが楽しかったのに〜」

「こんな化け物相手にしてられるかぁ!」

「なんだよ〜、お前だって化け物じゃないか、時間を操るなんてルール違反もいいところだぞ」

「殺し合いにルールなんぞあるか!それに時を止めても攻撃が効かないんじゃ意味ないだろ!」

「大丈夫だ、もっと頑張れば攻撃が通るかも知れん」

「無理だよ!絶対無理!なんで敵を励ますんだよ!」

「はぁ、分かった、では戦闘終了だ」

「助かった…」



なんだよ、殺す気まんまんだったくせに、自分は死にたくないのかよ、魔物らしくねぇな…



「まぁいい、ところで今はどんな気分だ?」

「どんなって…うむ、負けたけど、悪くない気分だな」

「やっぱりかぁ」



デビル個体もただ洗脳してただけなのか…



「フェン、ライト」



呼ばれて2人が指輪の中から出てくる。



『勝負は付いたようじゃの』

『さすが主様〜!』

「ごめんなライト、こいつは食べないでくれ」

『うん♪分かってるよ〜』

「さすがライトちゃん、可愛いなぁ」



スリスリスリスリ♪



『えへへへ〜』

「よし、タイム」

「うん…」

「お前、今日から俺達の仲間な」

「へ?どういう意味で?」

「こいつはフェン」

『よろしくの、タイム』

「そんでこいつはライト」

『よろしく〜♪』

「は、はぁ…」

「そしてお前も仲間の一員だ、タイム」

「私がついて行ってもいいのか?」

「ああ、俺は人間だろうが魔物だろうが区別はしないからな、感情と知能があればみんな同じだろ」

「これは敵わん…あの髭じじぃとは格が違うな」

「まさかルードの事か?」

「名前は知らん、いきなり来て魔物を殺せ、人間を殺せと命令してきやがった、なぜか逆らえなくてな…」

「俺の威圧で洗脳が解けたんだよ、良かったな」

「うん、ありがとう…」

「お前は女なのか?」

「いや、私は男だ…昔から女っぽいとイジメられていたが…」



いじめ?魔物同士で?まさか…



「もしかして元人間なのか?」

「そうだ、地球という場所からこの世界に連れてこられた、元人間だよ」

「えぇ!?まさかの渡り人かよ!あぶねぇ!殺さなくて良かった〜」

「なんだ、今は渡り人とか言われてるのか」

「そうだよ、何を隠そう俺も渡り人だからな、お前と同じ地球からだ、それも日本な」

「な!なんだと!?う…うぅぅ…」



急に手で顔を覆い泣き出したタイム。



「お、おい、どうした?」

「嬉しいんだよ、地球出身の仲間と会えるなんて…」

「ずっと1人だったのか?」

「ああ、もう100年以上前だろうな、大学の講義中に部屋内の全員が転移させられたんだ」

「そんなに?生きてるやつは…分からないよな、1人だったんだもんな」

「私は、見た目も女っぽいし、性格もナヨナヨしてたからな、技能も…物の時間を数秒間止める、という微妙な力だったから、役立たずの烙印を押されて追放されたんだよ」



いや、数秒でも止められればチート級だろ…どうなってんだよ。



「そうか…辛かったな、俺よりはましだが、気持ちは分かる、改めて…仲間にならないか?」

「本当にいいのか?俺はもう魔物になってしまったんだぞ?」

「構わない、さっきも言ったろ?俺も、俺の仲間たちも気にしないやつらばっかりなんだよ」

『そんな事を言ったら我らなんぞ、まんま魔物ぞ?』

『うんうん♪タイムは全然人間寄りだよ〜♪』

「ははは…確かに、これからよろしく、レン!」

「おう、よろしくなタイム!ところでもうそのリッチのロールプレイはやめてもいいぞ?」

「あ、そう?うん、じゃあ普通にするね」



めっちゃ普通の人やん…


それにしても100年前か、24年前にこの世界に来たレイカ達が、地球では俺の数年前の転移だったから、タイムは10年前くらいなんだろうな、レイカ達は年取らないし、鼻くそやシン達以外にも注意すべき人間がいるかも知れないな、俺は何とかなっても、今回はぶっちゃけ他のやつだったら殺されていたかもしれんし、気をつけないと。

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