134話 デビルズホテル
ラーメン屋から恐い顔をしながら店の外に出てきたレン。
「おい、恐い顔してどうした?」
「ああすまん、ルダン、メリー、待っていてもらって悪かったな」
「いいさ、それで?」
「話ってなんなの?さっきは話せなかった事?」
「ああ、ニャルは?」
「ああ、用事がある〜、って言って走ってどっか行ったぞ」
「どっちの方向だ?」
「聖堂のある方向だった」
「聖堂ね…」
空気同調…すごい速さで聖堂に向かっている気配が一つ…ニャルだろうな、落ち着きのない魔女っ子だな、少し2人だけで話をしたかったんだが、まぁいい。
「まぁニャルの事はいいや、いや、良くはないんだが…それでな、会って間もないんだが、お前達2人の人間性は信頼に値すると俺は評価した」
「な、なんだよ急に気持ち悪いな」
「当たり前じゃないの〜、あたし達は品行方正でやらせてもらっているのよ」
「おいメリー、初めて聞いたぞ」
「そんな2人にはこれをやろう…」
「なんだ?数字?18…?なんて読むんだ?」
「18時23分だ」
「え…時計なのか!?」
「そうだ、針ではなく、数字で時間が分かる時計だ」
「このベルトは?あぁ、よく思えばレンの服の袖からずっとチラチラ見えていたわね、そう付ければいいのね?嬉しいわぁ、時計は持っているけど、無駄に大きくて使い辛いのよね」
「ああ、いちいちポーチから出して、時間を見て、また仕舞う、地味に面倒くさいんだよな、ありがとうレン、助かるよ」
「オシャレだし、いいわねこれぇ〜♪」
ふっふっふっ…さんざん褒めてもらったあと、上乗せして機能を説明する時の楽しさよ…癖になりそう。
「それだけで驚いてもらっちゃぁ困るぜぇ、お二人さん」
「なんだよ、急にキャラが変わったぞ」
「その時計、実は離れた相手と通話を可能にした、通信機能付き時計なのであ〜る!」
「「え…」」
固まる2人。
「お、俺…そんなにお金持ってないよ?」
「うんうんうん!無理無理、こんなの買えないわ!」
「無料でいいに決まってんだろうが、俺がそんな狡い商売するかよ、さっきやると言っただろう、書面にでも残すか?」
「いや、そこまでは大丈夫だ、俺達もレンを信じるよ」
「うんうん!やったぁ、これは凄いものをもらったわねぇ、あの2人の悔しそうな顔が思い浮かぶわね」
「なんだ?4人パーティーなのか?」
「ええ、あと2人別の夫婦でタンクと回復を担当しているわ」
「とりあえず爆発してもらっても?」
「なんでだよ」
「いや、これは故郷では褒め言葉なんだよ、幸せにな、とかそういう意味だ」
「変わってんなぁ」
そりゃそうだ、ただの皮肉なんだからな。
「使い方は…」
実は渡した時計にはメッセージ機能はついていない、通話のみである、色んな人に渡した結果、メッセージは使用頻度が少ないという事実が分かったので、敢えてつける必要性はないと判断された。
2人に十分機能の説明をしたあと、残りの2人分の時計も渡し、先ほどの会話の結果気になることも話して、2人が寝泊まりしている宿に案内してもらう。
「ここだ」
「ほぉ〜、おどろおどろしいな」
「だろ?この雰囲気がいいんだよ」
「まぁ俺からしたらどこも変わらんけどな」
「まだ西国通じゃねぇな、にわかだにわか」
「別ににわかでも構わんよ、お前達に聞けばいいんだからな」
「言ってくれるわねぇ、なかなか言えないわよ、あなたも見習いなさい」
「へぇへぇ分かりましたよ、じゃあ入ろうぜ、この国の金は大丈夫か?」
「ああ、十分持ってるよ、あ、ラーメンの金はいくらだ?さすがにメニュー全部はやり過ぎたからな」
「いいさ、こう見えてもA級だからな、それなりに稼ぎはある」
「そうよ、それよりもこの時計のほうが100倍ヤバいわ」
「そうか、ありがとう、ご馳走になった」
「こちらこそ良いものをありがとう、奢った甲斐があったってもんだ、残りの2人も後で紹介するぜ」
「そうね、あと2人もいい人よ、きっと仲良くなれるわ、あそこがフロントね、じゃあ私達は直接部屋戻るから、じゃあね、おやすみなさい」
「今日は、貴重な経験をさせてもらった、またな、おやすみ」
「ああまた、おやすみ」
フロントを通さなくても直接部屋へ行っていいのか、客との信頼で成り立っているのか、それとも客は認識される仕組みになってるのかな?
2人と別れ、フロントへ。
ちっちゃいおかっぱ頭の可愛い子が受付に立っている。
レクステッドのフリージングインもそうだったけど…なに?ちっちゃいおかっぱの子がこの世界の高級宿の受付嬢基準なの?
「いらっしゃいませ〜!ようこそデビルズホテルへ!当施設はラグジュアリー仕様となっておりますがご予算等は問題ございませんでしょうかぁ?」
「ん?高いのか?」
「はい、とても高額なお部屋ばかりとなってま〜すぅ♪お客様は開拓者様でしょうかぁ?オススメはB級以上となっておりまが、念の為ご予算の方をお聞かせ願ってもよろしいでしょうか?」
「そうだなぁ、1千万デビルくらいか?」
「え…1千万?…」
「ああ」
「…」
「おい、お〜い!」
「はっ!1千万のお客様!」
おい、呼び方。
「安かったか?別に10億までなら出せるが、さすがに勘弁してほしいな」
「じゅーおく!?ビ…」
「ん?」
「VIP様入りまーすぅ!!!」
「声でか!」
『おいおい、VIPだってよぉ』
『ふぅ〜ん、あんな汚い服着たのがねぇ』
『信じらんねぇ…絶対嘘だろ』
うるせぇなぁ、別に汚い服着てても、金を持ってないとは限らんだろうが、文句あるなら言ってこいよチキン野郎共が。
「おい、ラプンちゃんよ、騙されちゃダメだろ」
えぇ…本当に絡んでくるやついるのかよ、さすがに想定外だわ、そんなに服が汚れてんのか?ずっと同じの着てるからな…そろそろ新しい服を作ってもらうか?テラー、作ってくれるかなぁ。
「おい!聞いてんのかよ!」
「ん?ああ、聞いてなかったよ、ごめんな」
「あぁ?てめぇ、恥かきたくなかったらとっとと失せろや」
「なんで恥かくの?かくのはお前だろおっさん、今もドンドコ恥かきポイント貯まってんぞ?」
「はぁ?はははっ♪てめぇのどこに大金があるんだよ!お前、なにも手荷物持ってねぇだろ!」
最近は異世界物特有の秘密主義はやめたからな、ポーチも必要なくなったから、レイカに渡しちゃったんだよ、あいつ、魔道具だったらなんでも受け取るからな、今頃とんでもない物に魔改造されてんだろうなぁ。
「た、確かに、何も持って、ない?」
おい、流されるなよラプンちゃん。
「だろ?ラプンちゃん、ダメだろ〜、騙されちゃうぞぉ?」
「お前ロリコンかよ、キモいぞ」
「ロリ…」
「いやロリだろ、年齢は知らんが、見た目は完全にロリだ」
「そ、そうですよね…」
「違うぞラプンちゃん!俺は困ってる者を助けているだけだ!」
うぜぇロリコンだ、もう少し恥をかかせたいな…
「ラプン、だったよな、困っていたのか?」
「は、い…いえ…」
「うるせぇ!今困ってんだろ!」
お前が絡んでこなけりゃ困ることもなかっただろうが、思えば…いつもこんなやりとりばっかりだな、北のオーソロンのザンゲもそうだった、西のゼンダルアのディグもそう、今のおっさんも…ワンパターンでつまらんな。
「はぁ、もういい、金なら持ってるよ」
「どこだよ!ねぇだろうが!」
「お、お客様!そういった詐欺行為は迷惑ですのでお引き取り下さい!」
へぇ、ラプンちゃんもそうくるのか確認もしてないくせに…このホテルの評価決定だ。
「ふ〜ん…おっさん、ラプン嬢、もし俺が金を持ってなかったら何でも言う事聞いてやるよ、だが、お金持っていたらどうする?」
「え…」
「てめぇ!ふいてんじゃねぇぞコラ!」
「だから、今ふいてるとかふいてないとかの話じゃないでしょ、持ってたらどうするのかを聞いてるの」
「うるせぇ!早く出てけよ!」
「出てかねぇよ、早く言えよ、持ってたらどうするのかを、持ってないと思ってるんだろ?こっちは何でもやってやるって言ってるんだ、なら都合がいいじゃないか、別に言ってもいいだろ?そこまで言うんだ、ちゃんとした証拠もあるんだろうよ、じゃなきゃそこまで強気で言えねぇからな、人の事を詐欺師みたいな言い方しておいて、まさか自分はいざとなったら暴力でどうにかしようなんて考えてねぇだろうな?俺の見た目が弱そうだから、なのに金持ってるのは気に食わねぇ、ちょっとビビらせてやるか、な〜んて思ってんじゃねぇだろうな?まさかなぁ、困ってる者を助けるヒーロー様がなぁ!」
「お、お客様…」
「うるせぇ!てめぇは黙ってろ!人の意見に流されて、自分の考えも言えないようなやつは今口を開くんじゃねぇ!」
「は、はい…うぅ、うぅ」
『ひっでぇ、あいつなんなんだよ、あんな小さい子にあそこまで言うか?』
『ラプンちゃん可哀想だよ…』
『詐欺師野郎が、早く出てけってんだよ』
「うるっせぇ!こっちが被害者なんだよ!外野は黙ってろ!」
幼女だろうが関係ねぇよ、一度俺を疑い、詐欺師扱いして追い出そうとしたんだ、それ相応のけじめは必要だろう。
周りは詐欺師扱いしているが、特に証拠もなくいちゃもんをつけたおっさんは、さすがに分が悪いと思ったのか、冷や汗を流しだす。
ラプンはもう涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃである。
「おい、どうしたよ、早く言えよ!どうすんだよ!こんな公衆の面前で、一方的に詐欺師扱いされたんだ、責任は取れるんだろうな!早く言え!俺が金を持っていたらどうするんだ!」
「いかがなされましたか?お客様方」
誰だ?
いつの間にかラプンの隣に、スレンダーでモデル体型の、スーツのようなものをビシッと着こなした長い金髪の女性が立っていた、気が強そうな目をしているが、無表情でなにを考えているのか読めない。
またタイミングのいい事だな。
「し、支配人…」
「ラプン、あなたどうしたのよ、そんなに顔をぐちゃぐちゃにしちゃって」
「う、うぇ〜ん」
「あらあら、よしよし…それで?なんでうちの従業員が泣いているのでしょうか?」
目を細め、少し睨め付けながら聞いてきた。
イラッ
「お前がここの主人か?」
「はい、当ホテルの支配人をやらせていただいております」
「お前はこの状況の中、1番に感じたのは従業員が泣いている理由なのか?」
「…ええ、そうですが?なにか間違いでも?」
「それは、自分の従業員に限って間違えは起こさない、客が一方的にラプンを泣かせたと、そう思っているわけじゃないよな?」
「いえ、そこまでわたくしは愚かではございません、きちんとうちの従業員にも非がある可能性も含め、状況を把握しようと思っております」
「嘘つけよ、中立みたいなこと言って、明らかにこちらに敵対心を持ってるだろ、なんだよその顔は、中立と言うならラプンにも同じ顔しろ、ほら」
「…」
「どうしたよ、中立なんだろ?」
「ち、中立などとは口にしておりません!」
「へぇ〜」
そうくるんだな、ますます評価が下がったな。
「なら、お前も一緒に責任取る側ってことでいいな?中立を保っておけばそんな事なかったのに、残念だったな」
「なっ!?」
「では説明しよう…」
「ちょ、ちょっとお待ちを…」
「そこのおっさんとラプンに非がある、俺は被害者だ、勿論お前もおっさんも加害者側だ、以上」
「は?そんな説明で状況を把握しろと?」
「そんな説明だと?お前ふざけてんのか?」
「ふざけているのはお客様でしょう」
「なんでそうなる?俺は被害者だ、だが同時に加害者であるお前達に慈悲も与えているつもりだが?」
「どういう意味で?」
「そいつらに聞けよ、実際に被害を及ぼしたのはおっさんとラプンだっつったろ、そいつらが非を認めたら終わりって話だろうが、簡単だろ?」
「た、確かにそうですね、ラプン、どうなの?」
「うぅ、ぐすっ」
イライラッ
泣けばいいってもんじゃねぇだろうが…素直に非を認めて謝ったほうが罪が軽くなるのに…めんどくせぇなぁ。
「お、お客様…申し訳有りませんが…」
「はぁ、分かったよ、説明するよ、因みにラプン」
「は、はい…」
「自分から素直に非を認めるより、隠して他人から非を暴かれるほうが罪が重いからな」
「し、支配人…」
「もう遅ぇんだよ!」
「そうよラプン、もうあなたは一度隠そうとしてしまったわ」
「何を今更中立みたいな事を言っている?お前も同罪だ」
「くっ…」
「う、うぅぅ…なんで、なんでこんな事に…!」
キッとおっさんを睨みつけるラプン。
「確かにおっさんが1番悪いわな」
「で、ですよね」
「ほら、そういう所を直せと言ってるんだよ、そこは、いえ、発端はそうですが、流された自分も悪いのです、これだけでいいんだよ、今お前は自分の罪を軽くしようとした、そもそもそんなに重い罪じゃなかったのに、どんどん自分で罪を重ねてるんだよ、他人のいい悪いは関係ない、一度悪い事をしてしまったんだ、例え発端がそのおっさんでも、流されて悪い事をしたのは自分の判断なんだよ、それに対してだけ素直に謝り倒せばそれで終わりだったんだ」
「は、はい…心を入れ替えます、この度はご迷惑を掛けてしまい申し訳ございませんでした」
「うん、いいよ、大変だけど次は気を付けてな、はいこれでラプンは終わり、な?スッキリしないか?」
「はい、なんか、スッキリしました!」
「素直に謝るのも1つの手だが、それは本当に自分に非がある時だけな、非がなかった場合は断固として罪を認めるな、ただし、それには物理的な強さも少しは必要になってくる、心も体も強くなれ」
「はい!ありがとうございます!」
「なんなのこのお客様は…」
これ、なんの時間だっけ?講義かな?
「あとおっさん、お前は普通に犯罪だ、裁かれろ」
「お、俺が…なんで!?」
「当たり前だろ、ラプンはお客様をお引き取り願っただけだぞ?お前は何をした?確かにラプンは俺を疑った、だがこの俺を詐欺師扱いされるような状況に追い込んだのはお前だおっさん、はい有罪」
「なんでそうなるんだよ!そんな決まりはねぇはずだ!」
「この世界にはあるだろうが、弱者は強者の言う事に従う、という絶対的なルールが」
「てめぇが俺より強ぇだと?ふざけた事…」
「おい!これは何事だ!ん?レンか!?どうしたんだよ!」
「ルダン、様?」
「ガング?なんだよ、そんな青い顔して」
「い、いえ…」
「説明しよう!こいつは…」
レンがしゃしゃり出てきて、ペラペラと話し出した。
「ふざけんなよガング!」
「ひ、ひぃ!」
「てめぇ、新人がVIPに泊まるのが生意気で気に食わねぇだ?新人が生意気だろうがなんだろうがてめぇには何も関係ねぇだろ!事実を認めろ!そして悔しさをバネにして自らを向上させろ!他人を自分の位置まで堕ろそうとすんな!」
「す、すびばせぇん!」
「ルダン、ありがとう」
「いいよ、友人を貶されるのは腹立たしいからな」
「…」
友人…嬉しいこと言ってくれるねぇ。
「ルダン、お前…顔に似合わずいい事を言うな」
「顔は関係ねぇだろ!ったく、友人って言ったのは間違いだったか」
「こういうふうにバカ言い合えるのこそが友人ってもんだろ、その…嬉しかったよ」
「お?照れてんのか?おう?おうおう?」
「うるせぇ!やっぱ今のはなしだ!なしなし!」
「えぇ〜、なんだよ〜、照れんなよ〜」
うぜぇ…
「それで?どうすんだよおっさん」
「け、決闘だ!」
「はぁ〜」
またかよ…テンプレのバーゲンセールか?しょうがない、せっかく安売りしてるんだ、買ってやるか。
「はいはい、ご自由にどうぞ、この場所でいいのか?」
「お、お客様方…」
「支配人は黙ってろ!加害者を庇った罰だ!」
「は、はい…」
「俺はここで構わねぇ!安心しな支配人、どうせ俺の拳一発で沈むんだからなぁ!」
「おいガング、やめておけよ、こいつはヤバいんだ」
「ルダン様、大丈夫ですよ、心配しないでください」
「お前の体なんか心配なんかしてねぇよ、心の方だよ…ああ〜…もういいや!好きにしろ!」
「任せて下さい!応援ありがとうございます!」
「してねぇよ…」
本当にクズっていうのは人の話を聞かないよな。
「オラァ!」
バキィ、ドッドッドッ!
「ああ、床が…」
思いっきり踏み込んで床を壊しながら突進してくるガング、壊れた床を見た支配人が悲しそうな声で呟く。
「死ねや!」
ガシッ
「…」
レンは軽く拳をキャッチ。
「え…」
ニヤァ
「歯を食いしばれよ、死ぬぞ?」
悪魔のような顔をしながら手のひらを振り上げ…
バチィーン!
「ぶふぉ!」
ガシャンガシャンガシャン、バキィ!
ドシャ…
軽く頬をひっぱたき、ガンクを吹き飛ばす。
テーブルを3卓ほど巻き込んで壁に激突するガング、カエルのような格好でそのまま床に崩れ落ちた。
「はいおしまい」
「ああ、テーブルと壁が…」
「支配人、ガングに全て請求しろ、修理費用は概算でいくらくらいだ?高く見積もれ」
「は、はい、テーブルは一級品なので、椅子も含めて一卓200万ほど、壁と床は一枚板で仕上げておりますので、全て交換になって3000万ほどかと…」
「分かった、回復」
ガングの体がパァっと光り目を覚ます。
「う、うぅ…はっ、な、何が…」
「ガング様、ホテルの修理費用、全て含めて3600万、金貨360枚になります」
「は?そ、そんな金は」
「てめぇ、人に決闘仕掛けておいて責任取れねぇだと?」
「ひ、ひぃ!勘弁してください〜」
「金は払えよ?」
「は、はい〜!」
「じゃあ直すぞ支配人」
「え?」
レンは無言で壊れたテーブルと壁に手をかざし、土魔法を発動、技術10万の土魔法は伊達ではなく、ほんの数十秒で壊れたテーブルも壁も元通りになってしまった。
シーン…
『す、すげぇ!何もんだよあいつ!』
『私、少し用事ができたわ!』
『おい!魂胆が見え見えなんだよ!浮気すんな!』
「レン、お前というやつは…規格外過ぎるだろ」
「ははは、まぁな、支配人、確認してくれ」
「…」
「支配人!」
「は、はいぃ!」
「修復箇所の確認だ!」
「はい!喜んでぇ!」
なんだよその返事は…
せっせと確認をする支配人、途中お抱えの職人か誰かを連れてきて確認させていた。
「レン様、完璧でございます、逆にこちらがお金を支払う必要性もあるほどかと…」
「いいよめんどくさい、ガング!」
「はい!」
「お前、俺に3600万借金な」
「え…」
「はい借金4000万」
「え、ちょ…」
「はい5000万」
「ちょっと待っ…」
「はい6000…」
「5000万で!勘弁してください!」
「オーケー」
ブンッ
なんだ!?
ガングの借金が確定した瞬間、レンの目の前にモニターが浮かび上がってきた。




