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12話 狙われた理由

少し長めになります。

草原の上でティアとお茶をしている。


何も無かったはずの、あの地獄の草原の上に、テーブル、イス、ティーセットがある、管理人としての能力なのだとか。


今はこうなった経緯を、ティアが自身の予想を交えながら話してくれている。


レンは寿命を迎えてから、ここに来ることになっていた神候補の一人だった、その都合上普通の人よりステータスの上がり方が遅いらしい。


地球上の生き物も、実は隠れステータスを持っているらしく、レンの場合地球での生活が試練を兼ねていて、それでステータス上がりが遅いのだとか。



やはりか、あの鼻くそ神め、なにがステータス授与だよ、ただステータスを見れるようにしただけじゃんか、やはり地球にいたときから貯蓄は貯まっていたか、それで目をつけられたのか?



何でも地球は、他の世界と違いすぎる進化をしているらしい。


地球は魔力の無い世界、と人間には()()()()()()、そして魔力に頼らなくても大丈夫な、特殊過ぎる進化をしてしまった。


ステータス閲覧能力を、地球人自らがひらけないように進化してしまったのだとか。



「そうだったのか…それにしても試練か、だから平凡な生活を余儀なくされたのか?それとも平凡だからこそ候補者に選ばれたのか?」

「レンは、あんまり心がざわついたりする性格じゃなかったでしょ?」

「そうだな、母親もそうだったが、親戚もみんな平凡ながら優しかった、まさか俺達の一族全員?」

「そう♪そのなかでもレンがダントツに優秀、トップ独走中だったんだよ」

「一族みんな候補者かよ」



レンは子供の頃から、一度も他人に腹を立てたことなど無く、反抗期も、口論すら一度も無かった、もちろん喧嘩など皆無だ、こういう人間は珍しいらしい、普通の人間だったら、他人に対して少しは思う所が出てくるはず。



「鼻くそ神の介入で、俺の生活が一気に破綻し始めたということだな、ぐぬぬぅ、許すまじ」



そんな思考誘導みたいな事ができるとは、なんて無駄に能力が高いんだ、鼻くそのくせに。



「地球の日本って、他の国とか、他の異世界と比べると争いごとが少なくて、ここを管理するのにはもってこいの人材が多いんだよ、それで私が相応しい一族を探して、神園の名を与えて試練を課したんだ、探すまで数千年、名を与えてからも百年以上待ってたんだよ?」



人間が誕生する前から探してたのか?試練とは優しさが基準なのか?そうだったら獣には無理だよな、他人とのトラブルの少なさとか?ふっ、わかってしまった、優しさの化身とは我であったか。



「そうそう♪優しさの神〜♪」

「恥ずい、やめて、読心能力のこと忘れてたよ」

「それで、ここの管理人が決まったら、私のパートナーになる予定だったの、管理人はレンに決まりだなぁと思って、たまに様子を見るくらいにして、ワクワクしながらレンの寿命を待ってたんだ、そしたら」



じゃあなんで最初奴隷って言ったんだよ!普通に理由を話してパートナーって言えばいいのに、あ、それも含めていじわるなのか。



「まさかのちょっと早めの社会科見学に、俺が訪れていたと、そういう事だな?」

「そう、レンは病死とか事故死の運命はなくて、寿命を全うするはずだったし、お昼寝してたからここに転移してきたのが遅くなっちゃって、もうレンの気配は無くなってたの、地球にも気配はないし、世界なんて無数にあるから…どこにいるか…分からなくなっちゃって…」



目がうるうるしてきた!ヤバい!よ、よしよ〜し。



ワシャワシャワシャ



頭をなでる。



「う、うえ〜ん、ちょっと2年くらいお昼寝してただけなのに〜」



い〜やスケール!長ぇよ!



「なんで俺のこと見つけられたんだ?」

「急にレンの気配を強く感じて、だから見つけられたの」



俺がダークサイドに落ちかけたときか、確かにあのとき感じた力はヤバかった。



「試練とやらの反動なのか?」

「そうだと思う、試練で抑えてた分、ちょっぴり神気みたいのが溢れちゃったみたい、でもやっぱりレンは優秀だよ、試練の結果だとしたら、たった30年であれだけの力は普通出せないからね?」



あれでちょっぴりだと?神の力とはかくも恐ろしいものよのぅ。



「じゃあ、あの力は使ってもいい力なんだな?」

「全然オッケーでしょ、力に良いも悪いもないからね〜、要は使い方だよ〜、鼻くそに使うのが100点の使い方かな♪」



これはティア氏、心の中ではそうとうキレておりますね?



「あ、でも今は全然よわよわだし、あの力はそうそう使えないと思うから期待はしちゃダメ、レンはまだ器が出来上がってないからね、あの時あのままだったら、レンは存在そのものが消えてたんだよ?存在が消えるっていうのはね、死ぬなんて生易しいものじゃないんだよ、だから本来の力を使いこなして頑張ってね♪」

「神の試練…怖いよ…」



そうは言ってもなぁ、職業ギャンブラーだし、才能と技能もよくわからんし。


まぁでもちょっと考えていることが、あるにはあるが。



「今、レンがここにいられるのは特例でね」

「ん?そうなのか?」

「神の庭園だよ?普通はそう簡単には来られないはずなんだよ」

「あの鼻くそは?」

「あれも管理人候補の1人でね、転移魔法を使えるくらいだから、魔法だけは優秀なの、魔法だけはね」



やっぱりキレてますね?



「それでか…でも、なんで他の、俺を含む6人は来れんだ?」

「転移は本人だけじゃなく、一緒に移動したり、他人だけを自分が知ってる転移地点に送ることもできるんだよね」

「俺達は転移させられたって事か?」

「多分、私がここに来たときには誰もいなかったから分からないけど、それでね……」



ん?どうしたんだ?なんか言い辛い事でもあるのか?



「実は…転移は色んな所に移動できる」

「そうだな、だいたい分かるよ」

「移動する距離で消費魔力も変わってくるの、世界を渡るのはかなりの消費なの」

「うん、それもなんとなく予想がつくな、だから鼻くそ神はなかなかの凄腕、魔力も高いと」

「でもね、他人を世界渡りさせる場合だけは話が変わってくるの」

「え、魔力だけじゃないって事か?」

「そう、転移を使った本人だけは多量の魔力を消費する、っていうリスクだけで済むんだけど、送られる側の生き物は魔力の消費をしない代わりに、その世界で死亡扱いになっちゃうの」

「……」



死亡…



「世界を渡らせるなんて力は、神の御業、神以外がそんな簡単にポンポン使っちゃダメなんだよ」



そう…だよな、確かにそうだ、あの鼻くそめ〜!神気取りやがって!


それにしてもわざわざ箱庭を経由させる意味がわからんな、ステータスがなじむのが〜、とかうんぬんも嘘だろうし、だって最初からステータス持ってたんだから。



「自分が候補者だということは、普通知り得ない情報なんだよねぇ、ここに来るのだって、管理人に認定されて招待されるか、神の許可が無いと来られない、そもそもいくら転移できても一回ここに来なくちゃ来れるようになんてならないんだよ、普通の人間が無理に、箱庭を経由して転移なんてしようものなら、神の怒りに触れて、魔法が変な挙動をするかもしれない、変じゃなかった?」



それはもしかしなくても…足元が光ったり、地面が揺れたりですかねぇ、本当に神がご乱心だったよ。



「レンがここにいられるのは、今回は大切な()()候補者がピンチだったから、その為の特例、レンを私の眷属にして連れてきたんだよ、だから今は神の怒りには触れてない、神にもなってない候補者の眷属と、神の眷属じゃ格が違うからね、でも…」

「ツェファレンでも死亡扱いになったとか?」

「うん、ごめん、私のせいで」

「何か問題があるのか?」

「え、だって」

「俺はツェファレンに知り合いは、シン達5人と鼻くそ神モドキしかいないぞ?」

「いや、あと一つリスクがあるの」

「まだあるのか…」

「うん、死亡扱いになった世界に戻るには、その記憶を消去して、新しい生き物として生活しなきゃならない、っていう決まりがあるんだよ」

「え?でも俺、箱庭に戻ってくる前の記憶あるよ?」

「それは、私がね、ちょちょいっとね、私神だし」



本当にティアには感謝してもしきれないな。 



「そうかぁ、それで、俺はこれからどうすればいいんだ?ここにいてもいいのか?」

「それが、さっき特例っていったでしょ?いられるのは地球換算で約10日だけなんだ、私が上位の神様にお願いしたの、可哀想だって、それでもらった期間が、レンが目を覚ましてから10日間、って事になったの」

「そう、なのか、ありがとうティア、本当に感謝してる」

「い、いいよいいよ!とりあえずここにいる10日間、できるだけの鍛錬をして、最低限ツェファレンで生き残れるだけの強さになってもらう予定だから」

「本当に助かるよ、能力についても少し考えもあるし」

「そっか、レンの能力について、貯蓄以外は私も良く分からないから、ここでは基礎能力を上げる鍛錬をしてもらうね、それに、行くんでしょ?地球に戻れないとなれば、またツェファレンに、他の世界に行くこともできるけど、そこで寿命を全うしてくれれば…」



俺は、ありがたいが断った、あいつらに嫌がらせくらいはしたいし、異世界も楽しみたい。


それに俺の考えが正しければおそらく大丈夫、きっと強くなれるはずだ、たぶん、きっと!



実は、レンは地球での生活中に、投資に関して興味が湧いた時期があり、夢中になって調べた期間があったのである。



リスクリワードという名の技能、確か投資の勉強中に調べたことがある言葉なんだよなぁ、まぁ実を結んだかどうかは別の話しだが。


でもそこはかとなく、追放、のちに覚醒、の流れになってきましたねぇ。



自分の好きなテンプレ展開に、悪い顔になっていくレン。


実は追放、復讐ものが大好物、それもやりすぎるほどの復讐大好きクズ野郎なのだ。



おれは努力するぞ、自分の能力を使いこなして、どんな暴力にも屈しない、圧倒的な力を手にする!そしてあのクソどもにガツンと言わすのだ!殺すまではしないさ、同郷の誼だしな。


ただし!自称現人神とか言う名の鼻くそ、てめぇはダメだ、絶対殺す!丸めてポ〜イじゃ、だって鼻くそなんだから。



「そうだそうだ〜!あの鼻くそをやっつけろ〜!」



元気が戻ったな、うんうん、やっぱり笑顔がいい、でも…



「ティア、可愛い女の子が何度もそんな言葉を口にするんじゃありません」

「ぶぅ〜」

「そんなぶーたれても可愛いだけだが?」

「えへへへ〜」



話は鼻くそ神モドキの話題に移る。



あの鼻くそ神モドキも管理人候補者の一人だから、まだ神ではなく、普通にツェファレン生まれの人間だった事は分かった、問題は、なんでここに転移できたり、読心できたり、他人を眷属にできるか、だな。



「ある程度魔法が達者なら使える能力だからね、読心と眷属化は技能の可能性のほうが高いかな、それだって転移並みに魔力の消費が激しいはずだよ」



そうだったのか、傀儡とかなんとかも言ってたな、隷属とかの技能も持ってんのか?ろくなもんじゃねぇな。


神じゃないならもはやただの鼻くそだな、人間ではないかも知れんな、なんてカッコつけやがって、じじいのくせに気持ちわりぃ。


普通は候補者の事は知らないはずなのに、どこで知ったのか。



「やはり要注意だな、とりあえず他の神、もしくは第三者の存在も危惧しなければならないか」



自分が神になりたいがため、候補者の一人であるレンを狙って、貯蓄の数値を根こそぎ奪いにきたと、そういうことなのかもしれないとのこと、まだ予測の段階だ。


もしそうだったらだめじゃん、選考の内容が、数値の高さだと思い込んでいるのか、候補者のこと知ってても、やってることが本末転倒になっちゃってるよ。



「いや、他の候補者が同じとは限らないんだよ」

「そうなのか?」

「うん、この神の庭園は他にもいっぱいあって、ここは私の庭園、それぞれの神が独自の審査で管理人を探してるの、だから鼻く…あのうんこ野郎は別の神、別の箱庭管理人の候補者なんだ、与えられる能力もそれぞれ違うの、貯蓄はレン独自の能力のはずだったのに、地球人にはレベルがないからね、基礎能力に数値を割り振れるよう、私が創って与えた能力なんだよ」



ほほぅ、ではやはり他の神の侵略と言っても過言ではないな、あの鼻くそを候補者に選ぶなんぞ、まともな神ではあるまい、よし、ならば戦争だ!あと。



「鼻くそをうんこ野郎に変えても汚いからダメです」

「それは人間の物差しでの話であろう、神である我からすればうんこは汚いものではない」

「汚くないとか…貶す言葉にチョイスしちゃってるでしょ、神々しい光を放って何言ってんの、ダメなものはダメです」

「ぶぅ〜」



ちなみに貯蓄のあの数値、正式名称は創造ポインツ、物語の中でよく出てくる経験値、それを創造ポインツ、とやらに変換する能力、それが貯蓄だ。



だっせぇ…ポイン()だろ、なんで最後ツにしちゃったかなぁ。



「神のセンスは下々のものにはわからぬものよ」

「さっきからなに神ぶってんの、もう俺の中ではただのティアだからね?」

「ひーどーいー♪」



楽しそうでなにより。



「ティア、なんで俺はあんなに創造ポイ…貯蓄が貯まっていたんだ?」

「どのくらい溜まってたの?あとポインツって言うの恥ずかしいの?」

「50万以上」

「えぇ!?そんなに?そんなに恥ずかしい?」

「やめて、お互いの通したい話がぶつかってせめぎ合ってるから、どっちの意味で驚いてるのか分からなくなっちゃってるから、そして…恥ずかしいよ」

「じゃあポイントって言ってもいいよ、でも心にいつでもポインツ、ね♪」



心にポインツってどういうこと!?


まぁ、女神のありがたいお告げだと思っておこう。



「それで、50万以上かぁ、すごいね、想像以上だよ、おかしいなぁ私がモニタリ…確認した時はそんなに貯まってなかったけど」



おい、今モニタリングって言おうとしなかったか?面倒くさがりのティアだし今更か、2年も寝てるからそうなるんだよ。



「あの鼻くそも凄いって言ってたけど、ここに転移させられてから、相当な幸せを感じさせられていたからな、ここはさすがに地球より魔力多いんだろ?だからもの凄い勢いで貯まったんじゃないのか?」

「たぶんそうだね、それでね、さっきも言ったけど貯蓄は神園一族独自の能力なんだよ…」



説明を聞いていく。

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