103話 新アクセサリー装備
「ふんっ、ふんっ、ふんっ」
自室の隣に、新たに作ってもらったトレーニングルームで、レンは一人黙々と筋トレをこなしていた。
増築とかじゃなくて、あくまでも部屋という物を作るっていう概念が凄いよな、これもレイカ独自の想像力によるものなのかもしれないな。
ガチャ
「レン〜、そろそろだよ〜♪」
1日何個も魔鉱石を作るので、レイカにはいちいち声を掛けなくても時間になったら勝手に入ってきてくれと言っておいたのだ、金剛魔鉱石に目がないレイカは、おおよその魔力回復時間を教えると、それ以降はきっちり時間を守ってやってくる。
「おう、ステータス」
魔力 29995/30000
相変わらずほぼぴったりの時間だな、監視されてる気分だ、俺、監禁されないよね?
「回復したな、ほら」
ポイッ
「おっとぉ、ありがとぉ」
「アクセ装備の出来はどうだ?」
「恐らくこの世界に存在するアクセ装備の中でも最高の出来の物がいっぱいだよ〜♪」
「そうか、それは楽しみだ、ありがとなレイカ」
「う、うん、こちらこそありがとう、こんなに贅沢な物作りは初めてだよ♪」
「次で最後だな、あと30分か、やるぞ!」
現在作っている金剛魔鉱石は全魔力の3万を突っ込んで作っている。
魔力を突っ込んだ分だけ大きくなるからな、そのほうが効率がいい、魔力も魔体も潜在能力が上がっただろうな、もちろん筋トレで筋力も上がっただろうし、ふふふふ…
「しかし、魔力を込める量がどのあたりから金剛になるんだろうな」
「後で確かめてみたら?恐らくレンくらいしか確かめられる人いないよ?」
「そうだな、普通の魔鉱石だって必要だろうから、実験しておいても損は無いか、後で試すよ」
「うん、結果は教えてね♪」
「りょ、了解だ」
監禁されないよねっ!?
「じゃあ最後の筋トレ頑張って、私も最後の装備を作っちゃうよ、レンの分は私が考えちゃって本当にいいの?まぁもういくつか作っちゃってるから今更だけど」
「いいよ、レイカのセンスに任せる、文句は言わないさ、出来上がりを楽しみにしておくよ」
「分かった、期待してていいよ♪」
―――――
レンは最後の筋トレで出来るだけ自分を追い込み、本日最後となる金剛魔鉱石を握りしめ、自室へ戻り、着替えてレイカの部屋へ向かった。
「ふぅ、久々に筋トレやった!って感じだったよ、かなり潜在能力が上がっただろう」
「レンちゃんお疲れ!レンちゃんは潜在能力上げる必要あるの?」
「ああ、潜在能力関係無しに貯蓄からポイントは振れるけど、振り過ぎるといくらか違和感は出ちゃうからな、だから上げておくに越したことはないんだよ」
まぁ能力を振ればあとから潜在能力は上がるんだけど、深層の魔物相手だと何が致命傷になるか分かったもんじゃないからな、それにしても回復無しでも20時間筋トレできたな、どうなってんだよ俺の回復力は…
「へぇ、そうなんだね〜」
「それにしたって凄いな、1日中なんて普通はやってられないだろ」
「ははは…それは以前、女神様にちょっとな、あれに比べたら、自分のペースで出来る筋トレなんか天国みたいなもんだよ」
「それは、恐ろしいな…」
「レイカは…まだ作製中か?」
「そうだ、あたし達姉弟はレイカに頼んで、迷宮のドラゴンと何度も戦闘訓練をしていたんだ」
「おお!それは楽しそうだな、後で俺も頼んでみよう」
「レベル上がったから余裕かと思ってたのに、レイカちゃんの魔法知識が上がっちゃったから、ドラゴンが強くなってて大変だったよ〜」
「はははっ、いい訓練になったようだな」
その後、しばらく訓練の話を聞いていたら。
ガラガラッ、バタン!
「出来たよっ!」
「おおっ、とうとうか、レイカお疲れ、すまなかったな無茶振りしてしまって」
「楽しみだね〜!」
「ずっと作ってたな、大変だっただろう?」
「そんな事ないよ?私は物作りが大好きだからね、むしろ元気いっぱいだよ〜」
「レイカ、あたしからもお礼を、そして何も手伝えなくてすまなかった」
「いいよカリン、それにお礼はブツを受け取ってからね」
「うむ、そうだな、分かった」
「それでは〜…じゃ~ん!」
ジャラジャラジャラ…
こたつの上いっぱいに綺麗なアクセサリーが大量に出現した。
「黒いのがセイト、白と紫がカリン、シルバーがレン、白と青が私のですっ!」
セイトは、ネックレス、指輪2個、額当て、腕時計
カリンは、チョーカー、指輪、イヤーカフ、ヘアクリップ、腕時計
レンは、指輪2個、バングル、ピアス、腕時計
レイカは、ペンダント、イヤーカフ、ブレスレット、アンクレット、腕時計
一人5個ずつで、計20個のアクセサリー。
「凄いな、魔鉱石はいくつ使ったんだ?」
「それぞれのアクセに1個ずつと、とある物に5個使ったから、全部で25個使ったよ♪」
「そうか、全部で42個あったはずだから、余りは17個だな、まぁ好きに使ってくれ」
「やった〜!ありがとうレン!」
「足りなくなったらまた言ってくれ、それでそれぞれの性能は?」
「それぞれの特性に合わせて作ってるから少し説明長くなるけど…」
【セイトのアクセ装備】
ネックレス:物理防御・魔法防御結界
体の一部を覆うことも可能、日頃から魔力を蓄えておき、任意で発動する、黒の細いチェーンのみのシンプルな物[要練習]
指輪1・2:筋力アップ・俊敏アップ
真っ黒な指輪、サイズ自動調整機能付き、ネックレスに通しておいても大丈夫らしい、装着しておけばパッシブで能力アップ。
額当て:知能アップ
黒い布にシルバーの板が貼り付けてあり、蛇の絵が描かれている、セイトが1番気に入っている装備だ。
【カリンのアクセ装備】
チョーカー:物理防御・魔法防御
薄紫色のおしゃれなチョーカー、中心に指輪を掛けておく事が出来る、性能はセイトのネックレスと同じ。
指輪:魔体アップ
紫の半透明のリング、サイズ自動調整機能付き、チョーカーに取り付けておいてもOK。
イヤーカフ:技術アップ
白銀色のイヤーカフ、耳の中心の軟骨を挟むように装着する、小さなダイヤモンドを繋げたようなチェーンが垂らされていてとても上品、ゴージャス過ぎず、でもキラキラしていて人目を引く一品だ。
ヘアクリップ:風操作アップ
紫色のクリスタルで作ったような、少し大きめのヘアクリップ、カリンはいつも黒いゴムで髪を縛ってポニーテールにしていたが、これでゴムの部分を隠すらしい。
【レンのアクセ装備】
指輪1・2:魔力偽装・認識阻害
カインド村でもらった指輪と同じデザイン、黒に紫模様が蠢いている、既存の指輪と合体させることが可能で、同じ指につけようとした所、ぐにゃりと重なり一つになった、これにはレンも驚きを隠せなかった。
バングル:魔法発動速度アップ
ダークシルバーの渋いデザインで、まさに男のアクセサリーといった見た目、サイズ自動調整機能付き。
ピアス:移動ポイント記憶
瞬光を使う際、移動ポイントを設定してから発動するのが難しい、基本的に見える範囲内のどこかにしか移動できない、というレンの悩みを解決する一品、移動ポイントを記憶させて、念じるだけで瞬光が自動発動する優れモノだ、ツェファレンの世界内だけで言えば、もはや転移を覚えたと言っても過言ではない、ポイントを複数設定しての連続移動も可能、これだけはレイカに相談して作ってもらったレン、よっぽどカリンの風魔法、瞬風殴打・打擲の舞が羨ましかったのだろう。
【レイカのアクセ装備】
ペンダント:魔法防御・物理防御
シルバーチェーンにハートの形に加工された金剛魔鉱石のリングが通されている、性能はセイトとカリンの物と同じ。
イヤーカフ:技術アップ
薄青いカリンの物と同じデザインのイヤーカフ、能力だけではなく、作製・製作に関わる器用さもアップする。
ブレスレット・アンクレット:製造アップ
どちらも同じデザインで細いチェーンだ、ところどころダイヤのようなものがキラキラと輝いている。
最後に全員分の腕時計、作製前に時計を預かると言っていたので渡していた3人、それがアップグレードして返ってきた。
腕時計:遠距離通信、通話、アラーム、マップ
セイトは黒、カリンは薄紫、レンはシルバー、レイカは水色でそれぞれ少しだけデザインが違う腕時計、見た目はスマートウォッチだ。
「ぶっちゃけ腕時計が1番やべぇな」
「ふふふふ、そうでしょうそうでしょう、みんな似合ってるよ〜♪」
「こんなにアクセサリーを付けたことは無いが、やはりあたしも女だ、嬉しくなるな」
「やっぱりアクセサリーといえば女性だよな、2人ともイヤーカフが素晴らしく似合ってるぞ、セイトは額当てがなんとも忍者っぽいな」
「そうだよね!僕もこれ気に入ってるよ〜、ニンニン〜♪」
「レンもピアスが似合ってるぞ、暗めのシルバー、無骨なデザインが男らしいな」
「うんうん、気に入ってもらえて良かったぁ♪」
「この腕時計はどれくらい離れててもいけるんだ?」
「世界の端から端でもいけるよ」
「すごっ…」
「この城の最上階に中継になる物を作ったんだ〜」
「なるほどなそれに魔鉱石を5個使ったわけか」
「正解!正直一つでも十分なところを5個使ったからね、計算上この世界全部をカバー出来るはずだよ、時計の左右に2つずつボタンがあるでしょ?それぞれの機能が使えるから後で試してみてね♪」
「これは、通信、通話機能をつけたやつだけでもあと何個か作れないか?レイとマリー、サリー、カインド村のお世話になった何人か分なんだが…」
「いいよ♪その機能だけなら魔鉱石1個で4つは作れるから、そうだなぁ少し多めに20個くらい作っておこうか?」
「ああ頼む、時計は…買ってくるか?」
「そうだね〜、明日にでも買いに行こう」
「分かった、だがどうする?時計を作ったあとは渡しに行くか?」
「あたしはどちらでもいいぞ」
「僕も〜♪」
「私は…」
レイカが俯いて何やら考えている。
「私も行きたい…レイとマリに直接会って、自分の口であの時の事を謝りたい!」
「よし決まりだな、ついでにレイとマリーの分の精神アップのアクセかなんかも作れるか?あいつらにはまだ、ディアー討伐は鼻くその企みとは教えてないんだよ、少し精神が上がるのを待っているんだ」
「なんで言わないの?」
「お前の仇を取る為に暴走するかも知れないじゃ…あ」
「うん♪私生きてるよ?」
「そうだった…じゃあ大丈夫だな、でも一応鼻くその事を恨んで変な行動を起こすかも知れないから、やっぱり精神アップは頼むよ」
「ふふ、本当に優しいねレンは♪」
「やめろやめろ、俺の計画の邪魔されたくないだけだ」
「またぁ、強がって〜」
「そうだぞレン、お前が優しくなかったらあたし達はとっくに死んでいるんだ」
「そうだよ〜、レンちゃんふうに言うと、自覚しろ、だね〜」
「分かったよ!観念するよ!あいつらが心配なんだよ!」
くそっ、こいつら息ぴったりだな。
「じゃあ今日はもう遅いから寝ようか、私は精神アップのアクセサリー作ってから寝るね」
「うむ、夜更かしはしないようにな、肌が荒れるぞ」
「おやすみ〜♪」
「じゃあ頼む、悪いが先に寝させてもらうよ、おやすみ」
「うん、みんなおやすみ〜」
明日、時計を渡しに行き、皆が驚く顔を想像してニヤニヤしながら眠りにつく4人であった。




