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やらかした人間の血を引いてるからって何なの?

作者: 紀伊章


 とある国、とある夜会で。


「アビゲール・ハイランド!

 貴女との婚約を破棄させてもらう!

 私は、貴女のような心の冷たい女性ではなく、このエリアナ嬢と婚姻する!」


「……かしこまりました。

 では」


「ま、待て!

 何か、言う事があるだろう!?

 そのような情の無い態度だから、国母となる私の妻の座を失うのだ!」


「カールソン殿下は、国の後継ではございません。

 ……もう、よろしいでしょうか?」


「何を言う!

 私以外に誰がこの国を継ぐと言うのだ!

 ハッ、そうか。

 公爵令嬢たるお前を娶らない事を揶揄しようとしているんだな?

 残念だったな。

 エリアナ嬢は、今の身分こそ平民だが、王族の血を引いてる!

 お前以上に国母となるに相応しい血筋だ!」


「そ、そうですよぅ。わ、わたしぃ、ジョルダン王子の血を継いでるんですからぁ!」


 その瞬間、現国王陛下の嫡男の婚約破棄宣言にも、静観をしていた貴族達から、騒めきが起きた。


「衛兵!誰か、衛兵を!」


 何人かの衛兵を呼ぶ声。


 声に応えて現れる衛兵。


「あの娘だ!それと、カールソン殿下を!」


 慣れた様子で、暴れる二人を取り押さえ、連行する衛兵達。


 ヤレヤレ。これから大変だわぁ。

「浮気をして、婚約を無くそうと目論んでいる事までは、分かっていましたけどねぇ」


 申し遅れました。

 わたくし、アビゲール・ハイランド。

 前世持ちのこの国の王太子です。


 この国は、ほんの数代前に、滅亡の危機に瀕したことがあります。


 当時の王太子が浮気性で、愛人達に貸し出すのに国の宝物庫から勝手に持ち出したものが、多数偽造品にすり替わっていた事が発覚。

 正式な婚約者への冷遇も合わせて、当時目新しかったゴシップ紙で津々浦々まで知れ渡ってしまったのです。

 国の管理不行き届きも併せて、あわや、というところまで行きました。


 当時の王族は王族籍を抹消。

 彼らの私財は全て没収して損失分にあて、当の元王太子は、然るべき処理を施し奴隷として売り払い、損失分には微々たる代金なりました。

 比較的まともだったいくつかの公爵家で、残りの損失分を埋め合い、王位継承を持ち回りする事になりまして、どうにかこうにかソフトランディングにこぎつけました。


 奴隷として売り払う際には処理を施しましたが、元王太子と愛人達の間の子など問題になりません。

 世襲の世界だからこそ、嫡出か非嫡出かは問われます。

 ましてや、王位も継がず処罰された元王子の血を継いでいる()()()なんて、何になりますでしょう?


 ところが、前世の記憶を持っている者が、非嫡出子でも継承権を持っている、と言い出すケースが出て来たのです。


 ですので、本人に継承の意志をしつこい位確認して、損失分を継承してもらう事にしました。

 

 これまで現れたのは平民だったので、本人を売り払っても大した金額になりませんでした。


「今回、カールソンのおかげで、あの公爵家の私財も使えるなら、もう損失分は大丈夫だし、思い切って民主化しちゃおう」



読んで下さってありがとうございます。




日本の皇室予算を考えると、愛人達へのプレゼント代は問題なく払えたハズ、という感想もあったのですが、

愛人へのプレゼント代が国家予算通るのもおかしければ、

国や時代が違って、経済状況が違うんだから、比較のしようも無いと思うんです。

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