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切妻屋根の館  作者: 真山砂糖
7/14

7 インターン生

続きです。

 京子に聞き取りを頼もうかと思ってふと応接室の端に目をやると、係長と京子が珍しく一緒にいるのが目に入った。

「京子、どうかしたの? 係長と親密そうだけど」

「小春ー、冗談言わないでよー。捜査会議よ、捜査会議ー」

 係長は困った表情をしていた。すると、夏子のスマホに連絡がきたようだった。

「あの、デザイン科の知り合いに、田中さんのことを訊いてみたら、返信がきました。田中さん、今学期は休学してますね。学費も全部自分で払ってるから、バイトを掛け持ちしまくって、それが原因で休学してるそうです」

 夏子は小声で私たちに話した。

「おう、バイトが忙しくて休学か」

「お母さんが倒れて、経済的に余裕がなくなったらしいです」

「ふーん、苦労してるんだー。この会社に採用されるといいねー」

「おう、休学してるんだったら、インターン、来れないんじゃないか」

「それは、各大学の規定にもよるのかと思いますが」

 私は自信なさげに答えた。夏子にはまた連絡がきているようだった。

「田中さん、普段からバイトばっかりで飲み会とかもあんまり参加しないから、みんな心配してるみたいです」

「えー、飲み代払ってあげたいー」

「最近は弟と会うのが生きがいだって言ってたそうです」

「ふーん、弟ねー、毎日顔合わせてたらー、うっとしくなるわよー」

「京子のことは別にいいから」

「私もー、夏子ちゃんみたいな妹が欲しかったなー」

「夏子ちゃんは、お前みたいなギャルの姉はいらないってさ」

「係長ー、セクハラ相談窓口に通報しますねー」

「おう、今のはセクハラじゃないだろ」

 その場の空気を読まずにお馬鹿な会話を続けてしまって、私は謝罪したいくらい恥ずかしかった。

「じゃ、お姉ちゃん、聞き取り再会しよっ」

 夏子は勢いよく私を引っ張って応接室から出た。


謎の学生ですね。

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