第一の挑戦③
「いきなりこれですか? なかなかにきついことを」
「期待の裏返しかと…。期待を裏切ることをなさることのないように」
「それは理解していますが」
根回しのための交渉役を仰せつかったカワノではあるがその交渉相手が今まで敵対してきた隣国だということでかなりのプレッシャーを感じていた。
「交渉の糸口は掴めそうですか」
帯同する領主の部下にそう問われたカワノ、
「資料を見る限りなんとかなりそうですね。とはいえ初舞台にしては厳しいかな」
「私もそう思いますが。あなたにその大役を任すのはそれなりの覚悟があるかと」
「この程度で戸惑っている場合じゃないでしょう。使命を果たすには長い長い道のりよ。あなたも覚悟を決めなさい」
心に響くようにロザビィアから激がとぶ。
「やるしかないな。元に戻るためにも」
「カロン=グランツェからの使者だと」
「先程会談を持ちたいと連絡がありました。いかが致しましょうか」
「なんの用があるというのだ」
「それに関してですが……、カロン=グランツェ領内にてきな臭い動きが。もっか調査中ですが」
「そうか、こちらもそれに乗るべきか。よし、会談に応じると伝えよ」
こうして隣国ノズアイルとの交渉が始まろうとしていた。
「まさかあなたが? どういうつもりですか?」
戸惑うノズアイル側の窓口担当者。
「勘違いしているようですが、私はあなたが思っている人物ではありません。正しい情報が伝わっていないようですね」
言い方に気を配りながらケイは話す。
(「間違っていないよな」)
(「今のところはね」)
脳内で会話をする。
「それでは正しい情報を求めます。よろしいでしょうか」
(「話していいのか?」)
(「いいけど……、肝心なところはぼかしておいて。状況を見てその都度判断して」)
それを聞いてケイはある程度の経緯を説明した。うりふたではあるが養女となった全くの別人であること。今後の事をふまえて不可侵条約を結びたいと
(「ばか!! ここでそれ言っちゃあだめでしょう」)
(「いいんだよ。腹の探り合いなんてしたくない。さっさと終わらせる」)
脳内で言い争いを始めたケイを見ながら担当者は考える。
どこぞと戦争でも始める気か? きな臭い動きとはそれのことか、いずれにしろさらに突っ込む必要があるな。
「わかりました。ここではなんですから。本格的に交渉といきましょう。こちらへどうぞ」
ケイの挑戦が始まる