表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
大規模海戦演習編
95/340

航空母艦



「……航空母艦か……」


 ヘリの扉から、帰投する二隻を見つめていた。


「俺は、何でこんなにも、兵器に憧れたのか、思い出してきた気がする……」


 俺は、自身の行いを悔やむ。

 何故嫌ってしまったのか……自分を殴りたい気持ちで一杯だ。


「きっと今なら……」


 俺はそう思い、操縦者に告げる。


「大島に向かってくれ」

「了解、じゃあ扉閉めてくれ」


 俺はその言葉を聞いて、開けていた扉を閉め、席に着く。


「それじゃあ、飛ばしますよー」


 そう言って、操縦者はエンジン質力を上げ、操縦桿を手前に押込み、機体を前に進めた。




「うむ、非常にまれな結果だが今回の演習、引き分けとする」


 私達は、大島に上がって、彭城元帥にそう言い渡された。


「引き分け、ですか……」

「まあ、互いに満身創痍だしな……」


 私は足であるスクリューを、逆にエンタープライズは、攻撃と防御の要である甲板を抉られている、互いに航行不能、戦闘不能だ。


「まあ、私に依存は無い」


 エンタープライズもそう言って話を促す。


「うむ、では決定だな、演習二戦目の結果を発表する」


 そう言って、元帥は紙を開く。


「瑞鶴の損害、魚雷命中二、爆弾命中三、スクリューの破損で航行不能、大破」


 あの魚雷は痛かった、まさかピンポイントでスクリューをやられるとは……。

 しかもあの『アベンジャー』、完全に後部エンジン部を狙っていた、舵を切っていたから、水流ができて、エンジン部には当たらなかったけど、もし魚雷が直進して、エンジン部で爆発していたら、航行不能どころではない。


「プライズの損害……」

「私の事をプライズと呼んでいいのは、私が認めたものだけだ」


 そう厳しく返す。


「そんな厳しいこと言わなくてもいいんじゃない、プライズ?エンタープライズって、長くて呼びにくいのよ」


 私はそう笑い半分で言うと、プライズはこちらをきつく睨んだ。


「言っただろう、私が認めているのはヴェスタルと艦載機たち、それと……有馬指揮官だけだ」


 私の中で、何かが切れる音がした。


「あのねぇ、司令官さんは、大和の長官で合ってあんたの乗員じゃないの、お分かり?それなのに、何をそんな照れたような言い方する必用があるわけ?癪に障るんだけど」


 私の今の感情をぶつけると、プライズも睨みを一層強くして言う。


「何をそんなに気にしている、大和の長官だからなんだというんだ、それ以前に、あの人は私達WSの管理者で在り、日米連合艦隊の提督だ、それに瑞鶴、貴様は嫉妬しているのではないか?自身も指揮官のことが好きなのに、大和に乗っているから引き離せないと」


 うっ……。


「言い返せないのか?どうやら図星らしいな」


 腹が立つが、言っていることは確かに的を射ている。

 返す言葉を探して唸っていると。


「あ~もうめんどうだ、それでは有馬君、あと頼んだよ」


 そう言って、元帥は紙をほっぽって帰って行ってしまった、それと入れ違いで、先輩方が姿を現した。


「何をしているんですか、瑞鶴」


 加賀さんは、そう呆れながらほっぽり出された紙を拾う。


「エンタープライズの損害、爆弾命中多数、甲板にいくつもの大穴、よって戦闘不能、大破」


 それに続けて、赤城さんは結果を発表した。


「今回の演習は、互いに戦闘続行不能ということで、引き分けです」


 元帥殿が残していった紙を、一航戦の二人が読み上げた。


「お疲れ様二人とも、なかなかすごい戦いだったよ」

「特に最後の攻撃は、互いに上手いところを狙ったね」


 二航戦の二人もそう言って頷く。


「ありがとうございます、先輩方」


 そう私はお礼を返す、プライズは、黙って何も言わない。


「さて、これからどうするんですか?彭城元帥によれば、勝手に帰っていいよとのことだけど」


 零がそう言って、横須賀基地の方を指す。


「そうですね、演習はこれで終わりですし、基地に帰投しましょうか?」


 赤城さんがそう言って、自身の艦に戻ろうとした時、上空に『ブラックホーク』が現れる、私達は顔を見合わせ、全員がヘリの下に集まる。

 それもそうだ、だってあれには、司令官が乗っているのだから。





 俺がヘリから降りると、皆は、俺の方をじっと見つめ佇んでいる。


「皆、お疲れ様……すごかったよ」


 そんな言葉を伝えると、瑞鶴が首を振る。


「私たちが聞きたいのは、そんな言葉じゃない」


 それに続けて、零が前に出る。


「司令官、いえ、有馬勇儀に聞きます」


 皆の眼差しが、俺の目をまっすぐに見つめる。


「「「「「「空母のことは」」」」」」


 赤城、加賀、蒼龍、飛龍、瑞鶴、プライズが、


「「航空機のことは」」


零と隼が、


「好きですか?」


全員の声が重なり、俺の心へと響く。


 少しの間を置き、俺は自身の耳につけられたps2を外し、皆の方を再び見つめる、そこには、確かに兵器たちが存在していた。


「ああ、大好きだ」


 その一言で、空母の皆の顔に薄く涙が零れ、加藤さんは、ふんと鼻を鳴らす、その中で、瑞鶴が我先にと、俺のもとにかけてきた。


「よがっだよ~司令官さん!」


 瑞鶴は、いつもの凛々しく整った顔を崩し、泣き乱れた顔を、俺の肩につける。


「よしなさい瑞鶴、司令官が困っています」


 加賀が、やや強引に瑞鶴を引き離そうとするが、俺がそれを制止する。


「いや、大丈夫だ加賀、少し前に瑞鶴と約束したからな」


 そういうと、赤城が苦笑交じりに聞く。


「一体どんな言葉で司令官は瑞鶴を魅了させたのでしょうか?」


 魅了って、そんな大それたことはしてないのだがな。


「別に、ただ好きな時に甘えると良いって言っただけだ」


 その言葉を聞いて、瑞鶴は俺の背中に手を回した、それを見て他空母と零は、 「あっ」と言葉を零した。


「だからこうして甘えてるの……私、心配したんだから……司令官さんが、私たちを嫌いになったって聞いて……もうこうして触れられないのかと思って……」

「……すまなかったな」


 俺が瑞鶴を優しく抱き返すと、瑞鶴は照れくさそうに笑う、そして、それを見ていたプライズは、俺の背中に飛びついた。

 結構勢いよく。


「ぐぇ!プライズ、ちょっと痛かったんだが」

「知らん!瑞鶴ばかり甘やかすからいけないのだ!」


 そう言って、プライズは背中から俺のことを抱きしめる、前と後ろで挟まれて、ちょっと苦しい。

 しかも後ろは、大きな胸部装甲が二つ当たるから、余計いろいろ考えてしまう。


「ああ!プライズ離れなさいよ!今は私だけの司令官さんなの!」


 そう言って、瑞鶴は一層体を俺に押し付ける


「何を言う!指揮官は私の艦長になるのだ!」

「いや、どちらの司令官でもなく、俺は皆の司令官なんだが……」

「「司令官」指揮官は黙ってて!」」

「はい……」


 二人の剣幕に押され、俺は口を閉じた。


「まったく、私の後輩と米の空母は、いったい何をやってるのでしょうか……」


 加賀はため息交じりに零す。


「良いじゃないですか、司令官が私たちのこと、見れるよう戻ったのですから」 


 赤城はそう微笑みながら言う。


「やれやれ、本当に司令官は人気者だね、大和が苦労するわけだ」


 そう蒼龍が言うと飛龍も、「だねぇ」と相槌を打つ。

 

 一方零と加藤さんは、少し離れたところでこちらを見守っている。

 なんだ、やっぱり仲いいみたいだな、この二人。




 その後、俺たち空母六隻と、その艦載機たちは、横須賀艦隊基地に帰投した。

 俺は結果を凌空長官に報告し、空母と艦載機は見えるようになったと報告すると、


「そうか、なら大和達戦艦が見える日もそう遠くはないだろう」


そう返された。


 明日の演習は、大和艦隊VS空母組。

 細かく分けると『大和』『武蔵』VS『赤城』『加賀』『蒼龍』『飛龍』『瑞鶴』『エンタープライズ』での戦いだ。

 

 今回は、どれだけ早く大和型二隻に撃沈判定を出すかで勝敗を決める、三時間以上大和型が耐えたら大和型の勝ち、それ以内に二隻とも撃沈判定を出せれば、空母組の勝ちだ。


 そして、その後に『長門』『アリゾナ』VS『陸奥』『扶桑』の、艦体決戦の演習がある。

 本当は『金剛』で数合わせをし、日本艦隊だけで行う予定だったが、千葉の空襲でキューブが壊されてしまったため、艦体の造船もストップ、急遽『アリゾナ』に入ってもらった。


「この戦いで、大和達が見えるようになると良いんだが……」


 早く大和に謝りたい、ただそれだけ、俺は思い続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ