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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
大規模海戦演習編
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見えない


「WSが見えにゃくなった?」


 明石が首をひねる。


「ああ、後はそちらで話してもらえるか、明石?私はこのあと、仕事が残っているからな」


 そう言って、凌空長官が去っていく。


「凌空も忙しいにゃね……で」


 俺は今、ps2を着けて、研究所の一室にいる。

 目の前には、明石の姿が見えている、でも、これを取ると……。


「機械なしで、WSの声と姿が見聞きできなくなったんだ、それに、大和に関しては……つけていても、見えないんだ……」


 明石は黙り込み、ちらりと俺の背後を見る。


「有馬、後ろを見るにゃ」


 俺は、くるりと席を回し、後ろを見るが……。


「……何かあるのか?」


 そこには、何もない。


「本当みたいにゃね」


 明石は、う~んとうなり言う。


「さっきまでの話を聞く限り、大和とWSが見えにゃくなったのは、脳の拒絶反応にゃね」


 明石はひょいっと椅子から降り、とことこと歩いていくと、どこからか棒磁石を二本持って戻ってきた。


「最近研究して、分かったことにゃけど、どうやらWSである明石たちを見るには、いわゆる愛が必要だったのにゃ」

「愛?」


 明石はうんとうなずき、一つの磁石にWSと記入する。


「本来兵器は、人間のことが好きにゃ、愛するほどではにゃくとも、自分を生み出した存在にゃんだし、嫌いにはなれないにゃ、そこで、WSの磁石の好きという感情を、N極とするにゃ」


 次に、明石はもう一つの磁石に、人間と記入する。


「でも、人間は兵器に対していろいろな感情を持っているにゃ、かっこいい、強い、みたいなプラスの感情もあるにゃけど、怖い、殺戮兵器などの、マイナスな感情もある、そこで、人間の+な感情をSとするにゃ」


 明石はWSの磁石をN、人間の磁石を横にして、T字の形でくっつける。


「この形が、本来の人間とWSの形にゃ、WSは人間を好むけど、人間はWSに対して、あまりそういう感情はもたないのにゃ」


 まあ、そうか……。


「それで、有馬の感情と、WSの関係は……こうにゃってたにゃ」


 明石はそう言って、人間の磁石をくるりと回しWSをN、人間をSにして、二本の棒をくっつける。


「有馬は、これまでのアンケートや研究結果、心情検査から、人一倍兵器への思い入れが強かったのにゃ、だから、WSたちとの波長が合い、見ることも聞くこともできたのにゃ。逆に、普通の人を、半強制的、いや、言い方がわるいにゃね……仮想的に、その状態にすることができるのが、ps2にゃ」


 ps2はつけている間だけ、強制的に兵器へ好意を向けさせることで、共鳴させやすくして、波長を合わせるのか……優れもんだな、この機械は。


「でも、そのps2でも限界があるのにゃ」


 明石は、人間の磁石をくるりと回し、Nにする。


「人間側がWSを嫌っていた場合にゃ、ps2は、普通を好きにすることはできても、嫌いを好きや、普通にすることはできにゃい、それがいまの有馬の状態にゃ」

「今の俺?」


 明石はうなずく。


「有馬は、大和のことを嫌いになったと言う表現は、少し違うかもしれにゃいが、本能で大和を拒絶しているということにゃ、ps2を着けても、大和だけが見えないのは、そう言う事と考えて良いにゃ」


 俺は黙りこんで考える、俺が大和を拒絶するなんてありえない、確かにあんなことを言い合った後だけど、俺が初めて知って、初めて人間以外で恋をした戦艦を、拒絶する?


 そんなこと……。


「違う……」

「違わないにゃ、有馬は、戦争のことについてよく知っている、ということは、戦争の不の側面についても知っていることににゃるにゃ、それも相まって、今の有馬は、兵器を好きになれにゃいのにゃ」


 頭の頭痛を抑えながら、絞り出した答えを、明石は速攻で否定する、いつもの、猫みたいな目じゃない、真剣な、兵器としての目。


「認めるにゃ、今の有馬じゃ、戦艦『大和』のことを考えるだけでも、頭痛が止まらないはずだにゃ」


 今の俺の様態を知っているように、明石は言う。


 ああそうだ、大和の顔を、声を思い出そうとすればするほど、頭痛がし、思い出しにくい。

 今までの大和との思い出、初めて大和を知った時の感動を思い出そうとすると、吐き気がする。


「人の体は、脳が拒絶すると、それについて考えたくないから、頭痛や吐き気を引き起こすのにゃ、今まさに、その状態なのにゃ」


 明石は、俺にすっと、頭痛薬を差し出す。


「認めるにゃ、有馬、今有馬は、兵器への好意、熱意、愛情がなくなり、大和のことが……嫌いになったのにゃよ」


 そのあと、俺は明石に渡された頭痛薬を飲み、部屋で寝ることにした。





 俺は大和のことが嫌い、兵器が好きじゃない……。


「じゃあ俺は……何で軍にいるんだ……」


 その問いに答えてくれる声、いつも隣から聞こえていた声は――――


                     ―――――聞えなかった。

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