プライズの仲間
「助かった、指揮官」
プライズと俺は、『エンタープライズ』の前に避難し、腰を下ろす。
あの二人の空気に押しつぶされそうだったので、一人端っこでおろおろしつつ、少しずつ顔色が悪くなっていたプライズを引っ張って、場所を移動した。
「いや、俺もあの空気は耐えられない」
なんでアイオワは、一言目から喧嘩を売るようなことを言うのだ……。
そんなことを考え、俺は立ち上がる。
「さて、お前の艦体の前まで逃げてきたわけだが、次に紹介してくれるのは誰だ?」
「こっちだ、私の中に入ってきてくれ」
俺はプライズに連れられて、格納庫の中に入っていった。
「次に紹介するのは、私の、大切な戦友だ」
プライズが指し示す先には、三機の航空機が並んでいた。
「『F6Fヘルキャット』『SBDドーントレス』『TBFアベンジャー』……」
まさかの三機、中国に向かう途中のプライズには『F4Fワルドキャット』『SB2Uヴィンディケイター』『TBDデバステータ』と、いかにも旧式の艦載機だったが、今ここに並んでいるのは、日本海軍を苦しめた、三機の航空機に変わっている。
「この三機すべてに、同じキューブが入っている」
プライズはそう言って手招きする、そうすると、奥からゆっくり、小さい影が歩いてくる、プライズよりも身長が小さい。
「初めまして、私は……」
そこまで言うと、声質が急に変わり、さっきよりも高い声で、目を輝かせながら、
「私の名前はF6Fヘルキャット、ヘルって呼んでね!」
言い終わると、また声質が変わり、今度は少し低くなる。
心なしか、目つきも変わったように見えた。
「私はSBDドーントレスです、トレスって呼んでくださ~い」
さっきよりゆったりとしている、しかし、また目つきと声質が変わる、さっきよりも冷徹な声と、鋭い目。
「そして、私がTBFアベンジャー、呼び方は、貴方に任せます」
こりゃまたキャラが濃いのが来たな。
「普段はTBFの状態で過ごしますので、よろしくお願いします」
ショートの黒髪で、ベレー帽をかぶっている、下半身がスカートの士官服、色は機体と同じ紺、背はそれほど大きくなく、空と同じぐらいだ。
「さて、私の戦友の紹介もしたし、次は……」
プライズが格納庫から移動しようとする。
「も~プライズちゃん、私も紹介してもらわないと困るわ~」
ふんわりとした声が聞え、振り返るとそこには、ヴェスタルが立っていた。
薄い紫色の髪、花びらのように浮かびそうなほど柔らかく見える、ナース服のような衣装で、目はやや薄い赤、vssヴェスタルだ、『大和』の初陣の時はお世話になった。
「ヴェスタルか、今からそちらに行こうとしていたのだが」
「あら~そうだったの?じゃあ私の早とちりだったのねぇ」
ヴェスタルはそう言って、「うふふふ」と笑う。
「えっと、彼女はvssヴェスタル、工作艦で、二次大戦の頃、よく世話になったのだ、彼女の乗員と設備の充実さは、私が保証しよう」
そうプライズが言うと、ヴェスタルはぺこりと頭を下げる。
「改めてよろしくね、司令官さん」
「ああ、こちらこそ、よろしくお願いする」
俺とヴェスタルで手を握り合うと、プライズが「むー」と変な声を上げた後、握った手の上に自身の手を重ねてきた。
「私の事も、よろしく頼むぞ」
「お、おう、分かってるぞ」
俺はその後、港を後にして、大和とアイオワがいた所を見に行った、大和を連れ帰るためだ。
流石に放置はよくないと思ってな。
「あ、お帰り」
大和がこちらに気付き、視線を送る。
そうすると反対側に立つアイオワも視線を送る。
「有馬!どこ行ってたの、さっきの質問にちゃんと答えて!」
俺はため息をつき言う。
「なら演習で決着をつけろ、俺には、大和とお前のどっちが最強だなんて言えない」
そうはぐらかす。
だが、実際どちらの方が強いかなんて俺にはわからない、戦ったことがあるわけではないし、そもそもこの二人は、WSになる前に、艦隊決戦をしたことがない、そんな艦を比べることなんて不可能だ。
「それまで勝負はお預けね、金髪ビッチ」
「遺言でも書いておくといいわ、ホテル」
しばらく睨み合った後、二人はフンっと鼻を鳴らし、アイオワは消え、大和が俺の側による。
「帰ろ」
大和がぽつりと言う。
「分かった」
俺はそれだけ返し、大和のドッグに向けて歩き出した、ドッグに着くまで、大和は終始無言だった。




