表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/340

自称世界最強の戦艦


 10月27日、10時00分、米軍到着。



 『アイオワ』『エンタープライズ』『アリゾナ』『ヴェスタル』輸送船三隻、『エンタープライズ』の艦上機と『Ⅿ4シャーマン』のWSも来るらしい、欧州で使う量産の『Ⅿ4』とWSのスタックは、アメリカ本土から、ヨーロッパに送ってくれるそうだ。


「久しいな」


 そう言って、『アリゾナ』から降りてきたコルト長官、つい最近知ったが、34歳の少将らしい。


「お久しぶりです」


 俺たちは握手する、その隣で、大和がアリゾナと向き合っていた。


「あの、ほんとにやるのでしょうか」


 大和が敬語で、アリゾナに話しかけると、アリゾナは静かにうなずく。


「当たり前だ」


 やや長い髪の毛は真っ白で、米海軍共通の長官服に士官帽をかぶっている。

 アリゾナは、沈む時の艦長だった、アイザック・Ⅽ・キッドさんの姿を、自身の姿としている、髪色は違うような気がするが。


「でも正直、性能面では圧倒的に私のが有利で、あなたの主砲で、私の装甲を貫けるとは思えないのですが……」


 なぜこの二人に面識があるのかと言うと、遡ること一か月ほど前のカウアイ上陸作戦の時、この二人はこっそり合っていた。

 別に逢引とかそういう事ではないのだが、どうやら大和は、アリゾナからの演習の申し出を受けていたらしい。


 戦艦『アリゾナ』は、真珠湾攻撃時、航空機に滅多打ちにされたうちの一隻だ。

 『ペンシルベニア』級戦艦の二番艦、日本で言うと『扶桑』などと同期の艦で、二次大戦ではやや旧式化が否めない艦であったが、十分な装甲と、それなりの火力、日本の戦艦相手なら、十分戦えると思われていた。

 

 しかし、結局の所『アリゾナ』は、日本の戦艦ではなく、航空機に負けてしまった、一度も砲戦を経験することなく。

 

 だから、日本の戦艦がいかほどの強さを持つのか知りたいそうだ、そこで、日本で一番強い『大和』の腕を見て、日本の戦艦の実力を図ろうという考えだそうだ。

 なぜ俺が、その話を最近まで知らなかったのかと言えば、アリゾナのWSと実際に会う機会がなかったのだ、電話の中でも、そんな話題は上がらなかったし。

 

 でもって、アリゾナと大和は一対一の対決を決定したが、性能面では圧倒的に『大和』が有利だ。

 主砲も装甲でも『大和』のが上で、『アリゾナ』の35、6センチ砲では、『大和』の一番薄い38センチ装甲でも、簡単には貫けない、一体アリゾナはどうやって勝つつもりでいるのか……全く見当がつかない。


「やあ指揮官、久しぶりだな」


 そんな声と共に、大和と反対側から走ってくるのは、


「エンタープライズか」


 真っ白なYシャツ、その上に黒い長官服を肩から羽織る、黒いスカートに、膝下程までの黒い靴下、頭には士官帽を乗せる、目は薄い黄色。


「どうだ、私の艦長になってくれる気になったか?」


 そう笑顔で、プライズは俺に聞く、後ろから冷たい視線を感じるが、無視だ無視。


「いや、遠慮しておく、俺は『大和』の乗組員だからな、できれば『大和』以外の艦の長官になるつもりはない」


 そう俺が言うと、プライズは少し残念そうな顔をして、

「そうか」

と目線を下に向ける。


「でも、いつでも私は大歓迎だ」


 また満面の笑みに戻る。

 肩に手が触れる感触があると、後ろから大和が出てきた。


「勇儀は渡さないから」


 怖いって、やめてくれ大和。


「そういえば、紹介したい三人を連れてきたぞ」


 プライズは、俺の手を引いて走る。


「あ、ちょっとまって!」


 俺は慌てて走る、その後ろを大和が追いかける、俺はとりあえず、転ばないように走る。


「ま、待ってよぉ~」




「はぁ、疲れた」


 俺はプライズに連れられ、ダッシュで500mほど移動すると、『大和』にも並ぶ、巨大な艦が目に入った、でもこの艦にWSは存在しないはずだ……。

 その理由としては、この艦は、過去の兵器ではないからだ、大戦が終わり、湾岸戦争や、朝鮮戦争が終わったタイミングで記念艦として浮いていたが、一様動ける状態であり、今でも米海軍所属の戦艦と言うことになるので、WSとしてのキューブは、作成しないはずだった。


 だが、こうしてみてみると、大戦後に装着された、ミサイル発射管などが無い、一様ファランクスは一基だけ残っていたが、それ以外は大戦中の兵装のままだった。


「アイオワ、出てきて大丈夫だぞ!」


 そうプライズが言うと、上の方から。


「その人があなたの言ってた人?」


 姿は見えない、だが声質から、アメリカ系の人だと分かる、まあ人ではなくWSなんだが。


「そうだ!有馬勇儀、私たちの姿が見える日本人だ!」


 そうプライズが返すと、巨艦の艦橋に、何者かの姿が見え、こちらに飛び降りた。


 その影は、空中でくるくると回転しながら地面に着地する、最初に目に入ったのは、素晴らしいほどに大きい……胸!


「「でかい……」」


 大和と俺は呟く。

 大和の胸もそれなりに大きいが、そんなのが比ではないほどの大きさだ、そんな胸を惜しみなく見せつる、大きく胸元があいたビキニを着て、その上に、スカジャンのような上着を羽織っているが、チャックを閉めていないので、スタイルの良いおなかは開放的に見せられ、太ももを隠さないホットパンツを履く。

 目はエメラルドグリーンに輝き、髪は腰まで延びる金髪、毛先は弱くパーマをかけたように巻かれている。


「hello!私はIOWAこれからよろしくネ!」


 やたら発音の言い挨拶をし、手を差し出す、俺はその手を握り返し、こちらも挨拶を返した。


「俺は有馬勇儀、中佐で戦線長官だ、これからよろしく、アイオワ」


 そう言うと、アイオワはまぶしいほどの笑顔を浮かべ、恐ろしい一言を言い放った。


「世界最強の戦艦である、このアイオワをよろしくネ!そんなホテルは放っておいて、私の指揮を執ってほしいヨ!ダメかな?」


 その瞬間、辺りの空気は凍り付いた、さっきまで笑顔だったプライズも、見たことないほど怯えた表情で後ずさる。


「誰がホテルだって?」


 まずい、大和を落ち着けないと。


「大和?あの……すいません」


 俺はあまりの殺気に、反射的に謝り後ずさる。

 大和は、全力でこぶしを握り締め、髪が浮かび上がるほど殺気を表に出している。


 対して、アイオワは、挑発するかのような目で、大和をじっと見つめている。


「ホテルと罵るのは好きにすればいい、確かにそう言われても仕方がない時期もあった、でも今は違う、それに、世界最強の戦艦はこの私、『大和』型戦艦、それは否定させない!」

「上等よ、ジャップの分際で、この『IOWA』を敵に回したことを、後悔するがいいわ」


 互いに睨み合う二人の殺気に恐怖を感じ、プライズの袖を引いて、この場をゆっくりと立ち去る、二人に気付かれないように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ