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始まる総合会議

 会議が行われる場所は、まさかの国会議事堂内の衆議院議場だ。


現在、20時10分。


 入場は10分前からなので、あと10分。


 暇だった俺は、参加者のリストを眺めていた。

 

 今回の会議は、戦前からあった通常の物ではなく、桜日がWW3に参戦してから始まった、定期的に行われる、報告会のような会議だ。

 と言っても、今回で第一回目なんだが……、。


 今回、この会に参加するブロックは、内閣勢、野党勢、防衛大臣が率いる自衛隊勢、彭城艦長が率いる軍勢、そして国民代表、というようになっている。


「問題は野党なんだよな~」


 正直自衛隊、内閣は、軍と対立しているわけではないが、野党の中にいる、断固として軍の撤廃を求めている者たちは、おそらくこちらの主張に食い掛ってくる。


 国民代表のほとんども、野党が集めた極左翼か戦争反対の思想の人たちのため、敵となる。


 ……国民を敵というのは、軍人として失格だな。


「こりゃまた一波乱ありそうだな」


 今回会議することは、主に八つである。


一、軍の現状報告。

二、自衛隊の現状報告。

三、二つの現状報告についての質問。

四、軍への内閣からの要求。

五、欧州出兵について。

六、国民の意見発表。

七、軍、自衛隊から、政府への質問。

八、最終議決。


「会場に入室してください」


 適当に時間を潰していると、アナウンスが入り、外で待機していた人たちが、続々と中に入っていく。


「さて有馬君、覚悟はいいか?」


 彭城艦長が耳打ちする。


「ええまあ、聞くだけなら問題は無いと思います」


 うなずいて、会場に入った。




 この人数を相手に報告するのか、艦長たちは……。


 俺は席に着き、配られた資料を広げ、聞く姿勢をとる。

 

 基本俺の仕事は聞くだけで、発表は長官二人が行ってくれる……らしい。


「それでは、総合会議を始めます」


 議長が木筒を叩き、地獄の時間が始まる。


「まず、桜日帝国軍の現状報告を」


 そう議長が話すと、彭城艦長は立ち上がり、マイクを握る。


「では、2045年8月15日から、現在にかけての状況をご説明します」


 彭城艦長はそう言って、話を始めた。


「8月15日、WSと言われる兵器の一部を完成させ、戦艦『大和』を旗艦とした、海上部隊を作成、その海上部隊の駆逐艦に、アジア産の資源と物資を積み、ユニオン連合の、ハワイ太平洋軍港に行く予定でした。

 理由としては、歩兵戦力を借りるためです、しかし、航海中、南鳥島付近で、敵航空部隊と交戦、四十二名が死亡しました。」


一瞬、国会の中がどよめいた。


「オワフ島に到着後、同じくハワイに向っていた、ユニオンの輸送艦隊を狙う海上部隊が出現しため、『大和』率いる部隊は、敵艦隊を排除に向かい、排除に成功。

 しかし、その隙にカウアイとニイハウを占領されてしまいました。

 そこで、今度はミッドウェー島に艦隊、本土から来た援軍と合流し、奪還作戦を実施、戦線長官であった、咲間啓樹をはじめ、総戦力5203人中3842人死亡、219人が重軽傷を被い、奪還しました」


 その報告に声を荒げて反応する人もいた。


「ちょっとまって、四千人近くが死んだと言うのですか⁉」


 おそらく野党の誰かが、そう声を荒げる。


 ……艦長は全く気にも留めていないみたいだが。


「その後、千葉太平洋軍港爆撃の電報を受け、ユニオン所属の戦艦『アリゾナ』と、その艦長である、エウェービ・コルト艦長と供に、日本へ帰投しました」


 一息ついて、艦長は続きを話す。


「えーそこから、中華同盟の支援のためインドへ、旗艦を戦艦『大和』、随伴艦を、空母『赤城』、量産駆逐艦三隻、輸送艦四隻の輸送部隊を送りました。

 道中、敵航空機の攻撃を受けましたが、空自の奮戦もあり無傷で切り抜けました。

 中継地点のパプア港で、接敵、イージス戦艦『あめ』、イージス艦『まや』小型護衛艦『りくかぜ』が奮戦、撃退しました。

 その後ユニオンの空母『エンタープライズ』と合流し、インドを目指しました」


「その『エンタープライズ』はWSか?」


 総理が聞く。


「はい、大戦中の『エンタープライズ』です」


 それに、艦長は機械的に答え、話を続ける。


「インドに向かう途中、またもや航空攻撃を受けましたが、『零戦』『F4F』『桜花』の奮戦によって、艦、人、共に被害はなく、インドにたどり着きました。

 中国の南方面を通りながら、インド軍救助のため、大規模な電撃戦を行い、中国に陣取るWASの戦車部隊を撃退、損害を与えることに成功しました。

 ですが、インド軍は戦力の七割程度を失い、戦争から離脱せざるを得ない情況になりました、また、我が桜日帝国とユニオンの部隊にも被害が出ています、しかし他国の参戦や、混乱した状況だったため、詳細な被害人数は不明となっています」


 艦長はそう言い終え、息をつく。


「大まかな流れは以上です」


 いったん腰を下ろした。


「次、自衛隊の現状報告を」


 防衛大臣が前にでて、資料を広げる。


「自衛隊からも、8月15日以降の状況を、簡潔にお話いたします」


 咳払いを入れ、防衛大臣が話す。


「まず、この一か月の間大きな事件は起こらず、いつも通りの訓練を行いましたが、朝鮮からの新型機の奇襲に対応できませんでした。

 侵入した『Ⅰ-932』にのステルス性能は、現状のレーダー等では索敵が不可能なため、新型レーダーである『55号レーダー』の量産を急いでいます。

 その他では、航空機の領空接近が増えましたが、無人機なのが分かっているため、撃墜を繰り返し、今のところ領海、領空に侵入は許していません、以上です」


 自衛隊は、基本防衛が主な仕事なので、報告する量は少なめだ。


「では、質問の時間に移ります、何かある者は挙手を、名前と所属を名乗り、発言するようにしてください」


 そう議長が言うと、早速手が上がる。


「防衛相の田中です、軍に質問をよろしいでしょうか」


 そう言うと、彭城艦長は立ち上がり、再びマイクを握る。


「現在、WSと言われる兵器は、陸海空全て合わせて、どれだけ存在するのかを教えてほしいのですが」


 そう言うと、艦長は資料も何も見ずに答える。


「航空機で『隼』『零戦』『九七艦攻』『九九艦爆』『一式陸攻』『紫電改』『震電』『桜花』。

 戦車で『九七式中戦車チハ』。

 艦で戦艦『大和』『武蔵』『長門』『陸奥』『扶桑』『三笠』。

 空母『赤城』『加賀』『蒼龍』『飛龍』『瑞鶴』。

 巡洋艦『矢矧』『阿武隈』『北上』『夕張』。

 駆逐艦『陽炎』『吹雪』『夕立』『雪風』『綾波』。

 工作艦『明石』。

 それと、未完成のWSがまだだいぶ残っているので、今後もまだまだ増えます」


「ぜ、全部覚えているのですか?」


 艦長は首をひねる。


「当たり前ですが何か」


 田中と名乗る人は席に着く、休む暇もなく、次の人が手を上げる。


「野党、平和の党所属、小池です」


 今度は女性だ。


「さきほどの報告の限りだと、訳五千人の人が死んでいるわけですが、それについてはどうお考えで?もう日本には、戦争を継続する力は無いと考えますが」


 おう、まあそんなとこだよね……さて、艦長はなんて答えるのか見ものだな。


「……小池さん、あなたは五千人の死者を多いと感じますか?」

「もちろんです」


 艦長は呆れたように笑う。


「何が、おかしい!」


 ガヤから声が返る。


「あなた方は、本質的に戦争を理解していないようです」

「な、五千人ですよ⁉それを簡単に切り捨てるのですか⁉」

「現在、桜日帝国には戦争をしたことがある軍人、自衛隊なんてもちろんいない、そんな新兵しかいない軍隊が、自衛隊含め、現在約三十一万人います、そのうちのたった五千人という計算になるだから、簡単に切り捨てられるものでもありませんが、まだ安いものです」


 小池さん初め、参加者は目を見開く。


「そんな簡単に人命を奪うような軍隊は、やはり必要ありません!自衛隊の防衛だけでz」


小池さんが言い切る前に艦長が口を開く


「もう一度言うが、あなた方は戦争を理解していないように見える、貴方は過去の戦争の死者の数を見たことがありますか?その数と比較すれば、一目瞭然ですよね」


 艦長は、一息ついて続ける。


「そもそも、死者が出ない軍隊なんて、世界のどこを探しても存在していない、それとも、死者を出さないような作戦が立てられるのか?なら総大将を譲ってもいいが?」


 そう艦長は言って席に着く。


「よろしいですか」


 小池さんは納得いかないような顔をして腰を下ろす、それを確認すると、議長は木筒を叩き、皆の反応を見る。


「どうぞ」


 議長は再び手を上げた平和の党の人を指す。


「野党、平和の党所属、佐藤です、続けて軍に質問します」


 またか、そんな顔をしながら、艦長は立ち上がった。


「なんでしょうか?」

「中国で、戦車隊を倒したとお伺いしたのですが、何故詳細な被害人数が解らないのでしょう?それは、何かしら軍に問題があったのでは?大量の死者を出したが隠している、そのようなことがあるのでは?」


 いやーさぼった訳じゃないのよ?忙しすぎて数えてる暇なんてなかったし、インド兵ともすぐ別れたから、詳細な人数など分からなかったし、鉄血、北欧の戦車の中に乗っていた兵の人数は、把握できていなかったのだ。


 そして何より、別に隠蔽なんてしてないんだけどなぁ。


「それについては私ではなく、咲間戦線長官から役職を引き継ぎ、現状の戦線長官である有馬勇儀中佐が、現場で指揮を執っていましたから、そちらに聞いた方が良いかと」


 え?


「……え、子供?」


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