表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/340

Y計画とナンバーゼロ

「Y計画? ナンバーゼロ? 知らないね」


 吹雪は、レンチを片手に首をひねる、俺は書類に書いてあったこの二つを、整備長の吹雪なら知っているかもしれないと思い聞いてみたが。


「そうか……」


 吹雪が知らないなら、あとは兵器開発部に聞かないと分からないか……。


「開発部に聞きに行くの?」


 空が、上についていたパイプをつかんで降りてくる、どうやらパイプ伝いに、この倉庫を回っていたようだ。


 お前はここが、公園か何かと勘違いしているんじゃないか?


「空か、一緒に行くか?」


 空は、ぶら下がっていた手を放し、3メートルほどの高さから飛び降りる、相変わらず超人的な運動能力は健在みたいだ。


「うん、私の装備返してもらいに行く」


 そういえばメンテされてるのか……。

 兵器関連は、吹雪率いる整備課が見るが、銃器関連は、自衛隊の銃器課が見るらしい、兵器開発部の倉庫は、銃器課の工廠の隣にあるのだ。


「行くか」


 俺は、空と航空基地を出て、反対側にある研究、改修ドッグに向かった。


「やっぱでかいな、この基地」


 俺は、横須賀湾に建てられた自衛隊、軍共同本部の省前で立ち止まる、空も同じように立ち止まりあたりを見渡す。


「港、宿舎、会議室、工廠、滑走路にドッグ、完璧だね、全部そろってる」


 そんなことをぼやき、再び俺らは工廠へと歩みを進める、空の銃も、計画の話も、工廠で働いている人に聞いた方が早いだろう。


「お邪魔しまーす」


 俺と空は、ひとまず計画を聞きに行った、空が先に用を済ませろというのだ。


「おや、指揮官殿、よくぞいらっしゃいました」


 白髪で白いひげを生やす、工廠長らしき人物が出てきた。


「実は、お聞きしたいことがありまして……」


 俺が聞く前に、その人は答えてくれた。


「Y計画とナンバーゼロですね? ちょうど先日完成したばかりです」


 話が早い。


 俺と空は、工廠長に連れられ、工廠の奥に入る、ちなみにこの人は、兵器開発部、研究ドッグの管理者、永山栄吉さん、移動する途中で教えてくれた。


「これが、ナンバーゼロが示す、新鋭機です」


 そう言って、電灯に明かりを灯す。

 伝統が照らす先には、真っ白で、『F3』のような、『su30』のような見た目の、小型のジェット戦闘機があった。


「これは……」

「ナンバーゼロは、『零戦』を基にしたジェット戦闘機の開発指示でした、そこで我々開発部は『零戦』の機動性、軽量化の技術を応用し、作り出したのがこちら『Ⅿ―0Jジェット戦闘機』愛称は『ゼロ』、一様鹿児島の基地に試作機を、8月の半ばほどに送っています」


 そう言って『Ⅿ―0J』、いや、『ゼロ』の説明を始める。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『Ⅿ―0Jジェット戦闘機』

三菱紅葉エンジン搭載 

最高速度マッハ2、1 巡行速度900㎞ 航続飛行可能距離2920キロ

機首 17ミリバルカン砲二門 両翼内蔵 20ミリFB弾機関砲を一門ずつ


対空ミサイルハルパー イ号照準追尾型三八式誘導弾

30式空対空高速誘導弾 04式空対空誘導弾 

最大で六本ミサイル搭載可能


 従来のジェット戦闘機よりも装甲が薄く、ミサイル防御の性能が低い代わりに、強力な機関砲と機動性を実現した、垂直離着陸は不可能だが、滑走路距離が短いため、『いずも』や『かが』にも搭載可能な艦上機。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺は新たな『零戦』の姿を見て感嘆する。


 これを、空自の連中が使いこなせるのだろうか? だが従来のジェット機とコンセプトは違うものも、性能面ではかなり優れている、まさに現代の『零戦』とで言うべきか……。

 しかしFB弾機銃まで着けるとは……余程、この機体に格闘戦をしてもらいたいようだな。


 FB弾とは、ファイヤーバレット弾の略で在り、通常の破砕榴弾に、特殊な酸が混ざっている弾だ、命中した際、その酸が機体の装甲版やボディーを溶かし、中に詰まっている徹甲榴弾が内部を破壊する。


「これ、何機作るつもりなんだ?」

「現在は150弱の量産を計画しています」

「……なら欧州遠征までに、空母分は頼む」


 永山さんは頷き、もう一つ隣のドッグへ案内する、次のドッグは航空機の倉庫ではなく艦用のドック、そこには……。


「なんだ……これ……」


 そこには、護衛艦と言えず、イージス戦艦とも違う、巨艦が存在していた。


「イージス戦艦、いやそんなサイズじゃない……この艦、この戦艦は、一体何なんですか……」


 永山さんはにやりと笑い、答える。


「『攻撃用イージス戦艦やまと』、これがこの艦の名前になります、Y計画の目的です」


 俺は、『やまと』のそばに置いてあった設計図を見て驚き、読み上げる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

攻撃用イージス戦艦『やまと』


全長198m 最大幅28m 最高船速29ノット 巡航速度22ノット

主砲 45口径46センチ単装対艦砲 一門

側面砲 72口径10センチ速射砲、方弦三基三門、両弦六基六門

CIWS ファランクス、片弦六基、両弦十二基

ⅤLS 20セル

魚雷 68式四連装短魚雷発射管二基

護衛ヘリ SP44二機搭載

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 空もそれを聞き、目を見開く。


「今ある装備、全部詰め込みましたって感じの艦だね……ほんとにこれ動くの?」


 46センチ……『大和』の主砲と同サイズだ……そんなものをイージス艦に乗せたのか……率直に言って頭おかしいぞ。


「この艦の試運転はいつだ?」


 俺が聞くと永山さんは。


「来週の観艦式です」


 そういえば来週観艦式か……同時に進水式を行うのか?


「この艦は軍に知らせずに政府が指示した艦なんです、ですから来週まで通常の兵には知らせないようお願いします、後この艦の進水式は行いません、まるで最初からいたかのように使ってくれ、とのことで防衛省より言われています」


 『やまと』は政府の指示か……政府は何を考えているんだ? 防衛以外は、軍に任せることになっているのに、攻撃用のイージス艦なんて……。


 ただまあ進水式をしないのは賛成だ、万が一そこを、敵や反戦の人たちに狙われたら、たまったもんじゃない、都市伝説は増えるだろうが……。


 そんなことを考えながら、俺は『やまと』を見つめていた。


「お前も、いつか沈む日が来るのか?」


 ――――――俺は、誰にも聞こえないほど小さな声で、そう投げかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ