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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
亜細亜電撃作戦編
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城門突破

現在、9月8日、09時32分、目標「城門」手前、収容地点。




 今回の作戦は主に空から行う。


 まず、航空隊で目標上空に侵入。

 上空を守護する戦闘機隊を一掃し、本土から飛行してきた『Ⅽ1』と小型航空機輸送専門の『Ⅽ2―S』を、上空に二機づつ引き入れる。

 先に行ってもらっていた戦車部隊が、護衛の『F3』と共同で着陸場を確保、『Ⅽ1』を着陸させ生存者を収容、『ウェイザー』の待機する後方まで送り届ける。

 そしたらインド軍はそのまま『ウェイザー』に乗ってインドへ帰還。

 航空隊は『Ⅽ2』側に着陸し、再び航空機を収容してもらう。

 隼隊はそのまま輸送機で日本へ、俺と吹雪だけは戦車に乗り換え香港を目指す。


「俺は一式陸戦の『隼』を借りることになっているが吹雪、お前の機体、『紫電』を頼んだはずなんだが……」


 吹雪と俺は、目の前にある戦闘機を凝視しながら言う。


「うん、これどっからどう見ても……」

「「『震電』だよね」」


 『震電』、日本が局地型戦闘機の完成形として設計した戦闘機。

 大きな特徴は、プロペラが後ろについているということで、上から見ると二等辺三角形みたいな形をしている。

 局地型戦闘機『震電』、エンテ型で最高速度800キロと言う高速、さらに30ミリ機銃四丁と言うバ火力。

 正直『紫電』なんてくらべものにならないほど癖が強い機体だ。


 いや確かに『紫電しでん』と『震電しんでん』って似てるけどさぁ……。


「……はあ、しょうがない、これ乗る……」


 吹雪はそう言って、コックピットに乗り込む。


「本当に大丈夫なのか?」


 『震電』は特殊な機体構造から、動きがあまり予想できない、下手に操ったら、地面にまっ逆さまになるかもしれない。

 実戦で戦ったこともないから、動きのデータもほとんどない。


「多分大丈夫、なんとかなる」


 そう言って吹雪はエンジンをかけ、暖気運転を始めた。


「気をつけろよ!」

「分かってる!」


 俺はそう言い残し、自身の『隼』に乗り込む。


 『隼』、正式名称は『一式陸上戦闘機』、現在ここに在るのは三型乙みたいだ。

 基本性能は『零戦』と似通っているが、機首の20ミリ二丁だけが武装だ。

 『零戦』よりやや防弾性能が高く頑丈であるが、弾持ちがあまりよくないためそこまで継戦能力は高くない。


「キューブ、早くできると良いな」


 『隼』も零と同じく、航空機にしては珍しく姿を持てるWSなんだそう、だが空襲で開発が遅れ、まだできていないらしい。


「時間だよ」


 吹雪から無線が入る。


「分かった……行くか!」


 俺は暖気運転を終了した『隼』のスロットルを上げ、離陸する。

 それに続いて吹雪の『震電』が離陸、ほぼ垂直上昇で俺と同じ高度に上がる。

 しばらく経つと、残りの『隼』たちも空に上がる。


「隼隊、今日は頼むぞ」


 俺はそう九機の『隼』に無線を入れる。


「任せてください! 本土で鍛えたプロペラ機のドッグファイト、しかとお見せします!」


 威勢がいいな。


 基本航空機はAI操縦だが例外は存在する、そのうちの一つがこの隼航空隊だ。

 AIだけでは行いにくい高度な作戦や連携が必要な作戦は、このように有人の飛行部隊が出るときがある。


 ちなみに、本国に居るレシプロ有人航空隊は、第一戦闘機航空隊、第二戦闘機航空隊、艦爆航空隊、艦攻航空隊、陸攻航空隊、水戦臨時防空隊、偵察航空隊とほぼ全種にあり、さらにその中でいくつもの部隊になっている。

 必要になれば空母に乗り込み作戦を遂行する。


 この有人隊と、ほとんどが空母に乗っている無人隊を合わせて航空戦隊、略して航戦ができている。


 横須賀にある海軍本部の航空基地が零航戦。

 『赤城』『加賀』の航空機が一航戦。

 『蒼龍』『飛龍』が二航戦。

 そして現在、長崎にある大規模な佐久保基地が三航戦。

 呉にあるのが四航戦。

 そして、今本国で作成中の空母一隻が五航戦。

 あとは呉、長崎を抜いた各県に基地があり、それがそれぞれ航戦となっている。

 

 三航戦、四航戦はそれぞれ『瑞鳳』型『伊勢』型の航空機が本来なる予定だったが、空襲で復元不能までキューブがズタボロにやられてしまったので、代用として呉、長崎が選ばれたのだ。 


 重要拠点になればなるほど戦闘機が増え、移動しやすいよう陸攻などは海岸の近くなどに置かれている。

 臨時で戦地に飛行場を作ると、各地から航空機がかき集められ、臨時で第五十航戦以降を作成して作戦に組み込むのだ。

 他にも、腕のいいパイロットたちで構成された、オリュンポス十二部隊と航空主力部隊が存在している。


 今回の隼戦闘部隊は、第二戦闘機部隊の内の一つで、18機の『隼』で構成された制空戦闘部隊だ。


「あと数分で見えるはずだが」


 俺がそうぼやくと、正面に黒い点のようなものが複数見え始めた。


「ん……敵機発見! 数十三」


 俺は数を確認して無線を入れる。


 十三か、こちらより二機多いな……だが仕方ない。


「増補を捨てろ! 全機交戦開始!」


 俺はそう言ってスロットルを上げる。

 増補タンクを捨てたことで身軽になった機体が、一直線に敵機に向かう。


「敵、機種確認『Z1ゼピュロス』です!」


 『Z1ゼピュロス』WASが作成した戦闘機。

 見た目と性能は『F4F』に似ているが、両翼20ミリ機銃二丁、12、7ミリ機銃四丁と火力が高くなっている。

 『F4F』に比べて速度がやや上がってはいるものの、格闘能力はそのままなので、機動戦では『隼』や『零戦』の良い獲物だ。


 しかし油断は禁物、この機体はいつも出てくる『N』『G』『S』『A』とは違い名前が付いている。

 WASの航空機や戦車は名付きのものは、基本皆高性能なAI搭載で機体性能も良好だ。


「ここが初陣! 気合入れてくぜ!」


 そう隼隊の三番機が敵機に向かっていく。

 実際、日本で有人機が本格的に作戦参加したのは今回が初だ、ここで犠牲を出すわけにはいかない。


「機械よりも人間の腕が勝ることを教えてやれ!」


 俺はそう喝を入れ、正面を飛んでいた『Z1』に食いついた。

 まずは挨拶代わりに、正面から機銃を打ち込む。

 俺は相手が撃ち始める前に下へ旋回し、敵は俺の射弾を避け、上に旋回する。


 しかし、旋回性能で勝つこちらは、敵よりも先に宙返りを終わり、まだ左旋回をしていた、敵機めがけて機銃を打ち込む。

 旋回中で速度が下がり、命中面積が増えた機体を外すわけがなく、全弾叩き込む。


「よし、これで撃墜一だな」


 俺は体制を立て直し、ほかの機体の様子を見る。


「うん、順調そうだな」


 落ちるのは黒い敵機ばかり、『隼』にはほとんど被害が出ていない。


 で、肝心の吹雪は……。


「うへぇきっも!」


 そんな声が通信機から聞こえる。


「どうした、吹雪」


 俺は気になって吹雪の機体を探し、ぐるりと見渡す。


「うへ、きっも……」


 『震電』の姿を確認して、俺も吹雪と同じことを思った。

 『震電』は垂直に機体をかたむけながら機銃を発射している。

 機首を動かさずその状態のまま前進する、いわゆるコブラ機動と言うものだ。

 だがコブラの体制を維持しながらあれだけ走り続けられるのは、今も昔も『震電』だけだと思う。


 というかたとえ『震電』であっても、並みのパイロットではあんな操縦はできない、おそらく吹雪だからこそできるのだろう。


 ……末恐ろしいやつだな。


「さて、制空権はとれたかな?」


 俺は航大に無線を繋いだ。


「航大、そっちはどうだ」

「今終わった、信号弾を打ち上げるから輸送機を誘導してくれ」

「了解」


 戦車部隊は平地の確保に成功したみたいだな、良かった良かった。


「ねえ有馬」


 急に空の声が、無線に入る。


「ん、どうした?」

「言葉で言い表せないけど、なんだか嫌な予感がする、気をつけて」


 そう言って、無線は切れる。


「なんだ? あいつ」


 俺は地上との交信を終えて、部隊の無線に切り換える。


「隼隊は『Ⅽ2―S』の護衛につけ、間違っても先に着陸するなよ」

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」


 全機から威勢のいい声が返り、『隼』たちが後方に流れる。


「さて、俺たちは『Ⅽ1』だ、向かうぞ吹雪」

「了解」


 俺は吹雪の返事を聞き、機体を横に流しながら『Ⅽ1』に近づくと、地面から白い信号弾が上がる。


「あそこに着陸だな」


 『Ⅽ1』はすぐに着陸態勢に入れるよう、かなり速度を絞って飛んでいる。

 それを見て俺は、『Ⅽ1』の前へと移動し羽を揺らす、そうすると『Ⅽ1』のコックピットから光が点滅したのが見えた。


「誘導感謝ス、か」


 俺はその意味を理解し信号弾の方へ向かう、そんな時だった。


「敵戦闘機!」


 吹雪が無線越しで叫んだ。

 俺は、その一声に吹雪が飛ぶ左上空を見る。


『震電』が飛ぶさらに上に一機、どこかで見たことある戦闘機……。


「プロペラの無いp51……! 吹雪! そいつだ!

            ――――そいつが、『Ⅰ―932鋼ノ翼』だ!」

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