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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
亜細亜電撃作戦編
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インド上陸


 俺たちは大和たちと別れ、しばらく進むと集合地点に到着した。

 しかしそこには何もない、ただ線路があるだけだ本当に何もない、荒野にポツンと取り残されたようだ。


 ちなみに、インドに上陸したと言ったが、ほとんどバングラデシュとの国境線あたりに港がある。


「何も、ない?」


 空がぼそりと呟く。

 しかしポツンとある線路を通って、予想外の存在が俺たちの前に現れた。


「「「「な、な、な」」」」


 真っ黒いボディー、車両側面に並ぶ機銃、車輛上部に並ぶ砲塔、車輪付近に並ぶ射出機。


「「「「なんじゃこりゃあああ!」」」」


 一斉に兵が声を上げる。

 俺もあっけにとられるが、そんなのをよそにその列車? の扉が開き、一人の男が出てくる。


「どうも、ジャメニ・ヒンディーです」

「ど、どうも、有馬勇儀です」


 そんな簡素な挨拶をして、戸惑いながら俺たちは、列車に乗り込んだ。




 最初は皆不安そうな顔をしていたが、走り出してしばらく経つ内に、この車両に馴染んだようだった。

 戦車たちは、後部に連結されていた荷台用の車輌に括り付けられている。


「まず簡潔に、三つお話します」


 俺、吹雪、空、航大は、一番先頭の車両に居る、現在の状況と作戦の会議をするためだ。


「一つ、この車両は『ウェイザー』と呼ばれる装甲列車です」


 『ウェイザー』武装装甲列車、イギリスがインドに作成を命令していた、ペーパープランだった兵器だ。


 通常の蒸気機関車に砲台や機銃をつけただけだが装甲は固く造られていて、最高スピードは100キロ近い、敵陣を突破するのに特化している……ようだ、詳細な情報はヒンディーさんも分からないよう。

 なんせ、この兵器を作り直した工廠が壊され、関係者が皆重症の為、全然詳細が分からないんだそう。


 分かっている事と言えば、この兵器の生い立ちぐらいなもので、WW2の時、ドイツがインドへ進軍する気配があったため、インドに、内密に装甲列車とそのレールを作る計画をイギリスが立ち上げた……らしい。


 それを現代に作り直したのが、この『ウェイザー』だそうだ。


「二つ、現在のインド軍は今ここに乗っている400人のみです」


 インド軍は、中国奪還に全勢力を上げて臨んだが、ほとんど返り討ちにされ撤退、二つの山に8000人近く生き残っているが、それ以外は死か捕虜のどちらかになり、残りはインド本土を守っている。


「三つ、敵車輌部隊が目撃されています」


 敵は香港方面で、戦車を伴う車輌部隊で俺たちを待ち構えている。

 この部隊は中国占領中の本陣ではない戦車隊で、今回のもう一つの目的だ。


「簡潔にいえば、現状こんな感じです」


 俺はその話を聞いて地図を眺める。


「承知しました、電報で示した通り電撃作戦で行きたいと思います」


 そう告げると、空が聞く。


「電撃作戦って?」


 俺は地図を指し、三人に示す。


「まずは第一目標、目標名「お堀」を突破し、天眼山にて救助を待つインド兵を回収、この時俺たちは『ウェイザー』から蹂躙射撃を行う」


 俺は示す場所を変える。


「そして第二目標、目標名「城門」、これは上空に敵機がふらついているから吹雪、隼部隊を従えて、『紫電』で出てくれ、俺も援護する」


 本国から『隼』十機と『紫電』が作戦日に届き、それを使って航空勢力を落とす。

 同時に、戦車部隊が陣地に侵入、之を無力化、捕虜となっている兵を解放する。


「その後救助した人を輸送機に乗せ、「お堀」で待機していた『ウェイザー』まで届け、そのままインドに帰還させる、そこでインド兵たちとはお別れだ、ここからは、俺達の戦車のみで前進する」


 日本から連れてきたのは戦車要員と、衛生兵などの後方要員だけで、インド兵を運ぶ輸送機は、本土から、隼部隊を乗せた『Ⅽ2』、人員輸送のための『Ⅽ1』、護衛の為の『F3』二機が遅れて到着する。

 

 ではなぜ輸送船を四隻も持ってきたのかと言えば、ピンチであるインドに軍的、生活的に必要な物資を渡すためで、輸送船に、人や日本が使う兵器はほとんど乗っていなかったのだ。


「で、問題の第三目標、目標「本丸」」


 俺は敵戦車の駒を置く、ここで敵戦車が待ち構えていると考えられるからだ。


「これに関しては何とも言えない、だが航大たちの戦車部隊が確実に戦う事になる、その時はよろしく頼む」


 俺たちは簡素な作戦会議を終了し、通常の客車に移った、航大は戦車のことを伝えるために、仲間のいる車両に移っている。


「暑い……」


 そんな中、空はげんなりしていた。

 ロシア出身であることも影響して、荒野の日光と暑さにやられたのか、吹雪の膝でうなされている。

 まあ暑いのは確かなんだが。


「吹雪は大丈夫なのか?」


 空がうなされる中、吹雪は涼しい顔で外を眺めている、全く暑さを感じさせない。


「私はいつも機関室に居るのよ? 暑さに弱かったらやってられないって」


 そう言えばそうだったな、戦艦の機関室は、真夏に全速で走れば40度を超える。

 確かに暑さに弱ければやってられない。

 そんなことを考え吹雪を眺めていると、吹雪がピクリと眉を動かす、さらに膝で寝ていた空も飛び起き、『kar』を抜いて外を睨む。


「どうしたんだ?」


 俺は、二人の方へ向かい外を眺める。


「有馬、単眼鏡かして」


 吹雪がそう言って、俺のポッケに入っている単眼鏡を取り出す。


 俺も外を睨んでみるが何も見えない、そう思っていると、空から無言で狙撃用のスコープを渡された。


 てかお前は肉眼で見えんのかよ……。


 そんなことを考えながらスコープを覗くと、こちらに同行しながら少しずつ近づいてくる、緑色の戦車が目に入った。


「ん? あれはイギリスの戦車か?」


 あれはイギリス、現在ロイヤルの機動車輌であり、WSである『スタッグハウンド』九輌だ。


「なに、イギリスの戦車⁉」


 『kar』の姿が実体化される、それと同時に、俺は空から渡されたスコープでしっかりととらえた。


「砲塔がこちらをむいた!」


 その言葉に、karが声を荒げる。


「敵弾来るぞ!」


 karのその一声と同時に、客車の正面に土埃が上がった、それは決して大きな衝撃や爆炎を上げることはないが、装甲列車に対しては有効な戦車弾だ。


「各員砲撃配置! 命中弾に注意!」


 そう客車に通信を入れ、俺たちは戦闘車両の方へ向かう。





「砲撃はじめ!」


 俺の指揮によって、戦闘車両に着く砲台、六基十二門が火を噴く。

 ちなみに、一輌に二基装備されている。

 俺の砲撃開始の合図から、暫く砲撃が続くが、一向に敵戦車に当たる様子がない。


「調整、八度上げ、七度右へ」


 空に言われた通りに俺は砲塔を動かし発射、しかし砲弾は敵より左に離れた位置に着弾し、土埃を上げるだけに終わった。


「やっぱり当たらないねぇ」


 空はそう言って、一旦測距儀から目を離す。

 空の砲撃のセンスを持ってしても当たらないのだ、俺たちが調整しても当たることはないだろう。


「そうか……やっぱりこの砲じゃ無理か」


 船速30ノット、時速60キロで、口径の長い火砲を使った艦同士の砲撃戦ですら、命中率は良くないのに、時速80キロで口径の短い榴弾砲では当たるわけがない。


「でも、このまま一方的に撃ち込まれるのは気分よくないぞ」


 航大が砲弾を装填して言う。

 確かに当たらないならほっといてもいいが、万が一当たったら怖い、それに砲弾が降ってくる中落ち着いて乗ってはいられない。


「そうだが、無駄に弾を使うわけには……ん……あれは……」


 俺は敵戦車の後方から高速で近づいてくる車両を確認する。

 その車輌たちは黒十字のマークが入った車輌と、雪の結晶のマークが入った車輌だった。


 間違いない、あの戦車部隊は……。


「鉄血と北欧の戦車部隊が合流したな」


 俺は単眼鏡を下ろす。


「各員砲撃やめ、あとは増援の戦車部隊に任せる」


 そう通信を入れる。

 増援にきた戦車は、鉄血『sdkfz234プーマ』が四輌、北欧『BT高速戦車』四輌―――



――――その中に一輌だけ異様に高速な、『T―34―85』が混ざっていた。

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