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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
相模灘最終決戦編
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二つの計画

 7月14日 午前10時00分 横須賀海軍基地


「ほんとにやるんだな?」

「すみません、これ以上の案は、思い浮かびませんでした」


 兵器開発局が作成した、数々の機雷たちが積み込まれていく駆逐艦を見ながら、隣に立つ小堀防衛大臣に謝罪する。


「構わん。今は戦後のことは考えなくていい。撒いた機雷は、必ず回収して見せる」


 今日この日、俺は軍部全員の承諾を得て、相模灘封鎖計画『フェートン計画』を実行することを決めた。

 『フェートン計画』は、簡単に言えば、相模灘全体に機雷を設置し、侵入してくる敵艦隊を撃破する計画だ。しかし、大量の機雷を自ら日本近海にばら撒く為、戦後問題になることが目に見えていた。

 だが、現状の戦力ではこの計画が最も確実性が高いものだと決断したのだ。


「積み込み完了しました!」


 ああ、仕方ないとは言え、今から俺は機雷を撒くのか……。ごめん、将来の日本。


「よし……各艦出航、計画通りの位置へ移動後、機雷を設置せよ」

「了解しました。『フェートン計画』、実行します」


 そう言って各艦の煙突から煙が昇り始めるころ、俺の腕時計に着信が届いた。


「こちら佐世保! 電探に大航空隊の反応!」

「敵機か!?」

「違います! IFF応答、WHS所属機です!」


 一体どこの航空隊だと言うんだ?


「国際識別色……灰色、ドイツ。水色、ロシア。緑、イギリス。総合計100機を越えます!」

「欧州組!?」


 そこに新たな通信が入る。


「こちら北陸観測所! 国際識別色赤、中国の航空隊、こちらも総合機数は100に迫ります!」

「中華!?」


 まてまてどうゆうことだ、応援要請は出したが到着は25日じゃなかったのか?


「有馬君!」

「彭城長官、どうかしました?」

「海軍省に連絡が来た『本日1900に、横須賀へと到着する』とのことだ」




 同日 台湾上空


「各機、補給を終えたら編隊に戻れ」


 数十機の給油機を率いる一機の早期警戒管制機『E9E』が指示を出す。


「こんだけ航空機が揃うと、壮観だな。一枚写真が撮りたいぜ」


 『YR―キャップ』に乗る一人のドイツパイロットがそんな風に呟く。


「おいおい俺たちは遊びにきたんじゃないんだぞ?」


 『EFテンペスト』のイギリスパイロットがそう窘める。


「まあまあ、緊張しすぎないことは良いことだ、気楽に行こうぜ」


 『su87ロマノフ』に乗るロシアパイロットは、欠伸をしながら二人の会話に割って入る。


「おい、お喋りはそこまでだ。日本に到着次第、各機は指定された基地へと移動しろ。そこの指示に従って、WASとの最終決戦に挑め」


 『E9E』は相殺後に継げると、羽を振って高度を下げていく。


「帰り道も俺に誘導させてくれよ。各機、健闘を祈る」


 そんな『E9E』を見送った欧州連合航空隊も、羽を振って、各々の基地へと向かっていく。


「さあ行くぞ、ブリテン島決戦の恩返しだ!」




 同日 アリューシャン列島


「GO! GO! GO!」

「アイオワ! 少し落ち着け!」


 北の冷たい海を切り裂きながら、星条旗を掲げた大艦隊が日本へと向かう。


「日本のピンチに駆けつけず、何がAmericaよ! ジェイク、急ぎなさい!」


 先頭を進むアイオワは、アメリカの遠征艦隊司令であるジェイクの名前を呼ぶ。


「そう焦るなアイオワ、既に最大船速だ」


 その艦隊の中には、日本に駐留経験のある『ジョージ・ワシントン』『ロナルド・レーガン』の姿もあった。最新型のイージス戦艦から旧型空母まで、寄せ集めとはいえ、アメリカの近代史上類を見ない主力艦艇たちの総出撃であった。


 同日 東シナ海


「露英独中か……20年前には考えられないような艦隊だな」


 中華人民共和国海軍所属の正規空母『燕雲』CICで、李松庵大将がそう呟く。


「この艦隊に、我が中華海軍が二隻しかいないことが、残念でなりません」


 補佐を務める兵が、大将へとそう告げる。


「はは、そう言うな。我らの祖国は、今や戦場と化してしまった。海軍もそのほとんどが徴収か破壊されてしまったからな……しかし、この『燕雲』の艦隊だけは奇跡的に生き残った。その力を、日本へと貸してやろうではないか、空母『燕雲』巡洋艦『洛陽』、両方とも中国史上重要な名だ」

「これで、戦後の日本に貸し一つですね」

「そうだな、これのお返しはいずれ、貿易で果たしてもらおうか」


 南方から北上してくる艦隊は、欧州組と、インドに退避していた中国の艦。その中には、ブリテン島決戦で協力した、『クイーンエリザベス』『プリンツ・オイゲン』の姿もあった。

 水中には数十隻のUボート、多種多様な艦達が、最大船速で日本へと向かっていた。



「―――ということらしい」


 彭城長官の言葉を聞いて、俺は血相を変えて叫ぶ。


「全艦出航中止! 中止だ! 『フェートン計画』は凍結する!」


 本当に今日来てくれると言うなら、今からでも艦隊練度を上げるための訓練が出来る。どうやってこの短期間で戦力をかき集めて来てくれたかは知らないが、このチャンスを無駄には出来ない。


「ただ今より『モリソン計画』を始動する! 海上自衛隊、及び日本国軍全艦艇に出動要請!」

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