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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
亜細亜電撃作戦編
31/340

特殊ロケット迎撃機『桜花一一型』

9月2日、13時20分、パラオ諸島近海。


 『大和』以下九隻、船速22ノットで南下中、本土より水上輸送機、『四二式輸送大艇』合流、『桜花』以下、改装用兵装を輸送完了。




「ねえ、あの飛んできたバカでかい水上機何? 私、あんなの見たことないんだけど……」


 吹雪は着水し『大和』のクレーンに引っ掛けられて、水に浮かぶ飛行艇を眺めながら聞く。


「ぱっと見『二式大艇』に見えたが、あそこまででかくない、それにエンジンの数も多い……」

 

 俺と吹雪は『大和』の後部カタパルト付近の甲板から『二式大艇』もどきを眺める。

 全長……40m弱ぐらいか? 『二式大艇』でも28mなのに、でかすぎないか、この水上機?


「これは……『四二式輸艇』ですね」

「「うわ!」」


 突然現れた零に驚き危うく転ぶところだった、大和の甲板から水面まで14mほど、不格好に落ちたら骨折どころの騒ぎじゃない。


「すみません、驚かせてしまって」


 零はクレーンの上から、スタっと甲板に移る。


「で、零、その『四二式輸艇』って何なの?」


 吹雪が聞く、そう言えばこの前零の姿について話したが、実際吹雪には姿が見えていないんだよな……なんだか不思議な感覚だ。


「簡単にいうなら、『二式大艇』を輸送に特化させた水上機だよ、軍が『US2』救難機と『二式大艇』の設計を真似して作ったのを、最近量産開始したみたいだよ」


 そう言って、零は詳細な情報を吹雪に話し、俺はそれを片耳で聞いていた。


 『四二式輸艇』、本名『四二式輸送用水上大艇』全長37m、全幅36,1m、 全高12,7m。

 エンジン、三菱銀杏二三型、2400馬力エンジン六発。

 離陸最大重量83,7トンと、『Ⅽ2』輸送機には敵わないものの『Ⅽ1』を上回る搭載量と大きさ。

 何よりレシプロ機であの図体を持ちながら、900キロ近くのスピードを出せるところがすごい。


「にしても、こんな機体を作っていたとは……知らなかったなぁ」


 俺は零の話を聞き終え、ぽけーと『四二式』を眺める、にしても本当にでかい、これ離水させずに動かせば、ちょっとした船と見間違うほどだな。


「お、荷揚げが終わったね」


 クレーンから輸艇が外されるのを見て、吹雪が言う、零がそれを確認すると一言。


「離れた方がいいですよ」

「「え?」」


 その瞬間『四二式輸艇』の巨大な六つのエンジンが咆哮、プロペラが回り始めた。

 その風圧は、海面の水を叩き上げ、大きく波紋が広がっていく。

 その波紋は大きな波となり、『大和』の舷を打ち付け、水柱を上げる、俺と吹雪は、エンジンの咆哮を聞いて、嫌な予感がしていたので後ろに下がっていたが……。


「魚雷の水柱並みだったぞ……」


 あそこにいたら、水に潜るのと同じように濡れただろう。


「あの機体唯一の欠点として、風圧が強すぎるってことです、そこら辺の大型ヘリの風圧とは、比較になりません」


 絶対最初に言うべきだよね、それ……。

 そんなことを思っていると、再び大きなエンジン音と水柱が上がる、その音はさっきの数倍大きいことから暖気運転が終わり、本格的に離水に入ったことを教えてくれる。


「素晴らしいほどの水飛沫だな」


 水上機は小型から大型まで、必ず離水するときに水飛沫をなびかせる、それがファンの間では人気らしい。

 

 輸艇の水飛沫は、もはや滝のレベルで後ろになびき、空へと舞い上がる、その後『四二式輸艇』はしばらく上昇を続け、フラップをしまう。

 速度が乗り、体制を整えると、巨体に似つかない身軽な動きで翻し、日本へと帰っていった。


 俺と吹雪は、輸艇の荷揚げが終わり、再び動き出した『大和』の格納庫で届いた武装を確認、桜花の改装を始めた。


「それじゃあ始めるね」


 吹雪はそう言って、腰に作業用ベルトを巻き付け、上着のチャックを少し開ける。

 整備するいつもの姿になったら、そのまま『桜花』に近づき、エンジンから改装を始めた。

 そのすぐ側に、桜花が現れる。


「はい、お願いしますね」

「まっかせといて!」


 吹雪はそう意気込む、桜花はくるりと振り返り、こちらにコツコツと下駄の音を響かせて歩み寄る。

 その顔には、希望に満ちた笑顔が見えた、そんな表情を見て俺は安堵した。


「まさか本当に改装される事になるとは思いませんでしたよ、しかもこんなに早く」


 俺は士官帽をかぶり直す。


「言っただろ、WSで数少ない、ジェット機と渡り合える戦闘機にするって」


 桜花は微笑む、その笑顔には、年相応の無邪気さが見えた。


「さて、じゃあ『特別攻撃機桜花一一型改』こと『特殊ロッケト迎撃機桜花一一型』の詳細を伝える」


 俺はメモした紙をポッケから取り出し、読み上げる。

 その奥で、黙々と作業を続ける吹雪は、思っていた以上に楽しそうだ。


「特殊ロケット迎撃機『桜花』一一型、最高速度マッハ2,1直進時は3、飛行可能時間3時間、母機から切り離されるか、カタパルトからの発艦で空に上がる、空母からの発艦は想定されていない、武装、機頭40ミリ砲百発、機首20ミリ機銃二門400発」


 俺は一通り読み上げ桜花に向き直る。


「ふむ、名の通り一撃必殺の戦闘機ですね……というか、マッハ3の速度に耐えられるのでしょうか?」


 まあ、マッハ3の速度なんて戦中の機体には縁遠い速度だ、つか何なら現代機ですらマッハ3を出す戦闘機なんてごく一部だ。

 だが、そこは今の空力技術と装甲技術を合わせ、直進時のみ、マッハ3の速度に耐えられるように改良する。


「任せておけ、今の日本を舐めるなよ?」


 俺がそう言うと、桜花は頷いてくれた。


「さて……吹雪、あとの細かい説明は頼んだ」


 そう吹雪に言うと、吹雪は軽く手を上げる。


「桜花、吹雪は俺以上に航空機の知識がある、細かい立ち回りは吹雪に聞くと良い」


 そう告げ、俺は一度格納庫を出る、武装と主な戦い方は指導できるが、細かいところは多分吹雪の方が分かりやすいだろうし、厄介者は、早々に立ち去るとしよう。


「有馬さん!」


 俺は、格納庫を出る手前、振り返る。


「あの、その……」


 桜花は、俯いてもじもじとしている。


「なんだ?」


 俺が聞き返すと桜花は、すっと顔を上げ言う。


「あの、ありがとうございます! 私を、私を助けてくれて、本当にありがとうございます」


 俺は、そんな桜花の頭にぽんと手を置く。


「そんな、感謝されるようなことは何もしてないさ」


 桜花は首を振る。


「そんなことはありません、私を特攻の使命から引きずり上げ、日本を守れる場所を作ってくれた……言わば、私の命の恩人です」


 桜花の笑顔は、まぶしいものだった、そんな笑顔に俺は一瞬ドキッとするが、帽子をかぶり直し、平静を保ちながら最後まで格好をつける。


「そう思うなら、充分な成果を見せてから言ってくれ、まだまだ、改善できるかもしれないからな」

「にあわないぞ~」


 後からの吹雪の茶々を受け流し俺は艦橋へと戻る。




 格納庫を出てすぐ、俺はぽつりと呟く。


「桜花、あんな顔で笑えるんだな」


 そんな俺の呟きに、知った声が返事をした。


「かわいかったか?」


 そんな問いも返って来たので、心のままに返事をする。


「ああ」


 そう答えた瞬間、ため息が聞こえ。


「こんの天然たらしが!」


 そう叫ばれながら、航大に俺はど突かれたのだった。





「まったく、かっこつけちゃって」


 私は『桜花』の機首を開けてせっせと爆弾を外していた、さっきまではエンジンを変えていたが、思ったより作りは簡単で、すぐに新型の『ネ号四三式ロケットエンジン』に換装できた。

 羽も、本土から届いたパーツをはめ込み、溶接するだけなのでたいして難しくなかった。


「えっと、この爆弾はどうしよう……」


 格納庫に入れていてもいいが……。


「誘爆、怖いですよね?」


 桜花が言う。


「そうだね……でも、あそこ以外爆弾を仕舞える場所無いからね」

 

 格納庫にはいくつか、『二式水戦』や『零観』につけられる六番はあるが、大型の爆弾は積んでいない、万が一、艦内でそれが爆発した時、大きな痛手となるからだ。


「パプアに着いたら預かってもらいましょう」


 そう桜花が言う。


 まあ実際それしかないよね、私は作業を続け、爆弾を切り離した。

 ここで下手に衝撃を与えたら爆発しかねないので、慎重にクレーンに吊るし、荷台に乗せ終わったらベルトで固定する。

 そして、弾頭と弾尾にある五つの信管にカバーをつける、これで、多少の衝撃では信管は作動しない。


「桜花、これ爆弾格納庫に置いてきてもらえる?」


 桜花の姿は見えないけど、了解してくれたのか、一人で荷車が動く。


「……WSって知らなかったら気絶するレベルね……」


 そんなことをぼやきながら、私は爆弾のカバーとなっていた機首、機頭に新たな鉄板を溶接で取り付ける。


「これで、零よりは少し硬くなったかな……」


 実際『桜花』の機体の重量は70%ほどが爆弾なため、装甲板はもちろんなく、ボディーの鉄板も『零戦』と並ぶ防御力。

 だが、ロケットエンジンの風圧に耐えられるよう特殊な設計を用いられている、よって風圧のような全体にかかる圧力に強いが一点にかかる圧力には滅法弱い。

 そこに現在の技術で作成された、超硬度軽量装甲版を溶接し、より風に強くしつつ、防弾力も底上げしている。


「さてと……そろそろ武装に取り掛かりますか」


 私は設計図を凝視する。


「射撃用のプラグを側面から伸ばして……砲の弾をここにせっ……ん?」


 私は40ミリ砲の入っている箱を開ける。


「……これは砲? では……ないよね?」


 そこに入っていたのは私が想像していたものとは全く異なっていた


「私はてっきりカツオブシについてるような機銃だと思ってたんだけどなぁ」


 『P38エアラコブラ』通称カツオブシ、日本では『エア・コブラ』と言われていた機体で、機頭に着いた37ミリ機関砲で日本の重爆撃機をバリバリ落とすぜ!

と思っていたらしいけど実際はオーストラリアなどの南西諸島方面で零戦と戦闘、格闘性は圧倒的に零戦が勝っていたため惨敗。

 

 それに、日本は主に『一式陸攻』や『九七重爆』などの防弾装備皆無な機体で攻撃を行ってきたため、他機体の12ミリ機銃でも簡単に落ち、格闘性能で他機体に劣るカツオブシはほとんど使われなくなった。


「これ、どちらかと言えば『十二号対空対物狙撃銃』っぽいね」


 私の前にある砲は、対空用というより対物ライフルの見た目をした砲だった。

 そして何より、小型のターボ発電機と大容量電池が付いてきたのを見て、私は気付いた。


「……もしかして……」


 私の予想通り、弾が40ミリサイズではなく、30ミリサイズで装弾筒を装着することで、40ミリ対応させるものだ。

 それに、弾が細く飛翔性に長けているものだった、それらから推測できることは……。


「これ、電磁砲というものですか?」


 桜花も感づいたのか、そう私に聞いてきた。


「多分ね、桜花は電磁砲知ってるの?」


 見えないが、声が聞えた方に目を向け、聞く。


「ええ、研究所で誰かが話していたのを聞いたことがあります」


 ふーん、日本でも電磁砲作ってたんだ……。

 今前に置いてある装備の名前表記は英語、そこから日本製ではなくアメリカ製の物なので、今日本がどれだけ電磁砲の研究が進んでいるかは分からない、整備長にでもなれば分かるのかもしれないが。


「よし、できた!」


 私は機銃と弾をセットしカバーをつける、そして私は問題の装備を取り出す。


「あとはこいつね……」


 私の手元には、発電機と電池。

 正直取り扱ったことのないもので、不安が大きい。


「でも、桜花の為だもんね」


 私は頭の中で手順を確認し、後からの視線を感じながら整備を開始する。


 きっと桜花が私の事を見ているのだろう、でも悪い気はしない、私が改装した航空機が空を飛び、敵機を迎撃して返ってくる、こんな素晴らしいこと、この世に類を見ない。


「待っててね、桜花、今、最高の戦闘機にしてあげるから」


 そう、私は呟いていた。

さあさあ毎日投稿一日目!新章「亜細亜電撃作戦編」開幕です!

 特攻機だった桜花を迎撃機に改装し、また一機、有力なWSを戦列に加えた桜日帝国!

 そんな桜日をよそに、状況が不明なロイヤル!大丈夫なのかインド、中国の中華同盟!まだまだ物語は序盤です、新たな出会いと世界の動き、主人公たちの活躍にご期待ください!

 それじゃあまた明日!

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