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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
ハワイ奪還作戦編
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作戦準備

俺は、またもや『大和』の作戦室にいる、カウアイ、ニイハウ奪還作戦の内容を、俺と咲間長官、コルトさんで、詳細を決めているところだ。


「空襲による奇襲はもちろんとして、どうやって海岸の砲を完全に黙らせるかだな」

咲間長官は、地図を指さす。


「まあ、艦砲射撃しかないだろうな、こちらは人を乗せる輸送艦が少ないから、人員用のボートが足りない、そこで戦艦から人を陸に上げるとすれば、艦砲射撃をしながら近づき、戦艦に無理やり乗せた舟艇で、強行上陸を決行する、これでいいか?」


 作戦方針はこうだ、まず空母四隻を主力とした機動部隊で、奇襲をかけ、威力偵察を行う、必用があれば、二次攻撃で、砲台や基地を叩く。

 その後、『大和』旗艦とする上陸部隊で強行上陸を決行する、上陸を完了したら、後衛に配置する戦艦とともに、近海の制海権を握る。

 必要であれば、さらに艦砲射撃を続行する。

 ただ、ニイハウは情報にもよるが、空襲、艦砲射撃で沈黙させ、身柄の確保にだけ三小隊を向かわせる、ニイハウは、部隊が大規模に展開できるだけの島ではないからだ。


「陸での作戦指揮は、私と有馬で行う、その間艦隊はお任せする、コルト長官」

「ああ、わかっている」


 その言葉を受け取り、コルト長官は作戦室を後にした、出港まであと二時間、艦の乗員に作戦を伝えに行くのだろう。


「さて、私も久しぶりの実戦だ、準備運動しておくか」


 咲間長官は生き生きと言う。


「え、まさか、前線で指揮をするつもりですか?長官、確か少将ですよね?」


 この人確か、50過ぎだった気がするんだが……つかそもそも久しぶりの実戦って何?


「ああもちろんだ、隊長は常に先陣を切り、部下を導かねばならん、少将になったからと言って、前線から引くつもりはない」


 そう言って、咲間長官は壁にかかっていた日本刀を持ち出す。


「それに、戦線長官の正式名称は戦術的作戦思考及び最前線管理長官、最前線の管理は、自らがその場にいないとできないからな」


 軍の総合本部も、無茶な役職を作るもんだ……。


「はぁ、死なないでくださいよ?」


 咲間長官は「もちろんだ!」と言ってはいるが……心配だ、頼むから無茶しないでほしい、ただでさえ将クラスの人間が不足しているのに、ここで死なれても困る……。


「有馬君、居るか?」

「はい?」

 

 作戦室の扉が開き、凌空長官が入る。


「何か御用でしょうか?」


 俺が聞くと、テクテクと後ろから四人が入ってくる、航大、圭、空、吹雪だ。

 

「え、なんかしたの? お前ら」


 俺はみんなの顔を見渡す、怒られている雰囲気ではない。


「WSのことを、君の分隊の子たちにも話した」

 

 え、なんで。


「そんな軽い情報だったんですか、WSについては……」

 

 俺がそう呆れ気味に聞くと、凌空長官は笑いながら答える。


「いや、流石にWSの情報を知っているのが私達だけだと指揮が難しいので、君の部下にもWSのことを話し、パートナーになってもらうことにした、これで348部隊は、WS専属の部隊ってことだな」


 満足そうに満面の笑みでそんなこと言われても……。


「なに、いずれほかの兵にも話していく予定だったから別に構わない、それに君の分隊は異端児だから問題ないだろう、なんせあの、長野占領事件を解決した訓練兵達の部隊だからな」


 ……久しぶりにその名を聞いた。

 長野占領事件、長野県の山奥にWASの基地が発見され、そこからWASが撤退するために長野県の一つの町が占領された時、誰一人として死人を出さず人質を解放し、敵を鎮圧した部隊、それが俺たちの部隊である、348部隊だ。

 

 俺達含め数個の訓練部隊は遠征訓練で、たまたま長野の山奥にこもっており、占領された時いることに気付かれていなかった。

 そんな中、警察にWASが逃げないよう牽制してもらい、自衛隊、軍が到着するまで、訓練部隊は手を出すなと言われていた、しかし俺は、348部隊単隊で、WASの立てこもる建物に突入、制圧したのだ、基本年齢17歳の若い分隊、しかも訓練部隊が行ったことに日本が衝撃を受けた。

 俺は、その時軍が来るまで待っていては、WASが逃げてしまうことに気づき、遠征時の長官の目を搔い潜って、突入を決行したのだ。


「あれは別に、WSには関係ないじゃないですか……」

「細かいことは気にするな、それぞれ、WSのパートナーに定め、そこの班長になってもらうことにした、空君は歩兵、航大君は戦車、吹雪君は航空機、浅井君は衛生班だな、勿論、それに合わせて階級もそこ上げしてある、心配するな」


 凌空長官は、そう言って俺にメモを渡した、空の歩兵と圭の衛生課は納得、航大が戦車なのは、おそらくだが自分で志願したのだろう。

 航大は、工業大で、車のエンジン整備をやっていたらしいから、勝手が近い戦車を選んだのだろう。

 だが何故、吹雪が航空機なのかはよくわからなかった、確かに吹雪は、航空機の試験でS判定を貰ってはいたが……まあ深くは考えないでおこう。


「連れてってやれ」


 俺は、深いため息をつき、四人を外に連れ出した。




 陸に降りてすぐにある、ホンダの普通車に乗り込んだ、これで向かうとしよう、軍人になる時俺は、何かと便利なので、普通車と中型バイクの免許を取った。


「さて、お前ら、階級結局どうなったんだ?」


 俺が、車を運転しながら聞く。


「私は変わらず、航大、吹雪が中尉、圭が少尉になったよ、之で皆、小隊ぐらいなら指揮を取れるよ」


 空が言う。

 空はまあいいとして、三人は指揮の勉強してないけど大丈夫なのか?


「これで有馬は私たちの前でも、WSと会話できるようになったからいいじゃない」


 吹雪が茶化すように言う、まあ確かに、一人にならなくともWSと会話できるのはありがたいが……なんか複雑だな。


「そうそう、俺たちに隠し事はよくないぜ」


 航大が親指を立てる。


「まあ、この分隊は巻き込まれ体質ってことですよ、有馬さん認めましょう」


 圭までもが言う、なんでこの

 部隊はこんなに軽いんだ……最初に聞いた時疑わなかったのか? 普通に考えておかしいだろ、WSの存在なんて。


「お前らなぁ」





 そうこう言っている間に、『大和』より少し離れたところに錨を下ろしていた、『明石』にたどり着いた。


「おーい、明石ーいるかー」


 俺が呼ぶと、目の前に薄い光を放って現れた。


「にゃ、呼んだかにゃ?」


 あくびをしながら首をひねる明石。

 俺はそんな明石の前に、圭を差し出す。


「こいつを預けに来た」

「どうも、浅井圭です……よろしく?」


 そう言って、圭を明石の方に寄らせる、圭たちには声しか聞こえていない、明石は、圭の姿をまじまじと見つめ言う。


「ほほん、人手が増えるのは大助かりにゃ」


 そう言って、明石は圭に言う。


「圭には『明石』艦内の医療施設を任せるにゃ、明石の声が聞こえたら、心の中で返事をするにゃ、そうすれば明石にだけ聞えるにゃ、その時は、明石の指示を聞いてほしいのにゃ」


 圭は、「了解ですっ」といって、『明石』に乗り込む。


「有馬さん、僕頑張りますね!」

「おう、しっかりな」


 そう俺は言葉を返し、明石の姿が消えたのを見て、隣の輸送船に車を走らせる。





 次は航大の戦車、メモには、米軍の輸送船に入っていると書いてあったが……。


「ここだな……」


 俺は倉庫を開ける、すでにこの輸送船に乗っていた米兵には、確認を取った。


「「……なんで米軍戦車じゃねえんだ」」


 俺と航大は、その戦車を見て首をひねる、そこにいたのは、ドイツのWSであるPzⅣ、多目的支援戦車、『Ⅳ号戦車』だった。

 おっかしいなぁ~この輸送船は、米軍のものを輸送しているはずだから、てっきり、米軍主力の『Ⅿ4シャーマン』や、『Ⅿ26パーシング』が乗っているものと思っていたのだが……。


「さっき聞いてきたけど、どうやらドイツに、ジェット機を売ったお返しに、この戦車と資金をもらったらしいよ」

 

 お返しでこの戦車、WSを渡していいのかドイツ……いや、今は鉄血帝国か……。


「ん? 誰だ、貴様らは」

 

 『Ⅳ号戦車』の上に人影が見える。

 大戦中のドイツ軍長官服セットで、頭から足先までそろえ、少し白っぽい髪が、帽子から延び出ている。


「もしかして、Ⅳ号戦車か?」


 俺が声をかけると、覇気のこもった鋭い目、でこちらを見つめる。


「ああ、まあそういうことになるな」


 そう答えたⅣ号戦車のもとに、航大を向かわせる。

「あなたの乗員になる人を連れてきました」

「ど、どうも坪井航大です」


 そう言って航大は『Ⅳ号戦車』に近づき、Ⅳ号戦車は、航大を鋭い目で見つめる。

その目は真剣であり、どこまでも見透かすような目をしていた。


「少し話をしよう、乗れ」


 そう言われ、航大が戦車に乗り込む。

 そう言えばⅣ号戦車は、俺が姿を見えたことについて何も言わない、鉄血では、もうすでに姿が見えるようになっているのだろうか?


「この少年は預かっておこう、後は、この少年次第だ」


 そうⅣ号戦車は言った後、車内に入ったが、最後に一言付け加えた。

「私の事は『Ⅳフォース』と呼べ」

「あ、はい了解です……」


 呼び方にこだわりあるんだなぁ。





 俺と空、吹雪はまたまた車を走らせ、次は『赤城』に向かった。


 『赤城』はこの後オワフに向けてすぐに出港するため、東側に錨を下ろしており、『大和』はまだ補給中の為、物資倉庫が設置されている南側に錨を下ろしている。

 そんな『赤城』の甲板には、深緑の羽を生やす航空機が佇んでいた。


「『零式艦上戦闘機』……これは五二型だね」


 吹雪は、機体に触れながら言う。

 その言葉に反応したのか、コックピットが一瞬光り、中から一人の少女が降りてきた。


「初めまして、有馬さん、吹雪、空」


 そう言って出てきた少女は、大正時代のような振袖で、袖は跳人同じ色。

 こげ茶色の短い髪を、鶴の飾りがつく髪飾りで後ろに縛る、首元には、季節はずれの、やや黒っぽいマフラーを巻いている。


「君が零戦か」


 『零戦』の少女は、静かに頷き、甲板の木と、草履の擦れる音を響かせながら、こちらに歩み寄る。


「これからよろしく吹雪、長官から、話は聞いてるよ」

「うん、よろしくね」


 この二人はすぐに馴染めそうだな……でも何故だろう、吹雪の顔が、見たことないぐらい穏やかな顔をしている、声に馴染みがあったのだろうか?


「有馬さんですね、私は『零式艦上戦闘機』通称『零戦』です、『ぜろ』でも『れい』でも、お好きなように読んでください」

「分かった、なら『ぜろ』と呼ばせてもらうよ、これからよろしくな」

「こちらこそ、力を尽くさせていただきます」


 そう言うと、零は姿を消した。





 俺は、残った空を車に乗せ、本土から来た高速輸送船『ハヤブサ』に向かった、この艦は、カウアイ占領の報と同時に、本土の陸戦隊を乗せて、ミッドウェイに来た輸送船だ。

 最速は40ノット以上出るとさえ言われる高速性で、護衛なしでここまで跳んできたのだ。


「これか……」


 俺は、武器庫の一番奥にある一つのケースを開ける、そこには、


「『Kar98k』」


 大戦中のライフルの中で、トップクラスに知名度が高く、最初から最後まで、ドイツの戦線を支え続けたライフルが仕舞われていた。

 

 この銃は、さっきの『Ⅳ号』と同じく、ドイツのWSだが、日本が鉄血との技術交流を行った際、記念品として、一丁譲り受けたものだ。

 同じ理由でkar以外にも、『Ⅴ1』を譲り受け、国内で多少手を加えて、量産している。

 空は兵器の腕はそこまでなので、銃器のWSのパートナーにしてもらったらしい。


「あ? お前たち、誰だ?」


 強い口調で現れた赤髪の女性は、Ⅳ号と似た士官服を着ている。

 だが、上は腕を通さず羽織っていて、下には、真っ白いTシャツを着ている、目は髪の赤に、少し黒を足したような色だ。


「『Kar98k』か、君の主を連れてきたぞ」


 そう言って、空を前に出す。

 空も姿が見えていないはずなのに、姿が在る方向をむく。

空のことだから、音がどこから出ているかで、姿がどこにあるのか判断できるのだろう、前に、そんな話を聞いた覚えがある。


「私は雨衣空、よろしく」


 Kar98kは、皆と同じように、空の目をじっと見つめる。


 さっきから皆、人の目をじっと見つめてから受け入れている、WSには、人間の目で何かが判断できるのだろうか?


「なかなか筋がありそうだ、よろしくな!」


 空はその返答を聞いて、すっと銃を持ち試しに構えてみる、数秒立って、


「おお……良い!」


 何かに納得したのか『Kar』の構えを解き、ライフルケースにしまった。


「私の事はそうだな……『karカル』と呼ぶと良い!」


 元気良いなぁ。

 そう思いながら、俺は空を連れて『大和』に帰った、もうすでに空母は出発しているので、吹雪と零は、もう戦地に向かっているはずだ。


「空、俺たちもいい加減、準備しに行くぞ」

「ほいほーい」


 そんな適当な返事が返ってきた。





 丸一日、艦隊はカウアイ島に向けて進み、夜明けとちょうどに、先行している空母たちの艦載機が、発艦準備を始める。

 

 まだ少し薄暗いが、全員持ち場についている、後は、空母部隊から準備完了の連絡を待つばかりだ。

 連絡が来れば、今すぐにでも上陸部隊は、微速から全速に切り換え、島へ直行する。


「伝令! 『赤城』から『大和』へ、我、攻撃隊発艦準備完了、攻撃要請求ム」


 艦橋にその声が響くと、航海長が大きく叫ぶ、その声に、長官組と俺は顔を引き締め、頭を戦争に切り換える。

 今から向かう場所は戦地、人が死ぬ場所だ。


「両弦前進全速!」




 それに続けて、咲間長官は口を開く。




         「作戦発令! ニイタカヤマノボレ〇五二〇」




 意味は、空襲を決行せよ、05時20分。


 現在8月26日、05時20分、あの時と同じような形で、カウアイ奪還作戦が、決行された、あの四隻の空母にとっては、少し複雑かも知れないが……。

 だが、再び戦争を始めるということで、戒めを込めてこの言葉を使い、戦いを始めることを、咲間長官と決めたのだ。

 百年前、日本最大にして、最後になるはずだった戦争を始めた、

「ニイタカヤマノボレ」を使って。

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