2・空から女の子が飛んできちゃいました!?
私は部屋にあったクローゼットを開けた。
関門開きの扉を開けると、服が数着ハンガーにかかっていた。
「これ、私の私服じゃん!」
クローゼットの中にあったのは、前の私の部屋にあったクローゼットの中と全く同じだった。
フード付きのトレーナーやスカート、もちろんセーラー服などもかかっている。ちなみに、男子が着るような服もかかっている。
そういえば私、この世界に来てからずっとセーラー服だった。
「何か動きやすいものに着替えるか」
私はクローゼットにかかっていた、猫の寝巻きを取った。
これなら膝辺りまで服があるし、フードもついて暖かいのでかなり動きやすい。
ちなみにフードには猫耳がついている。
私は着替えて、部屋の隅にあった全身鏡の前に立った。
私これにあってるのか――?
「にゃん――」
鏡の前で手を丸くして顔の横にあげ、猫の鳴きまねをした。
なんか、なんとなくやってみたくなったのでやってみた。
「何やってんだ私――」
誰もいないのに一人でやって一人で恥ずかしくなってしまった。
そういえば、自分って鑑定できるのかな?
「鑑定」
私は鏡に映っている自分に向かってスキルを使った。
すると薬草や薬と同じように画面が出てきた。
・名前 ミクル
・性別 女
・種族 人族
・年齢 18
・スキル 鑑定 製薬
・備考 驕主悉縺御ク肴?縺ェ蟆大・ウ縲りャ
「結構詳しいところまで出てくるのね――備考の欄が文字化けしてるのはおかしいけど」
これで人の鑑定もできることが分かったので、この鑑定スキルはなかなか汎用性が高そうだ。
とりあえず、動きやすい服装に着替えたので、また外に行って薬草採取してこようと思う。
店を開くためにいろんな種類の薬をそろえる必要があるので、とにかくいろんな組み合わせで薬を作ってみるしかない。
そして私は外に出て、薬草採取を始めた。
森はとても綺麗だ。前の世界ではこんなにきれいな森は見たとこがない。
そもそも、前の世界にこんなにきれいな森が存在するのかと思うくらい綺麗だ。
そんなことを考えながら薬草採取をしていると、少し騒がしい気がしてきた。
私は耳を澄ませて、遠くの音を聞くように感覚をとがらせた。
「何か近づいてくる」
何かが近づいてくるのを感じたは私は、空を斜めに見上げた。
すると、空から何がか飛んできているのが見えた。
「何、あれ!?」
目をよく凝らしてみると、飛んできているのは人だった。
人が空から飛んでくるという出来事にはさすがに出くわしたことはないので、私はその場でどうすればいいのか戸惑っていた。
自分の身を優先して避けるべきか、どうにかして受け止めるべきか――
そんなことを考えていると、飛んできている人はもうどうしようもない距離になっていて、
「うわっ!」
そのまま私にピンポイントでぶつかってきた。
私は衝撃で地面を思いっきり滑った。
10メートルほど滑ったところで止まった。
「いてて――」
飛んできた人は私の上に仰向けの状態で乗っかっていた。
「ちょっと大丈夫?」
私は起き上がりながら飛んできた人の顔を見ると、その人は私と同じくらいの女の子だった。
声をかけても反応がなかった。しかし息はしているので気を失っているだけのようだ。
体の様子を見るに、傷や汚れなどが多数あったので何かに襲われでもしたのだろうか。
「とりあえず家に運ぶか」
私は持っていた薬草をその場に置いて、飛んできた女の子を背に抱えて家まで運んだ。
そして、私の部屋ではなく、2部屋目に私の部屋と同じ部屋があっので、その部屋のベッドに寝かせた。
「そうだ、回復薬試してみるか」
私は疲労しか回復できなかったけど、傷とかも治せるのか試してみたい。
気を失っているので、飴玉を食べることはできない。なので飴玉を布で包んで、石で粉々に細かく砕いて、それを水に溶かして飲ませた。
すると、体中にあった傷や痣などがなくなっていった。
「すごい、傷にも効くんだ!」
顔色もよくなってきている。
この薬、無茶苦茶すごい。こんな薬、前の世界では存在しない。さすが、剣と魔法のファンタジー世界だ。
しばらくベッドで寝かしているとそのうち起きるだろうと思う。
それにしても、
「綺麗な銀髪だなー」
その女の子の髪はロングの銀髪で、その銀髪は光を少し反射するほど綺麗だ。
ロシアでも銀髪の人はいたけど、こんなにきれいな人はいなかったな。
ちなみに私の髪は黒髪のロングで、どこにでもいそうな髪をしている。
女の子を寝かせてから3時間ほどが経った。
外は日が落ちてきて薄暗くなっている。
「ん――ここは・・・?」
女の子が目覚めた。
「よかった、やっと起きたのね」
私は女の子に目を合わせながら、話しかけた。
そして、女の子はベッドからゆっくりと体を起こした。
「はっ魔物は!?」
気を失う前のことを思い出したのか、何やらとても慌てている。
魔物――?動物か何かに襲われてたのかな?
「その、魔物?っていうのはここにはいないわよ。ここは家の中だから安心して」
「――あなたは?」
なんて答えればいいんだろう。この家の人?薬屋の店主?いやでも、こんな森の奥で一人でいるから何か妙に怪しまれるかもしれない。
「私はミクル、この家に住んでるの。それで、あなたは?」
「私は――フィンセル」
少し間が空いて答えた。いったい何を悩んだのだろう。
「あなた、空から飛んできたのよ。いったい何があったの?」
「王都に帰ろうとして、馬車で森の中を進んでたら大きい魔物が現れて、それで――私だけは何とか助けようとして、魔法で飛ばされた」
てことは、魔物に襲われたときは一人じゃなかったのか。
この子だけを助けようとして魔法で飛ばした。それほど危険な状況だったのか、それほどこの子が大切な人なのか。
「まあとにかく、怪我とか結構あったから治しておいたよ。これでも私薬屋やってるから」
「本当、傷が全くない」
今のうちにこの薬屋の存在を人に伝えておいて、この子が周りの人に広めてくれることを願う。そしたら、こんな森の奥でも少しは来る人が出てくるかもしれないし。
「ところであなたどうするの?ここかなり森の奥だし、もう暗くなっていたから今日は泊まっていったら、部屋も余ってるから」
「いいのか!?」
フィンセルはものすごい食いつき方だった。
そんなにうれしいのだろうか?特に変わりのない家だと思うけど。
「ええ、遠慮はいらないわよ」
見たところ危険な人とかじゃなさそうだし、多分大丈夫でしょ。