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聖騎士と少女 その2

 隊長室への呼び出しを受けたのは討伐任務の次の日の朝のことである。修練場で日課の素振りをしているライナスの元に、彼が所属する部隊の隊長であるオシオがやってきた。

「ライナス、少し話がある。悪いがこれから俺と一緒に隊長室まで来てほしい」

 そう言うやいなや、ライナスの返事も待たずにオシオは修練場を後にしようとする。近くで稽古をしていたパーシヴァルは、なんだなんだという顔でこちらを覗いてくると、修練場にいた他の隊員達までライナスに顔を向ける。そんな顔を俺に向けても俺にもわからん。何も言わないライナスを尻目にパーシヴァル達はあることないことをささやき合っていた。それを止めようとしたライナスだが、先を歩くオシオの「早く来い」とでも言いたげなオーラを感じ取ったため渋々とオシオに着いていく。パーシヴァル達は後でぶん殴ろう、そうしようと心に決めて。


 隊長室までの道すがらライナスは、どのような要件なのかをオシオに尋ねてみるが「隊長室で話す」としか話してはくれない。この隊長は普段から無駄話をしない人間だが今日はいつになく無口である。だからと言って冷たい人間かと言えばそうではない。尋ねたことをこうまで淡々と返すようなことはなかった。何かやらかしたかと考えてみるが特に失態らしい失態をライナスは起こしたことがない。そういうのはパーシヴァルの領分である。どうせ、隊長室に行けばわかる、とライナスは考えるのを諦めてオシオに着いていくことにした。


「失礼します」

 ライナスがオシオに連れられて隊長室まで来ると、自分の部屋にもかかわらず、オシオはノックと挨拶をしてから隊長室に入っていく。どうやら先客がいるようだ。続いてライナスも部屋へと入る。すると先客と思われる二つの顔がライナスに向けられた。

 一人は知っている顔である。知っている顔どころではない。なぜこの方がこんなところにいるのかと疑問が湧く。聖騎士団団長のドーベントがそこにいた。そしてもう一人、修道服を着た見知らぬ少女がこちらを見ていた。年の頃は15くらいだろうか。腰ほどの長さに揃えられた艶やかな栗色の髪とアーモンド形の瞳、そして新雪のように透き通った白い肌をした美少女がそこにいた。


「あなたがライナスね!」

 ライナスがその見知らぬ美少女に一瞬心を奪われかけた、その時である。彼女は唐突に爆弾を放り投げてきた。

「今日からあなたは私の下僕だから!」

 下僕?とオウム返しのように聞き返す。ポカンとした顔をするライナスに向けて、彼女はその整った顔を喜色の笑みで満たして、こう続ける。

「そうよ。今日からあなたは私の下僕。よろしくね♪」

「よろしくって何をだ!」

 ライナスは突然すぎる下僕発言にそう返すのがやっとであった。

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